現在、企業は経営の効率化、新製品の開発、新規分野への進出といった現状打破の戦略を展開する基盤として、第一線職場の高い能力と活力が重要な要素となっています。その打開策として考えられているのが「TQC」です。
TQCは、自ら考え、自ら学び、自ら行動することにより無限の可能性を引き出し、更なる能力の向上へと繋げ、活力ある職場づくりに有効な活動といえます。
そこで今回、TQCとは何か、製造業がTQCに全社を挙げて参加型で取り組むメリットについて解説します。
「品質は、決して偶然の産物ではありません。高い意識と誠実な努力、洗練された管理、そして、高度な技術から生まれます。」
<バーミンガム>
■TQCとは?
TQCとは、主に製造業において、製造工程のみならず、設計・調達・販売・マーケティング・アフターサービスといった各部門が連携をとって、統一的な目標の下に行う品質管理活動のことです。
品質管理の内容を設計部門や購買部門など製造部門以外まで展開させて体系化させたもののことになります。
英語ではTotal Quality Control(略称はTQC)と呼ばれ、製品の企画設計から販売後のアフターサービスまでの流れを総合的に品質管理することが狙いです。これにより、一貫した品質管理を行うことができるようになります。
JIS(日本工業規格)用語では、次のように定義されています。
『品質管理を効果的に実施するためには、市場の調査、研究・開発・製品の企画、設計、生産準備、購買・外注、製造、検査、販売及びアフターサービス並びに財務、人事、教育など企業活動の全段階にわたり経営者を始め管理者、監督者、作業者などの企業の全員の参加と協力が必要である。』
このようにして実施される品質管理を全社的品質管理(company-wide quality control、略してCWQC)、または総合的品質管理(total quality control、略してTQC)という。』
■TQCの歴史
TQCは、全社的品質管理はアメリカで生まれた言葉であり、1950年代にGE社の品質管理部長だったA・V・ファイゲンバウム(Armand Vallin Feigenbaum)が提唱した言葉です。
TQCは目的としては、「最も経済的な水準で、顧客を十分に満足させるような製品を生産するために、企業の各部門が品質開発・維持・改良していく努力を総合的に調整すること」としています。
全社的品質管理を行うことの狙いは、最も経済的な品質水準を目指して顧客を十分に満足させるような製品を生産することです。
そのため、企業の各部門が品質開発や維持だけではなく、改良も含めての努力をするよう総合的に管理することを目指しました。
日本の製造業は、終戦直後から1950年代にかけて、統計的品質管理(SQC)やデミングサークルなどの品質管理手法を強力に導入・推進していたが生産各工程への適用に留まっており、これを統括的に扱う手法として1960年代にTQCが輸入されました。
■TQCのにおける業務の内容
TQCにおける基本的な業務は、製品やサービスを提供する前に、その品質が確かなものであるのか検証・保証することです。
具体的には、パレード図やヒストグラムといったQC7つ道具と呼ばれるものを使って不良品の種類をチェックしたりデータをまとめたりします。
TQCの特徴は以下の10項目に集約されています。
・経営者主導における全部門,全員参加のQC活動
・経営における品質優先の徹底
・方針の展開とその管理
・QCの診断とその活用
・企画、開発から販売・サービスに至る品質保証活動
・QCサークル活動
・QCの教育・訓練
・QC手法の開発・活用
・製造業から他の業種への拡大
・QCの全国的推進
TQCでは、経営者による方針管理が重要視されています。トップダウンの指示・計画に基づいて、PDCAサイクルを回すことで、継続的に品質管理の改善を行なうことができるからです。このことをデミングサイクルとも呼びます。
■日本型のTQCの特徴
日本のTQCの特徴は、現場のQCサークルを中心とした「全員参加型」の活動を行う点になります。
QCサークルとは、現場の監督者と作業担当者が品質管理について意識を高め、具体的な活動のアイデアを出し合う小集団のことです。
日本ではQCサークルを主体として、QC手法の開発や診断、改善、教育・訓練などが進められました。職場では、作業員がトップダウンで与えられたタスクを、機械や工具を使って、こなすことで目標に対して生産活動を進めることになります。
実際に現場で仕事をしている作業員にしか気づかない問題点や課題は多く存在します。
そのため、そのような課題や問題点を解決するために、作業員からアイデアを募り、改善していくことを業務プロセスの中に組み込みました。
日本型TQCは「良い製品を、より早く・安く」という目的に対し、現場や全社員が一丸となって改善に取り組むことで、1980年代をピークに圧倒的な国際競争力を生み出してきました。
■どのような人がTQCの業務に適しているのか
QCサークル活動の場合、グループで共通の改善目標に向かって作業を分担し、従業員一人ひとりが自分の仕事の品質改善に取り組むという習慣づけがなされます。
これは言い換えれば、従業員一人ひとりが自己の能力を高め続ける人生を歩むことになるということです。
品質管理の業務は、万が一のリスクに備えてマネジメントできる人やしっかりと製品・サービスの観察ができる人が向いています。
具体的には、クレームの対応や原材料の品質調査など。ちなみにクレームを言われてもしっかり対応できる打たれ強い人や細かいところまで品質のチェックができる完璧主義の人は、品質保証の業務に適しています。
また、膨大なデータをもとにして品質を管理することから、細かな作業が得意な人にも適した業務です。品質管理は目立つ仕事ではありませんが、安定した品質を保つために欠かせない存在と言えます。
■まとめ
TQC(Total Quality Control)とは、QC(品質管理)を営業部門、設計部門などの製造部門以外に適用させ、体系化させた全社的品質管理とも呼ばれる概念になります。
近年では、TQCという概念が品質管理だけに限らず様々な分野で活かされるようになったため、TQM(Total Quality Management)とも呼ばれています。
TQC活動は半永久的に継続し得る活動で、定着すると一層高度な改善活動となっていきます。
さらにTQCの目的が「顧客に喜ばれる品質」作りである以上、その結果は企業全体が顧客の要望に沿って革新し続ける体質ができあがるということです。
こうした顧客の要望に沿った品質の商品・サービスを作り続けることができれば、それはつねに利益を獲得し続けられるということを意味し、TQCは企業の存続と発展を保証してくれる可能性を持っていると言えるのです。
TQCサークル活動は、導入期である1~2年は社長自身が情熱的な推進役となり、強力なトップダウン方式でTQCの思想・手法を従業員に理解きせるとよいでしょう。ただし、できる限り自主的な活動になるような指導を行うべきです。
■最後に
TQCとは、全社的品質管理と呼び、製造部門だけでなく、企画から生産、販売、アフターサービスまで総合的に品質管理を行うことを指します。
そのため、市場における競争優位性を向上させて行くためにTQCに取り組むことは、持続的な企業行動そのもの匹敵するくらい重要度が非常に高いものだと言えます。
TQCを実現している企業は、他社が短期間で真似できない“現場力”を保持しています。
時間をかけて磨き上げてきた現場力を模倣するのは容易ではないため、その結果として持続力の高い優位性を企業にもたらしているのです。
TQCを改善するためには、顧客との関連性を考えながらサービスを見直し最適化を図り、競争力を検討していきます。
TQCは、製造部門以外の部門も含めた組織的な取り組みによって、製品の品質向上を実現しようとするものです。このプロセスを経ることで企業の組織の変革が可能になり、潜在能力を最高に発揮できるようになります。
QC活動は、職場単位で、小集団のサークル(活動チーム)をつくって、科学的に品質を管理し、改善に取り組む活動であり、製造業だけでなく商品開発、営業、間接、サービスなどの非製造業にも普及しています。
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