リファラル採用とは?優秀な人材獲得にリファラル採用が有効な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

少子高齢化社会が訪れた日本では今、デジタル人材や優秀な経営幹部となるCXOなど、ハイクラスな人材の採用のマーケットは、完全に売り手市場となっています。

人手不足が深刻化し、新たな人材を獲得するために必要となる「採用コスト」が高騰する中で、業界や業種、企業規模を問わず、「リファラル採用」が注目を浴びています。

リファラル採用は、欧米では30%の企業が取り組み、成果を上げている人材獲得の方法になります。現在、日本の企業でもスタートアップを中心に効果的なリクルーティングの手法の一つとして人材採用に導入する企業が増えています。

そこで今回、リファラル採用とは、優秀な人材獲得にリファラル採用が有効な訳について解説します。

■リファラル採用とは?
リファラル採用とは、自社の社員から、大学時代の友人や知り合いの中から、紹介者となる社員を介在した推薦により、自社にマッチする可能性がある人材や高いパフォーマンスを上げる優秀な人材を「1本釣り」で採用に繋げるリクルーティング手法を指します。

リファラル採用は、英語で「referral employ」、「referral hire」、「referral recruitment」と表記されます。日本語では、「推薦採用」や「紹介採用」という意味があります。

深刻な不足人材により就活市場が完全に売り手市場となっている昨今、人材採用に対して多額の資金を投資したリクルーティング活動が困難なスタートアップでは、リファラル採用は、費用対効果がダントツな採用手法になります。

通常、企業が新たに社員を雇う際には、求人媒体と言われるインターネット系のメディアに求人広告を掲載して、求職者からの応募を待つスキームが一般的です。

ですが、求人広告のスキームでは、誰もが知るメジャーな求人媒体を利用するための高額な掲載費用が掛かる割に、知名度の低い中小企業の場合、そもそもの応募者が少なく、限られた応募者の中から選考することが一般的です。

基本的に、転職活動を行っているビジネスマンの多くは、求人媒体で様々な企業の人材募集の広告を見た上で条件面を比較検討し、偶然、募集内容を目にしたタイミングで、その企業に対して興味を持った求職者から応募が来る形になります。

そのため、ハイスキルな人材やポテンシャルを秘めた人材を獲得するには、既に就職活動を行っている求職者だけでなく、現在、特定の会社で就業中の人も含め、自社の人材要件にマッチする人をダイレクトスカウトしたり、積極的に勧誘する必要があります。

リファラル採用の取り組みでは、経営幹部のヘッドハンティングと同様に「転職活動中」もしくは、「特定の企業に在籍中の人」や「転職活動をする前段階の人」を対象者とし、自社の社員が紹介者となります。

日本の企業においては未だ、リファラル採用の認知度が低く、リファラル採用の制度を設計し、人材採用に取り入れている企業はそれほど多くありません。

ですが、アメリカでは、人材の採用方法の30%がリファラル採用になっている事実からも、価値あるリクルーティングの手法として証明されています。

■リファラル採用の根底には、「類は友を呼ぶ」と同じ考え方がある
リファラル採用は、自社にベストマッチするような優秀なハイクラス人材を効果的に採用に結びつけることを可能にする人材採用の手法になります。

知人を自分が勤務中に対して、自信を持って紹介するための動機付けとしては、「従業員価値提案」となるEVPが高いことが基本になります。

リファラル採用で会社に紹介を行う人には、以下のような要素を持っています。

・会社への愛社精神を持っていること。
・紹介者の実力があり、信頼ができること。
・友人や知人の才能の目利きができること。
・自社と友人への貢献意欲が高いこと。
・会社の魅力を伝えることが可能なこと。

リファラル採用が人材採用における価値が高いと言われている最大の理由は、大学時代の友人や知人の中でビジネスマンとして評価が高く、自身が「お墨付き」を与えられる優秀な人材を自社に推薦するスキームになるからです。

リファラル採用では、以下のような共通点を持つ人を採用できる可能性を秘めています。

・東大卒など高学歴な人には、IQが高く高学歴な友人が沢山いる。
・特定の分野に秀でた社員の知り合いには努力を惜しまない人が多い。
・紹介者が知見を持った人であれば、総じて周囲の人のレベルも高い。

日本には古くから、「類は友を呼ぶ」という諺があります。

「類は友を呼ぶ」には、同じような考え方や価値観を持った人が自然と集まり、同質の仲間を作るという意味がありますが、この方程式を応用したリクルーティングの仕組みがリファーラル採用になります。

■リファーラル採用の価値は類似性の法則で証明できる
例えば、紹介者が高度なエンジニア人材であれば、同じく理系大学で学んだエンジニアを目指す技術者が周囲に多くなります。

これは、自分と共通点のある人に対して、親近感を抱き、仲間意識が強くなるという「類似性の法則」から来ています。

「類似性の法則」では、「学歴」「性別」「年齢」「趣味」「スポーツ」「言動」「人種」「地域」など、同じ属性を持つ人同士は、初対面での相手でも短期間で打ち解け、関係性を築くことができるキッカケになります。

同様の思想を持つ人が集まり関係性か深まる理由としては、自身の価値観が合う人と一緒に居ると居心地が良いからです。

同じようなバックボーンや似た者同士が集まり、ネットワークを構築する傾向が高く、それぞれの「仕事観」にも周囲の人が大きな影響を及ぼします。

高い目標を掲げ、飽くなき向上心を持つ社長の周りには、同じような属性を持つ経営陣が集い、ビジネスを推進することで業績アップに繋げていることからも、リファラル採用は人材採用の手法として効果的だと考えられています。

人間心理の観点から見ても、同じ会社に入社して活躍するビジネスマン同士は、共通点になる事項が複数あるケースが多くなります。

そのため、特に優秀で信頼できる社員からの紹介による「リファラル採用」は、人材採用において圧倒的なコストパフォーマンスをもたらす施策であると言えます。

リファーラル採用の根底には、お互いに尊敬できるメンバーがいること、共感できる社風や組織文化があること、社長が掲げる将来のビジョンに通じる何かがあるからこそ、仲間として認め合うことができるのです。

スタートアップの場合でも、起業家がリーダーシップを発揮し、経営理念を共有できる取締役やボードメンバーを集めることができれば、共通の目標に向けて切磋琢磨することができるため、会社が飛躍的に成長できる可能性が高くなります。

■リファラル採用と縁故採用の違い
リファラル採用に類似する言葉に、縁故採用があります。

縁故採用とは、新卒の大学生の「コネ入社」のことを指すことが一般的です。主に親族や血縁などの力関係によって、ゴリ押しで企業が応募者を採用することを指します。

・縁故採用:コネ入社。求職者のコネクションを活用する採用活動
・リファラル採用:応募者の資質に一定のレベルを求める採用活動

縁故採用の場合には、有名企業とコネクションのある親族からの売り込みになるケースが多いため、ジョブ・ディスクリプションやその人物の持つポテンシャル、組織文化にマッチするかどうかは、あまり考慮されないことが一般的です。

縁故採用の問題としては、コネを持つ人物との繋がりで無下にできないことや企業との取引関係が優先される傾向が高くなる点になります。

新卒の採用のシーンでは、大手企業へのコネ入社の場合、応募者の人的資源は何か、自社が求める人材であるかなど、企業として定めた採用基準や人材要件は、度外視されることもあります。

そのため、入社の難易度が高い人気企業の場合には、縁故採用だと厳しい選考を経て入社した社員からの反感を買ったり、入社後のミスマッチを引き起こす可能性があると言われています。

■リファラル採用のメリット

1、採用コストが削減できる。
求人媒体や人材紹介などを利用すると、その分、それなりの採用コストがかかります。

特に集客力のある媒体で求人広告を展開する場合には、数十万円の掲載費が掛かります。

また、人材紹介のエージェントを活用する場合には、成功報酬で年収の30%から35%を支払うことも一般的です。

人材採用のコストとしては、以下のような費用がそれぞれ掛かります。

・求人サイトの広告掲載費、成果報酬
・人材紹介のエージェント会社への成功報酬
・自社採用サイトの作成費用、管理委託費
・採用イベントの参加料や合同説明会の出展料
・企業説明会のコスト、個別説明会の会場費
・内定者に対する企業研修や育成に掛かる費用

リファラル採用の場合には、紹介者に対するインセンティブや採用に必要なリクルーティング活動のための交際費だけで済むケースが多いです。

人材採用に苦戦しているスタートアップの場合には特に、紹介者となる社員が優秀であればある程、リファラル採用を取り入れることで、コストを削減しながら組織文化やビジネスモデルに見合った優秀な人材を見つけられる点が大きな魅力になると言えます。

2、カルチャーフィットする人材と出会うことが可能。
リファラル採用は、既に自社で働いている社員からの紹介になるため、自社の組織文化にカルチャーフィットする人材と出会う確率を高めることが可能です。

求人広告を出す場合、不特定多数から募集する形になり、有名企業であれば、多数の応募がある可能性がありますが、中小企業だと自社が求めるハイスキルな人材からの応募が来ないことも少なくありません。

リファラル採用であれば、新たな人材採用を推進する前段階で、ジョブ・ディスクリプションを明確にした上で、既に組織文化を理解している社員に対して、自社が求める人材要件を伝えておくことで、理想とする人材を紹介して貰うことが可能になります。

3、紹介者となる社員との人間関係があるため、離職率を減らせる。
リファラル採用で入社した社員は、会社に対する理解を深めた上で入社するため、入社後離職しにくい傾向にあり、離職コストも抑えられます。

リファラル採用では、社内に紹介してくれた友人や知人がいるという安心感があります。

また、紹介した社員自身も、自分がオススメして入社してくれたので、会社や仕事に馴染むまで気にかけたり、手厚いフォローを行うことも多いため、定着率が高くなる傾向にあります。

通常、求人広告だけでなく、エージェントを活用した中途採用の場合でも、多くのビジネスマンは、新たな職場での人間関係の構築には、3ヵ月から6ヶ月程度の時間が掛かと言われています。

また、社内メンター制度が確立していない会社の場合には、社風や仕事に慣れるまで非常に苦労することがあります。

ですが、リファラル採用の場合には、社内に信頼できる友人がいるため、社内メンターとしての役割を果たすことができれば、新たな職場に馴染めず孤立してしまい、短期間で離職に至るケースが少なくなります。

■リファラル採用のデメリット

1、社員の満足度を高め、紹介したい会社になることが条件。
自身と繋がりのある友人や知り合いに会社への転職を薦めるということは、自分の会社に対する従業員満足度やエンゲージメントを高めることが前提条件になります。

なぜなら、リファラル採用の仕組みは、自社のことを「ぜひ知人にオススメしたい」と思うことができなければ成立しないからです。

リファラル採用を実施する前段階では、組織として様々な環境整備に取り組むことが求められます。

紹介を増やすには、社員の会社への従業員満足度を高め、知り合い対して是非とも紹介したいと思える魅力的な会社にすることが必要不可欠になります。

2、人材要件の定義とジョブ・ディクリプションの明確化が必要。
自社の社員ならば、「何も言わなくとも自社にピッタリな人材を紹介してはずだ」と社員に任せきりの場合、採用リスクが高くなります。

そのため、リファラル採用を推進するためには、「自社で活躍できそうな人材の要件を定義し、採用ターゲットを明確に設定することが欠かせません。

経営幹部やマネージャークラスの人材採用では、スキルフィットだけでなく、カルチャーフィットの二つを満たすことが重要です。

リファラル採用だから安心だと考えるのではなく、紹介を受けた全ての人材を何のフィルターもなく採用するというスタンスは避け、自社が理想とする人材の採用基準を作り上げることも大事になります。

通常の採用と同様に書類選考から面接までのプロセスを実施することで、ミスマッチを減らすことが可能になります。

3、紹介者への報酬を定め、推薦を促す必要がある。
社員や自社が魅力的だと思っていない場合には、紹介の報酬もないのにわざわざ自分が勤務している会社を転職先としてオススメすることはまず考えられません。

会社の発展を考え、社員が自発的にリファラル採用に取り組む意欲を高めるためには、紹介報酬を設定し、インセンティブを支払うことが不可欠になります。

基本的に経営陣や採用活動を担う責任者から、自社の社員にリファラル採用の取り組みを働きかけるインナーブランディングも重要です。

また、長期的なスパンで自社の組織文化を作り上げ、人が働く上での環境整備に取り組み、リファラル採用の地道な啓蒙活動を行うことも大切になります。

これにより、自社が採用したい人材のイメージに近い人物を様々な社員から、喜んで価値ある人材を紹介して貰うことが実現すると言えます。

■リファラル採用のポイント

1、社員との会社とのエンゲージメントを高めること。
リファラル採用は、社員が自分が現在進行形で、勤務している企業を自分の友人や知り合いに紹介し、入社を促す採用の仕組みになります。

自社の魅力を他者に伝える行為そのものが従業員満足度の向上や帰属意識を高め、会社と社員とのエンゲージメントを向上させる一因なると言われています。

その理由としては、従業員満足度が高く、愛社精神を持つ社員でない限り、古くから付き合いのある友人に積極的に入社を勧めることは、難しいと言えるからです。

2、リファラル採用の仕組みや紹介プロセスを社内で周知徹底すること。
リファラル採用に取り組むためには、社員からの紹介を待つだけでは、自然に優秀な人材の紹介が生まれることは、期待できません。

経営陣や人事の責任者が率先し、自社の社員に対してリファラル採用の制度が導入済みであることを知って貰うための社内への告知活動や積極的な参加を推奨する必要があります。

また、下記のような人材要件を周知することが大切です。

・どのようなポジションが空いているのか?
・仕事内容やジョブディクスリプションは何か?
・会社としての採用基準は、どのような要素なのか?
・組織として理想とする人は、どんな人材なのか?

3、リファラル採用のインセンティブを設計する。
制度設計の際は、社員がリファラル採用に積極的に関われるような環境整備と実施が欠かせません。

社員からの紹介を促すためには、リファラル採用が増えるような紹介報酬のプログラムを作ることが要件になります。

リファラル採用では、採用時の成功報酬として知人や友人を紹介してくれた社員に対して、報奨金を出す「紹介報奨制度」を導入することが欠かせません。

金額は人材のスキルや企業規模、採用の予算によって様々ですが、1名の採用につき10万円~20万円程度の金額設定を行うことが一般的です。

■まとめ
経営資源の限られたスタートアップの場合には、人材採用に苦労するケースが多いですが、社員の友人や知人を直接紹介してもらう「リファラル採用」を強化することは、採用コスト削減に繋がります。

「就職白書2022」によれば、日本の企業でも全体の14.5%の企業が、リファラル採用に取り組んでおり、前年より2.4%伸びています。

リファラル採用は、ミスマッチが起こりというメリットがあるため、人材に不足しているスタートアップでは、積極的な活用を促進したい効果的な施策になります。

昨今では、ITエンジニアや新規事業立ち上げに精通したプロ人材、特定の企業で取締役の経験があるマネジメント職など、ハイクラス人材を採用するために必要な採用コストの単価が非常に高い傾向にあります。

その一方では、良い人材を採用したいが、限られた予算の中で、採用コストは出来るだけ抑えたいと多くの企業が考えています。

【人材採用のコスト】
・新卒採用:40万円~100万円程度
・中途採用:60円〜110万円程度
・アルバイト・パート:5万円~15万円程度

人材紹介のエージェントの手数料率は、採用決定者の理論年数の30~35%と高く、年収1000万円であれば、300万円の採用コストが掛かります。

あらゆる企業にとって、人材の採用コストを適切にマネジメントし、ハイスキルな人材やポテンシャルの高い人材のリファラル採用に取り組むことは、企業の成長を支える原動力にも繋がるため、非常に効果的な施策になります。

創業期のスタートアップの場合には特に、限られた経営資源の中で、経営のボードメンバーとなるようなCXOやハイスキルで優秀な人材をいかに採用することができるかが、5年後10年後のビジネスの明暗を分けます。

中小企業と言えども、希少価値の高いCXOやハイスキル人材を獲得するには、大手企業と同じように多大なコストと時間、相当な労力が掛かります。

その打開策として、直ぐに人材を採用する予定がない会社でも、CHOを登用することで従業員満足度を高めたり、年間を通してリファラル採用の取り組みを推進することが必要になります。

つまり、優秀な社員のエンゲージメントを高め、リファラル採用を推進することにより、人が人を呼ぶ紹介の仕組みを作り上げ、上手に機能させることが、新たに優秀な人材を獲得するための「成功の方程式」になると言えるのです。

「たとえ自分の会社が天災で全滅したとしても、周囲の人材さえ一緒に働いてくれれば、今まで以上に大きな会社を作ることができる。」

<アンドリュー・カーネギー>

■最後に
現在、新規開拓を推進する際に「リファラル採用」と同じコンセプトで、「リファラル営業」という新規開拓の手法がコストパフォーマンスが抜群な手法としてスタートアップの起業家から大きな評価を受けています。

その理由としては、ターゲットとなる大手企業の役員クラスとの人的な深い繋がりを持つ、顧問を活用したリファラル営業は、信頼という影響力を武器に、購買のキーマンとなる決裁者へのトップダウンによるアプローチで、アポイントの獲得を行うことが可能になるからです。

大手企業をターゲットに商品やサービスを提供するスタートアップが、業界大手の企業や上場会社と新規取引をしたい場合には、魅力なインセンティブを用意した上で、リードとなる企業の役員クラスとの人脈を豊富に持つ顧問を登用することで「紹介営業」に取り組むことです。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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