T型人材とは?T型人材やプロ人材・顧問が新時代を牽引する理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

インターネットの普及により、年々、技術革新のスピードは上がっています。AI、IoT、VRなど、数十年前では考えられなかった技術・サービスが登場しています。

専門性だけでなく、最新の情報や知見をキャッチアップできる「深く専門性を知り、広く知見を得る」、T型人材が求められています。

そんな中、革新性を求める多くの企業から、特に必要とされているのが「T型人材」と呼ばれる人たちです。

そこで今回、T型人材とは?T型人材やプロ人材・顧問が新時代を牽引する理由について解説します。

■T型人材とは?
「T型人材」とは、特定の分野を極め、専門的な知識や経験とスキルを蓄積し、これらを軸にして、その他の幅広いジャンルに対しても知見を持っている人材のことを指します。

英語で「T」の文字の縦を「専門性」、横を「視野の広さ」に見立て、「T型人材」と呼ばれています。

「シングル・メジャー」とも呼ばれます。一つの専門分野に精通している人材は「I型人材」または「スペシャリスト」と呼ばれ、このI型に横棒を加えた人材が「T型」となります。

横棒は幅広い目利きができるゼネラリストとしての能力を示しており、スペシャリストとしての軸にゼネラリストとしての能力が加えられることで、あらゆるビジネスシーンで主導的に活躍できるとして、その人材育成に注目が集まっています。

従来、重用されてきたような、1つのジャンルの専門家である「I型人材」に代わり、創造性のある人材が必要とされるようになりました。

専門性と実務を融合させるためには、「T型人材」のように、幅広く知見を持つ人材が重要な存在になるのです。

■専門分野+幅広い知識を持つT型人材が企業に必要な理由
昨今のビジネスシーンは「多様化の時代」とも言えます。

様々な専門性が融合して一つのビジネスが生まれます。T型人材は、自身の専門性を軸に、広い視野をもってビジネスシーンを見渡せ、その中心に立てる人材と言えます。

換言すると、コラボレーションによって専門外の技術をも融合・展開できる人材が求められているいます。

T型人材とは、深い知識を持つ1つの専門分野を持っていて、かつ横に広がる幅広い知識を持っている人のことを指します。

1つの専門分野を持つスペシャリストをI型人材と呼び、それに横方向の他分野に関する広く浅い知識が加わっているためT型と呼ばれているのです。

一つの専門分野に深い知識・知見をもつ人材(I型人材)は、その分野には長けていても他の分野へ展開することができないという欠点をもつというのが現在の見方です。

一方で、単なるゼネラリストは広く浅い知識しか備えておらず、ビジネスシーンで他の人材に対して優位性を示すことができません。

ある専門分野の深い知識を持っていることは素晴らしいですが、それに固執しすぎるとほかの分野に携わる人とよい関係を築けません。現在、企業はグローバル化しており、他者とのかかわりを持たずに仕事をこなすのはほぼ不可能です。

■T型人材が企業に欠かせない理由
自分の専門分野を持つことはもちろん、ほかの分野に関する幅広い知識を持ったT型人材が企業に必要なのです。

また、T型人材は自分の専門知識をほかの分野に生かす可能性を見つける点で優れた能力を発揮します。固定観念を無くし、あらゆる可能性を探るうえでT型人材は非常に貴重な存在なのです。

実際に世界の大手企業のなかにはT型人材の育成に成功し、それまででは考えられなかったアイデア商品を開発したところもあります。T型人材として育成された本人にもメリットがあります。

現在は技術の進歩が目覚ましいため、自分の専門分野がほかの専門分野やロボットに取って代わられてしまう恐れがあります。

しかし、T型人材として成長を遂げていれば、自分の専門分野がほかの分野に取って代わられても仕事を失ったり、存在意義を見失ったりせずに済むでしょう。

■複数分野を横断する仕事の増加
「多様化の時代」と先述しましたが、いま注目されているビジネス領域というのは融合分野に他なりません。

例えば、AI(人工知能)技術が注目されていますが、この領域はこれまでの各種専門分野にビッグデータ解析を導入した融合領域となっています。

医療、金融・経済、ロボット工学、スマート農業など、あらゆる分野がインターネットおよびクラウドコンピューティング技術との融合により新たな価値を生み出し、生産性の向上に役立っています。

このような融合領域または技術は、これまで一つの専門分野でしか扱われてこなかったビジネス領域を拡張し、競合他社の少ない新たなビジネスチャンスを生む可能性が高いと言えます。

このようなビジネスシーンにおいて能力を発揮できるのが、専門性を水平方向へ展開できる広い視野をもったT型人材であると言えます。

■IT業界におけるT型人材の必要性
IT「Information Techonology」業界では、IoT「Internet of Things」やIoE「Internet of Everythings」という言葉が飛び交うようになりました。

インターネットを介して各種センサーやセンサーを搭載した電子機器、家電製品がクラウドコンピュータに繋がり、高度なデータ解析アルゴリズムを介して情報やサービスが提供される時代になっています。

サービスを提供する側は、情報ネットワークから末端の電子機器、さらには仲介するクラウドコンピュータが保持・活用するデータベースに関わる知見をもち、それらを活用するためのプログラミングの知見までをも見通せる人材が必要となっています。

ここまで技術分野が広範になると、全ての専門性を備えることは不可能であり、各々の専門分野のスペシャリストと対話できる、擦り合わせの能力の高い人材がプロジェクト型のビジネスを運営する上で重要な役割を演じるという訳です。

■Π型人材・△型人材とは?
今企業に求められているT型人材に対して、Π(パイ)型人材や△(トライアングル)型人材と呼ばれるタイプの社員もいます。

Π型人材とは、深い知識を持つ専門分野を2つ有している人材のことです。

そのためダブルメジャーとも呼ばれます。もちろん自分の専門分野以外にも幅広い知識を持っており、T型よりもさらに貴重な人材といえます。

2つの専門分野における知識、さらにほかの分野における知識を組み合わせてさらに創造的な業務を行える可能性を持っているのです。企業としてはT型人材を育てつつ、そのなかからさらにΠ型人材を見つけることを目標にできるでしょう。

一方で△型人材とは、トリプルメジャーとも呼ばれ、3つの専門分野を有している人のことです。

T型人材、Π型人材との大きな違いは、幅広い知識が必要ない点です。3つの専門分野を持っていれば、それらを融合することでじゅうぶん有用な業務が行えるからです。幅広い知識を持っていなくても企業に必要とされる人材として働けるでしょう。

■T型人材に求められる3つの能力とスキル
では、T型人材になるためにはどのような能力・スキルが必要なのでしょうか?

1、意図的に成長できる力
従来型人材のゼネラリスト(一型人材)とスペシャリスト(I型人材)の両面を兼ね備えるには、現状にとどまることなく、常に新しいことにチャレンジし意図的に成長できる力が必要不可欠です。

成長意欲だけでなく、学習意欲や知的好奇心も重要な要素の一つとなります。

2、正解がない中で答えを掴み取る力
今は、複雑性、曖昧性の高い、いわゆるVUCAと呼ばれる時代。T型人材は、明確な答えが提示されない環境でも、自分なりの答えを提案することができます。

ルールを守る側ではなく、ルールを作り出す側として、より主体的に社会と関わりながら仕事ができるのが特徴です。

3、アナロジー思考で行動できる力
アナロジー思考とは、全く異なる業種の類似点を発見し、それを組み合わせることで新しい価値を出す考え方で、T型人材が得意とするところです。

保有するコアスキルと、幅広い知見を組み合わせることで、シナジーを生み、イノベーションを起こすことができます。

■社員をT型人材に育てるポイント
社員をいきなりΠ型人材や△型人材に育てることは困難です。そのため、まずは社員をT型人材に育てる必要があります。
そのために効果的なのが「ジョブローテーション」です。

1つの部署、1つの仕事をずっとこなしていればスペシャリストにはなれますが、その分野の知識や経験しか持たないためT型人材とはなり得ません。

ですから、複数の分野の知識や技術を得るためにもジョブローテーションが不可欠です。いろいろな仕事を社員に体験させることでT型人材を育成できます。

入社したときから一定期間ごとに部署や業務を変えたりすることで、T型人材育成の土台を据えられます。さらに専門的な知識を学ばせる研修制度を導入するのもよいでしょう。

T型人材は、少なくとも1つの専門分野を持たなければならないので、企業がその学びを後押しする必要があります。加えて、複数の異なる分野の部署が合同で行うプロジェクトを推進できます。

ほかの部署のやり方、考え方を見て学ぶことで、社員一人ひとりがあらゆる可能性を考えられるように教えられるでしょう。

■T型人材はどのようにして育成するのか?
T型人材が今こそ企業に必要とされていますが、T型人材は自然に育つものではありません。さらにT型人材が運よく入社してくれることも稀でしょう。

従って、T型人材を得るためには、企業側が努力して育成していく必要があります。漫然と仕事をさせるのではなく、研修制度やジョブローテーション、部署横断のプロジェクトの推進に対して目的をもって行うことによってT型人材が徐々に育っていくのです。

専門分野を極める能力、幅広く技術分野を見渡す能力、はたまたその両方を取得する能力には個人差があり、また個人の特性があります。教育すべき人材の特性を見て適性のある「型」を伸ばすことが重要と思われます。

■T型人材を育てる一般的な手順として知られる3つの方法

1、専門性を高める教育
T型人材は、スペシャリストとして自分の専門分野に精通した知識と能力を持つことが必要です。専門性の高い知識やスキルを伸ばすためには、まずは業務に深く携わり仕事を進めます。

そのうえで、さらに基礎知識をより深く専門的に学べる研修制度を導入します。研修を通してT型の基本となる「I」の部分を伸ばす人材育成を行います。

2、幅広い視野を身に着ける教育
次に、「T」の「-」横棒の部分、つまり横方向に広がる幅広い知見を身に付けるにはどうするかですが、よく使われるのが「ジョブローテーション」を取り入れて、それにより幅広い知見を養う手法です。

一つの分野のみに従事すると、なかなか他分野についての知識や知見を増やせません。

ずっと同じ部署だとスペシャリストになることはできても、視野が狭く他の分野との協調性に欠ける存在になる危険性があります。

そこで制度として定期的に他部署へのジョブローテーションを実施し、他の分野で働く経験をすることで、複数の分野にたいする知見を養うことが可能です。固定観念に囚われない柔軟な思考を養う仕組みを整えることで、優秀なT型人材を育成することが出来るのです。

また、部署を横断するようなプロジェクトに参加することも有効です。プロジェクトを通じて他分野の社員と交流し、タッグを組んで進めていくことで、様々な意見を受け止め、固定観念にとらわれず柔軟に対応できる力を養うことができます。

3、経営者目線の視点も必要
T型人材にビジネスのイノベーターとしての役割を求めるのであれば、経営者目線で見渡せる視野を持つようにすることも有効です。具体的には、部署の枠を超えた全体会議や経営層に近いメンバーとの企画系会議に出席させます。

ビジネスを考える上で、経営者目線から全体を見渡す視野は不可欠です。企画や営業会議に参加して、積極的な問題提起や議論を交わせる場を作ることで、T型人材はさらに成長します。

■知識の広さと知識の深さ、どちらが重要?
まずは知識の深さ、すなわちI型人材を育てることが先と言われます。専門分野の知識を習得するには数年から10年程度の期間を要します。

専門分野を極めることはそれ程に難しく、時間を要する作業となります。

さらに、人は年を重ねるほど、新しい知識・知見を身につけるのに時間を要するようになります。また、好奇心を持続させることも困難になります。

高い専門性を獲得できたならば、次はT型人材としての能力を育成する過程となりますが、これはコミュニケーション能力や好奇心、すなわちメンタル面が支配的であり、とにかく考え、とにかく行動することが能力開拓に求められます。自らが行動し、直観力を養うことが重要と言われます。

■専門的なスキルを学べる研修制度の充実
専門分野の知識を身につけるために、人材育成サイドとして考えるべきは、如何にして効率よく知識を身につけさせるか、そのための環境を提供できるかになります。

日常的な業務で専門性が磨かれる場合もありますが、局所的な知識に偏ることも否めません。

基礎知識から系統的に学ぶ場として研修制度を充実化させることは有意です。上述したように、知識習得は時間を要する作業であり、できる限り時間をかけずに深い専門性を身につけさせることが重要です。

■ジョブローテーションによる他分野への理解
一つの仕事に従事していたのでは、T型人材の特徴である他分野にわたる幅広い知識は身につきません。「行動すること」と上述しましたが、それを支援する体制構築支援も重要になります。

従来より、ジョブローテーションという方法がありますが、T型人材育成にジョブローテーションは有効な手段です。

定期的に他の部署や専門分野へ強制的にでも足を踏み入れ、業務をこなすことにより他分野の状況把握が進み、また自分の専門分野との擦り合わせによる課題抽出のトレーニングにもなります。

また、専門分野で交わされる用語の理解や人脈形成にもつながり、T型人材としての能力が育成されます。

同様に、部署横断的なプロジェクトに関わることもT型人材としての能力を伸ばす理想的なシチュエーションと言えます。とにかく、他分野に触れ、コラボレーションする機会を作ることが重要と言えます。

■まとめ
T型人材とは、スペシャリストとゼネラリストの両方の側面を併せ持つ人材です。

インターネットが普及し、IT技術が成熟したことで、ビジネスシーンの多様化が加速度的に進んでいます。複数の専門分野にまたがる融合領域に新しいビジネスの種が数多く眠っています。

今後の融合領域のビジネスは比較的小規模の「プロジェクト型」となる傾向が強くなります。

予算や人材といったリソースのマネジメントや利益計上など、いわゆるプロジェクトデザインは、専門分野に特化したI型人材には参入しにくい仕事です。

T型人材の広い視点で技術およびビジネスを総合的に捉える能力は、このようなプロジェクト型のビジネスを主導的に運営していく上で必要不可欠と言えます。

時代が求める人材像は、「I型人材」から「T型人材」、そして「π型人材」へと、注目が移り変わってきています。

しかし、専門性を極めた人材というのは新卒採用で発掘できるわけはなく、計画的なキャリア形成を考え、研修・教育プログラムによって育てるしかありません。

つまり、「どんな人材を育成したいのか」という、明確な目標を定めた研修プランの立案が求められているのです。

■最後に
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特に「プロジェクト型」の対応能力が高いゼネラリスト(一型人材)とスペシャリスト(I型人材)のハイブリット人材でもある「T型人材」も多数おります。

技術革新のスピードが早まったことで、競争はより激化し、事業開発では柔軟性やイノベーションの必要性が増してきています。

専門性と視野の広さを兼ね備えたT型人材が、他業種へ越境し、コラボレーションや提携を可能にし、より広がりを持ったビジネスを構築できます。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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