自己開示とは?自己開示の返報性を理解し営業で活用するコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

営業の新規開拓をする際に、初対面の相手からは疑いの眼差しで見られがちです。

そのような際に「この営業のことは信頼できる」「この営業マンになら何でも話せる」。こうした信頼関係を築くためには、相手より先に自分のことを話し、「自己開示」していくことが有効です。

なぜなら、日常生活ではもちろん、適度な自己開示をすることは仕事上の人間関係を築く上でも役立つものだからです。

リンカーンが多くの大衆から好感を持たれた要因は、大統領選で「私は多くのアメリカ人と同様、貧しい家に生まれた」と、生い立ちを包み隠さず、自己開示したことで、人気に拍車を掛けました。

そこで今回、自己開示とは、自己開示の返報性を理解し営業で活用するコツについて解説します。

■自己開示とは?
自己開示とは、初対面の相手との会話の中で「自分の情報」をオープンにすることで、ありのままに他人へ開示し、提供することです。

自己開示は、英語で「Self-disclosure」と表記されますが、日本語では個人的な特徴や趣味趣向などを公開することを意味します。

1970年代に心理学者で精神医学者のシドニー・M・ジュラードによって提唱されました。

最近では、ビジネスマンだけでなく芸能人でもSNSにプロフィールを開催したり、日々の生活や仕事の状況などを記事として投稿で自己開示をする人が増えています。

個人的な情報を開示すると、相手も情報を教えてくれるようになり、この自己開示によって初対面の人とも会話が弾みます。

人と人とが相互理解を深め、信頼のおける人間関係を築く上で、「自己開示」は欠かせない要素とされています。

■営業の自己開示とは?
営業の自己開示とは、新規買開拓の際に、会社概要やサービス提案書以外に、個人としてのプロフィールを作成して提示することを指します。

自己開示する内容としては、自分の強みだけでなく弱点や頑張っていること、出身地や学歴、家族構成、食べ物の好み、趣味、特技など、個人的な情報が含まれます。

「この人のことは信頼できる」「この人になら何でも話せる」。こうした信頼関係を築き上げるステップのことを、心理学用語で「ラポール」と呼びます。

個人的な関係性の構築を問わず、ビジネスを推進する上でも、「自己開示」をすることは、一緒にプロジェクトを推進する上で欠かせない、「ラポール」の形成に繋がるため、短期間でお互いの距離を縮める絶大な効果があります。

■自己開示と自己呈示の違い
自己開示と似た概念に「自己呈示」という言葉もあります。これらは一見同じように思えますが、良好な人間関係を築くためには違いを知っておくことが大切です。

1、自己開示
自己開示は英語で「Self-disclosure」になります。Discloseは日本語で「開示する」「明らかにする」と訳されます。

包み隠さず、何でもオープンにするイメージです。自分にとって都合の良い情報だけでなく、悩みや弱点を含めたありのままの自分を開示することが信頼関係を築きます。

自分のことを話すという行為は、相手への信頼が前提にあります。自己開示により相手への尊重や親しみが積み重なっていき、関係性が構築に繋がるのです。

2、自己呈示
自己呈示は英語で「Self-presentation」と言います。Presentation(プレゼンテーション)という言葉からもわかる通り、自己呈示にはどのような情報を公開するかを選び、自分をよりよく見せるために印象操作をするというニュアンスがあります。

ビジネスにおいても、仕事相手から有能だと思われたい、必要とされたいという気持ちから、いつもより雄弁に語ったり物事を大げさに話したりすることもあるでしょう。

自己呈示が悪いわけではありませんが、使い方によっては、誠実ではない印象を与えてしまう恐れもあります。

自分を大きく見せようとする行為に対して受け手は敏感で、「この人は本当のことを言っていない(=開示が行われていない)」と受け取られる可能性もあります。

■起業家や営業マンが自己開示を行う3つのメリット
仕事やプライベートにかかわらず、「自己開示」をすることは、良好な人間関係の構築に役立ちます。

1、短期間、短時間で相手からの信頼を得やすい。
営業の現場では、インサイドセールスが増え、オンライン会議による打ち合わせもが一半的になつたことで、人間関係を深めることが難しくなってきています。

セールスを行う上でも初めての相手との距離を縮めるために、「自己開示」を行うと効果的です。自分の情報を伝えることは「相手を信頼しているよ」というサインにもなります。

例えば、インバウンドで問い合わせがあった会社の担当者やアウトバウンドで初対面の相手と親しくなるためには、まず両者の信頼関係を築く必要があります。

そのようなときに、あなたが自己開示をすることによって、数回会話をするだけでも相手はあなたに心を開きやすくなると考えられます。このことで会社の課題や現在、担当者が抱えている悩みなども打ち明けてくれる可能性が高まります。

2、返報性の法則で、より親密になる。
自己開示には、自己開示をされた受け手も同程度の自己開示をするという、返報性のルールがあることが知られています。

つまり、こちらが趣味の話をしたら相手も趣味の話、より個人的な家庭の話をしたら相手も家庭の話をするといった具合で、同程度の深い話をするようになるということです。

自己開示をすると「返報性の法則」が働き、相手もあなたに対して自己開示をしやすくなります。その理由としては、あなたが情報を教えてくれたことに対して、自分のことも話してみようと思うからです。

ビジネスでも成功事例だけでなく、失敗事例など適度な自己開示をすれば、お互いの情報交換が進み、より親密になれます。

3、自分に自信を持つことにも繋がる。
自己開示は、相手との信頼関係を築くほかに、自分に自信を持つきっかけにもなります。自分が話した内容に相手が賛同してくれたり、価値観を認めてくれたりすると、嬉しく思うのは自然なことです。

相手を認めるとは、「承認」することです。承認とは、認めること、そこに気づいていることを相手に言葉で伝えることです。本人が自分を知り、可能性を広げる上で役に立ちます。相手の自己成長への認知を促したり、次の行動に向けての大きな動機づけになります。

例えば、趣味の話をしたときに、相手にも同じ趣味があり一緒にやろうと盛り上がれば、相手があなたのことを受け入れたことになります。

また、あなたが考えたアイデアを相手が応援してくれるときは、自分と同じ考え方の人がいることに嬉しく感じ、実行する勇気を貰えます。

■自己開示のポイント
いくら「自己開示」が大事とはいえ、程度というものがあります。初対面の相手に対して、現在進行形のプライベートな課題を打ち明けたり、あまりにも深刻過ぎる内容や解決が難しい悩みを打ち明けるのは、注意しましょう。

親しくなるどころか、むしろ「変な人」と認定され、警戒されてしまうかもしれません。

「自己開示の深さを測定する尺度の開発」では、自己開示の「深さ」のレベルとして、以下の4つの段階が想定されています。

レベル1:「趣味・嗜好(しこう)」の開示
レベル2:「容易には克服できない困難な経験」の開示
レバル3:「決定的ではない欠点や弱点」の開示
レベル4:「自分の性格や能力の否定的側面」の開示

どの程度までプライベートな話が受け入れられるのかは、相手との関係性から判断しましょう。初対面の相手には、「趣味」「笑える失敗談」「ちょっとした欠点」といった自己開示でも十分です。

■営業やマーケティングでは両面提示が効果的
営業活動で、リード顧客に事業説明を行う際や商談相手を説得する時には、メリットだけでなくデメリットも提示することです。これは「両面提示」と呼ばれています。

説得的コミュニケーションにおいて使われる心理学的な手法のことです。「両面提示」は、営業やマーケティングの場面においてもよく使われています。

初めて会った営業マンから商品のメリットばかりを伝えられたとして、その情報をどのくらい信頼することができるでしょうか?マイナス的な要素が何も無いと返って「うまい話には裏がある」と感じませんか?

人が大事な何かを意志決定するときには、メリットだけでなくデメリットも含めて検討するものです。

人を説得する先にメリットのみを提示することを「片面提示」と言います。人を説得する際にメリットだけでなく、デメリットも隠さずに提示するのが、「両面提示」です。

メリットだけでなく、商品のデメリットも多少聞くことができたならば、その信頼度が上がります。

インターネットが普及し比較が簡単になった昨今、営業活動を行う前段階で、既に相手がサービス内容について、ある程度の知識を持っている場合にも、「両面提示」でプレゼンした方が効果的であると言えます。

一般的には、価格が高い製品の方が品質も高いのですが、製品と価格の関係は正比例でないこともあります。

そのような際には、反対に企業努力により価格リーズナブルに提供している方が、信憑性が高くなり、高額な価格でサービス提供するライバルとの比較検討の余地が生まれ、真摯な対応が信頼の獲得に繋がるのです。

■まとめ
こちらの自己開示に反応して、相手も自分のことを打ち明ける行為を「自己開示の返報性」と言います。個人的な話を交換し合うことで関係構築の相乗効果が期待することができます。

営業活動における自己開示は、瞬時に、強固な信頼関係築くために効果的です。

自己開示には2種類あります。「情報の自己開示」だけでなく、「感情の自己開示」をすることで、より自己開示の効果は高まります。

1、情報の自己開示
・情報の自己開示は、パーソナルな情報を伝えること。
・出身地、大学、家族構成、趣味、得意・苦手なこと。
・なぜ、今の会社に入社し働くことことにしたのか?

2、感情の自己開示
・ビジネスで業界の問題など、自分の感じている感情。
・その課題解決のために新規事業を立ち上げた想い。
・ビジネスを通じたゴールは、クライアントの喜ぶ姿。

すると、「初対面なのに、事業の立ち上げのストーリーまで話してくれた」という事実が、「この人は信頼できる」「社会性のあるビジネスを展開している」という共感を生み出します。

自己開示された相手には、「返報性の法則」により、「これだけ話してくれたんだから、こちらも何か話さなきゃ悪いな」と感じます。

その結果、「認知的不協和」の法則が働き、相手も自分の会社の課題を明かしてくれるようになり、今度は「自分にこんなに大事なことを打ち明けているんだから、私もこの会社のために最善を尽くそう」という気持ちになっていくのです。

自分の弱さや欠点を自ら認める行動は、実は他人にとっては「この人は強い人だ。誠実な人だ。」と、信頼できる印象を与えます。

リーダーシップに関する近年の研究においても、「自分の弱さ」を受け入れて、時にはそれを示すことはリーダーにとって重要な行動であり、大事な役目であるとまで言われるようになっています。

「ありのままの自分を出すほうが、自分を偽って見せるよりも得るものは大きい。」

<ラ・ロシュフコー>

■大手企業の新規開拓を強化したい企業様へ
中小企業の経営者やベンチャー企業の起業家もしくは、現場の営業マンであれば、という経験は多かれ少なかれありませんか?

・紹介営業によりターゲットとする特定の大手企業との新規取引に成功した。
・高額なプロダクトの受注が、紹介者によるトップダウン営業のお陰で決まった。
・コネ無しに営業していたが、ライバルに政治的な圧力により負けて失注した。

法人営業において「誰と商談をするか」が、非常に重要な「購買決定要素」になると言えます。

つまり、『売れる営業はキーマンとの商談率が非常に高い』『トップセールスは紹介営業』を駆使しているといっても過言ではないと思います。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超える顧問やプロ人材をネットワークし、顧問契約をベースに中小企業の課題解決の実行支援を推進しています。

その中で、大手企業を対象にした新規開拓や販路開拓の課題を解決するために、リード顧客なる見込顧客の社長や取締役との人脈を豊富に持つ営業顧問のコネクションを活かした営業支援を展開しています。

大手企業の役員クラスや決裁権を持ったキーマンを対象にした「トップダウン営業」の実行支援をハンズオン型で行っています。

KENJINSなら、営業経験者を1人採用するのと同程度のコストで、リード獲得のノウハウを持つプロ人材、特定の会社との太いパイプ、業界でのコネクションを持った営業顧問のドリームチームをパートナーにすることができます。

【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、案件情報を掲載したり、どのような営業顧問がいるか選定をし、オンライン面談をしてみてください。

【人数無制限】営業顧問が大手企業の役員クラスを成果報酬型で紹介!
https://kenjins.jp/lp/saleslep/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

士気とは?社長や従業員の士気の高さが行動と結果を変える訳

士気は、戦国時代の戦場の場だけでなく、目標に向かって成果をコンスタントに創出することが求められるビジネスシーンにおいても重視されています。 その理由としては、社長やマネージャーが従業員の士気を高め、長期的にメンバーの働く意欲を鼓舞し、効果的にマネジメントすることが出来れば、組織...[続きを読む]

デマンドジェネレーションとは?営業案件の創出活動が大事な訳

従来の経営戦略は、主に企業の資源を特定の市場状況に適合させることや、大量生産による値下げで市場シェアを拡大し、競争力を高めることに重点を置かれていました。 しかし、ライバルとの競争が激化していく中で企業が生き残るには、「価格」や「商品の質」以外に、買い手の心を掴む「何か」を提供...[続きを読む]

マインドフローとは?トップ営業なら知っている購買心理の重要性

BtoBやBtoCのビジネスを問わず消費者や企業が、新たに商品やサービスを購入する際には、まず標品やサービスを「知って」「比較」「詳細を知り」「買って」「使って」「ファンになる」という流れをとります。 人は何かにお金を払うときに、無意識に行っている事があります。それが、「マイン...[続きを読む]

オワハラとは?学生に自社への入社を強要するオワハラが多い訳

現在、企業が新卒採用において、内々定を出した学生に、以降の就職活動を終えるよう働きかける行為や、内定を出す条件として長期的に学生を拘束する行為が社会問題となっています。 優秀な人材を獲得したいのは、どの企業も同じです。その思いが強いあまり、内定を出すことを条件に他社の内定辞退の...[続きを読む]

リテンション率とは?新規開拓だけでなく継続率も大事な理由

新規顧客を獲得するためにかかるコストは、既存顧客に再度購入をして貰うためにかかるコストの「5倍」かかると言われています。この法則は、「1:5の法則」と呼ばれ、既存顧客と新規開拓に掛かる獲得コストの比較として認知されています。 「売り上げが安定しない」と悩んでいる企業が取り組む必...[続きを読む]