タレント・アクイジションとは?経営戦略に基づく人材獲得活動

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

この数年の人事トレンドとして、海外を中心に、「人材採用で重要なのは”リクルーティング”ではなく、”タレントアクイジション”の発想」だという考え方が定着しつつあります。

激しい人材獲得競争を背景に、従来のリクルーティングに変わって、より積極的な人材獲得活動を行う「タレント・アクイジション」が注目されています。

タレント・アクイジションには、従来のリクルーティングに加え、経営戦略や事業戦略に基づく人材要件の定義、自社の採用ブランドの確立、人材の定着支援までが含まれます。

今回はタレント・アクイジションの特徴と経営戦略に基づく人材獲得活動に必要な具体的な業務について解説していきます。

■タレント・アクイジションとは?
タレント・アクイジション(Talent Acquisition)とは、人材獲得競争の激化と企業に革新をもたらす「タレント人材」の重要性が高まるなかで、より効果的にタレントの獲得を促進していくために出てきた概念です。

タレント人材の採用に関する業務全般を一貫して引き受ける役割・活動を指す言葉であり、外資系企業などでは、Recruitingに変わる言葉として一般的に用いられています。

リクルーティングとタレントアクイジションの大きな違いとしては、「リクルーティング」が既に定義されたポジションごとに期間を定め応募者を募り、来た人材の選別していくことです。

これに対して「タレントアクイジション」は、 将来の自社から逆算し、短期長期の採用ターゲットを定義、採用ブランドを構築し、候補者の獲得活動と同時に将来の戦力になりうる人材をプールしていくといった、より広範囲で経営戦略と密接した、継続的な攻めの活動を差すということです。

■タレントアクイジションの目的
タレントアクイジションの目的は、優秀な人材の重要性が高まる中で他企業との人材獲得競争に勝ち、獲得したタレントの力で新しく事業を起こし、拡大させていくことです。

求職者が応募してくれるのを待ち続けたり、従来の採用手法のみを実施し続けるような待ちの姿勢では人材を獲得することが困難です。企業が自ら積極的にアクションを起こし、ターゲットを囲い込むことがタレントアクイジションでは重要です。

タレント・アクイジションの役割は、人材の獲得だけに留まらず、自社の採用したい人材の定義から採用ブランドの構築、タレントの勧誘、人材獲得後のサポートと幅広いものです。従来の採用広報や採用選考といったリクルーティングは、タレント・アクイジションの活動の一部といえるでしょう。

■採用人事から戦略人事への転換期へ
これまでは求人サイトや人材紹介会社からの「待ち」の採用が中心だったものから、HRtechやダイレクトリクルーティングツールの普及によって、企業側と求職者との接点を「攻め」の姿勢で獲得しにいく時代へと転換期を迎えています。

多くの企業が人材不足で悩み、新しい手法を実施しなから改善している中で、従来の採用手法のみでは人材の獲得が困難になっていきます。優秀な人材の重要性が高まる中で、一般的なリクルーターとは異なり、優秀な人材獲得のみにターゲットを絞る新たな採用方法が、タレントアクイジションです。

タレントアクイジションでは、優秀な人材獲得に焦点を絞っている分、ターゲットとなる人材の設定から入社後の活躍のサポートまで、広範囲な業務を行います。

タレントアクイジションの構築において重要なことは、「採用のための人事=採用人事」から「経営のための人事=戦略人事」への転換です。「今」ではなく、「将来の自社」を実現するための戦略に常に人事が並走し、その戦略実現のために必要なあらゆる手段を使って短期、長期、関わらず必要な優秀人材との接点を構築していく動きが求められています。

■タレント・アクイジションの具体的な7つの仕事
タレント・アクイジションの担当部署ならびに担当者は、どのような業務を行うのでしょうか。タレント・アクイジションの研究者であるRobin Erickson氏によると、タレント・アクイジションは、従来のリクルーティングだけではなく以下のような業務を行います。

1、タレント人材獲得のための採用計画・戦略を立案
タレント人材の獲得が自社の将来的な方向性を決め、組織力を高めていくという認識に基づき、タレント獲得へ向けた採用計画・戦略を立案します。ここで重要となるのは、経営戦略や事業戦略から一貫して人事戦略を構築すること。

従来の人員採用計画だけではなく、人材に関する予算管理なども関わっていく可能性があります。

2、組織体制の把握と必要なタレント人材のすり合わせ
タレント・アクイジションにおいては、経営戦略や事業戦略から組織デザインを見据えつつ、タレントが所属する部署のリーダーと人材要件をすり合わせていく必要があります。

タレント・アクイジションの担当者は業務に関する知識と理解も持ち合わせている必要があるでしょう。

3、自社の方向性の提示と採用ブランドの構築
採用候補者となるタレントにとっては、経営層の目指している将来的な企業の方向性が入社を決断する重要なポイントとなります。タレントに自社の将来的な方向性を示し、採用ブランドを構築していく役割があります。

具体的には、「LinkedIn」や「Facebook」などのSNSやタレントプールを用いて、候補者たちと関係性を構築していきます。自社の採用ブランドに基づき、具体的なアクションに入ります。

4、タレント人材の母集団を形成するための用件定義
必要となるタレント人材の母集団を形成するために用件定義を行います。タレントが所属する部署のリーダーとの人材定義を反映させつつ、母集団形成のための人材獲得ツールの選定が具体的な作業になります。

5、採用候補者・辞退者との関係構築
採用候補者との関係性の構築を行います。候補者と良好な関係を築くことによって、自社のイメージを高めて候補者のモチベーションの維持に貢献します。

また、高い能力を持った辞退者とも良好な関係性を保っていれば、タレントプールの構築にもつながります。

6、採用改善ための指標の形成と分析
採用のプロセスごとにさまざまな指標を形成して、データを分析することも大切な業務です。

例えば、母集団形成プロセスにおいて採用サイトやSNSなど何の採用ツールから流入が多かったのかなどの指標を立てて分析すれば、今後の採用戦略にフィードバックできます。

7、研修・面接などのタレント人材定着支援
タレント人材のポテンシャルを活かせるように、定着支援業務を行います。自社のビジョンやカルチャーを紹介する研修、タレント人材が所属する部署と連携してのスキル・知識の習得支援、悩み相談などの定期的な面接など、支援業務は多岐に渡ります。

■タレント・アクイジション導入のメリット
これまでのリクルーティングが、 既に定義されたポジションごとに期間を定め応募者を募り、来た人材の選別していく手法でした。

タレントアクイジションを行う大きなメリットは、従来の採用手法と違い優秀な人材にピンポイントに焦点を絞れるため、入社する人材の質が高くなることが挙げられます。

タレントアクイジションは量より質に重きを置いた採用手法なので、リソースを投資した分の見返りとして、質の高い優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

タレントアクイジションの取り組みでは、 将来の自社から逆算し、短期長期の採用ターゲットを定義、採用ブランドを構築し、候補者の獲得活動と同時に将来の戦力になりうる人材をプールしていくといった、より広範囲で経営戦略と密接した、継続的な攻めの活動を差します。

激化する人材獲得競争の中、応募者から“選び出す”ことに重点を置いた「リクルーティング(採用)」に変わり、同業種や国内のみに限らず異業種、世界に隠れている才能を企業側から発掘する形にシフトしました。

より積極的な人材獲得のための組織または役割・活動「タレント・アクイジション(人材獲得)」がアメリカ系企業を中心に日本のスタートアップでも取り入れられて来ています。

■まとめ
「タレント・アクイジション」には、例えば募集・応募による短期的な採用には至らなくとも、今後自社の採用候補となりうるような才能を感じる人材とは接点を持ち続け、タレントプールと呼ばれる潜在的な人材データベースを作っておくといった活動も含まれます。

現状では転職意欲がない人でも、担当者がこれは!と思う方には会い続け、リレーションを保ち続けます。

世界的に人材獲得競争の時代に入り、従来の受け身なリクルーティングではその競争を勝ち抜くことが難しくなっていくかもしれません。

企業側から積極的に活動を行う「タレント・アクイジション」という言葉をきっかけに意識改革を行うことは、企業に限らず人材に向けても意味のあるのではないでしょうか?

■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」なら、タレント・アクイジションによる戦略的人事の導入のプロフェッショナル人材だけでなく、様々な業界の知識・経験・人脈ネットワークを保有する5000人を超える顧問やプロ人材が揃っています。

そのため「KENJINS」では、タレント・アクイジションから採用プロセスアウトソーシング(RPO)まで、科学的な人事戦略の実務経験と業界ごとの専門知識と統合することで、経営的な側面を重視しながらクライアントの要求する人材の採用を支援することが可能です。

例えばM&A、企業統合、新市場参入などクライアントが直面しているあらゆる状況に対して、ビジネス課題を明確化し、経営戦略を実行するための最適な人材の配置と新たな人材獲得のアドバイスや実行サポートをします。

人事戦略の立案・実行、人材の要件定義、戦略的な組織作り、採用部門のアウトソーシングなどでお困りの企業様は、是非、KENJINSにお気軽にご相談ください。

【人数無制限】経営課題の解決に帆走する「サブスク顧問」なら、KENJINS
https://kenjins.jp/lp/subscription/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

2025年問題とは?少子高齢化時代は顧問やプロ人材が活躍する訳

2025年に日本では、団塊の世代が75歳を超え後期高齢者となります。厚生労働省の人口見通しでは、2025年には65歳以上の高齢者が人口の30%を占め、75歳以上の後期高齢者が人口の20%程という超高齢化社会を迎えます。 そのため、若い労働力が減少し、高齢者に対しての介護、保険給...[続きを読む]

サブスクリプションとは?ストック型のビジネスモデルの優位性

近年、ソフトウェア開発会社や動画配信サービス会社、音楽配信会社など、デジタル系の商品やサービスを問わず、多くの企業が新たなビジネスモデルとして取り入れ始めているのが、「サブスクリプション」の事業になります。 「サブスク」という言葉自体は聞いたことがあっても、実際にどんな意味なの...[続きを読む]

プレグナンツの法則とは?売れるデザインにシンプルさが大事な訳

フラットデザインの流行や、ミニマルデザインの浸透など、いま、世の中のデザインは「シンプル」が主流となっています。 ビジネスにおけるデザインの最大の目的は、「情報を伝えること」です。シンプルなデザインは、ムダな装飾に走らず、モチーフや使う色を意味のあるものだけに絞ります。 「プ...[続きを読む]

選択と集中とは?ビジネス領域の選択と集中が飛躍に繋がる訳

少ない経営資源でビジネスを展開する中小企業の場合は、特にヒト・モノ・カネを有効に活用するために自社が注力したい領域を絞り込み、「選択と選択」を意識して、強みにはならないそれ以外の部分は、アウトソーシングすることです。 なぜなら、選び出したコア事業に経営資源を集中し投下することは...[続きを読む]

スキルマップとは?スキルマップで業務とスキルの見える化のコツ

組織の中で複数の従業員が業務を行うと、メンバーごとでスキルのばらつきが生じてしまうこともあるのではないでしょうか? 社員のスキルや能力を可視化することで、リーダー候補・幹部候補生のピックアップに活かすことが実現します。 スキルマップが適切に共有されれば、人事や上司が社員の強み...[続きを読む]