ここ数年、サブスクリプション型のサービスが次々と登場したことを皮切りに、日本でも「カスタマーサクセス」という言葉が浸透してきました。
現在、企業の顧客志向への転換とともに「CCO」というジョブタイトルを持つ、CXOを任命する企業が増加しています。
今回、CCOとは何か、CEOとの違いとCCOの仕事内容と役割について解説します。
■CCOとは?
CCOとは、顧客基盤からの収益最大化に向けた戦略の策定に責任を持ち、「カスタマーサクセス」を担う最高位の経営幹部のポジションになります。
CCOは、英語で「Chief Customer Officer」(チーフカスタマーオフィサー)の略になります。日本語では、「最高顧客責任者」の意味があります。
最高顧客責任者であるCCOは、「カスタマーサクセス」に対して責任を負う、トップマネジメントだとイメージすれば良いでしょう。
CCOのジョブ・ディスクリプションとしては、「顧客の成功を達成する」ことで、「自社の利益を得る」という考え方に基づき、顧客中心に組織、戦略、活動を推進することが主な役割になります。
ダイバーシティに取り組む欧米の会社では、顧客とのコミュニケーションの責任を持つ、CXOとして女性のCCOを登用する企業も増えています。
■CEOとCCOの違い
CCOとCEOは、一文字違いで区別が付きにくいですが、通常、CCOは、経営陣の1人としてCEOの直下に置かれます。
CEO:経営方針の決定や事業戦略の策定に関して責任を持つ「最高経営責任者」
CCO:カスタマーの獲得や維持を最大のミッションとする「最高顧客責任者」
CEOは、CEOは「Chief Executive Officer」の略で、日本語では「最高経営責任者」と訳されます。
最高経営責者であるCEOは、会社のビジョンを掲げ、経営方針の策定や事業計画書の策定など、長期的な経営事項の責任を負います。
一方、CCOは、自社が理想とする顧客となるカスタマーを明確に定め、経営戦略策定の視野とマーケティングの知見を武器に、「カスタマーエクスペリエンス」を作り上げ、収益性が最も高いロイヤルカスタマーを獲得し、長期的に維持していくことを責務とします。
カスタマーエクスペリエンス「Customer Experience」とは、「ある商品やサービスの利用における顧客視点での体験」のことです。
しばしばCXと略され、「顧客体験」や「顧客エクスペリエンス」とも言われています。
■CCOによるカスタマーサクセスの重要性
カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」という意味で、能動的に顧客に働きかけ成功体験へつなげていくことを指します。
顧客にとっての満足(成功)とは、具体的には以下の様な状態を指します。
BtoB:自社の商品やサービスの導入で、顧客のビジネスで具体的な実績が出ること。
BtoC:顧客が自社の商品やサービスに満足した実感を得て、顧客に便益が出ること。
つまり、CCOがカスタマーサクセスの活動を通じて達成すべきミッションと、目指すゴールは、「LTVを最大化」することにあります。
具体的には、LTVを鑑みカスタマーサクセスを通じて、サービスの解約率を減らします。
更にアップセル、クロスセルなどに働きかけ、顧客満足度の向上を目指します。
LTVとは、「Life Time Value」(ライフタイムバリュー)の略称で、顧客の生涯を通して企業にもたらす利益のことを指します。
カスタマーサクセスによるアップセルやクロスセルで、自社商材のLTVを向上させることができます。
顧客の成功体験を通じて、平均購買単価の向上・継続購買期間を延長・平均購買頻度の増加を促し、いち顧客のライフタイムの中から得られる利益を増やすことが可能です。
カスタマーサクセスを実現するためには、顧客のビジネスゴール、彼らの目的や活動などに込められた「思い」、ステークホルダーなどを理解することが重要です。
そして、CCOがリーダーシップを発揮し、理解により得られた情報をもとに戦略を練り、カスタマーサクセス実現に必要なチームを組成しマネジメントします。
■CCSが担うカスタマーサクセスの業務
自社の顧客の成功を伴走支援し、「LTV」を最大化させるカスタマーサクセスの業務は、顧客のステージに応じて大きく5つに分かれます。
1、オンボーディング
契約を済ませた顧客が安心して商品やサービスを使い始められるようサポートする。
CCOの大事な役割は、顧客サポートの行為を、ホスピタリティや商品価値を高めるために行うだけに留まりません。
2、サービスの導入
商品やサービスを実際に使用しながら、顧客が理想としている運用体制と現状のミスマッチを解消する。
購入から一定期間経過した顧客へヒアリングを行い、不満の芽を事前に摘み取ったり、より効果的な活用のアドバイスを行う。
3、限定活用
顧客が商品やサービスに馴染み、現場レベルでスムーズに活用できているかを継続的に確認・サポートする。
カスタマーサクセスの活動によって、顧客の不満の芽をすばやく摘み取り、満足度が高い状態を維持することで継続購買期間が長くなると、結果としてLTVが向上していきます。
4、成功実感
効果測定することで顧客の目的の達成具合を確認し、さらなる支援を実施する。
自社の利益の維持・増幅へ繋げる機会のひとつとして捉え、顧客に対して戦略的にアプローチを行うことになります。
5、さらなる活用
抽出したさらなる課題を解決することで成功を実感してもらい、アップセル・クロスセル・契約継続に繋げる。
このようにカスタマーサクセスは、伴走しながら成功に向けてサポートするため、顧客の成長や結果を身近で感じられるやりがいのある仕事になります。
■CCOの仕事内容と3つの役割とジョブ・ディスクリプション
CCOの役割について確認していきましょう。
1、顧客エンゲージメントのゴールを明確にする。
CCOは、「顧客とどういう関係性を構築したいか」という、長期的に実現したい顧客エンゲージメントのゴールを明確にすることが必要になります。
企業にとってのゴールはあくまで売上・利益の向上ですが、顧客エンゲージメントと同様に、短期的な向上ではなく中長期的な向上が重視されるようになってきました。
そして、その実現のカギは、「顧客体験」に移っています。従ってゴールを設定する上では、「どういった顧客体験を提供したいか」という「顧客エンゲージメント」には不可欠だと言えます。
2、顧客満足度を高めロイヤルカスターを増やす。
CCOはその名の通り、顧客に関する責任があります。顧客満足度を上げることが1番のミッションです。
競合他社が増え、マーケットが飽和している現在、自社サービスを選んで貰うことも大事ですが、一度、自社を選んでくれた顧客に対して継続してサービスを利用を続けて貰うために顧客満足度を上げることが重要になっています。
B2Bにおいても、CXは非常に重要です。
現に86%のB2B企業のCCO「最高カスタマー戦略責任者」が、CXは経営において重要だと考えています。
B2B企業のCCOの71%が、自社の顧客企業がB2C並みの素早い応対やチャネル横断での一貫した体験などを求めていると回答しています。
CCOはその名の通り、顧客に関する責任があります。ビジネスモデルを問わず顧客満足度を上げることがミッションになります。
3、「顧客第一主義」と社内外に浸透できる
ユーザーオリエンテッドとは、直訳すると「ユーザー=顧客」「オリエンテッド=指向」となり、お客様を第一に考えるという指向、つまり「顧客第一主義」のことを表します。
CCOは、顧客満足度を上げることも大切な役割ですが、「ユーザーオリエンテッド」に考えていることを、社内外にアピールする役割もあります。
社内環境が整い、成果物のクオリティが徐々に上がってきたなら、顧客アンケートなどで良い「顧客の声」が得られた際に社内で共有し、評価の対象とすることも効果的です。
なぜなら、自分の仕事が認められ、顧客に喜んで貰えたことで、社内の士気が高まるからです。
CCOがいることで社内のメンバーにも、顧客のためにサービスを提供していることを意識付け、経営理念やミッションを浸透させ、自分のパートで顧客に貢献できる方法はないだろうかと、考えさせる「企業文化」を根付かせるができます。
■まとめ
CCOとは、「Chief Customer Officer」の略で、「最高顧客責任者」を意味します。
CCOは、顧客満足「CS」(Customer satisfaction)の責任を負います。日本の企業では、「顧客満足」を最大化する担当する役員が、これに相当します。
現在、CCOの役割は、「最高顧客責任者」から、「最高カスタマー戦略責任者」へと進化して来ています。
「カスタマーエクスペリエンス」の質を高めることを「CX向上」と言います。
B2C企業はCXを向上させることで顧客離れの防止、リピーター客の獲得、ブランドイメージの向上、既存顧客による宣伝効果などのメリットを得ることができます。
CCOは、経営幹部として、企業内でより収益性の高いカスタマー戦略を構築して、適切にカスタマーを獲得、維持しながらサービスを提供することでより利益を拡大するという目標にコミットします。
今や多くの企業にとってCCOというジョブタイトルは、「あれば良い」ものではなく、ビジネス推進上の競争優位性を維持するのに欠かせない源泉となっています。
CCOを任命することは、「カスタマーエクスペリエンス」の仕組みを作り上げ、顧客満足度を高めることを重視してく企業文化を作り出すだけでなく、会社としてカスタマーサクセスを重視していることと顧客に伝える役割も果たします。
企業の持続的な成長には、顧客に対しての価値提供が重要になってきた中、ステークホルダーや社会全体に対して、CXの取り組みをアピールする上でもCCOという存在は、一層重要なポジションになったと言えるでしょう。
「選択肢はいくらでもある過剰生産の経済において、ひとつの製品を際立たせ、新しい意味と名前を与え、消費者の欲しいという気持ちに火をつける。これが現代マーケティングの醍醐味なのだ。」
<フィリップ・コトラー>
■最後に
CCOは、既存顧客とのエンゲージメントにしっかりと顔を向けて、カスタマーサクセスを提供価値を行うチームが顧客の維持向上に集中できるよう支援する責務があります。
CCOの最重要な役割の1つは、会社内のすべてのレベルに対して説明責任とオーナーシップを発揮し、「カスタマーセントリック」の企業文化を力強く醸成することです。
なぜなら、カスタマーセントリック失敗した企業のCCOは、ロイヤルカスタマーとなる優良顧客の減少に伴い、会社全体の売上が少なくなり、自身のマインドも燃え尽きてしまう可能性があるからです。
CEOとしては、CROなど他のCXOとの連携を図り、自社への売上に対するインパクトが大きく、最も収益性の高い新規顧客を開拓する必要もあります。
つまり、会社の持続的な成長を実現するためには、新規のリード顧客を定期的に獲得しながら、CCOとロイヤルカスタマーの維持を行う取り組みを並行して行うことも求められます。
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■ロイヤルカスタマーになる大手企業の新規開拓をしたい企業様へ
現在、CCOの負担を軽減し、売上を上げることをも目的に、上場企業や大手の優良企業など、ナショナルクライアントのリード獲得の実行支援を行っています。
その中でBANTを駆使した大手企業の役員クラスや購買の決裁権を持つキーマンとの商談機会を作ることで、新規顧客の開拓や新たな販路チャネル拡大の実行サポートを推進しています。
BtoBのビジネスモデルで大手企業を対象顧客に定めている企業の場合、新規開拓や顧客ニーズの深堀には、顧問の人的ネットワークや人脈を借りたトップダウン営業の施策をお勧めします。
なぜなら、予めリード顧客の役員クラスとの強いコネクションを持ち、社会的信用が高い顧問からのリファラル紹介であれば、アポイントの獲得に繋がりやすいだけでなく、プロジェクトの成約率が圧倒的に高いと言えるからです。
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