ビジネス環境の変化とグローバル化が進む中で、事業環境は厳しくなっています。
そのような状況下、CEOの業務量は増加し、業務内容も複雑化の一途を辿っています。
VUCA時代にCEOを支える右腕として、戦略の立案と実行に最終責任を負う「CSO」というポジションを新たに設置する企業が増加しています。
そこで今回、CSOとは、CSOの意味・最高戦略責任者の役割と仕事内容について解説します。
■CSOとは?
CSOとは、英語で「Chief Strategy Officer」の略で、日本語では「最高戦略責任者」の意味を持ちます。外資系企業に設置されていることが多く、CEOが対応しきれない経営戦略のオペレーション業務をCEOの右腕として活動します。
CSOを設置することで、経営者はビジョンやミッションの策定を円滑に進められます。
また、事業ドメインの確立や競争優位性の高いビジネスモデルの構築を磨き上げることを中心に会社経営を進めらるため、コア・コンピタンスや戦略に関する意思決定が速くなります。
CSOは、企業の短期計画・中期計画・長期計画を問わず、企業の経営戦略を立案するほか、リスクマネジメント強化に貢献、影響をあたえ、CEOの決定事案を経営戦略の観点から推進して行きます。
また、グループ内に取り巻くリスクや環境変化を把握し、企業の経営力を最大限に発揮できるよう仕組みなどを整備する役割が期待されています。
アメリカでは、S&P500に選出されている企業の約50%がCSOのポジションを設置している、と言われているほどの存在感を持っています。
CSOは、外資企業ではマイクロソフト、AIG、キンバリークラーク、キャンベル・スープ、ノベル、モトローラ、ユニバーサル・ピクチャーズなど、多くの企業がCSOを導入しています。
日本でも伊藤忠商事、三菱重工、ソニー、帝人、スマートニュースなどCSOを導入する企業が増加しています。
■CSOの3つの仕事内容と役割
企業においてCSOは、CEOの業務を補佐する位置です。CEOに近い距離で業務を進めることから、副社長がCSOに就任することも多いです。
1、CEOや各部長との橋渡し
CSOの仕事は企業戦略の立案、構想や実行を行う最高責任者です。CSOはCEOと密に連携を取り、戦略的観点で企業の成長をサポートします。
企業戦略においては、プロジェクトに関わる社内外の人材に対して企業の業績や説明などを向上させる立場となります。
経営トップであるCEOが決定した経営計画をもとに、CSOが各部長と連携を取り、戦略を実行していきます。CEOと共に策定してきた経営戦略を実行するためには、CSOのようにCEOとの意思疎通がとれていることがカギとなります。
2、CEOが対応しきれない業務をCSOがカバーする
CSOは各部門の橋渡しだけでなく、自身もプロジェクトリーダーとして活動します。
戦略内容を深く理解したCSOがプロジェクトリーダーとして現場の指揮を取ることで、効率的に業務を進められるのです。
CEO、COO、CTO、CFOとの違いとして、各自の担当する戦略策定の対象期間が異なる点が挙げられます。
企業のトップであるCEOやCOO、財務責任者であるCFOは短期・長期的な経営戦略を重視する傾向にあります。これに対して、CSOは、企業戦略において見逃しがちな中期的戦略を率先して立案、実行する立場であるケースが多いです。
3、戦略実行に向けた組織作り
策定した戦略の実行に向けた組織体制の構築も、CSOの業務の1つです。
具体的な戦略を立てたとしても、スムーズに実行できなければ意味がありません。企業が抱えている課題や今後の成長に必要な問題に対処できるよう、CSOが組織を構築していきます。
各部門と連携し、従業員のモチベーション維持・課題の共有を行い、戦略実行に向けた組織作りが必要です。
■CSOになるために必要な5つの経験
CSOには、社内だけでなく様々なステークホルダーに対しての対応も必要です。
1、マネジメント経験
CSOのプロジェクトは自分1人ではなく、チームで仕事をします。そのためプロジェクトリーダーは各チームメンバーを統率して、目標を達成する必要があります。
場合によっては、チーム内で業務の割り振りを行うのも重要な任務です。
CSOは、プロジェクト内で各要員が適材適所に最高のパフォーマンスを発揮できるように、細かく気を遣いながら調整する必要があります。
2、新規プロジェクトの運営経験
新規プロジェクトの発足や運営などの経験を積んでおくと、CSOとして活動しやすいです。
CSOは自身で立案したプロジェクトのリーダーとして活動することも多く、リーダー経験がなければ計画を完了させられない傾向にあります。
プロジェクトの運営を経験しておけば、現実的なスケジュール・予算感を持った上で新規プロジェクトの発足が可能です。
3、ビジネスで起こる課題の解決経験
プロジェクトを進めるとトラブルが発生することがあります。
不測の事態が起きても迅速に解決していくことがCSOの仕事です。担当するチーム内でトラブルが発生したときは、フォローに入り解決策を考えることになります。
場合によっては他のCXOとの連携も必要でしょう。トラブルに迅速に対応して、問題解決後はしっかりとしたフィードバックを行うことも大事です。
フィードバックを丁寧に行い、同じトラブルを繰り返さないことが必要となります。
4、複数の部署を管理した経験
CSOは複数の部署と連携を取りながら、新規プロジェクトの発足・運営を行います。
部署によって業務内容や発生する課題が異なるため、複数の部署を管理した経験があると有利です。
CSOとして就任した後、それぞれの部署の課題に対する理解や最適な回答ができなければプロジェクトを進めることはできません。
5、所属部署の組織・運営の改革の経験
CSOには、組織・運営の改革経験も求められます。
新たに策定した経営計画を実行するためには、目的遂行に最適な組織作りが必要です。
所属部署の組織・運営改革を実施した経験があれば、策定したプロジェクトに合わせた組織構成ができます。
CSOになる前に組織作りや運営改革を経験しておくと、従業員の理解も得られやすく、経営計画の実行にも追い風となるでしょう。
■CSOに必要な資質と求められる3つのスキル
CSOはチームをまとめたり、トラブルに対処したりすることが求められます。ここでは、CSOとして必要なスキルについて紹介します。
1、チームメンバーの労働環境を整備するスキル
CSOが最高のパフォーマンスを発揮するには、労働環境の整備も重要です。労働環境とは、労働条件や職場環境などを含めた「働く」人を取り巻く環境のことです。
昨今の働き方改革によって、労働時間の管理がより重要視されている事実もあります。
メンバー間での偏りがないように、バランスを考えて仕事を分担します。業務が多すぎるだけでなく、少なすぎて手空きになることを防止することも重要な任務です。
具体的には、進捗状況を共有する・トラブル発生時は互いに応援メンバーを出すといった方法で協力関係を築きます。自分のチームだけでなく、ほかのチームの状況を把握してプロジェクトを進めることが大切です。
2、様々な業務を担う人とのコミュニケーションスキル
プロジェクトを成功させるためには、多数の部署・チームが1つの目標に向かって業務を遂行することが重要です。
CSOにはコミュニケーションスキルが必要です。CSOは、常にメンバーの意見に耳を傾けて、コーチングにより、正確な情報を集めることが大切です。
コーチングとは、相手の能力や可能性を最大限に引き出し、行動を促し、結果をつくり出すことを支援するコミュニケーションスキルです。めまぐるしく変わっていくビジネス環境において、答えを自らつくり出す人材が求められています。
コーチングはそのような人材育成に有効なスキルです。CSOになるには、日ごろからコミュニケーション能力を高めることが重要です。
経営戦略の中枢であり、司令塔であるCSOには、リーダーシップを発揮するために必要なコミュニケーションのスキルが必要不可欠になると言えます。
3、人心掌握・統率スキル
CSOは、CEOやCOOと仕事をすることが多く、組織の「リーダー」であることから、統率スキルが必要です。統率スキル、すなわちリーダーシップがある人は、「人心掌握」に長け、周りから信頼される人物といえます。
人心掌握(じんしんしょうあく)とは、文字通り人の心をガッツリと掴むことです。それは信頼や尊敬を表し、CSOとしてあなたの影響力や存在価値が拡大することを意味します。
周囲から信頼されるには、常にメンバーへの気遣いをしたり、士気を上げる言動をしたりする必要があります。
具体的には以下のような感覚を与えることです。
・安心感(警戒心がない状態や自分自身でいられる安心感)
・自分は受け入れられているという、帰属欲求を満たす受容感
・大切にされているという満たされた自己重要感
・期待されていることで生じる成長や貢献意欲
・自分はユニークな特別な存在だと気づかせてくれる覚醒の感覚
CSO自身の経験や資質がリーダーシップに影響します。観察力や洞察力、想像力を働かせながら業務にあたりましょう。
■まとめ
CSOは、英語で「Chief Strategy Officer」の略で、日本語では「最高戦略責任者」の意味を持ちます。
CEOの両翼として企業の強みを活かし、部署を横断した横串での戦略立案や、中長期的な経営戦略の立案を担当します。実行可能な成長戦略の立案や短期目標の設定など、仕事の幅が広いです。
現在、上場を目指すスタートアップでもグローバル化の波に乗り、2000年代からCEOをはじめとするCXOを導入する企業が増えています。
ですが、日本では欧米の会社とは、会社法上の規定が異なり、ビジネスに関する商慣習の違いから、COOやCSOの設置は必須ではありません。
企業によっては代表取締役社長とCSOが兼任になっていたり、役職名を付けただけという名ばかりCXOが意外と多いのが現状です。
CSOのジョブタイトルは、経営者の司令塔として戦略立案とオペレーションを行うため、CXOのポジションの中でも、重要なポジションになります。
従来は「経営企画室」などが、社長直下で経営戦略の推進を担当することが多かったですが、現在、その役割はCSOに期待されています。
「経営企画室」とは、組織図でみると社長直轄の部署です。
どの本部にも属さず、独立していて、社長の参謀的な役割を担います。外部環境分析(顧客・競合)、内部環境分析(自社)をしっかり行った上で、経営ビジョンや企業戦略策定をします。
事業企画では「新しい事業を立ち上げる」ということに主眼を置いています。
経営企画も同じような機能を有す場合も多いですが、単体の事業企画よりももう少し上流の「経営」そのものについての戦略策定を行う枠割を果たすのがCSOであると言えます。
CSOは、会社全体の経営状態や戦略を考え、「経営企画室」を統括し、CEOと共に経営方針の策定や収益拡大にインパクトのあるプロジェクトを立案し、実行していくことが責務だと言えるでしょう。
「戦略は、パワーポイントを使って延々と説明する必要な全くないし、ツールやマトリクスチャートといったものも不要だ。
戦略に必要なのは、こちらの最も効果的な打つ手のポイントを見極め、そこに狙いを絞り手持ちのリソースと行動を集中させること。これに尽きる。」
<リチャード・P・ルメルト>
■最後に
経営資源が限られたスタートアップや中小企業の場合、「社長の右腕」となるようなハイスキルで、優秀なCSO「chief strategy officer」を正社員として採用することは、非常にハードルが高いと言えます。
なぜなら、求人広告費を投資しても、1社専属での雇用契約を結ぶことは、報酬の条件面や会社の将来性などの観点から、そもそもの応募の母数が少なく、経営戦略を担えるような業界トップクラスの人材は集まり難いからです。
そのような際に、知識・経験・人脈・ノウハウを持つCSOを確保する画期的な方法が、良心的な顧問紹介サービスを活用し、フリーランスや副業として参画した優秀なCSOを正社員に登用したり、取締役として迎い入れることが打開策になります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、5000人を超える豊富な知見と人脈を持つフリーランスの顧問や副業のプロ人材が集結しています。
その中には、CSOを含めて様々な分野のプロフェッショナルで価値ある「人的資産」を持つ、業界トップクラスのCXOが揃っています。
KENJINSは、人を紹介して終わりの人材紹介会社とは、ポジショニングが大きく異なり顧問契約をベースに帆走型の実行支援を推進しています。
なぜなら、「社長の軍師」として経営課題を抱えている経営者へのアドバイスだけでなく、実行支援を行うことを最大のミッションに掲げているからです。
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