MOTによる技術経営とは?MOTでイノベーションが必要な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)などの最新テクノロジーを取り入れ、MOTを推進する動きが製造メーカーを中心に様々な業界で加速しています。

ですが、経営者の中には、MOTによる技術経営に必要性を認識しておらず、テクノジーについては、エンジニア任せで技術経営に疎い社長が多いです。

そこで今回は、MOTによる技術経営に取り組むことによりプロダクトの競争力を高め、イノベーションを起こすことが企業の成長に必要不可欠な理由について解説します。

■MOT・技術経営とは?
MOTとは、「Management of Technology」の略語になります。日本語では、「技術経営」と翻訳されています。

その意味合いとしては、企業経営においてDX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)などの最新のテクノロージーを活かし、どのように経営的な側面から役立てデジタルシフトして行くのかというマネジメントの考え方や取り組みを指します。

MOTは、自社の技術力をベースにして競争優位性を築き上げ、企業の成長や発展を目指すことになります。

ですので、システムを開発するプログラマーや研究開発を行うエンジニアといえども、世の中に貢献できる商品やサービスを生み出し、大きなインパクトを与えるような起業家的な視点を持つことが必要だということになります。

MOTによる技術経営を実現するためには、エンジニアという立場でありながらも起業家のように、経営学の基礎からマーケティングを学んだ上で、技術評価手法、研究開発マネジメントといった先端的のテクノロージー経営理論に至るまでの幅広い領域のをマスターする必要があります。

その上で自社の持つ製品やサービスのコア技術や特許など重要な経営資源として捉え、ホールプロダクトを武器に戦略的にテクノロジーを活用できるMOT人材が経営を支えるために重きを置かれる「VUCA」(ブーカ)の時代になって来たということです。

現代は、テクノロジーの進化によって、経営を取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあることから、MOT経営があらゆる企業の成長戦略にとって極めて重要なったと言えるのです。

VUCAは、以下の4つの単語の頭文字をとった造語になります。

V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)

インターネットが世の中に浸透する前は、同じ業界の競合だけを意識しベンチマーキングしていれば対処できましたが、VUCAの時代はボーダレスになるため、従来の業界というくくりの概念自体がなくなりつつあります。

このため、アメリカのシリコンバレーでは、テクノロージーを武器に革新的な起業家が率いるスタートアップ業界の概念を覆すような新しいサービスが次々と生まれています。

大手企業が気づいた時には、水面下で市場が奪取されマーケットが逆転しているような現象が様々な分野で起きているのです。

■MOTが必要な背景
オックスフォード大学の調査結果によると、10~20年後には日本の労働人口の半数が就いている職業がAIやロボットに代替される「シンギュラリティ」が起きると予測されています。

シンギュラリティとは、AIが人類の知能を超える技術的特異点(転換点)や、AIがもたらす世界の変化を示す未来学上の概念のことになります。

深層学習、ディープラーニングの飛躍的な発達、ビッグデータの集積にしたより、2045年に技術的特異点に到達するという説になります。

インターネットで躍進を遂げたユニコーン企業が多いアメリカだけでなく、日本でも野村総合研究所がイギリスの工学博士「M.オズボーン」との共同研究の中で「10~20年後、国内の労働人口の約49%が人工知能やロボットで代替可能になる」という報告結果を発表しています。

現在、世界では、新型コロナウイルスの流行や地球温暖化に伴う気候変動、異常気象といった災害など、予測が困難な事象が次々と起こっています。

また、最近では、「IoT」という言葉が最近よく使われるようになりました。

IoTとは、今までインターネットに繋がっていなかった「アナログの製品」がネット接続されることを指します。

具体的には、住宅、建物、車、家電製品、電子機器などが、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。

このような IoT の技術を活用することによって、これまでに無かった、より高い価値やサービス生み出すことが可能になります。

こうしたVUCA時代では、新たな成長エンジンとしてMOTによるイノベーションを起こす必要性があらゆる場面で強く望まれているのです。

このイノベーションを起こすために必要かつ有効な手段として、MOTを位置づけることができると思います。

■MOT視点の導入する方法?
IoTやAIはまだ新しいビジネス領域であり、プロダクトやサービスのDXを推進するためには、システム開発や研究開発を行うエンジニアに任せでイノベーションを起こすことは難しいです。

ですので、経営者や取締役などの経営陣が、既存事業の変革を実現するために、どのようにMOTの視点を導入すべきかを考え抜くことが欠かせません。

そして、多くの PoC「実証実験」を行いながら、新規事業の立ち上げや新サービスの開発を含め、技術をコアにしたビジネスモデルの見極めを行っていく必要があります。

しかし、企業の発展にイノベーションは欠かせませんが、実際にMOTによる技術経営を推するプロジェクトを立ち上げようと考えると、実際にはプラスの面ばかりではなく、マイナス面が出るケースもあります。

それが「イノベーションのジレンマ」というものです。

イノベーションのジレンマとは、1997年にクレイトン・クリステンセンが提唱した企業経営の理論の一つにあります。

既存顧客のニーズを満たすために、自社の製品やサービスの進歩に注力した結果、顧客が抱く別の需要に気付けず、異質の技術革新によって登場した新興企業に敗北する現象を指します。

MOT経営では、企業は既存事業や関連する技術イノベーションを追うことになりますが、それが有効なのは時代の変化が乏しい時のみです。

ですので、MOTの推進には、組織のマネジメントを担う経営者や経営陣が時代の流れと本質をどれだけ読み切れるかが非常に重要になります。

MOTによるイノベーションを成功させるコツは、スタートアップの新規立ち上げのようにリーン形式で小規模の範囲内でトライアンドエラーを繰り返すことができるアジャイル開発の組織を作ることです。

なぜなら、まずは少ない予算でプロタイプを開発することを意識できる小規模な組織ならリスクを抑えつつ、様々なイノベーションにチャレンジすることができるからです。

つまり、経営陣が時代の変化や将来の方向性を読み切れない場合には、複数のシナリオを用意し「プランB」を考えて置くことが得策になります。

プランBとは、本来の計画や作戦「プランA」が上手く行かなかった場合のためのバックアップとしてあらかじめ用意された、2つ目のプランを指します。

■ダーウィンの進化論をMOTに活かす方法
ダーウィンが5年にもわたる航海と調査をもとにしたためたのが「種の起源」です。

「種の起源」を簡単に説明すると「地球上にはさまざまな生物・種が存在しており、それは絶えず生存を続け、進化し続けるものだけが生き延びる」といった内容になります。

インターネット業界のスタートアップの世界では、技術経営を行うことが欠かせませんが、「魔の川」、「死の谷」、「ダーウィンの海」という三つの障壁を乗り越え、事業計画書の作成から始まり、研究開発から事業化までの過酷なプロセスを生き延びる必要があります。

1、魔の川とは?
「魔の川」とは、ある研究開発プロジェクトが、まず基礎研究から製品化を目指す開発段階へ進めるかどうかの関門のことです。

製品化の見込みが立たず、研究に要したコストが水の泡になる様子を川にたとえられています。

2、死の谷とは?
「死の谷」とは、開発段階から事業化段階へ進めるかどうかの関門になります。

生産ラインや流通経路などを確保するべく、開発段階を上回る資源・資金を投入することになるため、落ちれば死ぬほどの深い谷にたとえられます。

3、死の谷とは?
「ダーウィンの海」とは、先の二つの関門を乗り越えて市場に出された製品やサービスが、競合他社との競争や顧客の反応にもまれて自然淘汰を生き残れるかどうかの関門を指します。

プロジェクトの最終的な成否がここで決まるとされています。

資金の乏しいスタートアップや莫大な資本を持つ大手企業でも「新事業の成功数」は、約1割程度だと言われています。

その理由としては、新規事業を成功に導くには、「アイデア数」×「事業化成功率」×「収益化成功率」で決まるため、3つの要素を全てクリアできる確率は、10%くらいになるからです。

経済産業省の新事業の取組みに関する調査データによると、28.6%の企業が「新事業が成功した」と回答していますが、功したと回答した企業のうち、約50%の企業の経常利益率は増加していません。

つまり、7割が「新事業を創り出すこと」ができず、さらに5割が「儲かる事業にすること」ができていません。ですので、8~9割の新事業が失敗しているということになります。

いかに成功への確度を上げていくか、その方法論となるのがMOTであり、MOTによるマネージメントが必要とされる所以だと言えます。

■組織の中にMOTを根付かせるために
MOTによる経営に取り組みデジタルシフトにチャレンジするには、アプローチするための方法は様々あり、アプローチする分野によって難しさも異なります。

近年、大手企業でのMOTによる新規事業立ち上げや新商品開発のトレンドをみると、下記の5つのテーマに集約されると思います。

1、既存事業のビジネスモデル転換
2、コア技術を活かした周辺業界進出
3、顧客基盤を活かしたデータビジネス展開
4、オープンイノベーション・スタートアップ買収による新事業創出
5、社会課題解決型の新規事業創出

MOTを推進するためには、インターネットの知見が欠かせませんので、技術戦略専門チームにDX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)に精通した若手を抜擢することも重要な施策になります。

経営陣が、デジタルシフトを推進というビジョンを売り出した上でポジションを含め、MOTを成し遂げるための決定権限と責任を一定の制約範囲の中で全て委譲することが近道になります。

■まとめ
「Management of Technology」とは、技術経営(MOT)を推進することで、不確定な新事業立ち上げや新商品開発に対して、自社のホールプロダクトを核にテクノロジーを駆使することです。

いかにリスクを低減しながら、ビジネスの成功確率を高めるかを技術的な側面から経営をマネジメントするための方法論です。

MOTの実現には、経営者がMOTとは何かか、テクノロジーの発達でできるようになることは何か、テクノロジーでもできないことは何か、といったことを知ることで、テクノロジーと適切に付き合うことができ、結果としてより利益を生み出すイノベーションに繋がります。

「テクノロジー」という言葉はITに限りませんので、ITを含む広い意味でのテクノロジーを指す言葉になります。

経営者は細かいテクノロジーに関する情報を持っていないことが多く、基礎的な用語も解説が必要なことがよくあります。

経営者の多くは、テクノロジーの領域は「専門家に任せる」という姿勢でいる経営者が大半なのではないかと思います。ですが、テクノロジーを理解することは、今後のMOTによる技術経営を推進するためには、極めて重要なことになります。

漠然とした理解ではなく本質的に「自分たちの経営にどのようにテクノロジーが寄与するのか」を言語化できる経営者だけが、今後は生き残れない時代になりつつあります。

反対にエンジニアも「経営視点を持ってテクノロジーを語る」準備をしておくことが大事になると言えます。エンジニアが経営視点を持つと、世の中の動きとテクノロジーの相関関係がクリアになってきます。

企業にとっては、ビジネスを創造できるMOT人材を育成することが、技術から新たな価値を生み出すための競争優位性の高いプロダクト企画やソリューション開発に繋がるため、非常に重要な経営戦略になると言えます。

ビジネスもテクノロジーも、目指す方向は同じになります。

インターネットに限らず、モノづくりに限らず関わる全てのメンバーが、立場を超えて共通の認識に立ち、MOTによる技術経営の必要性を理解しイノベーションを遂行して行くことこそが、あらゆる企業が進化を遂げる、原動力になるのです。

■最後に
正社員をゼロから採用しMOTによる技術経営を身に着けさせることは、会社の経営を支える優秀なCTO人材を獲得し育成することに近く、時間と投資コストが掛かるため中小企業には難易度が高いです。

しかし、既にMOTの知見を持ったプロ人材を外部から登用することにより、早期に技術経営を実現することができます。

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「KENJINS」の特徴としては、テクノロージー経営に精通した「技術顧問」が多く、アドバイスに留まらず実行支援ができる点になります。

エンジニアリングスキルが高く、経営戦略にも秀でた「顧問のチカラ」を借りることで、IOTプロダクトを新たに企画・開発したり、AI(人工知能)の取り組みを加速させたり、経営のDX「デジタルトランスフォーメーション」し、MOT企業へと変革させていくことが可能になります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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