トラクションとは?資金調達にトラクションの獲得が必要な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

優秀なスタートアップの起業家が魅力的な製品やサービスを開発していたにも関わらず、新規事業の立ち上げに失敗してしまうケースがあります。

起業家が事業開発に失敗した根本原因を分析すると、創業期にプロダクトをリリースした後の「トラクション」が足りていない傾向が高いです。

シリコンバレーでは、日本と比べ競合となるライバル会社も多いため、社長が市場に出せるアイデアを思いついた瞬間から「トラクション」を獲得することを第一の目標に掲げる必要があります。

なぜなら、投資家の立場から見るとトラクションが獲得できていないという事実は、新規事業を成長性させる最大の原動力となる充分な顧客を掴んでおらず、今後、ビジネスが飛躍する可能性が低いという判断材料になってしまうケースがあるからです。

つまり、会社を成長させる推進力となるトラクション早期に得ることこそが、前人未到の頂きに挑む起業家を成功に導く、試金石になると言っても過言ではないのです。

そこで今回は、トラクションとは?資金調達にトラクションの獲得が必要な理由について解説します。

■トラクションとは?
トラクションとは、「地面を掴むことで生み出される推進力」を意味します。トラクションは、英語で「traction」で表記されます。日本語では、「引っ張ること・牽引」を意味します。

元々は車とタイヤの推進力の仕組みをスタートアップにおける「成長の兆し」に置き換え、トラクションと捉えています。

特にIT系のユニコーンやベンチャー企業の多いシリコンバレーでは、スタートアップの場合、自社の事業に合った複数のチャネルを駆使して、この「トラクション=成長の兆しとなる顧客」を見つけ、トラクションを増やすことにフォーカスしていくことが重要だと言われています。

■トラクション獲得のためにグロースハックが欠かせない理由
グロースハッカーとは、「製品やサービスの成長を「ハック=新たなやり方で加速する」するプロ人材を指します。インターネット業界では、「ユーザー獲得担当エンジニア」などとも呼ばれています。

グロースハックは、比較的新しい概念であり各所で様々な説明がなされていますが、共通している点は「サービス・商品をモニタリングしながら改善し、顧客を獲得しながらビジネスをスケールアウトさせて行くことになります。

このグロースハックには有名な「AARRR(アー)」というフレームワークがあります。別名「スタートアップ・メトリクスモデル」と呼ばれています。

FacebookやTwitterなどのユニコーン企業が立ち上げた、プラットフォームサービスはほとんど広告を打たずに多くのユーザーを獲得してきました。その成功要因となった成長率の源泉にもグロースハックを有効利用したことが挙げられています。

その名の通りスタートアップ企業を成長させるトラクション獲得のために考え出された、グロースハックにおけるフレームワークです。

5段階のフレームワーク「AARRR」
頭文字のAARRRは、「Acquisition」「Activation」「Retention」「Referral」「Revenue」という5つの段階でサービスの成長は構成される、ということを表しています。日本語にすると、「獲得→利用→継続→紹介→収益化」の流れです。

■グロースハックのフレームワーク「AARRR」
グロースハックを推進するプロセスでは、各段階で見つけた課題に対し、それらを解決する仮説とKPI(施策の中間評価指標)を立てる必要があります。

1、Acquisition(ユーザー獲得)
新しいサービスを立ち上げたばかりのとき、その存在は知られていません。まず自分たちのサービスを広く知らしめ、新規登録や実際に訪問してもらう「ユーザーの獲得」が第一段階です。

2、Activation(活性化)
ユーザーがサービスを認知したら、次は実際に利用を促し、活性化させる必要があります。製例えば「会員登録」などをユーザーに行わせることが第二段階です。

3、Retention(継続)
利用を促したユーザーには、頻繁に継続してもらうことを目指します。

4、Referral(紹介)
満足したユーザーが友人や知人にWebサービスを紹介・共有・拡散していくように仕向けます。

5、Revenue(収益化)
ユーザーにできるだけ多く収益につながる行動を取ってもらうことを目指します。

5つの段階のうち、1と2はユーザーの数、2と3がユーザーの行動に関する成長指標であり、最終的に事業として5の収益性が上がっていく、というのが理想的です。

まずは、自分のサービスを「AARRR」の5つの段階に分けること。それがグロースハックの第一歩です。各段階に分けることで取り組むべき課題が明確になり、施策が打ちやすくなります。次に、各段階ごとの問題解決の仕組みを作っていくのが実践的な作業になります。

課題の改善のために機能やサービスの設計をし、A/Bテスト、ユーザビリティの改善、ユーザーインターフェースの比較など、様々な方法で検証します。最後に効果が出たものを実装し、収益化に繋げて行きます。

つまり、グロースハックはトラクション獲得を推進するためにサービス改善のPDCAを高速で回し続ける、というわけです。

■「AARRR(アー)」の重要性
インターネットを運営していると、多くの場合PVやアクティブユーザー数、獲得ユーザー数を重要視する傾向があります。

「ユーザー数が少ないのは、そもそもPVが少ない」という点を気にし、「そのために著名なメディアに掲載を頼む」「広告を出稿する」などと小手先の施策に終始しがちです。

しかし、グロースハックにおいてサービスを成長させるのに重要なのは、AARRRにおけるどのプロセスに問題があるかを把握することです。

PVとコンバージョンだけ見ていては絶対にわからない、本質的な問題を、どのプロセスに課題があるかを考えることで明らかにし、優先順位をつけて適切な施策を取ることができます。

■プロダクトマーケットフィットとは?
実はAARRRの5段階に分ける前に、重要なことがあります。プロダクトマーケットフィットという概念です。あるサービスや製品がマーケットとフィットしていること、を意味します。

トラクションを獲得するためには、まず、事業ドメインを明確にし、事業のコアとなるプロダクトやサービスや機能を搭載した必要最低限のプロトタイプを開発し、マーケットに早期にリリースすることが必須要件なります。

このプロトタイプのコア機能はユーザーが使いたくなるプロダクトであることが大前提です。

その理由としては、起業家がどんなに素晴らしいと思えるようなサービスを作ったとしても、適切な市場の課題解決に繋がっていなければ存在意味がなく、ビジネスとして成長を遂げることは出来ないからです。

そのため、スタートアップの起業家は、自社サービスの本質を理解し、市場があるかを考える必要があります。

アメリカ合衆国のソフトウェア開発者、マーク・アンドリーセンは、「プロダクトが画期的で素晴らしくある必要はない。基本的にプロダクトは機能さえすれば良い。」と語っています。

最初のビジネスモデルが芳しくなくても起業家自身がグロースハッカーになり、「プロダクトマーケットフィット」のために最適な市場を探し、サービスを本質から見直す「ピポット」を行うこともが必要になる場合もあります。

■資金調達にも欠かせないトラクションの獲得
業界を問わず沢山のトラクションが獲得できた後であれば、スタートアップの資金調達は単純です。

その理由は、アーリーステージで投資をする投資家やベンチャーキャピタルは、経営者のビジョンやボードメンバーについてある程度気にかけるものの、ビジネスモデルの良さを証明できるトラクションを重視します。

なぜなら、既に売上が上がっており、企業クライアント数も増え、会員数、ログイン数、ページビュー、リテンション率など様々な数字を分析し解釈することで、企業とビジネスモデルの将来性を予測し投資実行について判断できるからです。

しかし、重要なトラクションを出す前のシードスタートアップの資金調達の場合、エンジェル投資家が中心となるため、数億という大掛かりなファイナンスは、将来性や価値を感じて貰えない限り難しいフェイズになります。

そのため、資本政策を作り持ち株比率を極端に下げることなく、億単位の資金調達を成功させたい場合には、自社のステージがどのフェイズにいるかを理解した上で、確実にトラクションを獲得することで株価のバリエーションを高め、最適なタイミングで資金調達を行うことが欠かせないのです。

■効果的なトラクションの獲得のために
多くの起業家や経営者は、良い物を作ればモノ自体の力で勝手に知れ渡り、売れていくと思ってしまいがちです。

また、ベテランの経営者でも自分が想像がつく営業方法や既にやったことがある販促チャネルに固執してしまう傾向が高いです。

それらの主な原因としては、新しい手法を全くテストせずに古い営業手法で販売することを決めてしまい、費用対効果の悪いマーケティング施策に手を出してしまい経営資源が分散してしまったことで、トラクションを獲得に繋がらないケースが多いです。

トラクションを獲得するために必要な4つの要素
1、モノづくりとトラクション(顧客を掴む)の重要度は50%ずつと考える。
2、どのチャネルに対しても、まずは等しく可能性を考える。
3、イケると思ったやり方でも、まずテストして可能性を見定める。
4、可能性がある販売チャネルひとつだけに絞り、集中投下する。

■まとめ
スタートアップの場合、競争優位性のあるプロダクトをスピーディに開発することも重要ですが、トラクションを獲得することに経営資源の50%のチカラを振り向けることが大切です。

なぜなら、トラクションを獲得することを重視している起業家は、「顧客創造」に繋がる営業活動のプロセスを通じ、その結果としてモノ作りへのフィードバックが促進され、プロダクト自体も良くなるという点を理解しているからです。

新規事業の立ち上げでは、クライアントとなる企業や顧客が抱えている悩みや問題、そしてビジネスの課題に対して仮説立て、営業活動を行い、顧客にヒアリングをしながら、プロダクトの検証することが欠かせません。

その上でビジネスモデルを昇華させるために、PDCAを高速で回転させることで事業のブラッシュアップを繰り返し、サービス自体に拡散と自動的にスケールする仕組みを取り入れことが必要です。

飛躍的な成長を目指す上では、トラクションの獲得と並行したプロダクトの「グロースハック」を行うことがビジネスを加速させるための最大の鍵となります。

起業家もしくは創業メンバーがマーケティングとエンジニアの両方のスキルを兼ね備え、失敗を繰り返しながら堅実にPDCAサイクルを回すことで、ビジネスモデルが顧客に受け入れられ、新規顧客の獲得とリピーターの増加に繋がります。

サービスを改善することは、非常に泥臭く地道な作業になりますが、グロースハックの本質を理解し実践することと、トラクションを獲得することを同時進行で推進することで、新規事業の可能性は広がっていくでしょう。

■最後に
インターネット領域で革新的なサービスを立ち上げたスタートアップや、技術開発力の高い中小の製造メーカーであっても、優秀な社長はいるが、新規顧客の開拓の経験があり、販路開拓のノウハウがある人材が社内にいるケースは少ないです。

特に大手企業の役員クラスや業界での人脈を持ち、営業力を持った経営陣は揃っていないパターンが多いです、

どのような会社でも、創業当初は経営資源が乏しく、社内にはどうしても大手企業への法人営業や大口の販売チャネルの獲得に関する知識や経験、販売ルートが少なく、大手企業に比べて人的なリソースが極端に不足しがちです。

例えば、法人企業を新規開拓したい場合には、人脈と業界のネットワークを豊富に持つ「営業顧問」を積極的に活用することで、営業戦略の構築のアドバイスにととまらず、「トップダウン営業」で大手クライアントの役員クラスとのアポイントの獲得を行い、有効商談になる機会を作ることが可能になります。

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■資金調達を推進したいスタートアップの社長の方へ
スタートアップを創業した起業家の多くは、最初の1年~3年はビジネスモデルが確立できず、新規事業の立ち上げとプロダクト開発、新規顧客の開拓に必要な営業活動を推進することに奔走することになります。

その際、最初のファイナンスから「事業計画書」を作り上げ、次回のラウンドの資金調達を踏まえた「資本政策」をファイナンス支援の経験がある財務顧問を登用すると「第三者割当増資」の成功確率が格段に上がります。

大規模な資金調達を行う際には、社長がファイナンスに詳しいか、経営メンバーにCFOの役割が出来る方がいればある程度は対応することが可能だと思います。

ただし、個人投資家やベンチャーキャピタルを魅了するような事業計画書を作成することも欠かせません。更に創業者の持株比率をキープしながら株価と発行株式数を考え、「資本政策」を作り上げるには、「エクイティファイナンス」の経験とスキルが必要になります。

そのため、第三者割当増資の経験が少なく、ベンチャーキャピタルと株価の交渉に不安がある起業家の場合には、特定企業の資金調達を行い成功させた経験のある財務顧問を迎い入れ、顧問契約を行いアドバイスや実行支援を受けると良いでしょう。

その際、外部CFOの財務顧問に「資金調達プロジェクト」に参画して貰い、経営者と一緒にハンズオン型でファイナンスに帆走して貰うことが、成功の秘訣になります。

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そのため、資金調達に課題があるスタートアップの起業家には、営業活動の強化によるトラクション獲得の支援と並行して第三者割当増資による「エクイティファイナンス」の支援も可能です。

業界にイノベーション起こす革新的なプロダクト開発にチャレンジしたいスタートアップで技術的な知見が不足している場合、ハンズオンで支援してくれる沢山の技術顧問も揃っています。是非、一度お気軽にご相談ください。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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