昔は「営業センス」という言葉があり、営業の仕事は本人の才能やセンスに左右されるものというイメージが強いものでした。
セールスは個別性の高い仕事でもあり、現在でも、その営業ノウハウをうまく共通化できないと考えている人は多くいます。
しかし、実際には、業界や商品やサービスが違っても、売れる営業パーソンに共通する営業プロセスがあり、成約に繋がる営業ノウハウ、成功パターンが存在しています。
それらの営業ノウハウを学ぶことが、営業で成果を出すための近道だと言えます。
そこで今回は、営業ノウハウとは何か、営業マンがトップセールスになるポイントについて解説します。
■営業ノウハウとは?
営業ノウハウとは、「営業活動を推進する上での知識やコツ」という意味があります。
営業ノウハウは英語で「sales knowledge」と表記されます。日本語では、営業の現場では、「セールスの専門的な知識」、「沢山の商談を通じて得た経験」を意味します。
営業ノウハウは、営業の成功パターンの蓄積など、営業活動において有利に働く経験・スキル・技術として多く活用されています。
営業活動するなら、できる限り多くの商品を売って、営業成績を上げたいと誰もが思うことです。営業マンであれば、営業成績が常に高いトップセールス、先輩、同僚に売れたコツを聞いたことのある人もいるでしょう。
ですが、聞いたコツを生かしつつ努力しても、なかなか営業の成績が上がらないと悩んでる方も多いでしょう。
そのような際には、会社として、「営業ノウハウ」を蓄積し、共有することで、新たに体系化されたナレッジに変換することができます。このナレッジが営業の現場における属人化を防ぎ、業務効率化、生産性向上に繋がります。
■営業ノウハウが重要な理由
営業ノウハウとは、経験をベースに、知識やスキルを掛け合わせたアクションを起こし、実践によって得られた「営業の知見」のことになります。
「営業の知見」とは、営業の物事についてよく知りよく理解することを指します。
知見には「体験」のニュアンスが含まれるため、基本的には自身が現場で見たり、聞いたりして得た、実体験を通して培ったノウハウのことを指します。
営業ノウハウは、さらなる実体験を通して体系化することによって新たなナレッジへと変換することができます。
営業ノウハウが組織内で共有されると属人化が解消され、組織の知識や技術が向上します。
セールスナレッジ⇒営業ノウハウ⇒新たなナレッジというループをPDCAで回転させることにより、企業には資産化された営業ノウハウが蓄積され、他にはない提案手法や売れる技術やサービスの改善や創出が実現します。
また、属人化を解消することは業務の効率化に繋がり、利益の拡大や生産性向上を実現します。
昨今では、営業の生産性向上が多くの企業において経営課題となっており、その課題解決のためにも「営業ノウハウ」をナレッジとして共有することは、売上アップに非常に重要になっています。
こうした一連の流れは、「セールスナレッジマネジメント」と呼ばれ、ビジネスの継続的な売上を上げ、営業活動の生産性向上を実現する上で欠かせない手法として注目されています。
■売れる営業の7つの営業ノウハウ
1、見込み客を探す。顧客を定義する。
営業において、見込み客の情報収集や現状分析を欠かすことはできません。見込み客は、「自社の商品やサービスに関心を持っており、営業されれば購入する確率の高い客」のことを指します。
例えば、「システムが古くなった」「ホームページをリニューアルしたい」など、環境の変化やビジネスタイルの変化から課題解決に繋がるようなソリューションの必要性を感じている客です。
現在、課題を感じており、それらを改善することに関心を持っているため、成約が取りやすい客と言えます。
ただし、いくら関心があっても、いきなり知らない営業マンからテレアポで営業トークを展開されたら購入には至らないでしょう。
なぜなら、顧客分析や業界の動向の調査、自社の強みの分析、顧客の抱える課題や関心ごとの把握など、営業活動は顧客と会う前から始まっているからです。
BtoBの場合、アポイントの前段階で必ず行う必要がある事項としては、ターゲットとなるリード顧客の情報収集になります。
企業情報、役職、業界、業種などは、企業のホームページやIR情報、業界誌などを見て情報を揃えましょう。
2、アポイントを獲得する。
通常、アポイントを取得する過程では、リード顧客が既に課題を認識しているケースと、課題が差し迫った状況にあることを認識していないという二つのケースがあります。
アウトバウント営業を掛ける場合、最初の段階では、深刻な課題や切実な要望がない限り、自社製品の購買への優先順位は低いと言えます。
初めての相手に電話でアポイントを取る際には、相手との関係性がないため、短い時間で相手に興味を持ってもらう必要があります。
1分以内で、どのような要件で電話したのか/なぜ会って話したいのかを伝えられるよう、相手の興味を惹きつけるセールストークを用意して置くことが欠かせません。
また、アポイント獲得のプロセスで何らかのメリットを提供したり、コンペリングイベントに気づかせてあげることで、購買に対する優先順位を上げる必要があります。その結果、オンライン会議や対面でのアポイントの獲得に繋がります。
3、ヒアリング・課題を定義する。
ベテラン営業パーソンは、とても要領よく質問を繰り出してきます。現状のシステムはどのようになっているのか、お困りの点やご要望はないかなど、細部にわたって次々にヒアリングして行きます。
ソリューション営業において顧客の問題点を追求するためには、「なぜなぜ思考」は欠かせない思考回路です。
「なぜ、そのような現象が起こったのか」「それ以外にも問題の原因はないのか」と繰り返していくうちに、本当に解決しなければならない問題点が見えてくるのです。
しかし、顧客とのリレーションが十分に構築できていない場合はもちろんのこと、良好な関係ができている場合でも、顧客が抱えている課題を営業パーソンに話してくれないことが少なくありません。
課題や問題点を外部の人間に伝えることを躊躇していたり、顧客自身が問題として認識していなかったりすることもあります。
4、プレゼンテーション・仮説提案を行う。
顧客に対する提案といえば、顧客のニーズや課題を踏まえたソリューション提案をイメージすることでしょう。
しかし、既に特定のテーマで課題が明確になっており、複数の会社から提案を受けるコンペでない限り「仮説提案」が必要になります。
仮説提案とは、顧客のニーズや課題などの実態を明確に踏まえた提案ではなくて、仮説に基づいた提案のことを指しています。
しかも、提案する目的は顧客の課題解決にあるのではなくて、課題を把握するために行うプレ提案になります。
この仮説提案には、以下のような三つのポイントがあります。
・顧客が商品の購入を検討している提案ではない、顧客から依頼された提案ではない。
・気づいていない、明確になっていない課題を気づかせ案件を獲得する。
・仮説がずれていたとしても他のニーズを聞き出し案件を獲得する。
5、リード顧客を育成する。
顧客が必要と思っている、検討している、そして顧客が依頼した提案は、当然、顧客は真剣に聞きます。
顧客にとって価値のある提案をするためには、解決する価値の大きな課題にフォーカスすることが重要です。
購入前に複数の商材を比較するユーザーも多く、効果的なアピールをして顧客に選ばれる存在になる必要があります。顧客を獲得して売上向上に繋がるためには、顧客を育成する「ナーチャリング」が大切になります。
より自社の商材を見たり聞いたりする機会を持って貰うためにも、ナーチャリングが重要です。見込み顧客に商材を購入して貰ったり、既存顧客と長期的に付き合いを続けたりするために、顧客に合わせたナーチャリングを実施しましょう。
その際、経営課題に近いテーマを課題に取り上げるほど、顧客の経営トップ層の評価は高まります。
6、顧客をフォローアップする。
顧客へのフォローアップとは、商談時に何らかの宿題を貰い、その次の訪問やアクションを起こすきっかけを作ることです。
フォローアップを行う大前提として、顧客と商談を行ったら必ず「宿題」を貰うことが関係性を構築するトリガーになります。
宿題とは、顧客からビジネスに対する要望のことです。宿題の例としては、以下のような内容が挙げられます。
・製品やサービスに関する詳しい資料が欲しい。
・商品やサービスの見積書を出して欲しい。
・業界のトレンドや競合と違いについて知りたい。
・オリジナルの企画書や提案書を作って欲しい。
・既に導入している他社の事例や成果を知りたい。
・サービス導入までのプロセスを教えて欲しい。
・カスタマイズ可能かどうか確認して欲しい。
・いつから利用することができるか知りたい。
このように、顧客が商品を購入するにあたっての検討材料の提供や質問などが「宿題」の正体になります。これらの宿題を着実にもらい、対応を積み重ねていくことで成約までの購入までのステージが上がります。
素早くフォローアップを行うことで、営業プロセスを進めていくことが契約を上げるためのポイントです。
7、クロージングを行う。
「課題を解決するためには買った方が良い」という認識を持ってもらえるように商談を重ねて来た後は、とにかくあと一歩背中を押してあげるに尽きます。
顧客のニーズをしっかり把握し、ヒアリングを経て商品やサービスを的確に紹介できたら、クロージングしましょう。クロージングは端的に言うと、買うか買わないかを聞くことになりますが、実際には前段階の営業トークの影響を強く受けます。
営業トーク全体の印象や流れによって、顧客の反応が異なるのです。買うか買わないかの聞き方を工夫するだけでなく、クロージングを意識しながら、購入に繋がるように営業トークの流れを作ることが大切です。
最後の一押しは顧客に効果を期待させ、勇気を持って契約して貰えるようにサポートをすることが大切です。
■営業ノウハウを活用するポイント
社内にある営業ノウハウを正しく蓄積・共有できると、会社の持つ企業力が向上するほか、業務効率化も実現できるようになります。
具体的な営業ノウハウとしては、以下のようなものが該当します。
・商談の仕方や課題のヒアリングのノウハウを新人に教える。
・先輩から成約に繋がった成功事例のノウハウを教えて貰った。
・新人とのコミュニケーションに関するノウハウ本を購入した。
・商品Aの製造ノウハウやメリットは一部の人しか知らない。
・業界のキーマンと繋がるためのノウハウを社内で共有した。
「営業ノウハウを共有化するとは、ひとりひとりの営業マンが培った知見や実体験で売れたストーリーをベースにしています。
成功パターンの方程式を含めて、多種多彩な営業ノウハウを蓄積し、チームメンバーに共有することは、売上アップの決め手になる極めて重要な施策になると言えます。
なぜなら、営業ノウハウや顧客からの評価、ライバルの動向などの情報の共有化して行くことは、商品やサービスの競争力や企業価値を上げていく「セールスナレッジマネジメント」に繋がるからです。
今後は、多くの企業において営業ノウハウをいかに蓄積して、管理しいかに共有して行くかが、業績アップの大きなポイントになると言えるでしょう。
■まとめ
真の営業ノウハウとは、座学で学んだものでなく、リアル営業活動を通して学んだ経験や売る技術、売れるストーリー構成など、「知見」になります。
セールスの現場での実務経験により培われたナレッジ価値と実践で活かせる秘伝的なものです。
一方で、営業ノウハウは、営業という仕事を毎日、繰り返し体験することで得られたスキルやコツとも言えるものなので、言語化や共有が難しく、本当は他人に教えたくない情報であるとも言えます。
ナレッジという言葉を使う場合、「営業のコツ」や「セールス技術」のことを総じて「営業ノウハウ」というケースが多くなります。
ナレッジの中でも営業ノウハウは、特に会社にとって非常に重要な知見であり、「情報資産」としての意味合いが強くなります。
アメリカでは営業のノウハウはあまり、社内では共有されません。基礎的なトレーニングはありますが、個人の成果主義が浸透しているため、売れるノウハウは隠して置きたいからです。
日本でも社内にノウハウを共有した営業マンには、人事評価制度に反映される工夫が必要になります。
ビジネスにおいてノウハウは、蓄積して行けば良いだけでなく、実際の業務で活用することで初めて効果が生まれます。ノウハウを活用するのは、以下のような場面です。
・営業ノウハウをもとに、独自の「営業マニュアル」を作成する。
・営業活動で得たノウハウをチームで共有し、全体の売上に貢献する。
・セールスの現場で得た課題やノウハウを、新たな開発に活かす。
営業ノウハウを体系化することができれば、 OJTといった職場での実務を通して行う教育訓練にも活用できるでしょう。
「成果を上げるためには、リーダーは人が持つ最大の強みに焦点を合わせ、その強みの発揮の妨げとならない限り、弱みは関係ないものとして無視しなくてはならない。」
「重要な事は人を変えることではない。人の持つあらゆる強み、活力、意欲を動員し、そうすることによって全体の能力を増大させることである。」
<ピーター・ドラッカー>
■最後に
企業が新規顧客開拓を行い、新たな顧客との接点を生み出して売上に結びつけるまでには、膨大なプロセスとコスト、時間がかかります。
BtoBマーケティングにより、新規顧客を開拓するにあたっては、CAC「顧客獲得単価」(Customer Acquisition Cost)を事前に考えることが欠かせません。
なぜなら、顧客1人あたりの利益を意味するLTVが分かれば、インターネット広告、正社員の営業マンの人件費、外部の営業顧問に支払える「アポイント獲得単価」が計算できるからです。
CACを計算する最大の目的としては、LTVの目標値を決めることです。
例えば、1ヵ月に営業マンの人件費とインターネット広告に50万円を投資し、50社のリード顧客を獲得することができた場合には、その月のCAC(顧客獲得単価)は1万円という計算が導き出されます。
これにより、新規開拓に投資できる上限の目安、1社のリード獲得に対するCPAの許容範囲が分かるため、適切な新規獲得の手法を選ぶことが可能になります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」は、5000人を超える即戦力となるフリーランスの顧問やハイスキルな副業のプロ人材をネットワークしており、顧問契約に基づき、ビジネスの課題解決を依頼できるプラットフォームになります。
スタートアップや中小企業の場合、新規開拓に課題を抱えている企業が多いことから、営業顧問の人脈や業界でのコネクションを活かし、販路拡大に必要となる営業活動を実行支援するプログラムを成果報酬型で提供しています。
中小企業やベンチャー企業が抱える「人手不足」「リード不足」「ノウハウ不足」などによる新規開拓の課題を成功報酬をベースに解消してくれる即効性のある営業支援サービスになります。
ビジネスを黒字化し、収益を上げ続けるには、CACをLTVよりも低くし売れる仕組みを作り上げ、新規開拓を継続的に推進して行かなければなりません。
決裁を行う権限のことを「決裁権」、決裁権を持つ人物のことを「決裁者」と呼びます。
大手企業の場合、決裁権は、基本的に職務権限表(決裁権限表)を元に特定の役職・職位者に与えられます。
LTVとCACの関係性は、「LTVがCACの3倍以上」が理想になるため、決裁権限のあるキーマンとの商談機会を増やすべく、投資対効果の高い施策を講じることです。
KENJINSなら、営業経験者を1人採用するのと同程度の顧問料で、リード獲得のノウハウを持つプロ人材、特定の会社との太いパイプ、業界でのコネクションを持った営業顧問のドリームチームをパートナーにすることができます。
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