ビジネスの成長を考えたとき、新たな顧客を獲得することを目的に販売ルートを広げていくことは重要な経営戦略の一つになります。
スタートアップの新規事業の立ち上げでは、「何を売るか」「誰に売るか」「どこで売るか」この三つつの要素が欠けた状態では、事業のスケールアウトは語れません。
その理由は、どんなに良いサービスや商品を開発しても、販路拡大のプロセスや集客の施策を行い新たな顧客を増やすことが出来なければ、売り上げが上がらず、会社は成り立たないからです。
ですが、売上の伸びに限界を感じ、新たな販路拡大を推進していかなければと考えてはいるものの、実際どのようにすれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回、販路拡大とは、販路拡大の意味・新規開拓や販売チャネル開拓の鍵について解説します。
■販路拡大とは?
販路拡大とは、新たな顧客セグメントや新たなチャネルでアプローチし、売上向上を目指すプロセスを指します。
販路拡大は、英語で「Market growth」もしくは、「Sales expansion」と表記されます。日本語では、新規顧客や新たな販売網を増やすために必要な営業の取り組みを意味します。
ベンチャー企業が立ち上げた新規ビジネスの場合は、最初は顧客がいないため、まずは新規顧客を開拓したり新たな顧客を獲得するための販路拡大を図ることが必要です。
しかし、自力で販路拡大するためには、営業マンの採用コストや人件費など、それだけのコストも必要であることから、「どうすれば効果的に販路拡大が可能なのか」というも考えなくてはなりません。
特に中小企業の場合、やみくもに販路拡大を図った結果、販路拡大にかけた資金の大きさによる赤字やキャッシュが間に合わないなどの理由により黒字倒産といったことも想定されます。
そのため、自社製品やサービスの分析、新しい顧客セグメントの特定、その顧客セグメントに適したチャネルの開拓、という一連のプロセスを組み合わせて、企業は獲得できるパイを増やしていく必要があります。
また、自社商品が低価格の路線で相場より安価での販売戦略を描いているいるような場合、流通チャネルなどの販路拡大というよりは、ピンポイントで特定の会社や業界を狙い撃ちしたり、マーケテティングの最適化によって戦略的に利益を上げていくことを考えた方が得策になります。
利益確保のためにも既存ビジネスの販路拡大には慎重になる必要があります。
そこを見極めるにはまず、市場調査によって自社商品の市場でのポジショニングや位置づけを把握するという点が手始めのポイントになります。
■販路拡大がなぜ必要なのか?
新規開拓の営業活動を行う上では、「何を」「どこで」を適切に紐づけることが、売上アップを実現し、ビジネスを成功に導く上での大きな一歩となります。
ですが、ある程度事業が軌道に乗り、顧客が増えてくると、次第に売上の伸びが鈍化していきます。
なぜなら、当初想定していたターゲットにアプローチしきってしまうからです。ビジネスの成長を鈍化させないためには、新たな販路拡大が不可欠です。
インターネットの普及にともない、販路拡大の手法が多様化しました。インターネットの活用など、以前より手軽に実践できるものも来ています。その分、あらゆる手法のなかで、いかに商品の性質やターゲットに合わせ、自社に合った手法を選べるかがカギとなります。
販路拡大のプロセスは、その商品またはサービスの特性を踏まえ、競合状況やターゲットとなる顧客の消費購買特性やライフスタイルなども包括した検討の上で、適切な販路が想定されます。
そして、それらの選択した販路に対しては、商品またはサービスの内容の最適な提案と販路毎のアプローチにより、両社のメリットを打ち出しながら積極的且つ集中的に開拓することが望まれます。
■販路拡大には起業家の4割が創業時に苦労した
日本政策金融公庫総合研究所が実施した、日本全国の起業家1,500人へのアンケート結果によると、「開業時に苦労したこと、現在苦労していることによると、
中手企業の社長が起業・開業時に苦労したことは、以下の順になっています。
1、「資金繰り、資金調達」(46.1%)
2、「顧客・販路の開拓」(44.7%)
3、「財務・税務・法務に関する知識の不足」(29.3%)
一方で、既に起業している経営者でも現在苦労していることでは、「顧客・販路の開拓」(44.8%)がダントツのトップの課題になっています。
注目すべきは、創業時とほぼ同数の起業家にとって、今でも販路拡大を同じ意味を持つ「顧客・販路の開拓」が、悩みの種になっていることです。
■販路拡大の3つのステップ
販路拡大では、市場調査の結果を分析してみると、自社の立ち位置を再認識できるだけではなく、進むべき道や潜在マーケットが見えてきます。
見えてきたニーズ次第では、いわゆる「マーケットイン」の考え方に切り替えて“ニーズを汲んだ商品・サービスにアップデートする”という策もあるかと思います。
競合調査やポジショニングで方向性が定まったら、費用対効果を加味し、どの施策が自社にとって最善であるかを見定めます。これが効率的かつ効果的に販路拡大を成功させる重要なコツとなります。
1、マーケティングの4Pをおさえる
「言うは易し」とはよく言うが、市場調査と一言で言ってもなかなか有益な分析結果を得るのは意外と難しいです。そんなとき、マーケティングミックス(4P)という考え方を知っていると効率が良いです。
マーケティングの4Pとは、「Product(商品)/Price(価格)/Promotion(プロモー ション)/Place(流通)」のことを指します。
これらを組み合わせることで、マーケットでの位置づけを分析でき、販路拡大に生かすことが可能になります。
ここで重要なのは売り手ではなく買い手の視点になり、サービスの本質や価格などを見つめなおすことです。
2、市場リサーチ・ターゲットの設定
市場調査では、既存の販売状況をリサーチし、どのような販路で、どのような人が購入するのかを把握して行きます。「まさかここに」というような意外性のあるマーケットを見つけることができるケースもあります。
例えば、富士フィルムが化粧品分野へ参入した事例のように、他業界へ販路を開拓するためには関連分野のみならず、一見関連性がないと思える分野においても積極的に市場調査に取り組むんで見ると良いです。
特にITが普及した現代、消費者のトレンドはめまぐるしく変化しているため、販路拡大では想像もつかなかった市場セグメントでの需要が、突然発生することもあります。
3、最適な販路を選択する
「やってみなきゃわからないから、とにかく全部やってみよう!」と、戦略もなしに手当たり次第に実践するのは、多大なコストがかかるだけではなく、あまりに非効率だと言えます。
販路拡大を推進する場合、あれこれと中途半端に手を出しては、正確な効果測定もできないため、ある程度の絞り込みも必要になります。
数ある手法の中から自社に合ったものを選び抜くことは難しいように思えるが、市場調査からきちんと段階を踏めば自ずと販路拡大のアイデアが見えてきます。
これが、販売戦略の面白さであり醍醐味になります。
■販路拡大における3種類の「チャネル」とは?
販路拡大においては、3つの「チャネル」を理解しておく必要があります。
「チャネル」とは、商品やサービスが実際に消費者の手元に届くまでの流通経路のことで、これらを複合的に組み合わせて施策を検討するのが一般的です。
1、コミュニケーションチャネル
商品やサービスを消費者に認知してもらい、「欲しい」と感じさせるまでの経路を「コミュニケーションチャネル」を指します。
テレビCMなどのマスメディア広告や看板の設置など、消費者に商品の存在や魅力を知ってもらうことが主な目的となります。
2、流通チャネル
商品を、実際に消費者に届けるための経路を「流通チャネル」と呼びます。物流業者や卸業者、小売業などの手配がこれにあたります。
3、販売チャネル
実際に商品を消費者に購入してもらうための経路を「販売チャネル」と言います。
小売店などの販売店の確保やECサイトの開設などがこれにあたり、近年ではポップアップストアの流行など販売チャネルの在り方も多様化しています。
■B2CとB2Bでは販路拡大の戦略が異なる訳
1、B2C企業の場合
B2C企業が自社商品の認知度を上げたいとき、従来のマス広告やDMのほかにも、ネットショップやホームページなどITツールの利用が有効です。
販路拡大では、特に近年、SNSの拡散効果による影響は大きく、拡散を狙ったキャンペーンなど、消費者に身近なITツールを駆使したセールスプロモーションに力を入れる企業も多いです。
2、B2B企業の場合
一方で、法人相手に販路を拡大したい場合には、既存顧客からの紹介というのが今もなお一般的です。
しかしながら、取引先からの紹介は、どうしても同分野での販売チャネルに偏りがちであるため、いかに他分野に視野を広げ、自発的に取り組んでいけるかが他社との差別化にも繋がります。
販路拡大を推進するためには、まず自分がどこにいるのか、市場でどういう立ち位置にあるのかを見極めて、どちらに向かっていけばよいかの戦略をたてることが第一歩となります。
方向性を明確にしたうえで、販路開拓にかけることが出来る営業予算を考慮しながら、営業マンを採用するなど、自社にとって有効だと思われる方法を選定します。
自社で営業のノウハウに欠ける場合には、営業ノウハウを持つ専門家のアドバイスや営業コンサルティングを受けたり、政府機関や財団法人の支援や助成金を受けるのも有効です。
ぜひ今回紹介した手法の中から、自社にフィットする販路拡大・販路開拓の方法を見つけてみてください。
■まとめ
起業家の4割が、起業時も企業した後も顧客や販路拡大とクライアントの新規開拓に悩んでいます。
販路拡大を展開するに際しては、ホームページやfacebookなどのソーシャルメディアを使った販促活動も、業界によっては必須と言えます。
また、友人や知人や取引先担当者のネットワークを活用して「リファラル営業」で新規開拓を行うのが、効率よい方法だと言って良いですが、身近な知人からの紹介では限界があります。
特にベンチャー企業の場合、販路拡大の予算が限られているため、むやみに新規顧客に必要なこと全てを実践することは困難です。
そのため、販路開拓の取り組みを片っ端から沢山増やせば良いという訳ではありません。
これらの取り組みの中からあなたの事業にとって効果的な取り組みをまず1~2つ選び、効果測定を測りながら進めていくのが効率良く売上を上げるポイントになります。
販路拡大を行うにあたっては、会社の特徴や商品サービス、顧客、ライバル、マーケットの状況など様々な特性を考慮した上で、その商品やターゲットにあった販路開拓に関するアプローチや商品提案を考えることで、販路拡大を成功に導く工夫ができます。
ですが、最適な販路というものは一朝一夕では見つかりません。
様々な手法を試して、その中から全体最適でもっとも自社のビジネスに即した販路を見つけてみてください。
「新製品をともに作り出すという意識は、従業員やサプライヤー、流通業者といった利害関係者にも持って貰うべきだ。」
<フィリップ・コトラー>
■最後に
新たな販路拡大について自社の社員だけでは、どうしても行き詰まってしまうようであれば、販路拡大に詳しいプロの営業コンサルタントに相談したり、人脈や業界ネットワークが豊富な営業顧問に実行支援を依頼するという選択肢もあります。
ベンチャー企業の場合、販路拡大に必要な優秀な営業マンを正社員として採用することは、非常に難易度が高いと言えます。
その理由としては、中小企業の場合、広告費を投下して求人サイトで募集を掛けても、そもそもの応募数自体が少ないためトップセールスになるような優秀な候補者も少なく、人脈を豊富に持った若手は殆どいないからです。
そのような際には、大手企業のキーマンとの人脈を豊富に持つ営業顧問や販路開拓コンサルタントを迎い入れることにより、新たな販路拡大が可能になります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超える業界トップクラスの知識・経験・人脈・スキル・ノウハウを持つ、フリーランスの顧問や副業のプロ人材をネットワークしています。
顧問契約をベースにセールス強化を目的に営業顧問のチームビルディングを行い、組織的に営業のプロ人材に販路拡大を依頼できるサービスを提供しています。
また、営業戦略に精通した顧問や特定の大手企業を開拓する手法に長けた顧問やCROもいるため、先々のマーケティング戦略やレベニューオペレーションまでアドバイスを貰うことが期待できます。
特に大手企業の役員クラスや海外マーケットで販路拡大したい場合、適切な顧問料を支払った上で、海外営業に精通した顧問やコンサルタントをパートナーとして迎い入れることは必須だと言えます。
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