スイッチングコストとは?顧客のスイッチングコストを下げるコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: プロ活用方法   パーマリンク

現在、BtoBのビジネスを推進する企業でも、インターネットが発展し検索エンジンにより、比較ができるようになった影響により、顧客接点が増え、ライバルと比較される機会が増えました。

競争優位性の高い商品やサービスが増えているマーケットでは、機能面の訴求や物理的価値だけでは、プロダクトやサービスの差別化を図ることが難しくなっています。

市場でのシェアを拡大させるには、販売する商品やサービスの種類や質、価格だけでなく、「スイッチングコスト」を意識した営業戦略を考える必要があります。

そこで今回、スイッチングコストとは何か、顧客のスイッチングコストを下げるコツについて解説します。

■スイッチングコストとは?
スイッチングコストとは、 英語で「switching cost」を表し、日本では「切り替え費用」を意味します。

乗り換えコスト、スイッチング費用とも呼ばれています。

顧客が現在利用している製品・サービスから別の会社の製品・サービスに切り替える際に負担しなければならない金銭的・物理的・心理的なコストのことを意味します。

■スイッチングコストの考え方
スイッチングコスト直接的な支払金額以外にも、新たな操作方法を覚え直す手間、新しいものに対する心理的抵抗などがあります。

また、既存で利用している商品を破棄するための金銭コストなども、スイッチングコストの一つです。

一般的に顧客は乗り換えることによる直接的な利益やメリットだけでなく、スイッチングコストに影響されて購買の判断をします。

ある製品やサービスについて買い替えや乗り換えの提案をする場合には、顧客のスイッチングコストを理解し、それを低くすることが購買動機を高める有効な施策となり得ます。

■スイッチングコストに含まれる3つの費用
以下では、これらの費用について詳しく説明します。

1、金銭的コスト
「金銭的コスト」は、他社の商品やサービスに切り替えるときに発生する金銭的な費用です。

金銭的コストとは、購買に要するお金のことです。購入金額の数字として直接表すことができます。

企業が他社から顧客を獲得したいのであれば、どれくらいの金額であれば他社から切り替えてもらえるかを調査・分析して、適正な価格設定をする必要があります。

ただし、価格を低く抑えるほど他社から顧客を獲得しやすくなるものの、あまりにも安く販売しすぎると企業に利益が残りません。

顧客を獲得すると同時に、企業にしっかり利益を残せるよう、バランスを考えて価格設定をする必要があります。

2、物理的コスト
「物理的コスト」は、商品やサービスを切り替える際に生じる移動や手間、時間などのコストです。

物理的コストとは、購買に関わる手間や時間などです。広義のコストです。

なるべく多くの顧客を他社から呼び込むためにも、他社の顧客からみた物理的コストを低く抑える仕組みを整える必要があります。

3、心理的コスト
「心理的コスト」は、他社の商品やサービスに切り替えることに対して感じる心理的な負担のことです。

心理的コストとは、金額換算が難しい心理的ハードルです。広義のコストです。

自社の顧客にとって、他社に乗り換える際の心理的コストが低い場合、競合にシェアを奪われやすくなります。「他社に乗り換えるのが大変そう」と感じさせることで、自社の売上を維持しやすくなります。

■スイッチングコストを下げる3つのやり方

1、受け取り価値を高める
「スイッチングコストを下げる」ためには、顧客が代替性のある製品やサービスに乗り換える際の顧客の「受取価値」を増やすことです。

顧客の受取価値は、総顧客価値(製品価値、サービス価値、従業員価値、イメージ価値)から総顧客コスト(金銭的コスト、時間的コスト、労力的コスト、心理的コスト)を引いた価値を指します。

顧客の受取価値は、フィリップ・コトラーが定義した言葉になります。

顧客にとって「乗り換える手間を下げる」ことにより、「価値」に対する「購買に関するコスト」を相対的に下げることになる「受取り価値」が向上します。

2、CXを高める
多くの業界で共通することですが、機能・性能・価格といった合理的な価値は「コモディティ化」しやなっています。

価格競争に勝つために、単に値下げしただけでは自社の特徴を出したり他社と差別化したりすることが難しい状況になっています。

CXに取り組むことで、合理的な価値に感情的な価値を上乗せすることで、顧客の「受取価値」全体を押し上げ、差別化を図ります。

CXとは、「Customer Experience」(カスタマーエクスペリエンス)の略語で「顧客体験価値」「顧客経験価値」といわれることもあります。

商品やサービスに対して「機能」「値段」「性能」といった物理的な価値だけではなく、顧客接点(購入から使用する過程、アフターフォローまで)を通して顧客が感じる「満足感」「喜び」といった「感情的価値」のことを指す概念です。

3、感情的な価値を高める
感情的な価値といっても、人には多くの感情があり、どのような感情的な価値を訴求すべきか迷います。

『経験価値マネジメント』の著者であるバーンド・H・シュミットが整理した感情的な価値の種類で、以下の5つに分類しています。

1.「Sense」(感覚的)
2.「Feel」(情緒的)
3.「Think」(知的)
4.「Act」(行動、ライフスタイル)
5.「Relate」(社会的)

昨今話題となっているSDGsやESGのような企業活動は、Relateに分類される感情的な価値として訴求することができます。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものになります。

企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広がっています。

■まとめ
スイッチングコストとは、現在利用している製品やサービスから、別の製品やサービスに乗り換える際に負担する金銭的、心理的、手間などのコストのことである。

新しい製品やサービスの性能が高く、価格的に魅力的であっても、導入の手間や時間、習熟に要する労力を含めたスイッチングコストが高ければ、容易に乗り換えはできません。

現在利用している製品やサービスを提供している企業側は、スイッチングコストをできるだけ高く設定する必要があります。

反対に新たな製品やサービスを売り込む側はスイッチングコストをできるだけ低く設定することがマーケティング戦略上では有効とされています。

企業側は、モノを作るだけではなく、顧客にとって豊かな経験が可能になるモノを生み出すことが現代では求められています。

「顧客は合理的である。不合理であると考えるのは危険である。顧客の合理性に適応すること、あるいは顧客の合理性を変えようとすることが、メーカーや供給者の仕事である。そのためにはまず、顧客の合理性を理解しそれを尊重しなければならない。」

<ピーター・ドラッカー>

■最後に
市場に商品やサービスが溢れた昨今、価格や機能の良し悪しでは差別化が難しくなり、商品開発に注力するだけでは顧客を惹きつけることが難しくなりました。

このことから、スイッチングコストを理解した上で、いかに「顧客体験価値」を突き詰めて考察し、数々の接点のなかで満足感を得られる商品やサービスを提供できるかが、自社の商品やサービスを販売する重要なポイントとなります。

商品の開発だけではなく、モノをとりまくストーリーや体験、経験を通して、価値を提供することが、自社の商品やサービスを購入する価値だと感じて貰うことに繋がります。

スタートアップやベンチャー企業が様々な業界の大手企業や上場会社と新規取引をしたい場合には、魅力なインセンティブを用意した上で、特定企業の取締役や業界での太いコネククションを持つ有力な顧問顧問契約を結んだ上で、「トップダウン営業」に取り組むことです。

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法人企業が購買決定の場面でどの要素を重視するかは、会社や担当者によっても異なりますが、多くの方が少なからず影響を受けているのが、口コミや安心感になります。

特に社会的な影響力の高い、顧問からの「トップダウン営業」は、知り合いからの紹介である信頼感が働くため、購買心理という観点からも「スイッチングコスト」を下げることに繋がり、スピーディで圧倒的な成果の創出に繋がります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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