従来の経営戦略は、主に企業の資源を特定の市場状況に適合させることや、大量生産による値下げで市場シェアを拡大し、競争力を高めることに重点を置かれていました。
しかし、ライバルとの競争が激化していく中で企業が生き残るには、「価格」や「商品の質」以外に、買い手の心を掴む「何か」を提供していくことが重要になりました。
その「何か」を補う大事な役割を果たすのが「デマンドジェネレーション」を推進することで、「顧客を創造する」プロセスに取り組むことです。
なぜなら、「デマンドジェネレーション」を行いコツコツと顧客を発掘し、育成していく、という一見遠回りに見える作業が、実は商談につながる近道だと言えるからです。
そこで今回、デマンドジェネレーションとは何か、営業案件の創出活動が大事な訳について解説します。
■デマンドジェネレーションとは?
「デマンドジェネレーション」とは、マーケティング活動を経て営業部門へ購買意欲の高い「ホットリード」を渡すまでの活動全般を指します。
デマンドジェネレーションは英語で「Demand Generation」は、日本語では、「営業案件の創出」することを意味します。
デマンドという言葉には、「需要を創出する」という意味が含まれますが、一方的に情報を発信することではありません。
なぜなら、顧客の購買プロセスでは、マーケティングや営業活動を通じて、自社のサービスや製品の必要性を顧客自らが感じるフローを重視するからです。
BtoBの場合は、「行動段階」は何らかの課題を解決するための手段となります。そうなると、ブランディングによる「認知段階」から、「行動段階」につなげるには、「感情段階」の取り組みが重要であり、これまで困難極まりなかった部分となります。
そのため、ブランディングを展開することで「認知段階」にある見込客を「感情段階」、そして、限りなく「行動段階」まで育成する活動プロセスが「デマンドジェネレーション」であると言えます。
■デマンドジェネレーションの起源
「営業機会の創出活動」という意味持つデマンドジェネレーションは、1990年代後半から2000年代初頭にアメリカで最初に使われるようになりました。日本のマーケティングは、先進国であるアメリカとくらべて非常に遅れていると言われています。
そもそも50年前に日本に入ってきたマーケティングとは、リサーチ(市場調査)でした。その後、ブランディングなどと呼ばれる部分が取り組まれ現在に至ります。しかし、ブランディングで、ダイレクトに売れるのは、BtoCのビジネスモデルです。
BtoB企業(business)が企業(business)に販売するビジネスモデルでは、そう単純なものではありません。
日本が遅れているというのは、このBtoBのビジネスモデルにおいて、ブランディングから、営業に繋がるための営業案件を創出するためのマーケティングだと言われている点になると言えます。
デマンドジェネレーションは、それまでバラバラに運用されていたBtoBマーケティングのプロセスを一つに統合し、再構築したものになります。
■デマンドジェネレーションの範囲
範囲は非常に広く、フィールドセールスでは展示会やセミナーが該当します。インサイドセールスでは、Web広告やメルマガ、DMなどがそれにあたります。
マーケティング活動など、顧客の興味を惹きつけ、その意欲を育成し、受注に至るまでのを経て営業へ効果的なリストを提供するまでの一連のプロセスになります。
デマンドジェネレーションを適切に行うためには、顧客の潜在ニーズを正確に把握することが求められます。ニーズを把握した後は効果的なプロモーションを行い、顧客獲得に繋げるのがデマンドジェネレーションの範囲です。
このデマンドジェネレーションは主に見込み顧客の獲得・育成・選別の3つの段階に分けられます。
1、見込み顧客獲得(リードジェネレーション/Lead Generation)
2、見込み顧客育成(リードナーチャリング/Lead Nurturing)
3、見込み顧客の絞込み(リードクォリフィケーション/Lead Qualification)
リードとは見込み顧客のことです。最初のプロセスでリードを獲得し、次に購買意欲を高め、最後に購入してもらうのがデマンドジェネレーションの全容です。
■デマンドジェネレーションの3つのプロセス
それではここからは、それぞれの具体的なプロセスについてみていきましょう。
1、リードジェネレーション:見込み顧客獲得
リードジェネレーションとは、見込み顧客を獲得することです。具体的には、自社の顧客になり得る人や会社の情報収集を指します。
リードジェネレーションでは、将来的に自社の顧客になる可能性のある、見込み顧客の情報を獲得します。一般的な方法として、テレアポや、展示会での名刺交換、Webからの問い合わせなどが挙げられます。
オンラインではメルマガ登録や資料のダウンロード、Web広告、SNSなど、オフラインではセミナーや展示会などがあります。企業リストの購入も施策のひとつです。自社にあった施策をとることで、より確度の高いリストを作成できます。
この時気を付ける必要があるのが、情報を集める対象はあくまで自社の顧客になりそうな人や会社であり、不特定多数ではありません。
そのため、ただリストを集めるだけでは効果は薄く、しっかりした管理をすることが大切です。集めた名刺を営業個々人に任せておくのではなく、会社全体で集約し、名寄せや精査をした上で、会社の資産として活用しましょう。
2、リードナーチャリング:見込み顧客育成
リードジェネレーションで集めた見込み顧客は、自社に対してある程度の関心を持っています。獲得した見込み顧客との信頼関係を強化し、購買意欲を高めるための活動を行うのが、リードナーチャリングです。
基本的に、獲得した見込み顧客の全てがすぐに顧客になることはありません。そこで必要になるのが、顧客が持つ関心をさらに高め、購入へと導く活動です。
リードナーチャリングの施策によって、継続的に接点を持ち、営業機会を失わないことが大切です。ニーズがすでに明確にある見込み顧客は、すぐに案件へと発展するでしょう。大切なのは、すぐに案件には発展しないけれど、後々の可能性が見込まれる顧客です。
その見込み顧客に対してメールやDMなどを継続的に送ることでコミュニケーションを維持します。それぞれの見込み顧客が必要としている情報を提供することで、見込み度合いを上げていくことが、「見込み顧客育成」の本質と言えます。
一方通行のコミュニケーションでも効果はありますが、双方向コミュニケーションの方が高い効果が期待できます。接点を維持し、販売機会を逃さないようにしましょう。
3、リードクオリフィケーション:見込み顧客の絞り込み
リードクオリフィケーションとは、見込み度が高いリードを絞り込むことです。
なぜなら、無尽蔵にメールやDMを送っていても広告コストばかりが掛かってでしまい、実際の効果の方が少ない、という結果になる可能性があるからです。
そこで重要になってくるのが、見込み顧客の選別によるリードクオリフィケーション「絞り込み」です。
リードクオリフィケーションは、集めた顧客の中から受注の可能性が高い見込み顧客をリスト化し、営業部門に渡すステップです。リードクオリフィケーションの施策として代表的なのは、顧客の購買意欲をスコアリングと呼ばれる手法を用いて評価し可視化することです。
これまでのマーケティングでは、とにかくすべての見込み顧客に同一量のアプローチをしている場合が多くありました。これは非常に非効率的と言わざるを得ませんし、場合によっては逆効果になり、見込み顧客が離れてしまう場合もあるでしょう。
見込み顧客の中にも優先順位を決めて、確度が高いものはより手厚く、確度が低いものは少々薄めて対応していくことで、無駄を省きつつ、より確実な営業活動をすることができるのです。
■デマンドジェネレーションのポイント
デマンドジェネレーションは、営業に渡すための成約率の高いリードを絞り込む活動になります。ただ絞り込むだけでなく、リードを獲得し購買意欲を育成、ホットリードを絞り込むまでの一連の流れが必要です。
デマンドジェネレーションにおいてもっとも重要なプロセスは、一番初めのリードジェネレーションだと考えられています。
なぜなら、この段階で十分なリードを獲得できなければ、後のプロセスでふるいにかけられたとき、有望なリードがほとんど残らないからです。有望なリードを少しでも多く獲得するために、リードジェネレーションの戦略を明確にしましょう。
具体的には、リードの質と量のどちらを重視するのか決め、それに基づいてリードジェネレーションの手段を考えます。
たとえば、購買意欲の高いリードに絞って集めたいのなら、資料請求や問い合わせフォームなどによるリード獲得が有効です。反対に、まずは量を重視したいと考えるのなら、メルマガやSNSのように気軽にアプローチしやすい手段が良いでしょう。そして、ターゲットの購買意欲に適したタイミングでナーチャリングへと移しましょう。
■まとめ
デマンドジェネレーションとは、案件化や受注の可能性が高いリード(見込み顧客)を発掘し、営業部門へ渡すマーケティング活動全般を指します。デマンドジェネレーションの視点を持つことによって、リードの獲得から案件化のための、中長期的なリードの管理やフォローの必要性が分かるようになります。
本来、マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることです。この「感情段階」を行う取り組みこそが、デマンドジェネレーションの取り組みになります。
以下の3プロセスからなります。
1.リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
2.リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
3.リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)
BtoBのマーケティングにおいて、顧客が購買するまでのリードタイム(検討期間)はBtoCよりも長い傾向にあります。時間はかかりますが、購買意欲の高さがわからず探り探り営業活動を行うよりも商談につながる可能性が高まります。ホットリードならではのアプローチに注力できるため、効率的な営業活動ができることもメリットです。
営業を効率化させたい、案件化を増やしたいという人は、ぜひデマンドジェネレーションを取り入れてみてください。
「変化はコントロールできない。できることは、その先頭に立つことだけである」。「多くの人が、話上手だから人との関係は得意だと思っている。対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない。」
<ピーター・ドラッカー>
■最後に
デマンドジェネレーションでは、プロセスは元より、見込み顧客のそれぞれの状況(フェーズ)やニーズに合わせた施策が重要となります。そもそもデマンドジェネレーションの目的が営業機会の創出であるため、需要がまったく見込めない層へのアプローチは意味がありません。
反対に、リードジェネレーションによって需要が見込める顧客を集められれば、その分だけ販売機会が多くなります。デマンドジェネレーションの中でもリードジェネレーションは重要なプロセスと言えるでしょう。
しかしながら、中小企業の社長やベンチャー企業のCEOの場合、何のコネも無い大手企業の役員クラスやキーマンのリードジェネレーションを獲得したくても、新規にアプローチを掛けるには相当にハードルが高いという課題があります。
そのような際には、営業顧問の持つ人脈を借り、特定の会社や業界でのコネクションをフル活用することで、今までアプローチが難しかった大手企業の新規開拓や大口の販路、アーリーアダプターを見出すことが期待できます。
なぜなら、営業顧問として活躍する人の多くは、上場企業の元社長や役員経験者、大手企業の事業部長の経験者などが多く、長年に渡って培った自身が所属していた会社との繋がり、取引のあった大手企業のキーマンとの太いパイプ、大学時代の友人など、独自の人脈や幅広いネットワークがあるからです。
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