新規事業や経営戦略の成功には、その要因を押さえておく必要があります。
なぜなら、ビジネスの成功や失敗には因果関係があり、経営者に成功の方程式がインストールされていれば、再現性に繋がるからです。事業を成功に導くために必要な戦略は多数ありますが、経営戦略ひとつに「KSF」が挙げられます。
KSFの適切な設定は、経営戦略や事業成功などの目標達成を導く上で欠かせない要素になります。
そこで今回、KSFとは、経営戦略を成功させるためにKSFの設定が必要な理由ついて解説します。
■KSFとは?
KSFとは、英語の「Key Success Factor」「キーサクセスファクター」の略で、日本語では「重要成功要因」のことを指します。
KSFは、企業戦略上、市場動向や競争環境などの「外部環境」と自社の強みや弱みなどの「内部環境」を分析し、自社の強みを外部環境で分析した事業機会に投入することで競争優位を構築するために定めるものです。
経営戦略を策定するうえでは、外部環境分析から事業におけるKSFを明確にし、内部環境分析から自社がKSFをいかに実現していくかという具体的な戦略立案に繋げることが欠かせません。
市場の動向や外部の要因が関係するものと、自社の強みや目標達成のために重要な指標とに分けられます。
定量的ではなく、定性的であることが多いです。規模、技術力、顧客対応の迅速さなどKSFとなりえる要素は様々ですが、業界で優位に戦っていくためには、KSFとなる要因について必要なだけの能力や資産を持っている必要があります。
ビジネスでは、競争構造の変化により、KSFが大きく変化する場合もあります。
KSFを適切に設定できるかどうかは、事業成功に関わります。そのため、KSFは設定して終わりではなく、定期的に見直し、修正していくことが大切です。
■KSF「Key Success Factor」が使われるようになった背景
KFS「キーサクセスファクター」元々、経営用語として使用されていたため、ビジネスを推進する上で事業戦略上の成功要因を指し示すことが多くありました。
しかし、現在、「KPI」「Key Performance Indicators」の概念が広く認知され、「重要業績評価指標」として広まったことから、KFSは規模や範囲に囚われない広い意味で解釈されることになりました。
現在、KSFはビジネスの分野だけでなく、「目標を達成するための要因」といった広義も定着し、経営に限定されることなく様々なシーンで使用される機会が増えました。
KSFの設定において生産性の向上が最終ゴールです。KFSはゴールとなる目標に向かうための現実的で効果的な解決法を示唆してくれるので、効率の良い事業戦略の立案が可能です。
それを成功させるために必要なものが「競争優位性の構築」と「ビジネスの仕組み化」になります。
■「KFS」と「CSF」「KSF」の違い
KFSと類似した言葉に、CSFという言葉があります。
CSFとは「Critical Success Factor」の略語になります。CSFは、KFSと同じ意味合いの言葉と考えられています。
そのため、日本語で訳す場合にもKFS同様に「重要成功要因」となることが一般的です。
・CSF:「Critical Success Factor」(クリティカルサクセスファクター)
・KFS:「Key Factor for Success」(キーファクターフォーサクセス)
・KSF:「Key Success Factor」(キーサクセスファクター)
KFS、CSF共に同じ意味の単語と捉えてよいでしょう。
KFSと似たような言葉にはKGIもあります。
KGIとは、「Key Goal Indicator」を略した言葉で、日本語に訳した場合には、「重要目標達成指標」となります。
目標達成や成功に導くための要因であるKFSとは違い、達成すべき目標・最終的なゴールを数値化した指標がKGIなのです。例えば、顧客獲得を目標にするのなら、顧客獲得件数がKGIになります。
■ビジネスの成功にKSFの設定が重要な5つの理由
ビジネスの成功には、事業の仕組み化とマーケティングの取り組みが成功には欠かせません。KSFを設定することで、いくつかのメリットがあります。
1、明確なゴールを設定できる
KSFによって明確なゴールを設定できるため、やるべきことが明らかになります。また、ゴールが明確になるため、無駄を省いて必要な行動だけ取れるようになります。
つまり、KSFを設定することで、目標に対して計画から実行、評価を実施し次につなげるPDCAサイクルを回しやすくなることが一番のメリットとして挙げられます。
KSFは目標達成に必要な要因であり、言い換えればプロセスの過程にある小さな目標・通過点です。そのため、ゴールに向けて達成が必要な要素の明確化につながります。
企業全体で競争優位を構築するためにKSFを設定することにより、各事業部門で方針がばらつくことなく、企業全体で一枚岩となって向かうべき方向に取り組むことができます。
2、マーケティングの重要性が高まっている
KSFを設定する目的は、マーケティング戦略の明確化・具体化です。時代の変化が早くなっており、KSFも状況に応じた再設定が必要になっています。そのため、適切なKSF設定は難しく、これまで以上にマーケティング成功のために欠かせません。
顧客に選ばれるためには差別化が必要不可欠であり、綿密なマーケティング戦略が求められます。従ってマーケティング戦略により、より細かな部分まで設定が必要となりました。
やるべきことを明確にすることにより、競争優位を確立することのみにリソースを集中できることも大きなメリットです。
KSFが重要な理由はマーケティングの成功に関わり、そのマーケティングの重要性はより高まっているためです。モノの大量生産によって、顧客ニーズが満たされつつある結果、マーケットから考えなければ、必要なものが生み出せません。
3、スムーズなプロジェクト進行につながる
KSFは、企業戦略立案において、外部環境・内部環境分析を行い、戦略の方向性として向かうべき方向性を定めるものですので、企業戦略策定上、重要な位置づけとなります。
KSFが適切に設定できていれば、プロジェクト進行がよりスムーズです。KSFがゴールとなり、そのゴールが明確になることで、何をやるべきか、迅速に判断できます。
他社に対する競争優位を築くには必ず必要なものであり、KSFを定めることは企業戦略立案の第一歩になると言えます。
4、一貫性が生まれる
KSFの設定により、目標達成に必要な要因が明確化します。すると、やるべきタスクや細かな通過点などを、より具体的に把握できるようになるのです。
KSFは人事、財務、マーケティング、生産、技術など各事業部門にて作成されることもあり、事業部門の方針にもなります。適切なKSFは事業の一貫性を生み、事業全体がブレずに進む助けになる点がメリットです。
なぜなら、この目標に対して進むと決めておくことで、どのような行動をするべきか判断しやすくなるからです。
この一貫性があることで、事業の失敗を回避しやすくなります。また、一貫性のある行動は顧客の信頼獲得にも貢献し、ブランディングにもつながるでしょう。
5、PDCAサイクルを回しやすくなる
KSFの設定により必要なプロセスが明確化すると、事業全体のスピード感が上がります。そしてプロジェクトも小さなブロックに分割できるため、PDCAサイクルを回しやすくなります。
PDCAサイクルとは、Plan・Do・Check・Actionの略で、継続的な業務改善プロセスの一種です。事業やプロジェクトの計画から改善をひとつのサイクルとし、常に改善をしながら目標達成へ近づけます。
■KSFの設定方法
KFSを洗い出すためにはまず、KGIを決めることが求められます。
なぜなら、最終的な目標が明確になっていなければ、成功のために何が必要なのか把握できないからです。
そのため、KGIをはじめに設定してから、ゴールに導くために必要な要因KFSを洗い出すといった流れが一般的です。KPIは達成度を測るための中間的な指標という位置づけです。
KSFを最大限活かすためには、適切なKSFを設定できているかどうかが大切です。KSFの設定方法は、3C分析などのフレームワークを使うなど、いくつかありますが、決め方の例を一つ紹介します。
■KSFの方法には外部要因と内部要因が必要
KSF設定のためには、外部要因と内部要因を最初に分析するのがおすすめです。課題はできるだけ数を出し、そこから重要なものを絞り込んでいき、KSFを設定しましょう。
例えば、KSF設定の際、外部要因としては、「競合他社のシェアが低い高価格帯の商品を販売したい」という状態で、内部環境では、「高価格帯の商品開発ができる体制が整っていない」という状態だったと仮定しましょう。
この場合、「内部の開発環境を改革し、開発チームを作る」のが、KSFとして設定できます。
このようにして外部の要因や内部の課題を分析して、やるべき課題を整理しながらKSFを設定することが大切です。
例として、製造業で分析の結果から、労働生産性を◯%にするといった目標がある場合を説明します。
1、外部環環境
・顧客ニーズの多様化により、小ロット、短納期の要求が以前にも増して強くなった。
・競合他社は、限られた人数で弾力的な納期を実現している。
2、内部環境
・製造工程間で負担にばらつきがあり、手待ち時間が多い部門と少ない部門がある。
・各部署に優れたベテランがいるが技術承継が進んでいない。
・コスト制約上、人員の拡充は困難である。
内部環境と外部環境を分析すると、競争優位を構築するには、限られた人数で小ロット・短納期ニーズに応えることが必要であり、手待ち時間が多い部門の稼働を高め、「技術承継」を進めることが必要であることが分かります。
■KSF設定時の注意点
KSFの設定は、マーケティングの成功に重要な役割を果たします。しかし、設定の仕方を間違えてしまうと、その効果は発揮されません。ここでは適切なKSF設定をするための注意点について解説します。
1、重要なものに限定する
KSFとして抽出される要因は複数存在します。しかし異なるさまざまな要因を、すべて同程度に考慮するのは非効率的です。KSFは重要な指標になりますが、数が多いのも好ましくありません。
なぜなら、数が多くなってしまうと、それぞれの重要度の高さがわからなくなり、注力するべきところに注力できない可能性が出で来るからです。
KSF設定時には、本当にその要素を満たすことが成功には欠かせないのか、考えることが大切です。KSFとなる要因がある程度明確になったら、重要度にも着目して設定する必要があります。
2、定期的に見直しする
KSFの設定には時間と労力がかかるため、それだけで一仕事終えたような満足度を感じてしまいます。しかし、KSFの設定自体を最終目標としてはいけません。
その理由としては、KSFは定期的な見直しが必要でだからです。最初に分析した外部要因や内部要因は時間の経過とともに変わるため、そのままにしておくと、状況とマッチしていないKSFになる可能性があります。
そのため、KSFは定期的に見直しを行い、今の時点での有効性を定期的に確認することが大切です。
3、分析も定期的にやり直す
KSFは適切に設定できているかどうかが、成功のためには重要です。なぜなら、KSFの設定は最終目標達成のために必要なタスクのひとつであり、やっとスタート準備が整っただけに過ぎないからです。
KSFの設定は手段であり目的ではありません。
手段と目的の混同を起こしてしまうと、最終的な目標への道が遠ざかってしまいます。ただし、KSFとして本当に成功のために必要かどうか、その判断は簡単ではありません。分析や結論が適切ではない可能性もあります。
例えば、利益を目標にする場合、売上アップをするか、経費を削減するか大まかに2つの方向性があるため、どちらの観点からも分析することが欠かせません。
KSFの設定には業務のワークフローや特性、内部環境など多くの要素が複雑に絡み合っています。KSF設定の際はできるだけ多くの視点から、それらの必要性を判断することが大切です。
■KSFを絞り込みフォーカスする重要性
中小企業の場合、大企業に比べて経営資源に制約を受けることが多いのが通常です。そのような状況の中でも、競争から生き延びて、さらには売上げやシェアを拡大していくことを目指されている企業も多いと思います。
中小企業が売上げを拡大するためには、「絞り込み」「強み」を活かす戦略が必要になります。
デフレ時代に成長する企業は、ターゲット、商品、エリアなど徹底的な絞り込みをすることで成功を手にしています。ベンチャービジネスの場合、特定の分野にフォーカスすることが飛躍するポイントだと言われています。
文字通りこの数年間で成長する会社は、KFSの観点からも徹底的な絞込みをしています。
KFSを確認する場合には、数にも注意が必要です。内部環境、外部環境共に思案していくと、かなりの数のKFSが挙げられることも少なくありません。
そこでKFSをいくつも選定してしまっては経営リソース自体が分散され、せっかくKFSを決めても中途半端な結果で終わる可能性が高くなります。
複数挙げられたKFSについて、以下の視点から徹底的に議論を重ね、KFSを絞り込みましょう。
・最も重要と考えられるKFSは何か?
・全社的に取り組む価値のあるKFSは何か?
ランチェスター戦略では、中小企業は絞り込んだ顧客層のなかで、いかに自社の強みを磨くかで勝敗が決まると考えられています。つまり、ニッチな市場を見つけ出し、その市場に対する強みを磨き、KFSに基づく独自の地位を確立していくことが飛躍の鍵になると言えます。
■まとめ
大きな目標は方向性決定のために必要不可欠ですが、進むべき方向のみだと、そこまでのプロセスが不明瞭で、人によってはどうすればいいのかわからなくなってしまいます。
KSFを設定すれば曖昧な部分が減り、共通認識ができて従業員に一体感が生まれます。KSFはマーケティングやビジネスで成果を出すためには欠かせない考え方の一つです。
KSF「Key Success Factor」は、重要成功要因のことであり、として適切にも目標設定できれば、よりビジネスで成果を出しやすくなります。しかし、適切な設定は簡単ではなく、多角的に丁寧に分析することが大切です。
KSFは、外部環境の変化によって変えていくべきものです。IT業界を例にあげると、クラウドシフト(基幹システムのクラウド化)の進展により、新たな技術に対応していくために、基幹システムや関連するサブシステムの開発をクラウドベースに置き換えていくといった具合です。
経営資源とは、単純な資産だけでなく、経営に活かせる強みなども含まれます。
保有している経営資源や強みの把握は、KSFの設定において有用です。それぞれの分類で自社はどういったものを保有しているのかを把握・分析し、会社全体の競争優位性の構築に繋がる独自のKSFを打ち立てましょう。
■最後に
KSFを設定することは、経営戦略的に重要な役割を担うものであることが理解できたと思います。マーケティング分野でKPIを設定することが多くありますが、KPIの設定にはKGI、KSFの設定が欠かせません。
企業の競争力や成功を決定づける要因や様々です。また、KSFとなり得るキーファクターも色々な要素があるため、複数のフレームワークの活用し分析することが、幅広い視野でのKSF設定には有用です。
その際、自社内部の特徴に所以する要因と市場環境など外部の状況に関係する要因では、性質や取るべき対策は全く異なります。
どちらかに偏ってしまうと、対策が不足している環境要因から一気に影響を受けてしまいます。
そのため、KSF設定の際は、内部要因と外部要因、どちらもバランス良く考慮が必要です。
「経営戦略を検討したいが大変だし、誰に相談したらいいか分からない・・」
「KSFとなる目標意識を高めて、メンバーに自発的に成長をして欲しい・・」
「既存の仕事が作業になっており、組織の目標の設定や共有ができていない・・」
「重要なプロジェクトをフォーカスし、無駄な業務に時間を割きたくない・・」
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