ミッションステートメントとは?ミッションを掲げた企業の魅力

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

成功を収めている企業の多くは、自社のコアバリューを長年にわたって忠実に守り、顧客からも従業員からもこの企業と繋がりがあって誇りに感じると思って貰える社会的な存在価値の高い企業になっています。

そこで肝心なのが「ミッションステートメント」です。現在、働き方の多様化が進み、また働くこと自体の意義やその企業で働く意味合いが問われる時代になりました。

一度、ブラック企業だと認定されてしまうと、働くことの意義を見い出せずに新入社員たちがすぐに辞めてしまうという話もよく聞かれます。

そこで今回は、従業員のモチベーションアップを実現するミッションステートメントと、ミッションを掲げた企業の魅力について解説します。

■ミッション・ステートメントとは?
ミッション・ステートメントとは、企業の「存在理由」を明文化したものになります。

「ミッションステートメント」を直訳すると、ミッションは「使命」 、ステートメントは「声明、意見」 で、「企業や自分の使命を声明として発信する」という意味を含んでいます。通常、数行以内の覚えやすくキャッチなフレーズで構成されています。

行っている事業の目的を社員全員で共有し、さらに顧客にも知ってもらうためのツールで、社会的責任などにも言及していることが多いという特徴があります。

ミッションステートメントは、従来の「社訓・社是」や「経営理念」にあたる、企業・従業員が共有する価値観・社会的使命であるミッションを、実際の行動指針や方針として、具体化することを指します。

企業のミッションステートメントは、元々、全従業員へ共有するものでしたが、現在では顧客や世間など社外へ積極的に発信していく戦略的なツールとしても扱われています。

■ミッションステートメントと従業員、顧客
企業は製品やサービスを提供する際、特徴や果たしている社会的な使命を明確にする必要があります。社会に対する貢献度を明確にすることで、従業員はより高いモチベーションで仕事に集中できるのです。

また、顧客やマーケットに対して仕事を行う際、どのような顧客に対して製品やサービスを提供するのか考える必要もあります。顧客に対して価値を提供することで企業の使命がわかるからです。

さらに顧客だけでなく対象のマーケットを明確にすると、企業の社会的使命が再認識できるでしょう。ミッションステートメントは、企業に関して「何を(what)」と「誰が(who)」を明確にするものです。

また、ビジョンステートメントは、そこに「なぜ(why)」と「どのように(how)」を加えるものです。企業の目標や目的地は成長に合わせて変わる場合がありますから、必要に応じてビジョンステートメントに修正を加え、目標を達成する中で変化する企業文化を反映していく必要があります。

■ビジョンステートメントとの違い
ミッションステートメントと同じような使い方をされるビジョンステートメントというものがあります。このビジョンステートメントは企業が持つ将来の夢や目標を文章化したものであり、ミッションステートメントとは異なります。

時間軸でいえば、ミッションステートメントは「現在」、ビジョンステートメントは「未来」となります。それぞれの目的や内容、要素、共有するべき人なども異なるため、ミッションステートメントを作成する上では混同しないようにしましょう。

ミッションステートメントは企業や社員が共有する価値観や社会的な使命を具体化したものです。ミッションステートメントを共有すれば、企業活動で判断に迷うことも減るでしょう。

対してビジョンステートメントは企業の目標や将来の行く末を文章化したもので、企業活動での戦略立案に大きい影響を与えます。

具体的にいうとミッションステートメントは企業の現在について表現しているのに対しビジョンステートメントは企業の未来について表現しているのです。そのため、目指している方向が異なるといえるでしょう。

■ミッションステートメントと経営理念の違い
どのような企業も経営理念を持っており、ミッションステートメントと経営理念に対して同じようなイメージを持っている人も多いでしょう。ミッションステートメントと経営理念にはどういった違いがあるのでしょうか。

■経営理念との違い
経営理念とは企業の指針や存在意義を表現したもので、抽象的・観念的な内容が多いです。そのため、具体的な内容を伝えられないことも少なくありません。

対称的にミッションステートメントは、経営理念をより具体的な行動指針に落とし込んだものです。具体的なため、より効果的に判断基準として機能するでしょう。

■ビジョンステートメントとの「ビジョン」とは?
ビジョンステートメントは将来について語る内容となっていますが、そのビジョンにはどういった意味があるのでしょう。

ビジョンは近未来に関する像を意味しており、会社を起こす際に最初に思い描くものと似ています。それを長期的な目標としたものをビジョンと呼ぶのです。

しかし、目標は曖昧なものになりがちで、そのままでは社員全体への共有も難しいため極力シンプルな言葉に変換して、誰もが同じ熱量で共有できるようにします。このシンプルな言葉をビジョンステートメントと呼ぶのです。

ビジョンステートメントは自社のためだけに掲げる目標ではありません。業界全体や社会全体を巻き込んだ目標も、ビジョンステートメントといえるでしょう。

ビジョンステートメントを掲げると、企業の行動指針が明確になり、変化するマーケットや環境に対しても柔軟な対応が可能となり、さらに共有することでそれが拠り所になり、スムーズな意思決定もできるのです。

ビジョンステートメントを十分に機能させるには、社員が共有できるシンプルな言葉である必要があります。

■ミッションステートメントの4つの役割
ミッションステートメントを定めることにより、企業内で働く人々はもちろん、企業の重要な戦略や経営方針、事業の方向性を決定する際に役に立てることができます。

1、意思決定における指標となる
企業の将来を左右する重要な経営判断は、業界の状況や業績、株主の意向などを総合的に判断して決断されます。しかし、いくら数値化し、意見を汲み取ったとしても100%成功するという保証がない難しい状況下で判断を下さなければなりません。

そこで最終的な判断の主軸となるのがミッションステートメントです。自社が掲げるミッションステートメントがあるからこそ、重要な決断を踏み切ることができます。

逆にどれだけ利益が上がろうと、100%成功する保証があったとしても、それがミッションステートメントに沿わない場合は撤退という判断もあり得ます。

ミッションステートメントは企業の存在意義と同じです。ミッションステートメントに沿わない事業は、企業の存在価値自体を否定しかねません。

2、従業員の統率に有効
ミッションステートメントを掲げることで、全社員に共通の目的を共有することができます。これにより、従業員のモチベーションを維持でき、全社員一丸となることができます。

ミッションステートメントを定めることで、「働く意味」を見出せずに、退職してしまう社員を減少させる効果も期待できます。

ミッションステートメントを掲げることで従業員の意思を一つにすることが可能です。従業員のなかには、「働く意味」を見いだせずに退職するケースもあるでしょう。

しかしミッションステートメントを掲げるとそれが社員のモチベーションを保つ精神的支柱となり、離職率が低下します。そのため、優秀な人材を手放さずに済むでしょう。

3、PRのツールとして使用できる
ミッションステートメントは、その企業がどのような想いや信念を持って、経済活動を行っているかをPR(広報活動)するツールとして活用できます。経済活動だけでなく、社会貢献活動の選定の判断軸にもできます。

企業活動では、取り扱う商品やサービス以外に、どのような想いや信念を持っているかも重要視されます。特に現代は企業による社会貢献活動も重要視されており、それを明確にする必要があるのです。

ミッションステートメントは想いや信念、社会貢献活動を外部にアピールする力になります。企業の存在意義を端的に表現できるのです。ともすると企業の存在意義は曖昧になりがちですが、ミッションステートメントとしてオープンにすることで、その意味を再確認できるでしょう。

4、株主に対して、事業計画と目標を知らせる
上場している企業にとって、株主は欠かせない存在です。上場企業は株主に対して、年度の経済活動結果を報告する義務があり、利益を還元しないといけません。

また、事業を行っていく上では株主が納得の行く事業計画や目標を提示する必要があります。なぜ、その計画・目標を設定したのかを株主に納得してもらうためには、ミッションステートメントとともに知らせることが有効です。

株式会社にとって、年度の経済活動結果を報告し、利益を還元する必要がある株主の存在は大きいです。そこでは数字だけでなく事業計画や目標も必要になりますが、株主の理解を得なければなりません。ミッションステートメントを掲げると、株主に対して目標提示できます。

ミッションステートメントは、

・企業活動
・社員のモチベーション維持
・外部への企業のアピール
・株主への目標提示

とあらゆる面に説得力を持たせることが可能です。

■企業のミッションステートメント作成の際に行うこと
企業がミッションステートメントを作成する際は、順序立てて取り組む必要があります。ミッションステートメントを考える上での9つの要素を把握し、3つのステップを踏むことで、その企業に適したミッションステートメントを作成することができます。

■ミッションステートメントの重要な要素
ミッションステートメントとは、企業の存在価値を文面化したものです。企業が存在するためには、価値(商品やサービス)を創造し、経済や地域社会に貢献する必要があります。

そのため、ミッションステートメントを作成するためには、経済活動に関連する要素を押えなければいけません。最もわかりやすい要素といえば、顧客や製品・サービスが挙げられます。

また、どのような市場(マーケット)で価値を創造するのか、その際に用いる技術(テクノロジー)は何であるかもミッションステートメントの大切な要素となります。これらの要素を事業として選択するための判断軸となるのが企業理念です。

ミッションステートメントは企業理念を行動指針に落とし込んだもののため、企業理念は当然考えるべき大切な要素に数えられます。さらに企業が高い価値を創造していくためには、企業の強み(競争優位性)を明確にし、企業の成長性や財務の健全性も維持することが大切です。

高度成長期に成長を優先したために発生した公害や環境破壊が厳しく見直され、社会的責任や自然環境への配慮を社外に積極的に発信する(パブリックイメージ)ことも重要となります。

そして、忘れてはいけないのが社員です。企業がより大きな事業を行い、多大な社会貢献を行うためには、相応の数の社員を抱える必要があります。

社員をどのように扱うか、会社の姿勢を示すことは、長時間労働などの劣悪な労働環境が問題視され、「働き方改革」が急務とされている日本社会では欠かせない要素といえます。

【ミッションステートメントに必要な9つの要素】
1、顧客
2、製品・サービス
3、市場(マーケット)
4、技術(テクノロジー)企業理念
5、企業理念
6、企業の強み(競争優位性)
7、企業の成長性や財務の健全性
8、社会的責任・自然環境への配慮(パブリックイメージ)
9、社員に対する姿勢

■作成のための3つのステップ
ミッションステートメントを作成するには3つのステップを踏むことで、全社員が納得の行くミッションステートメントを作成することができます。

【ステップ1】企業運営に関わる全ての人間で構成された作成チームを作る
ミッションステートメントを作成するには、作成専門チームを作ることがおすすめです。

その際の人選も役職や社員のレベルに関係なく、企業に投資する株主も含めた、企業運営に関わる全ての人で構成するとよいでしょう。

ミッションステートメントは企業に関わる全ての人間が理解・浸透するものでなければいけないので、このような構成が望ましいといえます。

【ステップ2】9つの要素を特定していく
作成チームを構成できたら、先のご紹介した9つの要素それぞれを特定するために議論をはじめましょう。

その際はチームメンバーの意見を全て吸い上げることが大切です。

中でも企業を存続させるために重要となる「顧客」、「社会的責任・自然環境への配慮(パブリックイメージ)」、「企業理念」、「社員に対する姿勢」は時間をかけるようにしましょう。

【ステップ3】要素を文章化していく
自分たちが理解・納得した9つの要素をつなぎ合わせて、文章にしていきます。

文章にする際は企業の強み(品質やグローバル)や社会貢献、コミュニティなど一般社会に共感を得やすい単語を組み込むこともおすすめです。

ミッションステートメントは企業内だけでなく、社会に積極的に発信していくものにもなるので、「発信する」という視点で言葉を選択すると良いでしょう。

■3つのステップを踏む上で重要なこと
ご紹介した3つのステップでミッションステートメントを作成する上で、重要なことがあります。

それが「チームメンバー全員でミッションステートメントを考える」ということです。

ミッションステートメントは企業に関わる全ての人間が理解・納得できるものでなければいけません。そのため、チームメンバー全員で考え、作り上げるプロセスが大切となります。

作り出したミッションステートメイトが、そもそも達成できるものなのか、モチベーションを高め、維持できるものなのか、その企業独自のものなのか、そして誰でも覚えやすいものなのかも大切となります。

■まとめ
ミッションステートメントは企業の目標や指針となるものです。ミッションステートメントという形にすることで指針が明確になり、判断基準のひとつとして機能します。

どのような業種でもマーケットや環境は絶えず変化しており、迅速で柔軟な対応が求められる今、判断の遅れは大きなダメージになりかねません。しかし、ミッションステートメントを掲げることでリスクを軽減できます。

また、ミッションステートメントという形での共有は、社員の意識改革、使命感や生産性の向上、離職率の低下、優秀な人材確保にもつながるのです。ミッションステートメントは企業を外部へアピールする役割があります。

優れたミッションステートメントを掲げれば、外部からの共感も得やすくなり、人と仕事を集めることが見込めるのです。ただし、ミッションステートメントの影響力は高いため、意味を十分に考えないまま掲げることは避けましょう。

企業が継続的に価値を創造していく、人がより幸福な人生を歩む上でもミッションステートメントは重要な判断軸となります。

企業のミッションステートメントの作成を託された方だけでなく、これからの自分の人生に何かしらの疑問や不安を持っている方はぜひミッションステートメントを作成してみてはいかがでしょうか。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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