現在、特化したスキルを持った「プロ人材」を現場のニーズに合わせて配置するジョブ型の「ギグワーカー」への仕事依頼が増えています。また、副業OKの企業が大手企業でも広がりつつある今、ギグワーカーが爆発的に増えています。
ギグワーカーは、新たな働き方の選択肢として、そして企業の新たな労働力確保の手段としてなくてはならないものになっています。
ですが、ギグワーカーとしてフリーランスで活動する人たちにとっては、大きな魅力がある反面、社会保障などの面で不安定な要素があるのも事実です。
そこで今回は、ギグワーカーとは何か、複数の仕事をするギグワーカーのメリットについて解説します。
「人生には「ここ一番」という踏ん張りどころが何度かある。どんな分野でも一流と呼ばれるのは、そういう「ここ一番」の局面で踏ん張れることができる人。」
<道場六三郎>
■ギグワーカーとは?
ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービスを介して雇用関係のない企業から仕事を委託され、特定の業務を行うことで報酬が支払われる働き方のことを指します。
ギグというエコノミー内では様々なことが柔軟です。労働者は自分の都合、例えばスケジュールやライフスタイル、自身のスキルに応じて仕事を選んで受注できます。発注者もプロジェクトやタスクベースで仕事に対して労働者を雇用できます。
配車サービスのUberやフードデリバリーのUber Eats、宿泊施設仲介のAirbnbや家事代行サービス、クイックコマースなどが例として挙げられます。
データ入力やコンテンツ制作、Webサイト制作やプログラミングといったより専門性の高い業務を依頼できるクラウドソーシングも含みます。
■ギグとして働くビジネスマンの起源
2009年頃から、北米でギグエコノミープラットフォームが生まれました。
ギグエコノミーは、仕事の発注・受注を行うためのインターネット上でのプラットフォームの普及とともに用語と市場が一般化しました。
プラットフォームによって仕事をしたい人(労働者)と、仕事を依頼したい人(経営者や事業主、あるいは個人であることも)がスムーズに出会い、仕事の受発注が成立するようになりました。
ギグワーカーの属性の中にはホワイトカラーとして、クラウドソーシングサイトでロゴマークの作成など、安価で単発の仕事を請け負う人だけではありません。
ギグの中には、プロジェクト単位で、高額な仕事依頼を請け負うエンジニアや、空き時間を利用して単発の仕事を受けるハイスキルな副業のプロ人材も沢山います。
■ギグワーカーの属性
ギグワーカーもフリーランスもどちらも個人で仕事を受注する働き方です。しかし受注する業務の継続性が異なります。
継続性の低い単発の仕事を受注するのはギグワーカー、継続性が高い仕事を受ける場合はフリーランスにカテゴライズされます。
企業に属さずにインターネットを通じて個人で単発の仕事を請け負う働き方、あるいはそのワークスタイルを基盤とした経済のことをギグエコノミー(gig economy)と呼ばれています。
労働政策研究・研修機構によりますと、「ギグワーカー」を含むフリーランスの労働者は、全国でおよそ170万人おり、このうち本業として働いている人は130万人、副業としている人は40万人ほどと推計されるということです。
また、機構がひと月の収入を調べたところ、50万円未満と答えた人が、29.4%、50万以上、100万未満と答えた人が11.2%だったということです。
雇用契約に基づく労働者の場合、労働法による保護の対象となりますが、業務委託契約で働くギグワーカーの場合には、サラリマンとして働く正社員の労働者でありません。
ですが、個人事業主のような自営業と同様の形態になるため、1つの会社で働くことに縛られる正社員とは異なり、複数の会社で複業や兼業として業務委託契約に基づき働けることが最大の魅力になります。
■業務委託契約とは?
業務委託契約とは、会社が業務を外部の企業や個人に委託する際に行う契約です。これを受けたギグワーカー側は、労働力ではなく「仕事の成果」を提供します。
ギグワーカーは、会社員や派遣社員とは異なり、会社と雇用関係を結ばず、対等な立場で業務を遂行します。そのため、会社側から業務の進め方に対して、指揮命令を受けることはありません。
また、「何時から何時まで働いてください」という時間的な制約を受けることも基本的になく、あくまでも委託された業務を遂行すること、もしくは成果物を完成させることで「報酬」が支払われます。
ただし、企業と交わす契約書の名称が「業務委託契約書」となっていても、実態が雇用契約による労働者と同じ働き方となっていれば、その企業に雇用された労働者とみなされることもあります。
■ギグワーカーが増加している背景
これまで日本国内の労働者の正社員志向は強いため、自社にとって必要十分な人材をギグワーカーだけでまかなうのは現実的ではないと考えられてきました。
ところが、新型コロナの影響によって、今までの雇用環境か悪化し、シフトによる働き方が難しくなった人材が、ギグワーク市場に押し寄せる形となりました。
新しい働き方に活路を見出した人が、それぞれの事情からギグワークに携わるようになりました。
ギグワーカーに人気のUber Eats「ウーバーイーツ」の配達パートナーの報酬を時給換算すると、大体800~2,000円ほどです。
日給の相場は自転車10,000円、バイク15,000円、配達の達人だと20,000円になります。月収では、15,000円×週5日=月収30万円以上は現実的に稼げる金額となります。
業務委託で個人として働くギグワーカーの場合、企業と雇用関係を結ぶ「労働者」ではなく、対等な関係である独立した「個人事業主」として仕事を受ける形になります。
このようなワークスタイルと契約形態は、会社員として働きながら、副業を業務委託で仕事を行う場合も例外ではありません。
また、業務委託で働く際には、多くの場合、個人事業主として開業届を提出し、確定申告を行う必要があります。
■ギグワーカー側のメリットとデメリット
業務委託のギグワーカーとして働くことに興味をお持ちの方は、以下のメリットとデメリットを参考に、ご自身にとってどのような働き方が適しているのかを考えてみることをお勧めします。
1、ギグワーカーとして働くメリット
ギグワーカーの業務委託として働く最大のメリットは、時間や場所に縛られず、得意な分野の業務のみ行えるということでしょう。
勤務地や勤務時間がきっちり決まっていることの多い会社員と比べると、業務委託は働き方の自由度が高いと言えます。
・得意とする業務のみを専門として行なえる
・価値が高い業務を行える実力があれば高収入に繋がる
・契約に基づいた業務を完了すればよい
・業務の進め方、どこで行うか、いつ行うかの裁量がある
・依頼業務を断ることが可能
一つひとつの業務に対する報酬がはっきりと分かるという成果の見えやすさがモチベーションにつながっている人もいるようです。
更に、業務委託はやればやった分だけ報酬を得られるため、自分の裁量によって高収入を目指すことも可能です。
2、ギグワーカーとして働くデメリット
業務委託で働くギグワーカーは、従業員ではなく事業主のため労働基準法が適用されず、会社員だと企業が代行してくれる確定申告や保険料の支払いを、自分で行わなければなりません。
・労働法が適用されないため働き方や健康管理は自らの責任
・企業との契約・報酬の交渉を自ら行う
・確定申告などの税金の申告を自ら行う
・仕事は自ら見つけて来なければならない
業務委託は自分で仕事を取ってきて、業務を完遂しないかぎり、報酬を得ることができないため、収入が安定しない可能性もあります。
■発注側のメリット
企業が単発の仕事をギグワーカーに業務委託を活用するメリットは、教育コストや経費を最低限に抑えつつ、必要な時のみ専門的な業務をすぐに任せられるということです。
その理由としては、企業が従業員を雇用する際には、採用や研修のコストと併せて、社会保険や業務に必要な設備・備品の整備など、膨大な時間と費用が掛かるからです。
ハイスキルな仕事を業務委託でプロ人材に依頼する場合には、プロジェクト自体の業務に必要な専門性が高く、委託費用も単価で見ると高額になりがちですが、正社員として従業員を雇って育てることを考えると、ギグワーカーに適材適所でスポットで参画して貰い、外部の力を借りることが結果的にコスト削減につながるのです。
スポットコンサルティングもギグワーカーの仕事なりましが、専門家の知見が必要な際に単発で仕事依頼を行う形であれば、報酬が多少高かったとしても、報酬以外の時間や労力のコストをカットすることができるので、結果的にトータルコストは抑えられます。
さらに、社員では対応が難しい難易度の高い仕事でも案件ベースで依頼することができることも企業サイドの大きなメリットだと言えるでしょう。
■専門スキルが高いギグワーカーの案件が増加中
企業に所属せずにギグワーカーとして働くプロ人材が、スキル不足で困窮している企業へ必要な期間参画し、終了すればまた次の企業へと渡り歩くビジネスモデルは、人材側にとっても企業側にとってもメリットがあります。
ヤフーのような大手インターネット企業でもオープンイノベーション取り組み、事業プランや事業戦略の立案など企業の経営において重要な役割を持つ仕事もギグワークとして募集され始めています。
ヤフーでは、“日本を元気にするためのインターネットサービスの企画立案”を行うギグワーカーを戦略アドバイザーとして募集しています。
契約期間は2ヶ月で、報酬は月5万円という条件を提示しています。
単価な仕事でも受ける際は、嫌々「やらなければいけない」と捉えるか、「自分の経験や糧としてやってみたい」と取り組むか。その「意識の違い」こそが、本当のプロになれるかどうかの分かれ道になります。
ギグワーカーは、案件により報酬体系が大きく異なりますが、専門スキルが高いプロ人材であれば、高額で魅力的な報酬が期待できます。
しかし、一方では、能力やキャリアによって処遇格差が広がるジョブ型というワークスタイルでは、いちはやく自分の武器やポジションを見定め、バリューを発揮できなければ、いつまでも賃金を上げることができない可能性もあります。
これからスキルを磨くにあたって意識する必要があることは、「ポータブル・スキル」を磨くことです。
「ポータブル・スキル」とは、直訳すると、「持ち運びできる能力」。業種や職種を超えて通用する汎用性の高いスキルのことです。
長期的で高単価な仕事を担うフリーランスとして活躍するためには、専門スキルを磨くだけでなく、実績や成果として「半年間に1個、職務経歴書に書けることを増やす」という自己研磨と成果を上げることに対する前向きな心構えが必要だと言えます。
■まとめ
ギグワーカーは、インターネット上のプラットフォームやアプリを通じて、単発で仕事を受注する人を指します。
ネット経由で企業や個人からの仕事を単発で請け負う働き方は、場所や時間、組織に縛られずに暮らす働き方として、そして副業の選択肢として注目されています。
ギグワーカーとして仕事をする際は、働く時間や場所、複数の会社を掛け持ちすることができます。専門スキルが高い人は、得意分野を活かして沢山のプロジェクトの中から複数の仕事を選び携わることが可能になります。
ですが、収入などの自由度が高い分、問題が発生した場合にすべて自分で対処する必要があるなど、大きな責任も伴います。関わるクライアントや案件が月ごとに変わるといったケースも珍しくありません。
それらの変化に柔軟に対応し楽しめる人で、専門性を生かして働きたい人は、ギグワーカーとして活躍し業務委託で働くメリットを得やすいと言えるでしょう。
現在、日本は、働き方改革や高度プロフェッショナル制度などの取り組みも始まっており、働く環境と社会が少しずつ変化し始めています。その変化を受け入れ自分はどのような選択をするかが必要になりました。
これまでのように「企業に所属していれば安心」という時代は終わりを迎え、一人ひとりが「自分は何のプロフェッショナルと言えるだろうか?」と自問自答し、自律するための武器となる「ポータブルスキル」を持つことが求められる時代が到来しました。
働き方が多様化する現在、会社に所属するだけでなく、ギグワーカーになり個人事業主として企業と業務委託契約を結んで働くことも選択肢の一つです。
業務委託の働き方と会社員や派遣社員として働く場合との違いを見比べた上で、自分に合ったワークスタイルを選ぶようにしましょう。
■最後に
ギグワーカーが従来のフリーランスエージェント経由で仕事を受注する場合は、マージンの支払いで自分の手取り報酬は減るのが一般的ですが、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」なら、中間マージンの搾取はしません。
クライアント企業からお支払い頂く顧問報酬は、100%仕事を担当したプロ人材に支払うことを事業コンセプトに掲げています。
ギグワーカーとしてスキルを最大に発揮できるよう効率よく機能する組織体、それが、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」が提唱する「共同受注体」という新たな仕組みになります。
フリーランスのギグワーカーが1人だけでは契約を阻まれる大きなプロジェクトも、共同受注体としてアプローチすることで、その門戸は開かれます。
直接契約ではなく「共同受注」というスキームだからこそ、沢山のプロ人材への活躍の場を創出することを実現し、顧問やプロ人材のエージェントとして共にクライアント企業のビジネスを成功に導く役割を果たします。
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