リソースベースドビューとは?RBVの意味・経営資源が大事な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

フリーランスの場合には、ターゲットの顧客ニーズがあることを前提に、ライバルと戦う土俵を選び、訴求する場所を工夫し、効果的にポジショニングを行うかが重視されます。

一方で、持続的な成長を実現している高収益企業の場合には、経営資源にフォーカスし、リソースベースドビューの理論を推進することが飛躍の鍵になります。

なぜなら、スタートアップの場合、限られた経営資源を最大限に活かし、参入障壁の高いビジネスモデルを構築しながら、競争優位性の高いリソースベースドビューを作り上げることに取り組むことが、企業価値を高める成長ドライバーになるからです。

そこで今回、リソースベースドビューとは、RBVの意味・経営資源が大事な訳について解説します。

■リソースベースドビューとは?
リソースベースドビューとは、企業の競争優位性の核となる源泉を経営資源の中に求め、内部のリソースをコアとする戦略理論を指します。

リソースベースドビューは、英語で「resource-based view」と表記されます。経営資源を強化する理論を略して「rbv theory」と呼ばれることもあります。

日本語では、企業内部の経営資源の中に、競争優位の源泉を積み上げるアプローチによる「内部資源理論」を意味します。

RBVの基本は、外部環境やライバルとの比較ではなく、あくまで内部環境にフォーカスすることで、参入障壁の高さを築き上げていることが特徴になります。

リソースベースドビューの根底にある考え方は、企業の持続的な競争優位を左右する要因は、ビジネスを取り巻く業界の構造や古い業界の常識にあるのではありません。

その企業が経営資源を磨き上げ、顧客に対して提供する「能力」=ケイパビリティを高めることこそが、KSF「重要成功要因」になると言えます。

ケイパビリティの高さが競争優位性と収益性を決めるキーファクターになるため、企業は内部の経営資源に競争優位の源泉を見出すことで、ビジネスを展開する上で外部環境に左右されない独自性を築き上げることが実現します。

リソースベースドビューの考え方のベースは、1984年にB・ワーナーフェルトによって提唱された概念になります。

その後、オハイオ州立大学の経営大学院教授、ジェイ・バーニーが1991年に「ジャーナル・オブ・マネジメント」に発表した論文により有名になりました。

企業が持つ経営資源となるリソースを基礎とした理論になります。「資源ベース理論」と言われることもあります。

■企業内部の経営資源とは?
企業内部の経営資源とは、企業の持つ資産、人材、技術力、ブランド、工程、専門能力や組織文化などを指します。

リソースベースドビューの考え方は、経営資源に着目し、ライバル企業が簡単に模倣すること非常に困難なビジネスモデルを構築することにあります。

組織文化を築き上げるすることで、参入障壁を築き上げることの重要性を問いています。

スタートアップの起業家がイノベーションを起こし、ブルーオーシャンの市場で確信的な新規事業を立ち上げ、ビジネスが急速に上手く行き始めると、ライバルとなる競合が少なくマーケットが魅力的な場合、後発で大手企業が参入してくることが当たり前のように起こり得ます。

それらの模倣に対抗するためには、経営資源のベースとなる優秀な起業家がいることや、希少価値の高いボードメンバーがいれば、ホールプロダクトを作り上げることが可能になると言えます。

アイデアに加えて、競合による模倣を防ぐ特許、商標、ブランド、高い技術力があれば、参入障壁を上げることに繋がります。

そして、組織的なケイパビリティが高め、経営資源となり得る要素を積み上げ、簡単にはマネをすることが難しく、短期間で事業開発が困難であることが競争優位を生み出すのエンジンとなります。

【リソースベースドビューになり得る経営資源】
・有形資源となる「ヒト・モノ・カネ」
・無形資産「技術力」「ビジネスモデル」
・生産設備
・不動産等の有形資産
・ブランドネーム
・特許等の無形資産
・顧客対応力
・組織的なケイパビリティ

例えば、個人のプロ人材の強みを訴求する場合には、ライバルとなるフリーランスのベンチマーキングを重視し、業界内でのポジショニングに基づく、ブランディングを戦略を打ち出すケースが多くなります。

一方でスタートアップの場合、持続的な成長を成し遂げるには、リソースベースドビューの取り組みが重視される傾向が高いと言えます。

具体的には、規模の経済性、ブランド力、技術力、知的財産権、スイッチングコストの高さなどコアコンピタンスに近い考え方になります。

■ポジショニングとリソースベースドビューの違い
ポジショニングは、日本語では、「位置づける」という意味になります。

ポジショニングとは、市場において自分の商品・サービスの立ち位置をどういった立ち位置にするかを練り上げ、競合他社とはどこで差別化を図っていくかに重きを置き、見せ方やメッセージを工夫し、広告を展開しマーケティング主体の訴求する方法を指します。

ポジショニングマップを作る際は、「市場における自社の立ち位置を確立すること」を目指し、主に以下の2点を重視します。

・他社との差別化となるポイントを明確にすること。
・明確にした独自の訴求ポイントをターゲット層に示す。

リソースベースドビューの考え方とは対極的に、商品やサービスが「本当に優れている」「競争優位性が高い」という事実よりも、「顧客の頭の中で優れていると思っても貰う」ことが、ポジショニングでは重要になると言えます。

ポジショニングの考え方は、「良い商品」が売れるのは顧客が購買活動を行う前段階で、「良い商品であること」を頭の中で認識してからだという考えの元、見込客への訴求方法を重視するマーケティング先行型の取り組みになります。

■リソースベースドビューのフレームワーク「VRIO」とは?
企業の内部資源「ケイパビリティ」が、持続的な競争優位の源泉となるための条件として、VRIOというフレームワークがあります。

VRIOとは、「Value:経済価値」、「Rarity:希少性」、「In-imitability:模倣可能性」、「Organization:組織」の頭文字を並べた言葉で、ブリオと読みます。

「VRIO」の全てにおいて他社より優れた状態である「持続的競争優位」を築くことが、企業の成長と存続に繋がるため、最終的に到達を目指すゴールとなります。

1、経済的価値の創出「Value」
企業の目的は利潤を追求し、経済的価値を生み出すことにあります。

業界や規模を問わず、持続的経営を目指すには、既存の技術や経営資源でどのような事業を展開できるかという発想だけでは、長期的なビジネスの成長が止まってしまう可能性があります。

目指すべき未来を見据え、将来期待される経済的利益をもとに、経営資源の価値を高める企業努力が必要になります。

2、稀少性「Rareness」
すべての財やサービスの経済的価値は希少性によって決定づけられているとされています。

ある経営資源が他の多くの企業でも所有されている場合には、競争優位の獲得にはつながりません。

一方で、希少性の高い経営資源を持っている企業は、その資源を梃子に競争に打ち勝つことが容易になります。

需要に対して供給が少ない状態は、「希少性が高い」とされ、その価値が参入障壁を高めると考えられます。

3、模倣可能性「Imitability」
スタートアップの場合、模倣困難な経営資源を確保するという視点を持つこと必要になります。

なぜなら、すぐに真似されてしまうような商品やサービスの場合、短期的には競争優位を築けても、持続的な競争優位性の構築には、繋がらないからです。

「模倣困難性」は、内部環境を重視するリソースベースドビューにおいては、最も重要な評価項目になると言えます。

「模倣されにくい」ということは、中長期的に価値を持つため、自社の内部資源を見極め、育てることも大事な取り組みになります。

4、組織「Organization」
報酬体系や管理手法など経営上の各種仕組みやケイパビリティを示しています。

ケイパビリティとは、競争で優位に立てる能力や可能性のことを表した「組織的な力」や「戦略論」の一つです。

例えば、マネジメントや業務上のノウハウ、大きな金額を使って作る独自の設備、生産ラインといった経営資源は模倣されにくい傾向があります。

組織としてのケイパビリティは、経営資源など内部環境に着目した「リソースベースドビュー」に基づいています。

これらが集まり、独自の要素が形成されれば、差別化戦略やコアコンピタンスになるのです。

■リソースベースドビューを積み上げるポイント
リソースベースドビューに立脚した競争戦略を策定する上では、経営資源を明確にした上で、現在、過去、未来のポートフォリオを把握した上で長期的なビジョンを描くことが、必要不可欠になります。

なぜなら、価値ある経営資源があることは、スタートアップがVCからファイナンスを行う際や、顧客からの評価をはじめ、アライアンス戦略を含め、企業価値を決定付ける上でも重要なカギとなる事項になるからです。

業界を問わず、あらゆる企業は自社の事業を保護し、拡大したりビジネスプランを実現するためには、会社の武器となる強力なリソースを効果的に取得していくことで、他社に対して独自のバリュープロポジションを築き上げることが実現します。

リソースベースドビューを意識した経営戦略を推進することで、市場におけるの自社の競争優位性を明確化し、更に拡大する施策を立案し、実行することが可能になると言えます。

また、持続的競争優位となる経営資源とは単一の資源となるリソースだけでなく、統合的に組み合わさった強みであるからこそ、模倣困難であることが多いです。

1件の特許のみであれば、相手企業はその特許を何とか無効にしようとするか、あるいはその特許の権利範囲を迂回しようとします。

その結果、ライバルの戦意を喪失させるには至らず、競合との戦いになってしまいます。

しかし、複数の経営資源からなる強力なポートフォリオを築くことで、ポートフォリオの個々の経営資源を無効にすることは難しくなります。

何よりも強みなる経営資源を何であるかを特定し、バリューチェーンの全てを模倣するのは困難であることから戦意を喪失し、マーケットでの戦いになるのを防ぎつつ、不戦勝を得ることができるのです。

■まとめ
リソースベースドビュー「resource-based view」とは、「企業の持つ固有の経営資源」を基に経営戦略を策定する際のフレームワークになります。

経営資源となる人・物・金・組織のケイパビリティといった独自の価値を重視した経営戦略のことを表します。

バーニーは、ライバルとの競争が激しく魅力の乏しいレットオーシャン業界においても、RBV理論に取り組む企業は、高い収益性を実現している企業があると主張しています。

ウォルマート、アマゾン、デルなどがリソースベースドビューの構築に成功した事例になります。

リソースベースドビューは、スタートアップが企業価値を高めたり、投資家に対して自社にどういった経営資源がどれだけあるのかを把握し、競争優位性を伝える際にも非常に有効だと言えます。

VRIOのフレームワークを用いることで、企業が所有する現在のリソースと高めるべきリソースを評価することができます。

競争優位の源泉にケイパビリティが何であるかの見極めができるため、経営戦略の立案に活用することが出来ます。

リソースベースドビューの考え方やVRIOのを活用して顧客ニーズを満たす、ビジネス戦略を確立し、実行することが卓越の法則に繋がるのです。

「イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる。」

<ピーター・ドラッカー>

■最後に
技術革新が急速に進むVUCAの時代においては、マーケットや購買心理の変化のスピードが速く、単一のプロダクトやテクノロジーの優位性だけでは、模倣することが簡単になり、コモディティ化が起こる要因になる可能性が出てきています。

そのため、リソースベースドビューを意識し、MOTにのよる技術経営に取り組むことことで、複数の参入障壁を作り上げたり、代替される可能性を下げつつ、個別の経営資源やケイパビリティの有効期間がどれくらいなのかを想定して置くことも大切です。

持続的な競争優位性を具現化するためには、以下が欠かせない要件になると言えます。

・参入障壁が高い「ビジネスモデル」を構築すること。
・MOT経営を推進し、「稀少価値」が高い技術を確立すること。
・特許権や商標等の「知的財産権」を継続的に取得すること。
・模倣にコストが掛かる「ケイパビリティ」を確保すること。
・顧客から指名される価値ある「ブランド」を構築すること。
・MOT人材を登用し、独自の「技術経営」を推進すること。
・イノベーションを起こす「自立型の組織」を作り上げること。

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フリーランスの場合、社員の採用とは異なり人材紹介会社に支払う紹介料のリスクが少なく、即戦力となるハイクラス人材が多いため、適切な顧問料でプロジェクトに参加して貰えれば、コストパフォーマンスが圧倒的に高いです。

リソースベースドビューを推進するに際しては、顧問契約をベースに顧問からアドバイスを超えた、実行サポートを受けることで、新商品開発や新規事業の進め方などを含め、定期的な意見交換やアイデア創出、重要なセクションでの意思決定を行う際の判断に非常に役立ちます。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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