バリュー・チェーン分析とは?付加価値の連鎖を最大化させるコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

企業は自社商品やサービスのうち、顧客から見て特に付加価値が高い部分、つまり「自社の強み」を見出し、その強みを育成していくことが非常に重要になっています。

その理由としては、今や人々は自分の欲しいものを世界中どこからでも見つけ出し、納得のいく価格で購入できるようになったからです。

そこで今回、バリュー・チェーン分析とは付加価値の連鎖を最大化させるコツについて解説します。

■バリュー・チェーンとは?
バリュー・チェーンとは、自社や競合他社の事業を機能別に分類し、どの工程においてどのくらいの量の付加価値が生まれているのかを分析することによって、早急に解決しなければならない課題の洗い出しや競争優位性を高める差別化戦略の構築を容易にしてくれる優れたフレームワークです。

バリューチェーンは、原材料を調達してから商品やサービスが顧客に届くまでに企業が行う活動の連鎖(チェーン)を、モノの連鎖(サプライチェーン)だけではなく、価値の連鎖「バリューチェーン」として捉えたものです。

バリューチェーン(Value Chain)という言葉は、ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授の著書『競争優位の戦略(Competitive Advantage)』の中で用いられて有名になりました。

バリュー・チェーンは、事業を機能別に分類して個別に分析することによって、どの工程においてどの程度の「付加価値」が生まれているのかを明らかにしてくれます。付加価値は、一般的には『特定の人物や場所、施設、商品、サービスなどに対して付け加えられた独自の価値』といった意味で使用されています。

経営資源を最大限に活用するためには、付け加えることによって顧客やユーザーの満足度や商品やサービスの実用性が高まるもの だけを真の付加価値と呼ぶ必要があるでしょう。

■バリューチェーン分析とは?
「バリューチェーン」を各活動ごとに切り分けて分析するためのフレームワークです。

個別の活動ごとに分析することで、どの工程で高い付加価値が生み出されているのか、またはどの工程に問題があるのかを明確に把握できます。また、各活動について詳しく分析し、自社の強みと弱みを明確にできます。

バリューチェーン分析には主に2つの目的があります。一つ目は各活動にかかるコストを把握し、コスト削減(コスト戦略)に役立てること。もう一つは自社の強みと弱みを把握し、差別化戦略に役立てることです。

競争が激化している現代では、低価格という理由だけで競合他社に勝つことはできません。自社の強みを把握し、さらに磨くことで、価格以外の点で消費者を魅了していくことが必要不可欠です。

■バリュー・チェーン分析の3つのメリット
バリュー・チェーン分析を実施することによって、組織は次のような効果やメリットを享受することができます。

1、強みと弱みの洗い出しが行える
自社に対するバリュー・チェーン分析の実施により各プロセス内で発生している付加価値の量やバランスを把握することで、ライバル企業や競合店よりも優れている点(強み、ストロングポイント)や劣っている点(弱み、ウィークポイント)を明確にすることができます。

2、競合他社の活動予測が行える
ライバル企業や競合店をバリュー・チェーン分析の対象にすることによるメリットは、強みや弱みの洗い出しだけではありません。

ライバル企業や競合店も強みを活かした事業戦略や経営戦略を構築し、弱みをカバーするための施策を講じます。そのため、ライバル店や競合店をバリュー・チェーン分析の対象にすることで、今後どのような戦略や施策を展開していくのか予測することが可能です。

それらの結果から、自社として、どのプロセスに注力することがより効果的であるかを見極めることが容易となるでしょう。

3、経営資源の効果的な再配分とコスト削減を実現できる
製品やサービスに対して新たな付加価値を加える「付加価値活動」を、自社内においてどれだけの範囲、規模で実施しているのか明確にしてくれるのがバリュー・チェーン分析です。

付加価値活動の全容を解明することによって、優先的に注力するべきプロセスと優先順位の低いプロセスの見極めが容易となります。それにより、過剰な経営資源を費やしていたプロセスが洗い出されることになります。

これらの情報を人事戦略や経営戦略に活用することによって、経営資源の効果的な再分配や経営効率化によるコスト削減を実現することができるでしょう。

■アーカーのベネフィット3分類
アーカーのベネフィット3分類は、どのような性質のものが顧客やユーザーにベネフィットや付加価値として認識して貰えるか
の参考になります。

1、機能的ベネフィット(機能的価値)
機能的ベネフィットとは『 商品やサービスが有する機能やスペック、特徴などによってもたらされる利便性や利益 』のことです。「この機能が欲しかった」や「こんな便利な商品があるなんて」などの感情が機能的ベネフィットの源泉となり、購買意欲へと繋がっていきます。

マーケティングを丁寧に実施し、顧客やユーザーの声にしっかりと耳を傾けながら商品やサービスの実用性を高めることで機能的ベネフィット向上を図ることができます。

また、クレームなどの批判的な意見を改善提案として前向きに捉えることで、機能的ベネフィットを大幅に向上させるだけではなく、顧客やユーザーに対して真摯に向き合う組織として高い評価を得ることができます。

2、情緒的ベネフィット(情緒的価値)
情緒的ベネフィットとは『 商品やサービスを購入し、所有することによって得られるポジティブな感情 』のことです。「小さな頃から憧れていた」や「海外生産より国内生産の方が安心できる」などの感情が情緒的ベネフィットの源泉となり、購買意欲へと繋がっていきます。

実用性アップが即座に反映される機能的ベネフィットとは違い、満足感や充足感、幸福感などの感情を対象とする情緒的ベネフィットを向上させることは容易ではありません。

しかし、情緒的ベネフィットには機能的ベネフィットよりも独自性が高く模倣されにくいという大きなメリットが存在します。自社製品や自社サービス、組織本体に対する多くのファンを生み出すことによって、組織は長期的かつ安定的な利益を獲得することが可能となるでしょう。

3、自己表現ベネフィット(自己表現価値)
自己表現的ベネフィットとは『 商品やサービスを所有することによって可能となる自己表現や自己実現のかたち 』です。「自分らしくありたい」や「理想の自分に近づきたい」、「もっと自信を持ちたい」などの感情が自己表現ベネフィットの源泉となり、購買意欲へと繋がっていきます。

機能的ベネフィットや情緒的ベネフィットの向上が他社製品との差別化に有効であるのに対し、自己表現ベネフィットの向上は自社のブランディングに有効です。

顧客やユーザーの夢や理想を実現させることのできる商品やサービスを継続的に生み出すことで、「この企業(ブランド)は私の願いを叶えてくれる」という感情を抱かせることができるでしょう。

■バリュー・チェーン分析の4つのステップ

1、「自社バリューチェーンの把握」
バリューチェーンは業種や会社により異なるので、まずは自社のバリューチェーンを把握することから始めます。自社のビジネスで行われている価値創造のプロセスを、主活動と支援活動とに切り分けてすべて挙げましょう。

業態によって定義できるバリュー・チェーンは様々で、自社がどのようなプロセスにあるのかを考えなければいけません。この部分は後の強み、弱みの把握をより容易にするため、出来る限り細かくセグメントするのがポイントです。

2、「各レイヤーのコスト把握」
次に行う分析は各レイヤー(先ほどの小売業の場合で言えば「商品企画」「仕入」などの活動を指します)のコストを把握することです。このコストの把握をすることで、収益性などをよりはっきりと認識することができ、無駄な部分が浮き彫りになってきます。

各活動のコストが主にどんな要因に影響されているかを調査します。これらはコストドライバーと呼ばれ、労働集約的な活動であれば労働時間、仕事の速さ、時給など、資本集約的な活動であれば設備、装置切り替え時間ロスなどがコストドライバーとなりえます。

3、「バリューチェーンの強み/弱み分析」
3つ目のステップでは、それぞれのレイヤー(活動)の強みと弱みを分析しましょう。
オススメなのは、自社と競合の強みと弱みを書く表を作り、出来るだけ社内で多くの人に配布して書いてもらう方法です。

ここでポイントなのは、「少人数で行わないこと」です。というのも、日々たくさんの企業様に訪問する中で「競合が行っている施策について教えて下さい」と聞いたところ、担当者が5名いる場合、5名とも別々の事を発言されます。

そこで、他の担当者の発言に対して驚く担当者も少なくありません。

これはそれぞれの担当者が、違う情報源から競合を見ているために起こってしまう現象です。そのため、できるだけ多くの人から情報を集め、それらを集約した一つのシートを作成しましょう。

4、「バリューチェーンをVRIOで分析」
VRIO(ヴェリオ)の要素で強みを分析する。バリューチェーン分析の活用法として、最後にVRIO(ヴェリオ)による経営資源の競争優位性分析を行います。

VRIOとは Value(価値)、Rareness(希少性) 、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字で、経営資源を分析する際の4つの要素を示しています。

Value(価値)その経営資源は経営目標の達成に有効か?
Rareness(希少性)その経営資源には希少性はあるか?
Imitability(模倣可能性)その経営資源はマネされにくいか?
Organization(組織)その経営資源を最大限に活かすことのできる組織作りができているか?

■まとめ
バリューチェーン分析は、企画や経営を行うマネージャーだけに有用な訳ではありません。各プロセスを担うそれぞれのチームにとっても素晴らしい効果があります。通常、商品やサービスの価値は最終形態となるまで目に見えにくいものです。

しかし、バリューチェーン分析を行えば、個々のプロセスで作り出されている価値が明確に見えてくるのです。自分の所属するチームが創造している価値が分かるとモチベーションが上がります。

また、全体の中での自分の役割を意識して各々が活動することで、企業は成功に大きく近づくことができるのです。

バリューチェーン分析の完了後、「プロフィットプール分析」を行うことも有効です。プロフィットプール分析は、バリューチェーンの構造自体の見直しに使われるフレームワークです。

スウェーデンの家具メーカーIKEAのように、バリューチェーンの構造変革によって大きな成長を遂げた企業は非常に沢山あると言われています。

■最後に
バリューチェーンの仕組みを理解することで、事業のセクションごとの洗い出しをすることで価値の見直しを図ることができます。ビジネスの成功を勝ち取った会社では例外なく、バリューチェーンへの貢献を会社全体が認識する一貫した理念を掲げています。

バリューチェーン分析を効果的に生かすためには、事業全体による価値提供の取り組みも重要といえるでしょう。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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