いかなる大手企業でも創業者の想い原動力になり事業をスタートしています。
会社の存在意義や経営者が目指す方向性を指し示す羅針盤になるものが、使命「ミッション」、経営理念「ビジョン」、価値「バリュー」という3つの三種の神器になります。
ある調査によれば、企業理念の浸透している「ビジョナリーカンパニー」の約70%が、直近5年の業績が向上している報告もあります。ですが、中小企業社長の中には、経営理念なんて無いと言う人もいます。
そこで今回は、ミッションとビジョンの違いとは?中小企業にも羅針盤が必要な訳について解説します。
「ネクスト・ソサエティにおける企業の最大の課題は、社会的な正統性の確立、すなわち価値、使命、ビジョンの確立である。他の機能はすべてアウトソーシングできる。」
<P・F・ドラッカー>
■ビジョンがある会社とビジョンが無い会社の違い
全法人(およそ255万社)のうち、設立5年で85%(217万社)が消滅、10年以上存続する企業が6.3%、20年以上存続する企業は0.3%というデータがあります。
ですが、社員を含めたステークホルダーが、羅針盤を元に共通して目指しているビジョンを掲げていれば、ゴールに至るまでのプロセスや行き方は複数ありますが、「実現したい未来」に必ずたどり着くことができます。
だからこそ、合言葉となるような崇高なビジョンはあらゆる企業の長期的発展に寄与するのです。
ちなみに合言葉(あいことば)は、共同体や仲間内で用いられる言葉の問答による合図の一種であり、互いが仲間であると認証するために、前もって問答を定めておいた言葉を指します。合い言葉とも記し、日本では、「山」と問われたら、「川」と答える合言葉が有名です。
1、ビジョンのない企業
ビジョンの不在→脱皮姿勢の欠如→組織の硬直化→社会適合性の喪失→市場価値の喪失→収益力の喪失→資金欠乏→倒産
2、ビジョンのある企業
ビジョンが存在→変化前提→組織の柔軟化→社会適合力の向上→市場価値の向上→収益力の向上→未来投資→発展
■ミッションとは?
ミッション(Mission=使命、任務)とは、 自社の社会的使命や存在意義を示したもので、企業にとって最も重要なものです。
ミッションからは、その企業が経営を通じて成し遂げたいことや、最も優先するべき事項、基礎となる考え方などを読み取ることができます。
つまり、企業が何を目的に事業を遂行しているのか、何のために社会に存在しているのかを表すものがミッションです。
ミッションを言語化し、社内外のステークホルダーと共有することは、ビジネスを加速させる上で非常に大切なことになりますい。なぜなら、ミッションの浸透や従業員の統率、モチベーション向上、体外的なPR効果など数多くの効果を得られるからです。
そのため、ミッションを声明として発信するミッションステートメントを作成、公開する企業が年々増加しています。
■ビジョンとは?
ビジョン(Vision=構想、見通し、未来像)とは、展望」という意味合いになります。
経営理念や企業理念においては「企業として将来どんな展望があるか」「この先どんな企業になることが理想か」を表します。
つまり、ミッションの達成を通じて目指す 組織や社会の理想の姿を明文化したものだと言えます。「ビジョン」を掲げることでゴールとなる理想の会社像を共有できれば、すべてのメンバーが同じ目的をもって仕事ができるようになります。
存在意義という普遍的な性質を持っているミッションに対し、ビジョンは中長期的な視点での将来像であるため、周辺環境や経営状態の変化など状況に応じて変更することがあります。
ビジョンは、明確な期限を設けずに掲げる「恒常的経営ビジョン」と、期限や具体的な施策、数値目標を明確にする「長期的経営ビジョン」の2つに大別することができます。
■バリューとは?
「バリュー(Value)」とはもともと「価値」という意味ですが、「企業や組織で共有すべき価値観や方針」という定義が一般的です。
どんな価値観で働くべきかを具体的にまとめた行動指針や行動規範などを「コア・バリュー」として表すケースも多いです。
会社における「コア・バリュー」とは、企業が「会社で働く人たち全員に共通して持っていてもらいたい」と考え、意図的かつ戦略的に定める価値観です。
そして、社員がその「共通の価値観」に基づいて日々考え、行動することを促します。
会社の「コア・バリュー」は、言い換えれば、企業の「魂」や「信条」、またそこで働く個人の「考え方」や「働き方」の基盤になるものであると言えます。
■ミッション・ビジョン・バリューを策定するタイミング
1、ミッション
明確な存在意義を持たない企業は、人の心を動かすことも、多くの成果を生み出すこともできません。ミッションはビジョンやバリューを策定する上でも必要不可欠です。
そのため、ミッションは 創業時に策定することがベストだといえます。
2、ビジョン
ミッションの達成に向け、全社員が一丸となって取り組んだ結果を示すビジョンは、成功イメージを社内で共有するために欠かせません。しかし、ビジョンは向き合う課題や実施する施策によって変化するという性質を持っています。
このことから、ビジョンは創業時に策定し、 大きな環境変化が起きた時に見直しを行うことが最適だといえます。
3、バリュー
従業員たちの共感や納得感を得られないバリューには全く価値がありません。
バリューは全社員を対象とする行動指針であるため、社員が少ししかいない創業直後に策定するのではなく、 一定の人数が集まった段階で策定すると良いでしょう。
■「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が必要な3つの理由
1、多様化する社員やメンバーのマネジメントが容易になる。
組織のメンバーが同じ目的、方向性を持たないと、バラバラなことをしてしまいマネジメントが難しくなります。
現在は企業のグローバル化が進み、社員の人種や国籍も多様化しています。
また、働き方や働く目的なども人によって多様化してきていますよね。組織内メンバーの多様化が進む中でも、羅針盤があることによって目標や行動指針が明確になっていれば、マネジメントしやすい環境に繋がります。
2、社員のエンゲージメント向上に繋がる。
エンゲージメントが高ければ、社員は会社に愛着心や思い入れがあるということ。「エンゲージメント(engagement)」とは、メンバーが組織に愛着心を持ち、組織とメンバーでの相互理解ができていることを指します。
つまり、エンゲージメントが高いという事実は、離職率が低くなる効果や新たな人材の採用活動にも役立ちます。ですので、人事戦略を成功させる上でも、非常に重要な要素と言えるのです。
3、経営者と社員が対等に議論でき、風通しがよくなる。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を社内で共有できていれば、社員から経営者や部門長などのトップに進言することも可能です。
例えばトップや上司の意見に納得がいかない場合でも、役職や入社時期などの順序を気にして言いづらいこともあるのではないでしょうか?明確な羅針盤があれば、「会社が目指すビジョンにそぐわない」という理由で意見をしやすくなります。
■ビジョンと比較されるクレドとは?
クレドとは、ラテン語で『志・約束・信条』を意味する言葉で、『企業全体の従業員が心掛けるべき信条や行動指針』のことをいいます。
企業経営サイドにとって、クレドは、従業員の個人的な目標とは異なり、企業全体に共有されるものです。また、言葉として掲げられるだけでなく、従業員それぞれの具体的な行動にまで反映されるべきものとされます。
企業が掲げるスローガンのようなものであることから、クレドは「ビジョン」とよく比較されます。
企業理念は、企業が存在する意義や価値・目的などを指し、多くは抽象的な表現で示され、創業当時から引き継がれるものです。
一方で、クレドは企業理念をより具体化し、簡潔な文章で示されます。また、企業の成長や時代の変化に合わせて、内容が変化する場合があります。
ビジョンは、企業が存在する意義や価値・目的などを指し、多くは抽象的な表現で示され、創業当時から引き継がれるものです。一方で、クレドは企業理念をより具体化し、簡潔な文章で示されます。また、企業の成長や時代の変化に合わせて、内容が変化する場合があります。
■まとめ
ビジョンとは「実現したい未来」。言うなれば、企業のみんなが共通で認識する「行き先」です。企業として目指すべき行き先が存在しないと、組織は変化せず硬直化し、最悪の場合は社会適合性を失ってしまうこともあります。
一方、進むべき方向がしっかりと示されてさえいれば、組織は柔軟に変化し企業はどんどん発展していくことができるのです。
ミッションは自社の社会的使命や存在意義、ビジョンは組織や社会の将来の姿、バリューは価値観や行動指針をそれぞれ示したものです。
ミッション・ビジョン・バリューは策定する目的や適切な策定タイミングは異りますが、必ず連動する必要があります。
会社のコア・バリューを明確に定めておくことによって、会社の信条や方針に基づいた意思決定や判断を下しやすくなります。
また、「コア・バリュー(共通の価値観)」を働く人皆で共有することによって、社内で統制のとれた判断、意思決定、行動ができるようになります。
世の中には星の数ほど価値観が存在しています。会社として「大切」と思える価値観はどの会社にもあると思いますが、その全てが会社の「ミッション」になる訳ではありません。「ビジョン」とは、会社の「中核となる」価値観となる旗印になるものです。
つまり、企業が自らのアイデンティティとして、「これだけは譲れない」というもの、戦略的に重要なものとして絞りこんだ結果、定義され「コア」になるものだと言えます。
■最後に
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規模の大きな組織がビジョンを作る時、組織トップや幹部等の少人数で作ることも多いでしょう。ただ、可能な限り外部の意見も取りると方向性が見えて来ます。
また、トップダウンで策定することも可能ですが、「ビジョン」の作成に幹部クラスだけでなくメンバーも関わると、ビジョン実現の当事者意識が高まる効果があるため、メンバー参加型で作り上げることをお勧めします。
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