パラダイムシフトが起これば、当然消費者の行動も変わり、企業はそれに対応していく必要があります。この対応が遅れると、企業存続の危機に直結します。
新たなサービスや技術の創出により、時代の流れが変わることが予測され、今後どのように対応していくかを考えることも必要になります。
世の中の流れが速い現代では、これまでの営業スタイルの在り方の見直しが必要になり、営業のパラダイムシフトの波が急速に起きています。
パラダイムシフトはこれからの営業プロセスの再構築や営業マンの採用の考え方にも関わる、重要な視点の一つです。
そこで今回、パラダイムシフトとは、営業のパラダイムシフトへの対応のコツについて解説します。
■パラダイムシフトとは?
パラダイムシフトとは、それまで当たり前だと考えられていたものの見方や考え方、価値観が劇的に変化することを表した言葉です。
パラダイムシフトは英語で、「paradigm shift」と表記されます。日本語では、これまで規範となっていた考え方や価値観が、劇的に変化することを意味します。
これまでも人類は長い歴史の中で「パラダイムシフト」を何度も経験しています。
例えば、ガリレオの地動説やダーウィンの進化論など、その時代には常識と考えられていたことが覆り、概念や価値観がすっかり変わっています。
しかし、現在では、科学技術の目覚ましい発達による生活様式の変化により「パラダイムシフト」が社会的に注目されるようになりました。
■パラダイムシフトの起源
パラダイムシフトの始まりは元々、アメリカの科学者・哲学者のトーマス・クーン氏が、著書『科学革命の構造』(1962年)で提示した考え方です。
トーマス・クーン氏は、著書において、『一般に認められた科学的業績で、一定の期間、専門家に対して問い方や答え方のモデルを与えるもの』をパラダイム「paradigm」と定義しました。
そして、この既存のパラダイムのモデルでは解決不可能な変則事例が見つかり、処理できなくなったとき、その混乱の中から新しいパラダイムが登場し、科学革命が起こると説きました。
それが、これまでの常識が覆る「パラダイム論」になります。
このパラダイム論が科学以外の分野にも影響を与え、現在、産業や経済などさまざまな分野でに広がっています。
その時代や分野において支配的なものの見方や捉え方が、革命的かつ非連続的に変化することが「パラダイムシフト」と呼ばれるようになったのです。
■営業のパラダイムシフトとは?
営業のパラダイムシフトとは、これまでの営業マンとしての働き方や法人営業のあり方が変化したことを指します。
営業スタイル、コミュニケーションスタイル、営業プロセスなどを大幅に見直すことが必要に迫られ、変化に対応することが不可欠な転換期を指します。
例えば、新型コロナウイルス感染症の流行は、営業活動を推進する上で、人と人が直接会って営業活動をすることに大きく制限をかけるものとなりました。
パラダイムシフトの対象は、従来の規範や古い常識などであり、多くの人の共通認識としてビジネスへも大きく影響します。
デジタル技術の発展と社会への浸透を下支えしたのが、インターネットです。
現在、営業戦略を練り上げる際にもインターネットの普及とデジタル技術の発展が両輪で捉え、情報、人をより密接に結びる必要性が増しています。
パラダイムシフトにより、オンライン会議などインターネットがなかった時代には想像も出来なかったことが、現実化しています。
ビジネスシーンにおいては、画期的な製品やサービスによって市場構造が劇的に変化することを「パラダイムシフト」と呼ぶ場合もあります。
■コロナによる営業のパラダイムシフト
近年のマーケティングや営業活動にもパラダイムシフトがしばしば見られます。
まず、コロナによる影響で、これまで通りの効果を得ることが難しい従来の営業活動と集客施策を挙げていきます。
1、展示会の中止や延期
新型コロナウイルスが日本で最初に確認されてから3年が過ぎようとしています。確認されてすぐは、その感染の影響がわからなかったため、屋内・屋外問わず講演やセミナー、イベントの多くが中止となりました。
主要な展示会は軒並み中止/延期となり、イベント会社や会場の存続自体も危ぶまれ、コロナ収束後完全に元へ戻るという保障もありません。
こういった展示会の開催で本来得られるはずだった見込み顧客数が減ってしまうため、現時点から何らかの代替手段を講じる必要があるでしょう。そうしなければ、受注件数が先細りする恐れがあります。
2、セミナーが開催できない
展示会と同様に、対面でのセミナー開催は困難です。一方で、コロナ渦中は多くの企業がオンラインセミナーに切り替えました。
コロナ収束後はオンライン実施が主流になる可能性もあります。ある調査では、セミナーがオンラインと会場(オフライン)の両方で開催された場合、オンラインを優先する人が圧倒的に多い結果となりました。
場所や時間に縛られず参加できることから、今後もオンラインで開催することはセミナーに参加する大きな要因となりそうです。
しかし、現在では新型コロナウイルスに関する研究も進み、感染率と収容率の関係もわかっています。
イベントが実施できる判断基準として、内閣官房が2022年3月4日付けで各都道府県知事に宛てた事務連絡によって収容人数及び閉会時間の条件を定めています。
セミナーを主力の集客施策としていて、まだオンラインセミナーの実績がない企業は切り替えを検討したほうがよいでしょう。
3、テレアポ・DM・FAXの効果減
コロナ渦中の昨今ではリモートワークが推奨されており、業界によってはほぼ全ての業務がリモートに切り替わっているところもあります。こうしたときに問題になるのが、相手先事業所への直接的な営業活動です。
電話営業を不快に感じる人も一定数存在し、なかには電話営業自体を一切取り次がない企業もあります。
テレアポを試みても相手先の代表電話が繋がらない、DMやFAXを送っても人がいないので見られない、といったケースが増えています。
テレアポが時代遅れと感じるのは、インターネットで情報収集ができるようになったことが大きな理由といえるでしょう。現代では欲しい商品やサービスがあれば、ユーザー自身がいつでもインターネットで検索できます。
そのため、わざわざ企業側からアウトバウンドで荷電しても企業が誰も喜びません。何十回も電話をかけてようやくアポが取れ、さらに成約まで至るのは一握り、ということばかりです。
4、オフライン広告の効果減
緊急事態宣言発令中は人の移動が制限され、公共の交通機関・施設などに掲出するオフライン広告の効果も低かったはずです。
更にいえば、コロナ収束後はリモートワークがある程度定着し、人の移動は以前より少なくなる可能性もあります。そうした場合、オフライン広告に従来通りの効果は期待できなくなります。
プロモーションメディア広告費のうち、紙媒体にあたる折込、DM、フリーペーパーの3媒体についても9,311億円から7,354億円と、1,792億円減少しています。
これに対してインターネット広告費(マス4媒体由来のデジタル広告費含む)の合計は2019年の21,048億円から2021年の27,052億円へと6,004億円増加しており、広告のデジタルシフトが顕著であることが伺えます。
5、ROIが低下しているデジタル広告
デジタル空間で競争する企業、オンラインショッピング利用の増加に伴い、Amazon、Google、Microsoftにおける検索広告、ソーシャルメディア広告など、デジタル広告チャネル間での競争が激化しています。
そのため、企業はより高い広告料金を支払っているにもかかわらず、ROI(費用対効果)が低くなっています。
検索広告のトラフィックは同10%減ったにもかかわらず、CPCの上昇によってGoogleの広告費は前年同期比28%増加しました。つまり、1クリックあたりのコストが高くなったのです。
■働き方の多様化によるパラダイムシフト
従来から、育児や介護、通院などと両立しやすい働き方を求める声が挙がっていましたが、改善に向けた動きは鈍い状況が続いていました。
それが、2010年代後半より政府が「働き方改革の実現」を掲げました。長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇など実現するための各種政策を進めました。
更には、新型コロナウイルス感染症の流行によりテレワークが普及したことなどにより、「フルタイム雇用で、出勤して働く」以外の多様な働き方のパラダイムシフトが広がってきています。
人材の国際化によるパラダイムシフトも進んでいます。
労働力の流動化とともに、これまで当たり前とされていたような概念が変わり多様な選択の幅が広がったことで、個人のキャリア意識にも変化が生じました。
今後は、フリーランスの顧問や副業のプロ人材を活用することで、業務の効率化が図れるため、今後は、アウトソーシングによる業務委託やクラウドワーカーなど外部の労働力も貴重な即戦力になると言えるでしょう。
異なる価値観や違った働き方をする人材を社会の一員として受け入れるためには、社内体制を整えるとともに、社内の意識改革も必要です。
マネジメント層から率先して認識を変えていくといいでしょう。
■まとめ
パラダイムシフトは、ある時代において規範となっていた考え方や価値観、そして取り組みが劇的に変化することを指す言葉です。
営業の仕事を行う上でセールスは、日常的な業務だからといって漫然と繰り返すのではなく、自分なりに「問題はなかったか」「改善できるところはなかったか」ということを考えながら業務に取り組まなければなりません。
一人一人の営業マンが問題意識を持って営業の業務に取り組むことによって、これまでの習慣や価値観に対して疑いを持ち、新たな発想を手に入れるきっかけとなります。
パラダイムシフトによる問題を見つけた際には、「何が原因なのか」「どうすれば解決できるか」といった課題や解決策を仮説立てて考えることも重要です。
営業活動を推進する上で売上関連の数字は短期的な予測を当てはめるために依然として重要です。
ですが、営業リーダーの間では長期的な価値を測定するためのLTVを意識した数字を考えることが重視されるようになっています。
売り手にとっては、顧客生涯価値の最大化をアピールすることが、収益の安定を伴うビジネスの回復力(レジリエンス)を示すことになります。
デジタルシフトが起きても新顧顧客を開拓するアカウント営業やリードジェネレーションの獲得に必要なマーケティング業務がなくなることはありません。
新たなパラダイムシフトの波が押し寄せて来たとしてもロイヤルティの高い顧客の一貫した購買行動で最終収益を支えることで、収益を予測できるようになり、より正確な予測が可能になります。
「先進国では、労働者の5分の2が知識労働者である。知識労働者は、本質的にアウトソーシングの素質を持っている。」
<ピーター・ドラッカー>
■最後に
現在、長引く景気の低迷や非正規雇用の増加などにより、正社員の人材をを採用するのではなく、プロ人材を「共有する」「必要なときに利用する」という志向が高まってきています。
同時に、シェアリングサービスやサブスクリプションサービスも多数生まれ、「プロ人材についても所有せず、必要な時に利用する」という価値観がさらに広がっています。
働き方改革というパラダイムシフトが起きた今、セールスの業務の分業や働く形態について、企業は柔軟な考え方を持つ必要があります。
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中小企業やベンチャー企業の場合、新規開拓のターゲットとなる相手が大手企業になる営業マンによる決定権者へのアプローチの難易度が一気に上がります。
その理由としては、会社の信用力が乏しい点と、決定権者とのアポイントを獲得できるコネクションを持った人材が社内に誰もいないからです。
忙しい決裁者は、無駄な話しを聞くのは面倒ですし、見も知らない相手と時間を割いて会ってくれることもしません。
決定権を持つキーマンと面談しようとすると、ある程度の準備をすることと、効果的なアプローチを推進するための接点を作り出すことが必要となってきます。
KENJINSでは、このようなリード獲得の課題を解決するために、ハンズオン型で豊富な人脈を豊富に持つ顧問のコネクションを活かし、決裁権限のあるキーマンを対象にした「トップダウン営業」の実行支援を行っています。
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