KJ法とは?事業開発にKJ法を用いるとアイデアを昇華できる訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

ターゲットとなる顧客の需要とマッチしたモノやサービスを創造する際には、ロジックとなる論理の道筋を明らかにすることが必要になります。

そのような際には、新規事業の立ち上げ時に「KJ法」を用い、ブレインストーミングと併用して活用することで、ビジネスのコアとなるアイデアをブラッシュアップすることが可能になります。

そこで今回、KJ法とは何か、事業開発に「KJ法」を用いるとアイデアを昇華できる訳について解説します。

■KJ法とは?
KJ法とは、断片的なアイデアや事業コンセプトを効率的に整理する目的で用いられるアイデア発想の手法です。

KJ法では、多くの意見やアイディアをグループ化し、論理的に整序して問題解決の道筋を明らかにしていくためカード状の紙(付箋)に1つ1つの情報を記し、そのカードを並べ変えたりグルーピングしたりすることで、情報を整理して行きます。

KJ法は、主にブレインストーミングで出たアイデアを、全体的な視点から構成要素をピックアップして整理することで、新しい着想やアイデアをブラッシュアップするための手法になります。

取り組む段階では、ブレインストーミングと併用し、複数の参加者から集まったアイデアを論理的に整序して、現在の問題を見える化することで、解決の道筋を明らかにします。

KJ法は、広い視野で物事の関連性を明らかにすることで本質的なことを知り、それにより新しいアイデアを生み出していくスキームになります。

■KJの起源
KJ法の考え方は、1967年、文化人類学者である川喜田二郎氏が著書『発想法』において、効果的な研究・研修方法であると紹介したことで広く知られるようになりました。

なお、KJ法の名称は、川喜田二郎氏のイニシャルに由来しています。

KJ法のはじまりは、川喜田氏の研究対象であったネパール・チベットの山村での調査研究の経験を基に生まれたのが、KJ法という独自の情報整理方法です。

文化人類学のフィールドワークによって得た膨大な情報を効率的に整理する目的で生み出されました。研究の中で実際に使用される中で、本質的問題の特定や新たなアイデアの創出など、発想法としても優れた効果を持つ手法であることが判明しました。

川喜田氏はKJ法を発想法として紹介し、企業や大学に出向いて手順や注意点を直接指導するなど積極的に普及活動を行うようになって結果、KJ法という名称は一般化し、多くの企業や学校、ワークショップで活用されるようになりました。

■KJ法を実施する7つメリット
KJ法は調査などで蓄積された情報やブレインストーミングで出たキーワードなどがある状態で活用されるメソッドです。

1、ブレストを効果的に活用できる。
ブレストには、ブレスト後そのままにしてしまい情報を活かさないで終わってしまいやすいデメリットがあります。

ブレストは制限をもたせずに情報を洗い出せ、よりよい結論やアイデアを導きやすい分、情報を収集したあとに情報が分類されていないため活かしにくいです。

KJ法はブレストを効果的に活かすための補完的な役割を果たします。ビジネスで新規企画を考える際に、今までにないアイデアを出したい、既存ビジネスの課題を抽出したいという際に役立てられフレームワークです。

2、アイデアを可視化できる。
KJ法はアイデア・情報にあらかじめ制限を持たないという点で新たなアイデアが出やすいメソッドになります。

頭の中にあるアイデア・意見を整理し、目に見える形で言語化できます。メンバー間で情報を共有しやすくなるうえに、各メンバーの中でアイデアのイメージが湧きやすくなる点もメリットです。

共同作業やグループワークなどにおいて、少数意見は多数意見によって抑圧されてしまうケースが多いです。この傾向は、グループやチームの規模・作業規模が拡大するほどに顕著です。

3、論理的に情報整理ができる。
KJ法は、たくさんのアイデアや価値ある情報を関連性のあるもの同士でグループ化し、そのうえでグループ間での相関関係や因果関係を明らかにしていくことで、テーマ(課題)に関連することの全体像が可視化されます。

それにより、本質がどこにあって問題の解決を図るうえで鍵を握るものが何なのかが見えやすくなります。

情報を整理整頓していく中で、新たな課題への発見につながりやすい特徴もあるでしょう。

4、少数意見を活用することができる。
KJ法はより豊富な情報を整理整頓でき、その後に活かせる、結論へとたどり着けるというメリットがあるでしょう。

KJ法では、提案時に共感者の少なかった少数意見についても、その他の意見と同様に1枚のカードとして取り扱います。

通常の会議だと少数意見が排除され多数意見に焦点を絞った議論がされがちですが、kj法の場合は、すべての参加者に平等に発言機会が与えられ、それにより集まった情報や意見の全体をまとめていくため、少数意見を活用しやすくなります。

このようにして残された少数意見は、その後のステップにおいて、多くの情報やヒントをもたらしてくれる可能性があるのです。

5、課題や問題点を洗い出せる。
KJ法を通じて、論理的に情報を整理し、参加メンバーから出たアイデア・意見を要素別に分けることで、課題や問題点などをわかりやすく洗い出せます。

ここで洗い出した課題・問題点については、図解化や文章化のステップを踏むことで、本質的問題の特定・新たなアイデアの創出など、より踏み込んだ分析・発見に発展させることが可能です。

6、情報を共有しやすい。
KJ法は、複数人での作業をスムーズに進行するための潤滑剤としての役割も果たします。KJ法に対しては、「脳内で行える作業をわざわざ紙を用いて行うために非効率的である」といった否定的意見も存在します。

その理由としては、複数人で共同作業やグループワークを行う場合、メンバーの1人がどれほど優れた問題解決策を思い浮かべていたとしても、他のメンバーにそのイメージを正しく共有できていないと、発案者が目指していたゴールには辿り着けず、想定どおりの成果を得らないからです。

複数人での作業を成功させるには、情報共有や意識合わせなどのプロセスが非常に大切です。とはいえ、これらのプロセスに多くの時間を割いてしまえば、効率が悪くなりかねません。

7、気軽に実施できる。
最大のメリットは、気軽さにあると考えられています。

KJ法では、そのプロセス内でアウトプットを視覚的にまとめられ、情報共有や意識合わせなどを無駄なく自然に行えるため、流れが滞ることなく複数人での作業を進められます。

KJ法では特別な環境・道具を必要とせず、紙とペンさえ準備できれば人・時間・場所を選ばずに実施可能です。このことから、汎用性と自由度の高い発想法だと言えます。

■KJ法のデメリット
さまざまなメリットを紹介しましたが、KJ法にはデメリットも少なからず存在します。

1、準備やアイデア整理に手間がかかる。
KJ法では、収集する情報・アイデアは、あらかじめグルーピングなど整理整頓を前提として収集した場合、制限がかかってしまい豊富な情報が残りにくいです。

制限なく情報を集めてしまうと、今度は分類に手間がかかってしまう難点があります。カード(付箋)・場所の準備や参加者集めに加えて、参加メンバーから出たアイデア・意見を書き出してまとめる作業が求められます。

作業自体の難易度は非常に低いものの、これらの作業には多くの手間・時間がかかるため注意が必要です。

なお、多くのアイデアを得るためには、さまざまなコミュニティから参加者を集めることが望ましいですが、このケースでは参加者を集めるためにより多くの手間が掛かります。

2、参加者によってアイデアが変わる。
KJ法およびブレインストーミングを通じて抽出されるアイデアは、グループや参加者1人1人の特性に大きく依存します。

そのため、参加者の構成次第で、マイノリティ(社会的少数派)の発言力が低下したり、アイデア・意見が偏ったりするおそれがあるのです。

こうした状況を防ぐには、KJ法およびブレインストーミングを実施する前に、参加者の力関係を調整し、1人1人の発想の柔軟性を高めておくことが望ましいです。

3、既存のアイデア以上のものが出にくい
KJ法は今ある情報を整理することでアイデアを創出することには向いていますが、逆転の発想など発想法を変えた突飛なアイデアはでにくいと言えるでしょう。

KJ法は整理整頓していくことで、既存の情報がどうなっているのかを体系的に示すものです。

今ある情報を最大限理解することには寄与しますが、逆に体系化することで情報を集約しアイデアの幅を狭める行為とも言えます。

■まとめ
KJ法はブレストの後などに情報整理を目的として活用するのに有意義なメソッドです。 「ブレストには効果がない」と言われる所以である、「やったままでアイデアを生かせない」という問題の解決に役立ちます。

KJ法には、様々なメリットが存在しますが、中でも、次の4つが企業の活動に役立つでしょう。

・課題の本質が見えやすくなる。
・新しいアイデアを生み出しやすくなる。
・情報の共有や認識合わせが行いやすくなる。
・少数意見を活用しやすくなる。

KJ法のポイントとしては、図解化や文章化によって本領を発揮します。しかし、KJ法を扱う文献やソフトウェアの中にはこれらのステップを排除したものが少なくありません。

グルーピングとラベリングによる情報整理も多くの成果を生み出す重要なステップですが、厳密にはこれだけではKJ法と呼ぶことはできません。

発想法としてのKJ法をビジネス分野で活用するためには、図解化と文章化を含めた正しい実施方法を学び、理解する必要があるのです。

KJ法の取り組みは、商品の開発や業務の改善などを行う上でのヒントとなるのは間違いないことですが、アイデアは、あくまでも仮説に過ぎないということも忘れてはなりません。

KJ法の実施をビジネスで活かすためには、アイデアを生み出した後に、的を射た認識であるのかどうかを確認するための仮説と、検証による評価を行い、ビジネスを通じた結果を振り返り、必要に応じてアイデアを修正することで、結果の精度を高めていく必要があります。

情報の正確性を十分に精査し、実施方法に対する理解度を深め、PDCAを推進することによって、KJ法の実施効果を正しく得ることができるでしょう。

「私はこれまで偶然のひらめきで価値ある発明をしたことなど一度もない。全ての発明というのは、その発明に関わった人の想像を絶するような熱意が注ぎ込まれているものなんだよ。」

<トーマス・エジソン>

■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超える顧問やプロ人材が集結しているため、新規事業の立ち上げ時に、中小企業の社長やスタートアップの起業家が抱えている課題や一人では考えつかないアイデアをブラッシュアップし、事業開発の課題を解決に導くことが可能です。

ハイスキルなプロ人材による新商品開発、新規事業立上げ、トラクションの獲得に繋げる新規開拓に必要な営業支援などの実行支援など、様々な事業課題やプロジェクトに応じて顧問やプロ人材を何人でもアサインすることが可能です。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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