差別化戦略とは?競争優位性の源泉となるホールプロダクトとは?

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

商品やサービス、情報があふれる現代社会において顧客に選ばれるためには、差別化を図る戦略が必要です。

市場における優劣は価格で決まるかというと、必ずしもそうとは限りません。そのような考えを払拭するために必要な考え方や取り組みが「差別化戦略」になります。

差別化を図ろうとすると、競合他社と比較してどこに違いを見つけるか、という点だけに目が行きがちです。

しかし、差別化戦略の目的は最終的に消費者に満足してもらうことにあります。「顧客にどのような価値を提供できているのか?」という視点を忘れずに差別化を図ることが大事です。

そこで今回は、差別化戦略とは何か、競争優位性の源泉となるホールプロダクトついて解説します。

「製品差別化とは、市場が認知する他社の製品・サービスの価値に対して、自社の製品・サービスの認知上の価値を増加させることである。」

「製品差別化により企業が競争優位を獲得しようとする事業戦略を差別化戦略と言う。」

<マイケル・ポーター>

■差別化戦略とは?
マーケティングにおける「差別化戦略」とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーター(M.E.ポーター)によって提唱された3つの競争戦略のうちの1つです。

他社との明らかな特異性を作り出すことで、競争優位を築く戦略のことを指します。

差別化優位性を生み出すためには、単に他社の製品やサービスと違うというだけでなく、業界全体どこを見回しても自社製品やサービスが突出しているような強烈なオリジナリティを作り上げることです。

なぜなら、「低価格路線で差別化を図る」という戦略がありますが、マイケル・ポーターの競争戦略においては価格やコストは差別化の要因とはならないからです。

つまり、割高な価格を要求できることが差別化戦略の本質だと言えるのです。

■差別化戦略における差別化とは?
差別化戦略における「差別化」とは、単に他社と違うものを作ってアピールすることではなく、以下の2つの要素が重要となるのです。

・他社製品やサービスと比べて、明らかな特異性があること。
・価格が高くても買ってもらえる状態を作り出すこと。

差別化された商品やサービスは、他社とは圧倒的に違う付加価値を提供できるので、価格を下げなくても買いたいと感じてもらうことができます。その結果、きちんと利益を確保できる状態を作れるため、利益率が向上し業績アップに繋がるのです。

■ホールプロダクトとは?
ホールプロダクトとは、1960年代にアメリカ人のT・レビットが論文で提唱した考え方です。「セオドア・レビット」が提唱した、購入者の期待している機能により近づけるよう自社製品の補助製品や補完サービスを段階的に揃えるモデルです。

特に、ITを中心としたハイテク製品のマーケティングで重要となる考え方です。

買い物をしていると、これだけのお金を払ったのだから、これだけの機能や効果は得られるだろうと考えた事はないでしょうか?つまり、これが企業と顧客の間で生じる考え方の乖離です。

企業が顧客に対して提供できる技術と期待される効果や効能によって発生する溝を埋めなければ、いずれ人は離れていってしまうでしょう。顧客の期待によって発生する溝を埋めるためには、補完サービスや補助製品を提供していく必要があります。

顧客の満足度を上げるために、補完サービスや補助製品を生み出し続けることができれば完全な製品(ホールプロダクト)を自社から誕生させられるでしょう。

■差別化戦略を構成する3つの要素
「差別化戦略」とはそもそも、マイケル・ポーターが提唱した「3つの競争戦略」のうちの1つを指します。マイケル・ポーターは、競争優位性を築くための基本戦略として、以下の3つがあると考えました。

1、コストリーダーシップ戦略
他社の競合製品よりも安くすることで勝負する戦略。

販売価格を下げる分、利益確保のために生産過程でのコスト効率化が必要になるため、大規模生産による固定費の低減や組織構造のシンプル化による人件費の抑制などの手を打つ必要があります。

2、差別化戦略
他社との明らかな特異性を作り出すことで、競争優位を築く戦略。高くても売れる状態を目指す戦略になります。

「決定回避の法則」で指摘されているように、消費者は一見して違いが分からないものについては判断に迷ってしまい、結果的に購買活動をやめてしまいます。

つまり、「差別化戦略」は、3つの競争戦略の中でも、業界全体で見ても明らかな特異性や優位性を持った差別化要素を持つことで、低コストに偏らない戦略になります。

3、集中戦略
特定の市場やサービス・商品に経営資源を集中させて費用対効果を高める戦略です。

ただし現代では、「選択と集中」が経営の基本であるという考え方が浸透しており、経営資源の特定分野への集中は他社との差別化を生むための戦略とは言い難くなっています。

■プロダクト戦略の3層モデル
製品戦略の具体的実現方法を検討するフレームワークに、「プロダクト3層モデル」があります。

プロダクト3層モデルとは、製品価値構造のを3層に分けることで、製品戦略を整理するためのマーケティングフレームワークです。

「プロダクト3層モデル」では、製品特性を「中核」「実態」「付随機能」の3層に分け、それぞれの層で製品特性の要素を考えます。

製品戦略(プロダクト戦略)を検討する時は、以下の2つの整合性について注意して戦略立案を行います。

1、製品戦略(プロダクト戦略)とSTPと整合性に注意
製品戦略は、マーケティングの基本戦略である、ターゲティング・ポジショニング(STP:Segmentation,Targeting and Positioning)と整合している必要があります。

いくら高品質製品を作っても、ターゲットセグメントが狙いと異なれば、「よい製品」とは認識されません。ターゲットにより、「よい製品」の定義=顧客ニーズは異なります。

ターゲットに合わせて、ターゲットが価値を感じることができる製品価値、商品価値を考えましょう。

2、製品戦略(プロダクト戦略)他の4Pとの整合性
4Pは、「マーケティングミックス」と呼ばれるように、単体ではなくあくまで4つのPの組合せで決まります。そのため、製品戦略(Product)は、他のPである、Price、Place、Promotionと整合性がとれている必要があります。

■ホールプロダクトの4つの基本要素
完全な製品を世の中に送り出すことを目的としたホールプロダクトでは、4つの基本要素が大切だとされています。ホールプロダクトは4つのプロセスで説明されます。

すなわち「コアプロダクト」「期待プロダクト」「拡張プロダクト」「理想プロダクト」です。

1、コアプロダクト
コアプロダクトとは、企業が最初に出す製品のことを表します。プロダクト戦略とは、マーケティング戦略において顧客にどの様な製品やサービスを提供するのかを考えることです。

まず、製品の価値構造と製品コンセプトを明らかにします。そして、それを支える技術や生産、製造、パッケージ、サポートサービス、を組み合わせ「顧客に提供する製品」を設計します。

また、製品コンセプト3要素製品戦略を決定するための、製品コンセプトは3つの構成要素で決定します。

・対象(ターゲット像):誰が使うのか?
・利用シーン:いつどこで何に使われるのか?
・顧客ベネフィット:主な価値は何か?

2、期待プロダクト
自社の商品やサービスに対してお金を払う見込み客は、「お金を払ったのだから、多様な機能やサービスを手軽に利用できるのでは。」と期待します。

期待プロダクトとは、商品やサービスに対する顧客の期待や要望から形成されたものを表す言葉です。例えば、掃除機を購入したとしましょう。

送られてきた掃除機の箱の中には、分かりやすい操作マニュアルが必ず入っています。これは、顧客が入っていて当然と考えるからこそ、分かりやすい説明書を掃除機と一緒に入れています。

他にも、インターネット回線を契約した時は、アフターサービスが付属していて当たり前だと感じるのではないでしょうか?つまり、これは顧客がインターネット回線事業者のサービスに期待しているこということです。この期待がサービスとして形になったのが期待プロダクトです。

3、拡張プロダクト
コアプロダクトの拡張機能を表す言葉で、補完サービスや補助製品など顧客がその製品を購入した目的を満たすことができる製品やサービスがこれに該当します。

例えば、コピー機だとWiFi機能を利用した通信機能であったり、スマートフォンであれば、GPSを利用したナビであったり、ウォークマンのラジオ機能などが拡張プロダクトに該当します。

まさに、コアプロダクトを拡張した結果、そこからオプションとして形になったものを拡張プロダクトと表します。

4、理想プロダクト
ホールプロダクトの最終形態である理想プロダクトは、補助製品や補完サービスが完全に出揃った状態であり、ほとんど不足がない状態を表します。

ありとあらゆる機能が出揃い、すべての要望を満たすことができる製品のことをホールプロダクトでは、理想プロダクトと言います。

しかしながら、世の中に送り出されている製品の中で理想プロダクトに到達したものはほとんどないとされています。

もし、理想プロダクトに到達することができれば、市場の中で圧倒的なポジションを獲得できるとT・レビット博士は説明しています。

■差別化戦略を成功させる3つのポイント
差別化戦略を立てて競合他社を圧倒する製品・サービスを作りたいという企業は、差別化戦略を成功させるための3つのポイントを抑えることが必要不可欠です。

1、顧客のニーズを分析・把握する。
差別化戦略に限らず、マーケティングにおいて顧客のニーズを分析・把握することはとても重要なことです。なぜならば、いかに良い商品を作ったとしてもその商品を顧客が欲していなければ売れないからです。

まずは自社の業界で顧客のニーズがあるポイントを見つけ出し、そのポイントで自社ならどう差別化できるか考えるのが差別化戦略を立てる近道となります。

BtoBの制御機器販売を行うメーカー「キーエンス」では、顧客が現場で求めているニーズを探し出し、特注品を開発して納めることで差別化を図っています。

顧客それぞれのニーズに応えた製品を特注で製作しているため、競合他社に真似されることは無く、値引きを一切しない会社として独自の地位を築いています。

2、競合他社の強み・弱みを研究する。
同じ業界にいる競合他社の強みや弱み、特徴などを研究することで、差別化の糸口が見えることもあります。

コンビニ大手のファミリーマートは、業界内での差別化を図るために「業界1位であるセブンイレブンがやらないことをやる」ということを意識しているそうです。

そのために地域密着の路線を掲げて、店員と顧客のつながりを密にし、その地域になくてはならない存在になることを目指しています。

3、自社の強みを見つけて差別化を図る。
自社が持つ強みを徹底的に伸ばし、顧客に積極的にアピールし続けることで、特異性を持った差別化を図ることができます。

「今治タオル」は、「安心・安全・高品質」を突き詰めてこだわりつづけた結果、「高級タオルなら今治タオル」という確固たるブランドを築くことができました。

単なる強みで終わらせるのではなく、その強みを特異性があるレベルまで引き上げることができれば、差別化戦略を成功させることができるでしょう。

■まとめ
競合他社や競合製品との「特異性」を持つ商品やサービスを開発し、他社との差別化を図ることは簡単なことではありません。

しかし、差別化戦略を成功させることができれば、不毛な価格競争を回避し、企業の利益率を向上させることができます。

差別化戦略を取り入れることで得られる最大のメリットは、他社との価格競争に巻き込まれなくて済むという点です。

差別化により他の企業が真似できないような独自性を確立できれば、新たな企業が同じ市場に参入してくるのを防ぐこともできます。

製品戦略やプロダクト戦略を決めるときは、まずは「製品コンセプト」から考えましょう。製品コンセプトを実際の製品に具現化するときには、プロダクト3層モデルを使います。

また、製品戦略(プロダクト戦略)は、単体で詳細に検討することも必要ですが、マーケティングロジックで、他の施策やSTPとの整合性をとるように注意してください。

「差別化とは、高くても売れる状態を作り出すこと」になりますが、競合他社よりも価格設定を高く設定しすぎると購買につながらず、逆にビジネスは衰退してしまう可能性があります。

安売りはしないけれど高すぎる訳でもない、絶妙な価格付けを行うことが、差別化戦略で重要なポイントになります。

差別化と価格差の度合いは、顧客の分析によって決めて行きます。どの程度の価格差までなら受容されるか、綿密に市場調査を行い、ライバルの動向もしっかりと分析した上で差別化戦略を立案し、実践することが商品やサービスのブレイクスルーに繋がるのです。

■最後に
差別化を図るためには、まず競合他社を知ることが重要です。他社の優れている点、反対に弱みだと思える点をしっかり把握し、自社がどういう点で高価値を提供すれば明確に他社との違いを生み出せるかを考えます。

その際、商品やサービスそのものの性質だけではなく、顧客の体験すべてに意識を向けましょう。

差別化軸に基づいて自社の差別化ができたら、最後にそれらの情報を営業活動を推進する必要があります。当然のことですが、差別化を図ったからといって自然に購買数や頻度がアップするわけではありません。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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