営業活動では、契約書に判を押して貰う「契約の締結」することがゴールであり、一方で新規取引のスタートにもなります。
新規開拓を行い売上を上げるためには、リードジェネレーションからアポイントを獲得し、商談を通じて「買おう」という気持ちが高まった際には、絶好のタイミングで最後の一押しとなる「クロージング」を掛けることが重要になります。
なぜなら、商談相手が買う気が高まっている際に「クロージング」をしないと購入を先延ばしにされたり、殆ど差異の無いライバルから買う方向性になってしまい、契約が取り難くなってしまうことが起こり得るからです。
そこで、今回は、クロージングの重要性とは?営業で売れる最後の一押しのコツについて解説します。
■クロージングとは?
クロージングとは、直訳すると「終了」や「閉幕」することを指しています。ビジネスでは、「顧客との成約」もしくは、「成約に至るまでの商談」を指すケースもあります。
営業活動におけるクロージングは、英語で「closing」と表記されます。日本語では、閉めるという言葉通り、営業活動の締めくくりとして、撒いた種を刈り取ることを意味します。
営業活動は、オンライン会議た顧客訪問に始まり、ヒアリングや提案といったプロセスを踏んだのち、契約締結に至ります。
この契約を締結するために必要となる営業活動における最後のプロセスや、成約に至るまでの一連の工程が「クロージング」になります。
クロージングを支えるのは、ヒアリング力、提案力、交渉力、関係構築力などの様々な営業スキルになります。
例えば、価格交渉などの難しい場面では自信をもって沈黙するコミュニケーションスキルも、そのひとつです。
クロージングの局面は顧客ごと、案件ごとに異なりますので、その都度ベストのアプローチを選択できる判断力や選択できるテクニックの多さも求められます。
「Sirius Decisions社」の調査によると「失注した見込み客の約8割が2年以内に競合他社から商品を購入している」というデータが示されています。
そのため、顧客の課題解決に繋がり、自信を持ってお勧めできるプロダクトやソリューションであるならば、待つだけでは行けません。
商談の内容を踏まえて、クライアント企業の意思決定をサポートするクロージングを行うことも大事な仕事だと言えるのです。
■クロージングの重要性
一般的な営業プロセスは、顧客となる可能性のあ「リードジェネレーション」を集めること、見込み顧客を獲得することから始まります。
その後、ヒアリングによって現状や課題を掴み、ニーズを把握しつつ、信頼関係を構築します。
信頼関係が築けた段階で、自社製品・サービスを用いて課題やニーズを解決する提案を行います。
ヒアリングや提案といったプロセスを通して、見込み顧客が自社の製品やサービスに興味を示し、購買意欲が醸成されたとしても、「クロージング」を行わない限り契約締結に至ることはありません。
もし適切なタイミングでクロージングを実施しなければ、購買意欲が低下してしまったり、競合他社に流れてしまったりと、商機を逃してしまう可能性すらあるのです。
提案を説明しただけで成約する場合もありますが、そうでない場合に、成約への意思決定を促すアクションがクロージングです。
そのため、クロージングは営業活動において、最重要のプロセスと言えます。つまり、クロージングはビジネスにおいて、売上に直結する重要な役割を担っています。
■クロージングの5つのテクニック
法人営業のクロージングで必要となる基本の5つのテクニックをご紹介します。
1、購入決定の不安の解消する
クロージングに入る前に、企業の担当者に不安な点が残っていないかを確認しましょう。
たとえ決裁権限のあるキーマンと言えども不安がある状態で大口の契約や稟議申請の意思決定はできません。
企業として特定のプロダクトの購買決定時に抱く、不安な点をヒアリングした上でその不安を解消しましょう。
営業のクロージングにおける主要な不安は以下の5つになります。
・金額:費用対効果など、見方を変えると安い例
・時期:課題を放置した場合と対処した場合の数値比較
・効果:類似業界の事例、業界の調査レポート
・優位性:競合や代替手段と比較した自社の強み
・持続性:サポート体制など
2、ifクロージング
ifクロージングとは、仮定の話をすることで、実際の利用をイメージしてもらうためのテクニックです。
製品やサービスの導入によって課題や悩みをどのように解決できるか、具体的なイメージを提示することです。
・もしこの製品を導入する場合、いつ頃が理想か?
・もしこのサービスを利用する場合、プランはどちらが良い?
・ご購入いただいた場合、どのオプションをご希望されますか?
・もしご契約いただいた場合、今後はこのような流れで良いでしょうか?
・具体的に進めさせていただきたいのですが、よろしいですか?
といったように、契約している前提で話を進める方法です。
「もし~だったら」を活用し、イメージを具体化していくことで、購買意思を促すことができるでしょう。
3、損失回避の法則
損失回避の法則とは、「得すること」よりも「損をしないこと」を重視する心理現象のことです。
「損をしたくない」というごくごく自然な気持ちが、無意識に行動や選択に影響を与える心理のことを「プロスペクト理論」と呼びます。
「利益を得る」場面では確実に取れる利益を確実に得たいと感じ、「損失がある」場面では損失の全面回避を最優先にしてしまうのは、この心理が働くからこそだと言えます。
これをクロージングに応用し、自社の製品・サービスを導入しない場合に考えられる損失やリスクを示すことで、購買を促すことができるでしょう。
そして、顧客の意思決定において重要な要素のひとつが価格です。
価格について正確に提示するだけでなく、導入による費用対効果など、数値をあげて説明すると、意思決定を後押しすることができます。
4、テストクロージング
テストクロージングは、見込顧客の反応を見極めるために行うプロセスです。
具体的にはこちらの提案している製品・サービスに興味を持ち、利用したいと思ってもらえているかを確認します。
提案のなかで段階的に質問していき、顧客の反応や提案への評価を見きわめる方法です。
商談やセールストークの途中で、以下のように段階的に質問や確認をすると良いでしょう。
・見積書にはご納得いただけましたか?
・では、◯日に書類をお送りいただくということで、よろしくお願いします。
合意を得ながら進めることで、相手が商品やサービスにどの程度興味を示しているのか、また契約する気があるかどうかを確認することができます。
顧客の反応を見ながら、必要に応じて提案を修正することで、成約する確度が上がります。
・提案内容を聞かれて、気になった部分はありましたか?
・利用したいと思っていただけましたか?
・どうしてそう思われたのですか?
といったシンプルな質問を行い、感想やその感想を持った理由などを聞くと良いでしょう。
否定的な反応を無視してクロージングを進めると断られる可能性が高くなります。
なお、YESをとっている数が多ければ多いほど、クロージングからの契約率は高くなります。
5、決裁者・意思決定者への商談依頼
営業活動とは突き詰めれば、顧客となる企業の購買プロセスを前進させる営みです。
リード顧客が「この場では結論を出せない」と判断した場合には、購買の角度を高めるために次のアクションを決める必要があります。
たとえば、リード顧客が「決裁者(上長)の説得が必要だ」と言われた場合、社内でのビジネス説得の場に同席できないか打診することも効果的です。
もしもクライアント企業だけで決裁権のある役員クラスにビジネスの説明が必要な場合には、担当者にサポートできることがないか確認します。
資料の作成や説明内容の再確認、追加事例の用意など、導入の確度のを高めるためにできることがあるはずです。
■クロージングを成功させるための5つのコツ
クロージングを成功させるためのコツについてお話していきます。
1、BANT条件を確認する
まず一つ目のコツは「BANT条件を確認する」という点です。
BANT(BANT条件)は、デジタル営業先進国のアメリカでは法人営業活動に必須の条件として定義されており、受注確度を決定する要素として活用されています。
BANTとは・・・
・Budget:製品・サービスを購入・利用するための予算
・Authority:購入・利用を承認する決裁者
・Needs:顧客の持つニーズ
・Timeframe:購入・利用時期
という4つの言葉を合わせた概念で、法人営業におけるヒアリング時に確認すべき点を網羅しているフレームワークです。
クロージングが上手くいかない場合は、これらの4つの条件のいずれかが欠けている場合が多いので、しっかりと確認するようにしましょう。
ただし、BANTはそもそもアメリカで生まれた概念であるため、国内企業の実情にそぐわない点もあります。
たとえば、購入権限と予算権限の決裁者が異なるなど、日本企業特有の「稟議の壁」があるため、BANTだけで商談レベルを決めるのは難しいのです。
2、次の行動の整理
「決済者との面談」「稟議の申請」「上長への相談」などが決まったら、改めて誰が何をすべきかを、期日もセットでお客さまと整理します。
・次回の商談は「いつ」「誰が」参加するのか
・次回の商談までに「誰が」「何を」準備するのか
・社内での検討は「いつ」「誰と」実施するのか
・社内稟議のために営業(もしくはお客さま)が準備することは何か
・社内検討が終わる段階で営業からご連絡してもよいか
・営業からのご連絡手段は電話かメールか
3、契約後のフローを説明する
「契約後のフローを説明する」ことも重要です。
人によっては契約した後「どういう流れになるのか、どういったサポートを受けることができるのか」といった点が気になり、不安を覚えることもあるでしょう。
そういった不安を払拭し、且つ導入後のイメージを持ってもらうために、契約後のフローも説明することは押さえておきたいポイントです。
4、決断を渋る理由を潰していく
3つ目のコツは「決断を渋る理由を潰していく」ということです。
人が決断を渋るとき、主に以下のような思いを抱えていることが多いとされています。
・もっと安いものがあるのではないか?
・もっと良い機能のものがあるのではないか?
・この担当者・企業は信用できるのか?
他社との比較資料などを用意し、これらの疑問を一つずつ潰していくことで、クロージングを成功に導くことができるでしょう。
5、顧客視点で考える
クロージングにおいては、どうしても自分自身の売り上げ成績などがかかっているため、売り込むことに必死になってしまいがちです。
しかし、売り込み感や必死さが伝わると、見込み顧客が逆に引いてしまったり、ネガティブな印象を与えてしまったりしてしまいます。
そのため、あくまで「顧客視点」で考え、顧客に価値を感じて貰えるように、対応していかなければなりません。
顧客の視点とは、顧客に継続的に商品やサービスを購入して貰うために、顧客に対してどのように行動すればよいかという視点になります。
導入を決定する企業によっては、機能が良ければ良い、金額が安ければ良い、という単純なものでもなく、その要素ごとに評価判断するための基準となる「購買決定要因」があります。
顧客しては下記のようなパラメータの組み合わせだと捉えて置きましょう。
・目的、置かれている状況・立場などの諸条件(前提と言っても良い)
・購入判断するための「購買決定要因」になる重要な要素
・各要素に対して評価・判断をするための根拠・基準
顧客視点で考えるというのは、諸条件(心情)を「理解」し、パラメータ・基準に「分解」した上で、今回行おうとしている取組の中では、どのように思われるだろうかと、自分なりに「再構築」してみることだと言えます。
■クロージングを強化する際の注意点
クロージングする際は、テクニックに頼り過ぎないという点も重要です。
心理現象やテクニックを押さえておくことは必要ですが、それらのテクニックを組み込んだトークを機械的に展開していては、どうしても売るマンマンの姿勢が見込み顧客に伝わってしまいます。
そのため、あくまでテクニックは補助として活用し、見込み顧客と真摯に向き合い、対話していくことが何よりも大切なのです。
成約率をさらに高めるには、やはり顧客の状態を正しく把握するということが重要です。
・顧客が今どのようなことで悩んでいるのか?
・どういった点に疑問や不安を抱いているのか?
・どれくらい自社の製品・サービスに興味を持っているのか?
こういった情報をしっかりと収集し、課題を把握して管理することで、適切な情報提供や提案を実現でき、結果として効果的なクロージングにも繋げることができます。
つまり、ビジネスを行う上では「その商品・サービスはどんな課題解決につながるのか?」ということが一番重要だということです。
課題解決というと大げさに聞こえるかもしれませんが、言い換えてみると
・困っていることや悩んでいることを解消する。
・望んでいることや求めていることを満たす。
・将来のあるべき姿との現在のギャップを埋める。
「誰に」「どのような価値を提供するのか?」というのがクロージング率の向上に繋がってきます。明確な価値提案を徹底することが営業活動を成功させる大事なカギとなります。
■まとめ
クロージングとは、商談の最終段階で、見込み客に「契約書の締結」「利用申し込み」「購入手続き」「サービスの登録」など、をして貰うための最終プロセスを指します。
営業活動においては最も重要なプロセスであり、クロージングのスキルが成約率に直結します。
クロージングで成果を得るためには、マーケティングの戦略や手法を熟知しているだけでなく、担当者のコミュニケーションが重要です。
なぜなら、見込み客のニーズを十分に把握し、購買意欲を高め、ベストなタイミングで背中を押す必要があるからです。
営業では、リードを最初に接点を持ってから成約までの一連のコミュニケーションを考えなければ成果は出せないということです。
営業活動においては、数多くの見込み客にアプローチし続けることも大事ですが、クロージング率を正しく評価・改善することを怠ってはなりません。
インターネット集客よりもクロージング率に注力した方が売上UPに貢献することもあります。
その理由としては、失注し売れなかった理由を把握し、商品やサービスのブラッシュアップに対処できれば、今後の商品開発を改善することにも繋がるからです。
商談相手のキャラクターやポジションにもよりますが、商談の場で失注理由を伺ってもいいでしょう。
また、失注してしまったとはいえ、一度は検討してくれた見込み客です。
定期的に接点を持つことで、乗り換えや再検討のタイミングで連絡して貰えるような関係性を構築しましょう。
「ちょっとした工夫でよい、問題を列挙したこれまでの月例報告の第一ページの前に、新しい第一ページを加える。
売上にせよ利益にせよ、予想以上に成果の上がったことを列挙する。そして、問題の検討に投じていたのと同じだけの時間を、新しい機会の検討に割く。」
<ピーター・ドラッカー>
■最後に
スタートアップ企業が大手企業を対象とした営業に活動では、会社の信用力の乏しさが課題になるケースが多いです
そのような際には、営業顧問の持つ人脈や業界ネットワーク、人的な古い繋がりを通じて、アプローチを行う効果的です。
大手企業の重要な決定権を持つ社長や役員クラスなどの決裁権限者となるキーマンを対象とした、トップダウン営業により直接アプローチするBANT条件を満たした営業戦略は、商談の短縮化と売上アップに繋がります。
なぜなら、顧問のリファラル紹介による商談設定は、大手企業のキーマンとの商談機会を設定することができれば、大型受注に繋がる可能性が高く絶大な「ROI」=「投資対効果」が期待できるからです。
そのため、社会的信用力の高い顧問の紹介で大企業の決裁者とアポイントを獲得することは、「信用力の担保」という意味でも必須要件になると言っても過言ではありません。
営業の効果がなかなか上がらないとお悩みの中小企業の経営者やベンチャー企業の起業家は、業界へのコネクションや人脈ネットワークを豊富に持つ「顧問のチカラ」を活用することで、大手企業の役員クラスやキーマンに絞って商談を進めてみてはいかがでしょうか。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」は、5000人を超える業界トップクラスのフリーランスの顧問や副業のプロ人材をネットワークしています。
成果報酬型の報酬体系で、大手企業の取締役や事業部長や購買のキーマンとなる決裁者とのアポイントの設定が可能です。
また、案件の内容や顧問料のインセンティブの条件や報酬体系によっては、クロージングまで支援することも可能です。
他の顧問紹介サービスの会社のスタンスとは大きく異なり、事業コンセプトとして「顧問報酬100%」で「中間マージン無し」の報酬体系でサービス提供を行っています。
KENJINSは、顧問料の中から中抜きをしない形で顧問契約をベースに帆走型の支援を推進してているため、プロジェクトをサポートして貰える良質な顧問からのエントリーが多く、コストパフォーマンスが圧倒的に高いのが特徴です。
人数無制限のサブスクモデルで利用頂くことが可能ですので、特定の企業をピンポイントでアプローチしたり、未開拓の業界で新たな販路拡大にチャレンジしたい企業様は、是非、一度お気軽にご相談ください。
【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、どのような顧問がいるか選定をしてみてください。
【人数無制限】複数の営業顧問が成果報酬型で営業支援
https://kenjins.jp/lp/saleslep/