アンカリングとは?営業マンがアンカリングを理解すると売れる訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

購買活動の60%が営業担当者と会う前にWebで行なわれている今、法人営業では商談の前段階においてインターネット上でライバル会社と比較されるのは当たり前になりました。

BtoB企業が新規開拓を行う際の営業活動では、展示会営業、テレアポによる営業活動、飛び込みによる訪問営業が通用しなくなりつつあります。

購買基準を有利に導くには、「アンカリング」のプロセスが不可欠になると言えます。

そこで今回は、アンカリングとは何か、営業マンがアンカリングを理解すると売れる訳ついて解説します。

■アンカリングとは?
アンカリングとは、先に与えられた数字や情報「アンカー」によって、その後の判断や行動に影響が及ぼされるという現象を表す心理学用語です。

個人もしくは企業を問わず、商品がサービスを購入する決断を下す際には、購入を決定する判断基準となる「購買決定要因」があります。

最終的にモノが売れるようになるためには、複数の引き金になる要素を組み合わせ「アンカーリング」を設定する必要があると言えます。

アンカリングは、五感からの情報をきっかけに、特定の感情や反応が引き出されるプロセスを作り出すことです。

アンカリングは、感情体験が強ければ強いほど、強力なアンカーがかかります。感情体験があまり強くない場合は、繰り返しアンカリングを行うことで、アンカーを設定することもできます。

アンカリング効果は、人間が先に知っている情報を基準として、その後の判断を歪めてしまうという心理的な行動になります。

そのため、誰しも日常で無意識に使っていることが多く、多くの有名通販企業ではこの「アンカリング」の要素をTVCMに入れたり、ランディングページなどのマーケティングにも活用しています。

■アンカリングの起源
アンカリング効果の語源は、英語の「Anchoring」に由来します。

アンカリングとは、日本語で「いかり」を意味し、錨を使って船を繋ぎと留めることです。錨は、船の移動を水上の一定範囲に固定するために、鎖やロープを付けて海底や湖底、川底へ沈めて使う道具のことを指します。

アンカリング効果「Anchoring Effect」とは、最初に与えられた数字「アンカー」を基準に考えることで、その後に提示された別の数字への認識が異なるという現象です。

例えば、自動車を購入させたい時に、より高級で高価な自動車を先に見せておくと、次に提示する手頃な価格帯の車を購入する可能性が高まります。

アンカリング効果は、心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの「認知バイアス」についての共同研究の中で見出されました。

認知バイアスとは、認知心理学や社会心理学で使われる用語です。

何かを判断する時など、非常に基本的な統計学的な誤りや記憶の誤りが生じ、非合理的な行動をとってしまうことを指します。

認知バイアスの応用として「松竹梅の法則」があります。松竹梅の法則とは、商品を3つの価格帯に分けて展開した場合、多くの人が真ん中の価格帯の商品を購入する傾向にあるという法則です。

居酒屋の宴会コースのラインナップに例えると、松8,000円、竹6,000円、梅4,000円の三つのコースメニューに用意されている場合、多くの人が中間の価格帯の「竹」を選ぶ傾向にあります。

このような選択をされる理由は、人間には、極端な選択を避けるという心理が備わっており、1番高いものや1番安いものを気づかないうちに避ける傾向があるからです。

■アンカリングを理解する重要性
見込客とアポイントを取得し一方的にプレゼンテーションを行い、上手く説明することが出来たとしても直ぐに受注に繋がる時代ではなくなっています。

なぜなら、大手企業にプロダクトを販売する中小企業やベンチャー企業は特に、

「会社の信頼性」
「商品・サービスに対する信頼性」
「企業が抱えている課題のヒアリング」
「リード顧客が製品を購買する際の基準」

を要素を満たすことが必要になるからです。

提案する企業規模が大きくなり、購入するプロダクトが高額になるにつれ、提案の前には、自社製品の強みが課題解決に有効であると顧客に認識して貰うことが必要になります。

多くの人や会社は、何かの商品を購入する際に、その分野に関する沢山の情報量を持っておらず、目の前で与えられた情報だけで判断してしまう時に、アンカリング効果の影響を受けやすくなります。

そのため、認知バイアスを取り除く事はできなくても、誤認する恐れがあるということを予め知っておくことが重要なのです。

ただし、ある分野で知識や経験が豊富な人でも、その分野における判断で、アンカリング効果の影響は受けることがあります。

特に高額な商品の購入など、意思決定する際には、アンカリング効果に注意を払うことが大切です。

反対に営業活動やWEBマーケティングの領域では、アンカリング効果を適度に活用することで売り上げ増加に繋がったり、顧客にお得感を感じて貰える可能性が増すため「行動経済学」の観点からも有用だと言えるでしょう。

■行動経済学とは?
行動経済学とは、経済学と心理学の視点を組み合わせ、人間の経済行動をより現実に即して分析や誘導をしようという学問です。

人間は感情や心理の影響によって、合理的な判断をしない場合も多いのです。

こうした非合理的な行動を経済学的見地から分析するのが行動心理学になります。

行動心理学は、比較的新しい分野ですが、世界でその有効性が認められており、これまでにも優秀な研究者がノーベル経済学賞を受賞してきました。

行動経済学がビジネスで注目を集めているのは、人の非合理的な行動を読み解くことで行動を誘導し、企業の販売活動が望ましい結果へと導けると考えられているためです。

インターネットで比較することができるようになった今、何かを購入したり、飲食店などの特定のサービスを理由する前に検索することが当たり前になりました。

世の中にモノが溢れ、単に良い商品というだけでは、ほかの商品との差別化を図ることは難しくなりました。

このようなことから行動経済学に注目している会社は、心理そのものに訴えかけて購買行動を促そうとしています。

なぜなら、行動経済学を用いてユーザーがものを買う思考や心理を理解し、その上でマーケティング戦略を立てることが可能になるからです。

■営業にアンカリングを使うポイント
営業のアンカリング効果とは、自分の強みを最初に印象付けることで、商品説明を聞いて貰いやすくするといったアンカリング効果の活用方法があります。

例えば、「特定の業界やこのカテゴリーには詳しい」という印象を、顧客に対して最初に印象付けることで、後にその顧客がその分野や商品について検討する際に、「ポジショニング」の効果が促され相談の依頼が来る可能性が高まります。

ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品について独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動です。

顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらうことで、競合製品に対して優位に立つことを目的にしています。

ただし、商品やサービス自体が良くなければ、プロモーションにより大きなな注目を浴びて一時的に売れたとしても、安定的な売上は見込めることは期待できません。

行動経済学を使ったマーケティングの効果を維持するためには、ユーザーに商品そのものも良さを理解してもらうことが重要です。

法人営業では、企業の「購買決定要因」を理解することで提案するプロダクトやソリューションが売れる可能性が高まります。

BtoBの「購買決定要因(KBF)の原則はBtoCと変わらないですが、BtoBマーケティングではポイントを押さえる必要があります。

それは、BtoBでは、法人組織の特長として、購買決定要因「KBF」は「経済合理性」に繋がることが基本になる点です。

KBFとは、「顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準」のことです。

デザインや機能、価格、ブランド、オプションといった商品自体の価値だけでなく、最近では口コミやレビューといった第三者評価も重要な要素のひとつになっています。

企業間取引におけるKBFの重要度の選択基準は、上位目的の経営成果に対する定量的経済インパクトの大きさで決まるということになります。

■まとめ
アンカリング効果とは、印象的な情報を付け加えることで行動に影響を与える心理効果のひとつです。マーケティングに使える「アンカリング」や「行動経済学理論」を学ぶことで、リードの獲得数を増やしたり、購買行動を自然に高めることができるようになります。

営業活動では、いかにして「相手の心理」を把握するか、もしくは「潜在的に眠っている購買意欲」を掻き立てるかが、大事になってきます。商売をしていく上で一番大事なことは何だと思いますか?

根本を詰めていくと、「ユーザーの購買心理を知ること」に他なりません。商品を販売する際は、アンカリング効果を意識した販売を心掛けると、売上げのアップが期待できるでしょう。

例えば、広告で良く使われる「通常価格○○円のところを、△△%オフの□□円で販売します!」といった値下げ表示を行うことは、アンカリング効果を狙っての戦略であると言えます。

競合他社の商品を含め、標準的な販売価格が知られていない(買い手の中でアンカリングがされていない)商品やサービスほど、値下げ広告の効果が期待できます。

ただし、行動経済学は人を完全にコントロールできません。また、実施の仕方を間違えると、人々に悪い印象を与えるリスクもあるため、注意も必要です。

「最もむずかしい問題を解決しなければならない。それは、「顧客にとっても価値のあるものとは何か?」「顧客は何を求めて製品の買うのか?」という問題に解答を見出すことである。」

<ピーター・ドラッカー>

■最後に
「経営者は、売上向上・コスト削減重視する」「システム担当者は、リスク回避重視する」など、BtoBの営業活動では同じ組織でもDMU「意思決定関与者」ごとにKBFが異なる場合があります。

特に大手企業を対象にした営業活動では、真のキーマンは誰か?を見極めKBFを把握し、DMUタイプごとに異なるアプローチが必要になります。

購買決定要因(KBF)とは、「Key Buying Factor」の略で、購入対象となる製品を構成する価値や価格の中で、顧客が商品の購買を決める際に、重視する要素「Key Factor」のことです。

法人営業においては、顧客企業の意思決定者「決裁権を持った影響力のある人物」が最大のキーパーソンになります。

大手企業の場合、稟議書の壁があり意思決定者は複数存在する会社が多いため、キーパーソン以外にやみくもにプッシュしても時間が経過するだけで、効果的とは言えません。

なぜなら、いかに顧客組織の意思決定プロセスを掴むか、いかにキーパーソンに接触し効果的な提案を行うかが、最もインパクトある有効商談を実現し、効果的なソリューション提案を経た購買行動に繋がる近道になるからです。

5000人を超える顧問やプロ人材を集結させている、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、大手企業の役員クラスとの太いパイプを持つ顧問の人脈とコネクションを武器にした販路開拓の営業支援を推進しています。

顧問契約をベースに顧問が所属していた会社の役員クラス、過去の取引で既に人間関係が構築できている会社、自身が幹部をしていた会社の販売チャネルなど、長年に渡って培ってきた関係性を活かし、顧問の人的なネットワークを借り、キーマンへの営業活動をバックアップすることが可能です。

特に大手企業を対象にしたプロダクトやサービスを提供していたり、高い営業提案スキルや目覚ましい販売実績、豊富な人脈ネットワークを有した営業顧問をお探しの企業様は、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」へご相談ください。

【人数無制限】複数の顧問が成果報酬型でリファラル営業を支援
https://kenjins.jp/lp/saleslep/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

hr techとは?IT技術を活用した人事業務の効率化が必要な訳

生産性向上や業務効率化は多くの企業に共通する課題です。限られた人的資本で企業の競争力を維持し、向上させていくためには、十分な戦略に基づいた人材配置や育成計画の立案が必要です。 少子高齢化の影響で今後も労働人口は、確実に減少していくと予想されています。人材不足の要因は複雑になるた...[続きを読む]

ビジョンセリングとは?インサイト営業にステージを上げる必要性

インターネットでの情報収集が簡単にできるようになったことで、企業の購買担当者は営業マンと会う前に検索キーワードで、自社の課題を認識した上で、解決方法が何かをある程度、考えることができる時代になりました。 その結果、営業手法が高度化するとともに営業マンも、ライバルとの価格競争に巻...[続きを読む]

顧客分析とは?顧客情報をデータマイニングし営業するポイント

企業が売り上げを伸ばしていくためには、顧客や市場のニーズを把握することが必要です。現代社会では、消費者だけでなくBtoBのビジネスを展開する企業でも顧客ニーズの変化に対応が必要になりました。 法人営業では、様々なセールスの施策を講じるために顧客情報を分析することがより求められて...[続きを読む]

コンペリングイベントとは?営業に案件アセスメントが大事な訳

ライバルとの厳しさを増す競争環境で、単に製品やサービスの良さをアピールするだけでは、受注獲得は難しくなっています。 商談で優位に立つためには、「コンペリングイベント」を鑑み、「リード顧客にとっての価値を定義すること」と「競争に勝てる案件を見極めること」が必要になります。 なぜ...[続きを読む]

バリュープロポジションとは?顧客視点で独自の価値提供のコツ

近年、市場のニーズが多様化するとともに、市場があると判明した分野では、沢山のライバル企業がマーケットに参入し、複数ジャンルの商品やサービスの開発を進めています。 競争環境では、競合と差別化を図って売上を伸ばすのは一層難しくなりつつあります。 ライバルが増えた状況の中で顧客に価...[続きを読む]