店頭に商品を並べたり、HPにサービスの説明や機能を掲載しただけでは、簡単にモノが売れない今、新規顧客を獲得し、売上を上げる効果的な手法として「DRM」が注目されています。
商品がサービスがどんなに優れていても、購買ニーズやコンペリングイベントの存在が無い場合、営業マンがどんに頑張って猛プッシュしても購入に至ることはあり得ません。
法人営業では、相手が何らかの課題を抱えていたり、プロダクト導入に向けて興味や関心を持っていない限り、アポイントを獲得することすら難しいですが、そこに「DRM」の要素を入れることで劇的な変化が起こります。
そこで今回、DRMとは、DMとDRMの違い・法人営業にDRMを活用するコツについて解説します。
■DRMとは?
DRMとは、企業が発信した情報に対して何らかのレスポンスを起こした見込客に対して、人的もしくはシステムを駆使し、売り込み色を感じさせこと無く、購買意欲を掻き立てるような価値提供を行うことで、商品やサービスの販売に繋げて行く「マーケティング手法」を指します。
DRMは、英語の「Direct Response Marketing」の略で「ダイレクトレスポンスマーケティング」と訳されます。日本語では、「反響型マーケティング」もしくは、「顧客育成型のプロモーション手法」を意味します。
ダイレクトレスポンスマーケティングに向いている商品やサービスとしては、顧客にとって馴染みが無い新たなカテゴリーのソリューションや、情報コンテンツ商材、高額商品、コンサルティングなど、導入に不安や不信感を抱かれやすいものになります。
・購買単価が高いプロダクト・サービス(高単価商品)
・自社でしか販売していないオリジナル商品(独自商品)
・流行する前の商品・サービス(新たなコンセプトの商品)
法人営業のシーンでは「反響営業」がDRMに近いニュアンスになりますが、リードジェネレーションを獲得した段階で価値提供を行うため、アウトバントによるプッシュ型のアプローチや単なる問い合わせとは異なり、セールスファネルと同様のスキームになります。
【DRMの基本的な考え方】
・最初から商品やサービスを売らず、見込客を集める施策を重視すること。
・企業からの呼びかけや販促活動に対して、顧客がアクションを起こすこと。
・プロモーションに対して資料請求など、見込客からの反応が得られること。
ダイレクトレスポンスマーケティングは、テレアポ営業によるコールドコールと異なり、営業マンの士気が下がることも無く、従来のアウトバウンドの営業手法とは異なるマーケティング手法になります。
DRMは、一本通行のマス広告とは異なり、マーケティングの施策を展開する上で戦略的に施策にセールスファネルを構築し、購買心理に基づきコンバーションを獲得することに重きを置いた、顧客創造に繋がるコンセプトになります。
■DRMの起源
DRMの始まりは、1880年代にアメリカで、地方の農民を対象としたカタログ販売だと言われています。その元祖とされるのが、後に「シアーズ」の創業者となるリチャード・ウォーレン・シアーズです。
ローカルエリアに住む農民の多くは、日々の仕事に従事したり、容易には都市部に出られないため、地元の個人商店や行商人から通常の価格よりも高い値段で商品を購入するしかモノを買う手段がありませんでした。
そこでシアーズは、消費者にカタログを郵送するだけでなく、メーカーや卸から一括で商品を大量に仕入れることによってコストパフォーマンスを高め、安価に商品を提供するビジネスを考案し、販売する手法を推し進めました。
このビジネスモデルは、現在の「カタログ通信」と同様のビジネスモデルになります。
当時は、消費者が商品を買う場合には、実店舗や行商などの小売を通すことが一般的でしたので、仲介業者となる流通の販売チャネルを通さず、消費者と直接コミュニケーションを取る仕組みを追り上げることで、リーズナブルな金額で販売することが実現出来たのです。
その後、自信を付けたシアーズは、イリノイ州シカゴに「シアーズ・ローバック」を1893年に設立しました。腕時計、ダイヤモンド、宝石の通信販売カタログを出版し、ダイレクトメールを使い、商品カタログを家庭に送付する通信販売業を始めました。
商品を欲しい見込客からの問い合わせを貰った後に、販売を行うという創造的破壊が起き、通信販売という新たなイノベーションが生まれました。
インバウンド型のアプローチで商品を販売に結び付けるという、直接販売のスタイルが上手く行ったことから、「ダイレクトマーケティング」という手法が誕生しました。
更に初期のカタログには目立つ宣伝文句が掲載しているだけでなく、「満足していただけなければ返金いたします。」という信頼の獲得に繋がるコピーが明記されていました。
シアーズの良心的で誠実な姿勢が信頼を獲得し、シアーズ社の通販カタログは「消費者の聖書」と呼ばれるほど人気を集めたのです。
返金保証のサービスは、通信販売で高額商品を販売する際に、「リスクリバーサル」と呼ばれ、DRMの中にも組み込まれ、現在も多くのシーンで使われています。
■DM(ダイレクトメール)とDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の違い
1、DM(ダイレクトメール)の特徴
ダイレクトメールとは、ハガキ、手紙もしくは、チラシやカタログ、サンプルなどの印刷物を封筒に入れ、郵送で届ける手法になります。
DMを送付するマーケティングの手法は、主婦や高齢者など、在宅時間が長く郵便物を頻繁に見る人や、高額な情報商材を個人へ販売する際のアプローチに適しています。
ダイレクトマーケティングの手法では、事前に見込客のリストを作成し、リストアップをした先にダイレクトメール送付したり、その後、テレアポによるアプローチが基本になるため、マーケティング手法としてはシンプルな攻め方です。
ダイレクトメールを送るには、ターゲットを明確化し、送付先のアプローチ先リストを作るなど、下準備が必要となり、はがきや封筒、同封物の印刷費、印字や封入代、送料などを鑑みると、大きなコストが掛かります。
近年では、法人営業でもITを駆使することで、売り込みのメールを問い合わせフォームから、自動的に送信する会社も増えており、郵送と比べると安価に営業活動を行えます。
ただし、迷惑メールのホルダーに自動的に入ってしまうことも多く、これもDMと同じ扱いのアウトバンドによる一方通行の手法になります。
2、DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の特徴
DRMの特徴としては、企業が発信した情報やコンテンツに対して、問い合わせや資料請求などレスポンスがあった相手のみにセールスを仕掛けます。
ダイレクトレスポンスマーケティングでは、潜在顧客が関心を持つコンテンツを事前に提供することで価値を提供し、商品やサービスの販売に繋げる手法になります。
DRMでは、相手は既に商品やサービスに興味を抱いているホットなリードになるため、商談がスムーズに進むため成約率が高く、新規開拓が行うことが可能です。
企業が届けたいメッセージを一方通行で伝えるのではなく、顧客が求めている情報を双方向で提供したり、ターゲットの悩みや課題の解決につながるコンテンツを発信する点が特徴です。
法人営業では、BANTと呼ばれるヒアリングや企業から段階ごとに異なる目的のアプローチを行うことで、見込み顧客を新規顧客に成長させるための教育を行うと効果的だと言われています。
ただし、DRMの取り組みでは、リードジェネレーション後に新たな顧客となり、固定客に育っていくまでには、準備期間がある程度掛かります。
顧客の育成までを流れとして価値提供を行うため、単なるリード獲得でなく、プロスペクトを獲得する手法になると言えます。
■DMより人が介在したDRMが費用対効果が高い理由
DMは、ターゲットを明確にせず、無差別に送付すると莫大な投資コストが掛かり、一方通行の広告手法にななるため、費用対効果という観点では、スタートアップには、余りお勧めができません。
なぜなら、印刷や発送の手間が掛かっているにも関わらず、開封される確率が低く、読まれずに捨てられてしまうケースが多いのは事実だからです。
一般的にDMは、統計的に送付した3%程度しか反応が無く、1000件のDMを送付しても、3%程度しかレスポンスが無く、DM作成の時間や発送の労力が無駄になると言われています。
日本政策金融公庫の調査手ポートによれば、不特定多数の人を対象にしたDMやチラシの反応率は、わずか0.5%から1.0%程度となっています。
・郵便ダイレクトメール(既存向け):約5~15%
・郵便ダイレクトメール(新規開拓):約0.5~1%
・ダイレクトメールFAX(新規向け):約0.1%
しかし、手元に届くための設計や、目を引くデザインに工夫を施すことで一定の開封率を引き出すことが出来ることが分かっています。
ダイレクトレスポンスマーケティングは、見込客のみがターゲットになるため、費用対効果が高い手法になります。
DRMがコストパフォーマンスが高く、成果に結び付きやすい施策だと言われている理由としては、人が介在し顧客の課題や要望に対して、カスタマイズされたセールス活動ができるからです。
BtoBにおいては、直接、決済権のある社長や役員宛に、課題解決が出来るような内容の訴求を行うデイレクトメールは一定の効果がありますが、見込客の興味を引き付ける競争優位性のあるプロダクトや導入実績があることが前提条件になります。
法人営業では、創意工夫次第でDMでリードジェネレーションの獲得後に、コンサルタントが顧客への情報提供することで価値提供を行ったり、顧客が気付いていなかった課題を炙り出し、ソリューション提案をするDRMに昇華させることも可能になると言えます。
■DRMには、ナーチャリングがポイント
見込客から信頼を得るためには、本来は有料で販売することもできるような価値を無料で届けたり、お試し利用を促すことで、リードを超えたプロスペクトのリストを作成します。
自社商品やサービスに興味のある顧客層のみに対象にアプローチすることができれば、費用を抑えたマーケティングが実現できると誰でも思うでしょう。
ですが、DRMに取り組むにあたっては、リストを集まるための集客に手間と労力、そしてコストが非常に掛かり、集めたリストに基づき営業活動を展開し、顧客との信頼関係を築いた上で販売する手法であるため、どうしても商品やサービスの販売までに時間がかかる点がデメリットです。
DRMは、いきなりモノを売りつけるのではなく、予め興味を持った見込客に対して、育成というステップを踏むことが最大の鍵になります。
その理由としては、「ナーチャリング」というプロセスがあることで、効果的にセールス活動を展開することが実現できるからです。
ナーチャリングは、見込客となる「リード」を獲得した上で、新規顧客になるまで育成し、購買意欲を高めて販売することを意味します。
ナーチャリング:獲得したリードを活用する手法
リード獲得:ナーチャリングの前段階の見込客
ナーチャリングは、主にBtoBの営業の場において、見込客「リード」を獲得した段階から、成約に近い個別交渉が可能な状態へ引き上げるまでの行為を指します。
DRMでは、単なる情報発信にとどまらず、顧客の行動を喚起させるといった要素を作り上げ、LTVを意識したセールスファネルを構築することがポイントになります。
■まとめ
DRMは、新規顧客との関係性を構築することで行動を起こさせる「コンバージョン」を獲得することに重きを置いたマーケティング手法になります。
ダイレクトレスポンスマーケティングの最大の特徴は、集客の施策を通して、購買見込みが高いユーザーのみを集めたリストが作れる点になります。
DRMは、商品の販売をスムーズにするマーケティング手法の1つで、集客→育成→販売というステップがあることが必須要件になります。
企業から一方的に売り込むプッシュ型ではなく、事前にコンテンツを提供したり、レスポンスがあった顧客に対して、無料お試しを体験した後に、営業マンがセールス活動を通した販売に繋げることも可能なため、効率的な営業活動を行えようになります。
その理由としては、予め発信した価値ある情報に対し、問い合わせや資料請求などレスポンスがあった相手のみにセールスを仕掛けることができるからです。
DRMは絞り込んだターゲットのみを対象とするため、スタートアップでも限られたリソースを有効に活用しつつ成果に繋げる営業アプローチが実現します。
相手はすでに商品やサービスに興味を抱いているため、話がスムーズに進み効率的なアプローチや顧客の獲得が可能になるのです。
「私は本当に、自分のできる最大限のことをやったのだろうか? 未だだ。だから私はいまだにハングリー精神が旺盛なんだろう。」
<スティーヴン・スピルバーグ>
■最後に
DRMは費用対効果が高いマーケティング手法になるため、インターネットとの相性が良く、予算が少ない中小企業にも適しています。
見込客に対して価値を提供した後に、セールス活動に繋げて行く、パフォーマンスの高いプロモーションを展開することが可能だからです。
インターネットを最大限活用して、DRMを行える仕組みを構築することによって、集客から販売までの営業ステップを自動化し、費用対効果の高いセールスファネルを構築することも可能です。
ただし、大手企業を対象にした法人営業では、インターネットを活用したセールスファネルのみで新規開拓を行うことは難しく、営業マンによる人海戦術による営業活動を全く行うことなく、新規開拓を機能させる難易度は高いと言えます。
その理由としては、大手企業の役員クラスやキーマンが直接、インターネット経由で資料請求を行ったり、問い合わせを行い、オオンライン会議に参加するケースは少ないと言えるからです。
そのため、大手企業を対象にしたプロダクトを提供しているスタートアップは、競争優位性のあるプロダクトやサービスを提供していても、新規開拓に課題を抱えている会社が多いです。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、スタートアップや新規開拓を支援する目的で、知識・経験・人脈・スキル・ノウハウを持った顧問やプロ人材を5000人以上ネットワークし、ハンズオンによる課題解決の実行支援を推進しています。
KENJINSでは特に、スタートアップに対して顧問が長年に渡って築き上げた大手企業の決裁者とのネットワークを活かし、クライアント企業の見込客との繋がりを持ち、関係性の深い顧問の人脈を借りることで、トラクション獲得に繋がる「リファラル営業」を推奨しています。
リファラル営業は、社会的な地位の高いアンバサダーを介在するため、インターネットを駆使したBtoBマーケティングで新規に接点を持ったリードに比べて、成約率が高くコストパフォーマンスが圧倒的に高いと言われています。
その理由としては、大手企業の役員クラスとのアポイントの獲得できる可能性が高く、商談時に同席の上でトスアップアップすることを基本としているからです。
初回の商談後もアプローチを取る機会を得たり、紹介者となる営業顧問やセールスのプロ人材にクロージングを強力に後押しをして貰うことも可能です。
リファラル営業は、顧問契約をベースに顧問を登用することで、新しいクライアントを新規開拓を開拓するためのステップが大幅にショートカットできるため、営業にかけるコストを減らし、最速でリードジェネレーションを獲得することができます。
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