帰属意識とは?エンゲージメントに繋がる帰属意識を高めるコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

これまで、日本は終身雇用制度が一般的で、企業に入社すれば、定年までその会社に所属することが当たり前でした。

しかし、近年では「人材の流動化」が進み、転職活動をして複数社で働くことが一般的になったため、改めて「帰属意識」が注目されるようになりました。

働く人の意識の中でも「帰属意識」は、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。

そこで今回、帰属意識とは何か、エンゲージメントに繋がる帰属意識を高めるコツについて解説します。

■帰属意識とは?
帰属意識とは、特定の組織に属しているという「意識」や、集団の一員」という意識から生み出される感覚を意味します。英語では「sense of belonging」と表現されます。

家庭や地域、社会、国、会社などあらゆる集団の中で、自らがその一部としての自覚を持つことが帰属意識です。企業においては、社員のなかに芽生える、組織の一員として「集団に所属している」「仲間である」といった考え方です。

組織のパフォーマンスを向上させる方法は、業務の効率化による生産性向上だけではありません。

帰属意識は、組織に所属しているメンバーの士気を高め、ビジネスの成果を上げることに対する個々の意識を改善することも有効な手段となります。

なぜなら、企業においては、帰属意識が高ければ高いほど、組織における問題を「自分ごと化」して捉えたり、会社や従業員に対して興味や愛着を持つことに繋がるからです。

組織への愛着心が育まれることで、企業の目標のために貢献すべく奮起したり、業務への責任感が強くなったりするなど、言動の質の向上が期待できるでしょう。

社員の帰属意識の高い会社では、社員が会社の業績やあり方について興味を持ち、会社全体の状況を自分ごととして捉えるようになります。

■帰属意識と従業員エンゲージメントの違い
「エンゲージメント」は、英語の「engagement」が語源で約束や契約、絆、雇用や従事といった意味を表す言葉です。

ビジネスにおいて従業員エンゲージメントは、企業と従業員の雇用契約という意味にとどまらず、従業員の企業への貢献意欲も含まれます。

人事領域におけるエンゲージメントでは「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」という意味合いで使われています。

その根底には「個人の成長や働きがいを高めることは、組織価値を高める」「組織の成長が個人の成長や働きがいを高める」という考え方があります。

このように、企業と従業員の結びつきが強い状態を指して「エンゲージメントが高い」と表現されます。

このことから従業員エンゲージメントは、企業と従業員の双方向の関係を意味しているのに対し、帰属意識は従業員の企業に対する一方的な関係を意味していることがわかります。

従業員エンゲージメント:企業と従業員の双方向の関係
帰属意識:従業員の企業に対する一方的な関係

必ずしも帰属意識が高いからいって、企業に対する貢献行動が多いというわけではありません。

しかし、エンゲージメントは、企業・組織の業績に貢献しようという動機がセットになるため、業績との連動性が高いのが特徴です。

企業として従業員の帰属意識を高めることは重要ですが、高まった帰属意識を成果に繋げられる環境を整えることも大切です。

■帰属意識が高い会社のメリット
帰属意識が高い会社には、以下のメリットがあります。

1、離職率の低下
企業への帰属意識が高いと、仕事面において様々な好循環が生まれます。まず、企業への愛着があるため長期にわたり働いてくれる傾向にあり、離職率を低く抑えられます。

離職率とは、ある一定期間でどれくらいの離職者が出てしまったのかを比率として表す指標です。

実は働きやすさの指標の一つに、離職率があり、就職活動をする若者の中には、会社の離職率や業界の離職率などを気にする人も多いようです。

厚生労働省は、離職率を「常用労働者数に対する離職者の割合」と定義しています。

・離職率が高い
労働者がその仕事に定着しにくく、入れ替わっていくことが常態化していることが示唆されます。

・離職率が低い
労働者がその仕事に定着し、転職や産業間の労働力移動が行なわれにくくなっていることが示唆されます。

労働人口の減少により人手不足が叫ばれる昨今において、社員に帰属意識を持ってもらうことは、長期的な人材確保に繋がります。

2、生産性の向上
帰属意識が高い職場では、従業員同士の結び付きが強く、チームの一体感も得やすいといったメリットがあります。

そのような組織では相互での協力やコミュニケーションが活性化しやすくなり、その結果、業務の効率化や生産性向上に繋がりやすくなります。

生産性とは、主に企業活動においてよく聞く言葉ですが、投入資源から生み出された生産物の割合を表す指標です。

少ない資源で多い生産物を生み出した場合、生産性が高いということになります。

帰属意識が高いと、「この企業を支えたい」「部署のメンバーと連携して業績を上げたい」というように、仕事へ熱意が高まります。帰属意識の高い社員はモチベーションを高く持って仕事に臨むので、業績への貢献も期待できます。

3、採用・育成コストの削減
従業員の定着率が良い企業では、社員エンゲージメントが高く、頻繁に採用・育成を行う必要がなくなります。

社員エンゲージメントは、企業と社員の相互関係によって成り立つものです。企業と社員が理念やビジョンにおいて、同じ方向性を持つことができるようになります。帰属意識を高めるだけでなく、社員の成長にも期待が持てるのです。

特に突発的な退職による欠員補充が不要となり、必要なタイミングで必要な人材をじっくり見極めて採用できるため、採用する人材の質も向上させることができます。

■帰属意識が低くなる原因
会社に対する帰属意識は、入社時は高くても、次第に低下することがあります。この状態を放置しておくと、企業にとってさまざまなデメリットが生じます。

帰属意識が低下する要因についてはいくつか考えられます。

1、終身雇用の崩壊
終身雇用制度によって帰属意識や忠誠心が芽生え、長きにわたり企業に在籍する従業員が増えれば、離職率が下がります。

つまり企業は、十分な人材を確保できるため、安定した体制で企業活動が実施できるのです。

しかし、入社=定年退職まで働き続けること、を約束していた終身雇用制度ですが、業績の悪化や組織再編などにより、安泰といわれていた大手企業でも早期退職や希望退職を募る会社が増えました。

このような「安定した」制度のもとで所属する企業に貢献する意義を感じていた社員にとっては、それが約束されなくなることで、帰属意識の低下につながるでしょう。

2、共通の目的を感じられない
ほとんどの人は、何かしらの目的を持って働いています。目的や意味がなければ、働き続けることは難しいでしょう。

人にはそれぞれ「働くとは?」の目的や意味があるのです。それは単純に「お金を稼ぐため」以外にもたくさんあります。

会社や組織が大きくなり、企業のビジョンや事業の目的が不透明になることや、その目的が変更されたことに対する違和感が拭えずに帰属意識が低下することも考えられます。

また、自分が担当する業務が、そのビジョン実現に向けて、どのような意味を持つのかがわからないというままでは、果たすべき役割を実感できず、帰属意識も低下していくでしょう。

3、コミュニケーション不足
もし、働いていなかったとしたら、自分が関わりたい人とのつながりをどこで作れるでしょうか。働くことには、人とのつながりを作るという目的もあります。

職場の人間関係や仕事で関わるクライアント、同じ業界の人など、働くことでコミュニケーションを取れることに価値を感じるビジネスマンは意外と多いです。

経営層と現場、部門間や職場内などのコミュニケーションが不足し始めると、社員の帰属意識も次第に低下していくでしょう。

特に昨今は、リモートワークの増加や、チャットなどのITツール導入に伴い、「対面での会話」が少なくなっていることも要因の1つと考えられます。

「効率化」「生産性」を優先しすぎるがあまり、何気ない会話をする時間が減るとともに、帰属意識が低くなっていくケースは少なくありません。

■帰属意識を高めるポイント
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが唱えた「マズローの欲求5段階説」によると、人間の欲求は生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の5段階で構成されているといわれています。

これらは下から順に満たしていくことで、自己実現へと近づいていきます。

このうち、3段階目の社会的欲求は、「友人や家庭、会社から受け入れられたい」という欲求を指します。社会的欲求は帰属欲求とも言い換えられ、帰属欲求が満たされないと社会的不安に結びつくといわれています。

人間は自分を受け入れてくれる社会や組織に所属することで、安心感を得るのです。

帰属意識とは、「特定の集団に所属しているという意識」のことです。家族やコミュニティ、企業、国籍など、幅広い範囲を指します。

企業への帰属意識は、「企業の一員として所属している」意識ということになります。

企業への帰属意識が高いということは、企業への愛着があり、「がんばって貢献したい」という意識が自然と芽生えている状態だと言えます。

■帰属意識を高める3つのコツ

1、企業のビジョンやゴールを策定する
企業がどのようなことを目指しているのか、方向性やビジョンを明確にすることが重要です。

企業がゴールをきちんと設定していないと、従業員に「頑張りたい」という気持ちがあっても、力を注ぐ先がわからなくなってしまいます。

事業を行う目的を明確にしてスローガンを打ち立てることで、従業員の「ゴールに向かって頑張ろう」というやる気を引き出せます。スローガンとはその企業を一言で表したものです。

企業理念や会社が目指す目標などのイメージを伝えるキャッチコピー、キャッチフレーズです。

企業の本質を表し、どのように考え、どのようなサービスを提供しているかを分かりやすい言葉で明示する事で、消費者や取引先、社員にアプローチする事を目的としています。

2、スローガンを定め、周知させること
独自のスローガンがあれば、従業員も企業への貢献を実感でき、帰属意識を高めることに繋がります。

ただし、いくら企業がスローガンを定めたとしても、それを従業員に知らせなければ帰属意識に変化は生まれません。

すべての従業員が事業の目的とゴールを理解して仕事に打ち込めるよう、インナーブランディングを行うことで、しっかりと伝える必要があります。

社内報を活用したり、集会を開いて話したりすることも良い方法です。定期的に企業側から情報発信を行い、帰属意識を高めてその状態をキープできるよう工夫しましょう。

3、コミュニケーションを活性化させる
最良なコミュニケーションには、「従業員同士がお互いに情報やスキルを共有し合い関係性を深める」こと、そして「良好なコミュニケーションを取ることで企業の利益に貢献する」という目的が考えられます。

従業員同士の絆を深めるためにも、コミュニケーションの機会を提供するよう心がけましょう。

交流を深めていくうちに仲間意識が生まれ、従業員は周りからさまざまな刺激を受け、「自分も負けていられない」「さらに頑張ろう」というモチベーションアップに繋がります。

周りと切磋琢磨しながらやりがいを持って働ける環境を提供することで、生産性が上がり帰属意識も高まります。

■まとめ
帰属意識は、「特定の集団や組織に属している意識そのもの」を指す言葉です。社員定着のための条件は、ハーズバーグの二要因理論における「衛生要因」と「動機付け要因」の双方の要因を抑えることが必要になります。

「衛生要因」は、不足すると不満につながる要因であり、ワークライフバランスなどの「会社の制度」、労働時間や職場環境の快適さなどの「労働環境」、労働に対する対価が払われているかなどの「給与」などがあります。

ビジネスシーンにおいては、「その企業の一員としての自覚」という意味で使われるケースが一般的で、帰属意識は企業に対する興味や愛着を示す重要なものだとされています。

帰属意識が高く、共通の目標に向かって一緒に頑張る事で、従業員同士の絆も深く、一体感を持って仕事に取り組めます。

仕事で大変なことがあっても「一緒に乗り越えよう」「協力して頑張ろう」という協力意識が生まれるのです。

共通の目標に向かって頑張ることによって、業務の連携が上手く行ったり、人間関係に関する問題が発生しにくいなどのメリットも考えられます。

「自然な欲求を追求し、満たすことは、決してエゴイズムにはならない。むしろ、低次の欲求が満たされると、高次の欲求が出てきて、それは自己実現、さらには自己超越にまで到る、人間成長につながっていく。」

<アブラハム・マズロー>

■最後に
グーグルなどシリコンバレーの新興企業では、CHOという経営幹部人材となるCXOのポジションを設置する企業が増えています。

CHOとは、英語で「Chief Happiness Officer」の略となり、日本語では、「最高社員幸福責任者」を意味するジョブタイトルになります。

経営陣の一人として、従業員の幸福の向上、マネジメントをする役割を持ち、 企業をより働きやすく、働いていて幸せな環境にするための社内制度整備などを行うことが主な役割になります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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