コアコンピタンスとは?強みに基づく経営戦略の策定が重要な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

将来に向け市場の勝者となるためには、「自社にとってのコアコンピタンスは何か」を認識し、競合となる「ライバルとの違い」を意識した上で、強みとなる「コアコンピタンス」を打ち出す必要があります。

なぜなら、どれほど得意で高い専門性を伴った技術であったとしても、ライバル企業との差異がそれ程ないのであれば、コアコンピタンスとはなり得ないからです。

そこで今回、コアコンピタンスとは何か、強みに基づく経営戦略の策定が重要な訳について解説します。

「他社は上手くできなかったが、我が社はさしたる苦労なしに出来たものは何かを問わなければならない。同時に、他社はさしたる苦労なしにできたが、わが社は上手く出来なかったものは何かを問わなければならない。」

<P.F.ドラッカー>

■コアコンピタンスとは?
コアコンピタンスとは「Core:中核、Competence:力量、能力、適性」の文字の通り、企業にとって中核となる能力、強みのことを指します。

経営学者のゲイリー・ハメル(Gary Hamel)とC.K.プラハラード(C.K.Prahalad)が提唱した概念です。両者はコアコンピタンスを「顧客に対して、他社にはまねのできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」と定義しています。

具体的には、以下の3つの条件を満たすものが強みだと定義しています。

1、顧客に利益をもたらす。
2、競合他社に模倣されにくい。
3、幅広く活用・応用できる。

■コアコンタンス経営とは?
コアコンピタンスを活かした経営手法を「コアコンピタンス経営」といいます。コアコンピタンス経営を実現する企業は、以下の3つの資質を備えていると明言しています。

1、顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
2、競合相手に真似されにくい自社能力
3、複数の商品・市場に推進できる自社能力

1、顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
最初の条件としてあげているのが、顧客に利益やメリットを与える能力であることです。どれほど他社より優れた能力や強みであっても、顧客にとっての利益でなければ、自社の利益につながらないからです。

強みの評価といった場合、いくつかの視点を用意することが必要です。その一つが顧客に価値をもたらすかどうか、という視点。自社の強みと考えてリストアップしたものが、

・製品やサービスに付加価値を与えるものになっているか?
・顧客を満足させるものか?

という視点で再考します。

例えば、他社には真似ができない高いレベルの開発力や技術力です。これらの能力によって、他社の製品にはない機能や付加価値をつければ、それは顧客にとっての利益になるからです。

2、競合相手に真似されにくい自社能力
次に、競合他社が簡単に真似することができない能力や強みであることです。企業独自の能力を生み出すことができても、競合相手が簡単に真似できるようであれば、それはコアコンピタンスにならないからです。

コアコンピタンスは、他社を寄せつけない圧倒的な能力である必要があります。

ビジネスチャンスがあれば、すぐに競合他社が参入してくるような分野では、他社に真似されない能力であることが前提になるのです。

例えば、熟練エンジニアによる高い技術力です。長い期間をかけて身につけた技術やスキルは、一長一短で他社が真似できるものではないからです。

いくら自分たちで「これは強み」と確信を持っていても、顧客がその「強み」に利益や満足を感じられなければ、それは単なる自己満足で終わってしまいますし、コアコンピタンスとは言えません。

3、複数の商品・市場に推進できる自社能力
最後の条件が、複数の商品や市場で通用する能力であることです。特定の市場や、特定の商品でしか使えない能力は、ビジネス環境の変化とともに通用しなくなる可能性が高いです。

そのため、経営の核とするためには、応用が利く能力でなければいけません。競合他社に真似できないような画期的な技術があるにもかかわらず、その技術がたった一つの製品にしか活用できないとしたら汎用性が無いと言えます。

応用力は、長期的な視点でコアコンピタンスを捉える重要な視点となっています。

応用力とは、強みとしてリストアップしたものが、幅広い業界、多くの製品、多様なビジネスモデルなどに応用できるかどうかという視点を指します。

例えば、企業イメージやブランド力です。ブランド力は、特定の市場や製品に限ったものではありません。いくつもの製品や市場でも、ブランド力は効果を発揮するからです。

■コアコンピタンスとケイパビリティの違い
コアコンピタンスと同様、経営戦略を語る上での重要な考え方としてケイパビリティ(Capability)があります。

●『コアコンピタンス』=企業にとって最も本質的で、他との差異を確立する中核的な能力。
●『ケイパビリティ』=自社だけでなく協力企業なども含めたバリューチェーンを通じて、組織の有機的な結合によりもたらされる総合力。

コアコンピタンスは「競合他社には真似することができない核となる能力」やバリューチェーンの特定の機能の強みになります。

一方、ケイパビリティは、バリューチェーンにまたがる組織的な強みを指す場合が多く、コアコンピタンスよりも上位の視点でとらえた「企業として持っている能力」を指します。

コアコンピタンスが特定の技術力や製造能力を指すのに対し、ケイパビリティはビジネスプロセスを指す点で違いがあります。しかし、コアコンピタンスもケイパビリティも企業の競争優位を保つため発揮すべき能力という点では同じ重みを持っていると言えます。

コアコンピタンスは事業の根幹=独自の価値や強みを示すため、スタートアップの時点である程度の優位性を持っているケースもあります。

一方で、ケイパビリティは商品・サービスを提供するビジネスプロセス全体に及ぶものであるため一朝一夕にはいかず、構築には困難を伴います。

事業の集中や拡大を図る際には、自社のコア・コンピタンス、あるいはケイパビリティを明確に意識し、それが活かせる展開を行うのが常道になります。

■コアコンピタンスを見極める際の5つの視点
コアコンピタンスの質を見極めるために5つの視点が必要です。

最初は難しくてもそれぞれの要素を段階的でもクリアして行ければ、いつかしか真のコアコンピタンスとなります。

1、模倣可能性(Imitability)
模範可能性とは、他社が真似できる可能性のことを指します。保有している技術や特性が、その分野で競合している他社に簡単に真似できるものかどうか、という視点です。

自社が強みとしている能力や技術力を発揮し、顧客にとって価値の高い製品やサービスを生み出しても、他社に簡単に真似されてしまっては市場での競争優位を保つことは難しくなります。

なぜなら、顧客にとって価値の高い商品を開発しても、競合他社に簡単に真似されてしまっては、市場での優位性を保てないからです。

特定の製品やサービスが他社に模倣される可能性が低く、他社が追いつけないような状況であればあるほど、コアコンピタンスと判断できるでしょう。市場を独占できるような、他社の追随を許さない高度な技術や精巧な製品こそが、コアコンピタンスなのです。

2、移動可能性(Transferability)
移動可能性とは、自社が提供する特定の製品やサービスだけに通用する能力や強みではなく、他の製品や分野にも応用可能なことを指し、応用性、汎用性とも言い換えられます。

他の商品やサービスにも応用できる能力であれば、ビジネスの拡大チャンスは広がっていきます。コアコンピタンスに汎用性があることは、ビジネスチャンスにつながり、他社にとっては脅威となるのです。

コアコンピタンスに応用性や汎用性があればビジネスチャンスが広がり、他社に対して競争優位なポジションに立つことが期待できます。

一つの技術やサービスが単体で完結するのではなく他の分野にも応用できる、ということです。「汎用性」と解釈すればより理解しやすくなるでしょう。

このように絶え間なく新しい製品やサービスを社会に広く提供できる能力は、コアコンピタンスとして認めることができます。

3、代替可能性(Substitutability)
代替可能性とは、自社の製品やサービスが他のものと置き換えることができるかという視点です。求められる機能が他の製品で代替できれば自社の強みにはなりません。

コアコンピタンスであるためには、技術や能力が代替できない唯一無二のものであることが求められます。代替がきかないオンリーワンとも言える技術や能力を持つ企業は、市場で独占的なポジションを占めることが可能になるでしょう。

求められる機能が、他の製品で代用が利くのであれば、自社の強みにはなりません。つまり、コアコンピタンスには、なり得ません。代替えができない、唯一無二の能力であることが求められるのです。

他には代えられないユニークさやオリジナリティ、技術力のあるコアコンピタンスを持った企業は、その分野において独占的なシェアを維持できます。

簡単に代替品が見つかってしまうようでは、コアコンピタンスと呼べません。代替可能性のない技術や製品の開発は非常に難しいですが、コアコンピタンスでは避けて通れない道です。

4、希少性(Scarcity)
希少性とは、文字どおり自社の技術や能力が珍しいことを指します。自社が提供する製品やサービスがあまり市場に出回っていないものを指す場合もあります。

同類の商品やサービスが数多く出回っていれば、その市場で優位に立つことは難しくなります。希少性が高い能力であるほど、競争の世界では優位になれるのです。

同様な製品やサービスが数多く市場に出回っていれば、いくら自社の技術力を生かした製品であっても市場では埋没してしまいます。一方、希少性は市場で注目され、希少性のある製品やサービスに対する需要は大いに高まることが期待できます。

代替可能性、模倣可能性、希少性という3つの視点を持ち、それぞれの視点で高評価を得ることができれば、市場に対して圧倒的なアドバンテージを打ち出せるでしょう。

5、耐久性(Durability)
耐久性とは、長期に渡って他社の追随を許すことなく優位に立つことができる能力を指します。いくら優れた技術や能力であっても、短期間で強みが消えてしまうようであればコアコンピタンスにはなり得ません。

突出した能力であっても、短期間で強みが消えてしまうようであれば、自社の利益にも貢献できません。長期間に渡って、市場で優位に立てるかどうかは、非常に重要なポイントです。

耐久性が高ければ高いほど、コアコンピタンスの精度や価値、信頼性が保証されます。

しかし、現代社会の移り変わりは非常に激しく、IT技術一つとっても日進月歩。その中で耐久性を保持し続けることは難しいでしょう。

しかし、技術革新のスピードは速く、耐久性を維持しながら市場で競争優位に立つことは至難の業です。そんなハードルを乗り越えるためにも、常にイノベーションを起こすような姿勢を継続することが、特にものづくり企業にとって重要だと言えるでしょう。

■コアコンピタンスを確立するため4つのポイント

1、差別化された技術を持つ
コアコンピタンスを確立させるには、他社と差別化された高い技術力を追求することが必要です。自社が持つ技術力をどこよりも高めることは、それ自体が他社との差別化に繋がります。

また、他社の力を借りるのではなく自社内で開発することが、競合より優位に立つために望ましいと言えるでしょう。

2、明確なビジョンを持つ
経営者自身のビジョンが明確であることは、組織の統率力や決定スピードが上がりコアコンピタンスの確立へ繋がります。

社長や経営幹部が「将来どのような企業になりたいか」「企業として何がしたいか」など、ビジョンを明確にしておくことは、コアコンピタンスを確立するうえで必要不可欠です。

企業全体でビジョンを共有すれば、従業員が一丸となってコアコンピタンスの確立を目指せます。

3、人材力・組織力を高める
差別化された技術力を、商品やサービスにしていくための組織力も重要です。

技術力があっても、それを活用して新しい商品開発に向けるには、社内の各事業部が連携をとらなければいけません。

コアコンピタンスを確立できるか否かの鍵を握っているのは、人材力・組織力です。コアコンピタンスを確立するためには、一人ひとりが持てる力を発揮し、従業員間・部署間の連携がスムーズにとれる環境やシステムを整える必要があります。

会社全体の総力を上げて商品開発をするには、部門ごとに分散されている力をまとめる組織力や、どの商品に注力するのかスピード感が必要になります。特に、個々の力を伸ばす人材育成には大いに力を注ぐべきでしょう。

4、常に進化を求め続ける
どれほど強力なコアコンピタンスがあったとしても、放っておけばいずれ陳腐化してしまうでしょう。コアコンピタンスは他社との差別化を図ることです。

そのため、一度自社で確率したと思われたコアコンピタンスも、時代の移り変わりによる需要の変化や、競合他社の新商品などによって、その地位を損ねてしまうこともあります。

コアコンピタンスを輝かせ続けたいのであれば、競合他社に追いつかれることのないように研鑽を続けたり、新たな市場を探すために活用・応用方法を模索し続けたりするなど、常に進化を求め続けてください。

■まとめ
コアコンピタンスとは企業活動における「コア」、すなわち中枢・中核となる強みのこと。コアコンピタンスは、企業活動において中枢・中核となる強みのことです。

「競合他社を圧倒するレベルの高い能力」「競合他社が真似ることのできない確固とした能力」などをあらわします。

コアコンピタンスはバリューチェーン上のある突出した技術力や製造能力を指し、ケイパビリティはそのポテンシャルを最大限に引き出し、市場へ確実に行きわたらせる組織の総合力です。

その意味でコアコンピタンスとケイパビリティは相互補完の関係にあり、どちらが欠けていても望ましい戦略構築が達成できないものとして意識しましょう。

コアコンピタンスは、「他社との差別化を行う戦略の策定」、ケイパビリティは「自社での業務に落とし込む戦略の遂行」という関係になります。

確実に展開できるケイパビリティがあって初めて、市場で勝てるコアコンピタンスが発揮でき、逆にコアコンピタンスがあるからこそ、企業はそれを軸にバリューチェーン全体にわたるケイパビリティ開発への人的・経済的投資が可能になるのです。

■最後に
持続可能な企業であるためには、現在のビジネスで中核となっている価値の独自性を大切にしながらも、時代の先を予測し、調査研究や新しい技術への投資を継続することが欠かせません。

急激な変化に対応するコアコンピタンスを柔軟に設定する動きが必要不可欠となります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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