ステークホルダーとは?企業の発展には利害関係者が大切な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

近年、企業は株主だけではなく、あらゆるステークホルダーの利益に配慮すべきだという「ステークホルダー資本主義」の考え方が世界中に広がっています。

それに伴って、ステークホルダーにどれだけ配慮できているかが、企業を評価する指針の一つになってきました。 ステークホルダー資本主義が浸透することで、企業には「事業を通じ、社会貢献をする責任」が生じます。

そこで今回は、ステークホルダーとは何か、企業の発展には利害関係者が大切な訳について解説します。

■ステークホルダーとは?
ステークホルダーとは、企業が経営をする上で、直接的もしくは、間接的に影響を受ける「利害関係者」を意味します。

利害関係者というと、金銭的な関係があるクライアントや従業員、株主などが思い浮かびますが、ステークホルダーは企業活動によって影響を受けるすべての相手に対して使う言葉です。

ステークホルダーは、英語で「stakeholder」と表記されます。「stake(出資金)」と「holder(保有者)」の合成語になります。

哲学者かつ企業倫理の研究者であるロバート・エドワード・フリードマンが1984年に著書『Strategic Management : A Stakeholder Approach』において使用してからビジネス用語として普及していきました。

多種多様な立場の人物や団体がステークホルダーに含まれるので、利害は必ずしも一致しません。

経営者は、ステークホルダー間の利害のバランスを取りながらビジネスを営み、企業を成長させる必要があります。

■ステークホルダー資本主義とは?
ステークホルダー資本主義とは、企業は株主の利益を第一とするべしという「株主資本主義」とは違い、企業が従業員や、取引先、顧客、地域社会といったあらゆるステークホルダーの利益に配慮すべきという考え方になります。

ステークホルダー資本主義については、2020年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)の主題となりました。

企業のCSR活動に止まらず、自社の利益拡大と社会課題の解決の両輪を実現することで、広範囲な社会課題へのアプローチが期待されています。

株主第一主義を貫いてきたアメリカに対し、日本企業の経営には古くから「買い手・売り手・世間の三方よし」という近江商人のが根付いています。

中世から近代にかけ、近江を本拠地として日本中を行商し、各地の需要に合わせた商売で日本経済の発展に大きく貢献しました。自らの利益のためだけでなく、社会貢献活動を視野においた商いの精神です。

それは、自分たちの利益だけを追求するのではなく、お客様に満足してもらうと同時に、社会へ貢献しなければならないという経営哲学になります。

日本の数多くの企業で実践されてきたこの考え方は、ステークホルダー資本主義の概念に通じる部分が多いと言えます。

■ステークホルダーの例
「ある企業が利益を上げた際に、どのような人物や組織がステークホルダーに当てはまるのか」を、利害の内容の具体例とともに示します。

・株主:配当金が発生したり金額が増加したりする
・経営者:役員報酬の増加
・従業員:給与・賞与の増加や福利厚生の充実
・顧客(消費者):「スーパーが新規出店し買物の利便性が向上する」など
・取引先企業:受注の増加、良好な労働環境の実現
・競合企業:「顧客を奪われる」などの不利益が発生
・行政機関:税収の増加
・地域社会:雇用の創出、公害・環境負荷の発生など

これらの人物・組織は、直接的・間接的にさまざまな影響が発生するのでステークホルダーに該当するといえるでしょう。

公害や環境負荷のように「すぐに判明しない影響」を受ける人物・組織も含まれるので、「本人は気が付いていないけれども、実はステークホルダーに該当する」というケースがある点にご留意ください。

■ステークホルダーの特徴
ステークホルダーを考える上で知っておきたいのは、利害関係者といってもお互いの利害が一致するとは限らないということです。

地域社会は企業が地元に貢献してくれることを望みますし、従業員は給与が上がることや待遇が改善されることを期待します。企業が利益を上げれば、競合他社の売上は落ちるかもしれません。

このように、それぞれの利害が異なり、時に相反するものであっても、中心となる企業から何らかの影響を受けていればステークホルダーと呼びます。

その企業が利益を上げることで競合相手は損失をこうむるかもしれません。

しかし、利益であれ、損失であれ、なんらかの影響を受けていれば、それはステークホルダーだというわけです。

■ストックホルダーとシェアホルダーの違い
こうしたステークホルダーの中でも株主のことを特別に「ストックホルダー」、あるいは「シェアホルダー」と呼びます。

・ストックホルダー:単に株を保有している株主のこと
・シェアホルダー:株主の中でも議決権を持つ株主のこと

更に、「ステークホルダー企業」や「ストックホルダー企業」という言葉もあります。この場合はステークホルダー全体の利益バランスを考えている企業がステークホルダー企業であり、株主の利益優先で考えるのがストックホルダー企業ということになります。

■ステークホルダーは2種類ある
ステークホルダーは非常に広い範囲を対象とする言葉であり、主に、それらを総括して呼称する場合に用いられます。

逆にいえば、従業員や顧客といった個々の対象を問題とする際に、わざわざステークホルダーと呼ぶことは基本的にはないはずです。

なお、ステークホルダーは組織との関係性によって、「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」の2つのに分類されます。

1、【直接的ステークホルダー】
・従業員
・消費者
・クライアント
・株主
・金融機関

直接的ステークホルダーは、企業の活動範囲や規模、内容に直接的な影響を与えるとともに、企業活動によって直接的な影響を被るステークホルダーのことです。

2、【間接的ステークホルダー】
・政府
・地域社会
・従業員の家族

間接的ステークホルダーは、企業の活動範囲や規模、内容に直接的な影響を及ぼさず、企業活動によって直接的な影響を受けることもありませんが、間接的、相互作用的に影響し合うステークホルダーのことです。

■ステークホルダーの捉え方の注意点
企業は、雇用形態にかかわらず、社内で働く従業員、商品やサービスを購入する消費者、融資してくれる金融機関、刺激を与え合うライバル会社、そうしたすべてのステークホルダーとの関係のうえに成り立っています。

一言でステークホルダーといっても、その意味するものは企業によって異なる場合があるので注意が必要です。

例えば、より直接的な利害関係者である「顧客・社員・株主・取引先」だけをステークホルダーと呼び、金融機関や地域住民などは想定していないケースも珍しくありません。

「ステークホルダーとはあらゆる利害関係者を指す言葉だ」と決めつけることなく、文脈や話の内容によって具体的にどういった意味で使っているのかを理解することが重要になってきます。

あるプロジェクトを実行する際には、多数のステークホルダーが存在するので、それぞれの利害が異なる点に留意しましょう。

主要なステークホルダーの一人となる株主のみなど、特定の利害関係者だけを向いて経営してはいけません。

各ステークホルダーと良好な関係を構築することが、企業の成長にとって大切なのです。

■まとめ
ステークホルダーとは特定の組織が活動することで利害が生じる可能性があるすべての集団や個人を指します。ステークホルダーは、株主・経営者・従業員・顧客・取引先のほか、金融機関、行政機関、各種団体など、企業のあらゆる利害関係者を指す言葉になります。

利益でも損失でも、何らかの影響を企業に及ぼす存在であればステークホルダーであり、必ずしもその利害は一致しないということもあります。

最近では、ステークホルダーの重要性に気付き、ステークホルダーに対する企業としての姿勢を明文化したり、このステークホルダーとの関係性を重視し、それを経営理念に掲げる企業も増えてきました。

現代はステークホルダーとの関係強化がビジネスにおける利益に繋がると言われているだけに、いかにしてステークホルダーとの信頼関係を築いていくかといった問題も重要な課題になってきます。

企業に対する世間の目が厳しくなる今、すべてのステークホルダーとの良好な関係の構築は欠かせません。「企業は単体では活動できない」ということを肝に銘じて、関わりを持つすべてのステークホルダーと良い関係を築く努力をすることが大切です。

「若者には、通常の成功を人生の第一の目的とすることを教えるべきではありません。

学業と労働の最も重要な動機は、学んだり働いたりすることそのものの喜びと、その結果として社会に貢献できるという期待感でなければなりません。

教育者の最も重要な課題は、若者を励まして、そういう意識を待たせることです。」

<アルベルト・アインシュタイン>

■最後に
ステークホルダーとの良好な関係は事業者にとって一種の経営資源であり、その意向や動向を無視して事業を行うことはリスク要因にしかなりません。

そのため、継続的な「ステークホルダーエンゲージメント」を通じて良好な関係を強化することが事業を円滑に進めるポイントになります。

ステークホルダーエンゲージメントとは、「ステークホルダーが関心を寄せる事項について、情報提供や対話の機会を設けて理解を深め合い、意思決定に反映させて企業の価値や業績を高める取り組み」のことです。

ステークホルダーエンゲージメントを実施することで、事業者は、事業活動に影響するような情報収集やトレンド観察といった戦術的ニーズを充足すると同時に、組織の透明性向上、長期的成長に不可欠なステークホルダーからの信頼を獲得します。

また、新たな課題・機会に対応するために必要なイノベーションや組織変革の促進まで、様々な戦略的ニーズにも対応することが可能になります。

■ステークホルダーエンゲージメント実現したい企業様へ
ステークホルダー資本主義を実現するための取り組みでは、日本ではあまり一般的でないCCOを置くことも有効な施策になります。

なぜなら、企業として一貫性のあるメッセージを発することで社会的な信頼性やブランド価値を高めることに重きを置いていると考えられるからです。

近年、日本の企業でも見られるようになった役職であるCXOは、その企業の戦略やビジョンを反映する存在でもあります。

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社長の懐刀として経営課題を抱えている経営者へのアドバイスだけでなく、ステークホルダーとの関係構築を踏まえた事業課題の解決に向けた実行支援を行うことを最大のミッションに掲げています。

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■大切な事業パートナーとなる顧問やプロ人材の皆様へ
個人事業主「フリーランス」1人だけでは、契約を阻まれるような大きなプロジェクトも、共同受注体としてアプローチすることで、その門戸は開かれます。

顧問やプロ人材の持つ、それぞれの知識・経験・スキル・人脈を最大に発揮できるよう効率よく機能する組織体、それこそがKENJINSが提唱する「共同受注体」という新たな仕組みになります。

直接契約ではなく共同受注というスキームだからこそ、大事なステークホルダーとなる沢山の顧問の方々へ活躍の場を創出することを実現し、フリーランスの顧問のエージェントとして共にクライアント企業のビジネスを成功に導く役割を果たします。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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