人事戦略が会社を成長させる原動力となる理由とは?

投稿日: 作成者: KENJINS運営元代表 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

人事部というと、一般的には人材管理を行う裏方的な部署というイメージがありますが、海外では人事も率先して経営戦略に参加する「人事戦略」という考えが広まっています。大胆な組織改革が必要となるため、日本ではまだ成功例が多くはありませんが、人事戦略を導入するうえで必要な準備や、成功させるためのポイントについて解説します。

これまで、「守りの人事から攻めの人事へ」といった言葉がよく聞かれるように、旧来の日本の会社経営において人事は守りのイメージが強い部門でした。人事の仕事といえば、個人の業績などをもとに人材配置や給与の管理を行うのが主な業務。しかし、近年注目されている戦略人事においては、企業目標を達成するため、経営戦略を立てるところから関わってくる重要な役割を担っています。

■人事戦略とは?
1990年代アメリカにおいて、人事戦略という考え方が誕生しました。経済学者のデイブ・ウルリッチ氏が提唱し、2000年以降どんどん世界中に広まっていきます。かつての企業は、経営戦略と人事が切り離されて考えられていました。

人事が経営戦略を理解していないことで、現場の状況に応じ最適な人材を適所に配置するといった臨機応変な対応ができていないことが多くあります。スピード感を求められる近年のビジネスシーンにおいてはその点が特に、大きな問題点となっています。グローバル化が進む現代では、海外の企業と競合していく上で人事戦略は避けては通れない課題の1つです。

人事戦略に必要なことは、

●【外部環境適応】外部環境の変化や動向に適応しながら
●【内部環境適応】企業理念や戦略、業務・組織体制を実現するために
●【価値観・風土】どんな価値観や風土を大切にし
●【求める人材像】どのような人材(求める人材要件)を
●【要員・人件費】どれくらいの人数や人件費をかけて(量的側面)
●【人材フロー】どのように採用・活用・育成・代謝(質的側面)し
●【人事制度】そのために等級・キャリア、評価、処遇をどう行うか

になりますが、人事戦略の要は、「従業員全員が企業目標の達成に向け最大限の力を発揮できること」を目的としており、内外の環境→戦略→人事の取り組み、の3者がつながっているということが戦略人事の最低条件になります。

■「戦略人事の重要性」
人事部門が将来的に「戦略パートナー」の役割を目指している中で、押さえておきたいキーワードが2つあります。そのひとつが「戦略人事」です。この考え方は、1990年代に先述のデイビッド・ウルリッチ教授が提唱したもので、「従来の管理業務を中心とした人事から、事業戦略の実現をサポートする戦略的な人事に転換すべきである」というものになります。

ある調査で、まずは「戦略人事」という言葉を知っているかを質問したところ、「知らない」という回答はわずか7%となっており、続いて「戦略人事の重要性」に関する認識を問う質問には、「非常に重要である」(37%)、「重要である」(42%)となり、ほぼ8割がその重要性を認めています。

ところが、「人事部門が戦略人事の役割を果たせているか」という問いには、「充分果たせている」はわずか1%しかなく、「あまり果たせていない」(46%)、「全く果たせていない」(22%)を合わせて7割が厳しい見方をしています。

■人事戦略を行う3つのメリット
戦略的人事において、人事担当者は企業戦略を主軸に人事を行います。文章にすると簡単ですが、人事と企業戦略を同時に行うには組織の構造を大幅に変更する必要があるでしょう。

1、従業員全体に企業目標や経営戦略を明確化する
人事が企業戦略を軸に人事を行うためには、人事担当者が自社の企業目標や経営戦略について熟知していなければなりません。これは、「従業員全体に企業目標や経営戦略を明確化する」ということでもあります。

旧体制の日本企業では、企業目標は経営陣の一部しか把握していないのが普通でした。会社によっては、一貫した企業理念が存在しないといったところも少なくありません。人事戦略を導入するには、経営陣を巻き込んで企業目標を明文化することが必須となります。

2、仕事のやりがいを引き出すことにも繋がる
企業目標を軸に人事を行うことで、従業員は自分の仕事に対する目標を設定しやすくなります。それは従業員の会社に対する愛着を高め、仕事のやりがいを引き出すことにもつながるメリットももたらすでしょう。

また、従来の人事は「減点方式で従業員のあら探しばかりしている」といった、マイナスイメージが強かったものです。リスクを嫌い、「チャレンジングな経営戦略はやらせない」といった、企業目標とは違った方向性でストッパーとなっている部門でもありました。しかし、戦略的人事では人事が積極的に社内の業務全体のサポートを行うようになります。そのため、社内における人事の孤立を解消することにもつながるのです。

3、戦略人事が事業の成功に結び付くことになる
人事担当者が戦略づくりから業務全体的に関わってくるようになることで、会社経営全体を把握できるようになります。それによって、「従業員の能力を活かせる仕事は何か?」という観点で人事を行えるようになり、企業目標を達成するために人材をフル活用することができるようになります。人事部の本業とは、このような特性をもつ人材という経営資源を動機付け、その持てるパフォーマンスを最大化に引き出すことにあります。ヒトのヤル気とは、言葉の使い方一つで変化する、とてもうつろいやすいものです。人材を動機付け、ヤル気を引き出し、それを事業の成功に結びつけることが、人事部の本来の役割です。

■人事戦略の立て方のポイント
人事戦略の重要性を分かってはいても、まず何を重視して計画を立てればいいか分からないという担当者も多くいることでしょう。企業が決めるべきことと見直し、現状でうまくいっていない場合、何か問題があるということ。制度や体制を見直しましょう。人事戦略のパターンは無数に存在しますが、重要なポイントは以下のようなことが挙げられます。

・企業理念を明確にする
・方法論に流されない
・他社の事例に惑わされない
・周到な準備を行う

人事戦略を導入するにあたり、経営陣は企業目標や経営戦略を全ての従業員に分かりやすく示す必要があります。企業目標があいまいだと、どんな人材が会社に必要なのかが見えてこないからです。

会社によっては、経営戦略に一貫性がないということもあるでしょう。また、従業員からの提案を受け入れられないという経営者も少なくありません。優秀な人材確保のために使える賃金は相応か、社員育成の環境が整っていないのに未経験者を採用しようとしていないかなど現行制度も見直しましょう。

人事戦略は、経営と隔絶されていたかつての人事とは違い、人事部だけをどうにかすればいいというものではありません。昔ながらの年功序列のような制度と違った方向性を経営陣だけでなく、社員全体にその必要性を納得してもらうことが重要です。

■人事戦略を行うための計画や準備
人事戦略には、組織が一丸となって同じ目標に突き進んでいくことが重要です。そのためには経営陣や従業員全体の意識改革が不可欠です。人事戦略の必要性を浸透させるには、長い時間と準備が必要となります。

戦略的人事に、シフトするための計画・準備の一例ですので、自社に合った方法を見つけるために、参考にしてみてください。

・どのような不満が出るかあらかじめ想定し、自分なりの回答を用意しておく
・目先の数字に惑わされることなく中長期的な視点で計画を立てる
・人事戦略がどういったものなのか理解して貰うための資料を作成する
・企業目標を覚えやすいスローガン化する
・それを元に人事戦略を行うことを従業員全体に周知させる

■人事戦略を成功させるためのポイント
自社に人事戦略を導入するにあたり、成功させるポイントを考えてみましょう。

1、他社のやり方に惑わされない
効果的な人事戦略は、それぞれの企業によって違います。企業の数だけ人事戦略のパターンがあるといってもよいでしょう。企業理念が違えば同業の会社でも人事戦略の方法が違うのは当然です。

他社が成功した方法をそのまま取り入れても、成功するとは限りません。参考にする分には問題ありませんが、成功のカギはあくまでも「自分の会社に合うやり方」の追求と心得ましょう。

また、プロセスに振り回されて肝心の目標が曖昧というケースも見受けられます。大切なのは「何が目標か」「何のためにやるか」。もちろん「どういった方法を行うか」も重要ですが、明確な目標が定まっていない人事改革は失敗しがちです。

2、責任者は自分なりの考え方をしっかりと持つ
大がかりな制度改革が必要となる人事の戦略化。従業員や経営陣の中には、なぜそれが必要なのか疑問に感じる人も多いでしょう。人事責任者は、従業員からの以下のような答えに自分なりの回答を準備しておかなければなりません。

・なぜ人事改革が必要か
・戦略人事を行うメリットは何なのか
・何を目標としているのか

人事責任者の考えがまとまっていなければ、周囲を納得させることもできず、周囲を説得させることもできないようなあやふやな考えでは、人事戦略を成功させることも困難でしょう。

■戦略人事の導入が難しいと3つの理由
1、経営陣:人事部からの提言を受け入れない、戦略が不明確
経営戦略に深くコミットする戦略人事は、経営者によって経営戦略が明確に示されていないと展開することはできません。 経営戦略に一貫性がない企業だと、導入に困難が伴うかもしれません。また人事担当者から戦略人事の提言があっても受け入れることができない経営者も少なからず存在します。

2、人事:経営戦略を人事戦略に落とし込めない、攻められない
せっかく明確な経営戦略があっても、人事担当者が戦略人事を理解していないと、人事制度に落とし込むことが難しくなります。 「労務が人事部の仕事」といった考えや従来型の制度へのこだわりが強いと、戦略人事という「攻めの人事」を展開できるまでに時間がかかってしまいます。

3、従業員:非協力的、変化を嫌う
経営戦略が明確で人事部が戦略人事を研究しているのに、依然として戦略人事を展開できない企業は、従業員の意識改革が必要になるかもしれません。戦略人事は組織変革が伴うので、変化を嫌う従業員は非協力的になったり、導入に抵抗することがあるかもしれません。 この場合、人事部としては「戦略人事は従業員に不利益になるものではない」ということを説明し続け、共感と納得を得る努力を行う必要があります。

■長期的に取り組むべき3つのアプローチ
「戦略的人事」を実現するため、人事部門には、以下のようなアプローチが求められます。

1、人事部門が経営の「ビジネスパートナー」になる
戦略的人事では、人事部門が経営のビジネスパートナーとして、戦略作りから後方支援まで、主体的に関与していくことが基本的なコンセプトとなります。まずこの点を、忘れてはいけません。

2、「中長期計画」をしっかりと理解する
戦略的人事には、経営計画と各部門の事業計画に対するコミットが欠かせません。そのためには、自社の中長期計画と、各事業部門の計画内容をよく理解しておくことです。各部署が展開している戦略は経営が示している戦略と合致しているか、方針や施策が戦略に合ったものになっているかといった点を、検証しておくことが必要です。その際、財務諸表を読めるようになると、経営層と同じ言葉(目線)で会話できるようになります。

3、新規事業・起業の取り組みに関与する
人事部門は、これまであまり行ってこなかった新規事業の立ち上げや、企業内起業の取り組みにも、今後は積極的に関与していくことが求められます。確かにこれらの分野・領域は未知数ですが、将来の会社の新しい方向性や思惑を伺い知ることのできる貴重な「場」です。人事部門はそれを「実感値」として知ることにより、これからの戦略的な人事のあり方、求められる制度・施策などのヒントや示唆を得ることができます。

■まとめ
「戦略的人事」とは、人事部門がこれまでのような管理的業務を中心とした対応から、経営戦略の実現を担う戦略部門へと転換すべきである、という考え方です。戦略人事は「経営戦略と人材マネジメントが融合している」ため、その瞬間の経営状況に応じた人材活用を可能にしやすくなります。一般的な人事では経営戦略と人材配置にタイムラグが生じスピード感が失われる場合もありますが、そういったリスクを減らす意味でも「戦略人事」は、スピード感を重視する経営に特に向いています。

従来の人事は、人材を充分に生かしきれていませんでした。しかし戦略的人事では、従業員という素材をいかに無駄なくフル活用できるかに重点を置いています。人事戦略は日本ではまだ実績が少ないので、導入には多くの困難に直面することが予想されます。しかし、それを一つひとつ乗り越えることが、会社の抱えている問題を解決していくことへ繋がっていくのです。

戦略的人事の導入には、その分野に詳しいコンサルティング会社や専門家など、外部の力を活用することも必要です。なぜなら、人事担当者が戦略的人事を導入することにあまりに集中すると近視眼的となり、導入すること自体が目的となってしまい、本来の目的を見失うことになりかねません。そのようなときに効果的なのは、人事のプロフェッショナルが多数在籍している日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」の活用です。客観的な第三者としての外部のコンサルタントや専門家の力を借りることによって、目指すゴールを見失うことが少なくなります。

戦略的人事を実現するには、多様なアプローチが必要不可欠です。また、戦略的人事を実現するために自社が行う一つひとつの取り組みについて、人事部が当事者意識を持って丁寧に対応していくことが、戦略的人事の実現に向けての何よりの「近道」となるはずです。

本田季伸のプロフィール

KENJINS運営元代表 連続起業家・著者・エンジェル投資家 新卒で日本食研株式会社を経て、25歳で起業。これまでに自身で複数のITベンチャーを創業する。 1997年の起業時は、新宿の高田馬場でWEB制作事業からスタート。その後、インターネット事業プロデュース会社として、日本初の事業であることにこだわり、クーポン専門サイト、地域コミュニティサイト、出前専門サイト、チケット共同購入サイトなど、数々の専門・特化型ポータルサイトを立ち上げる。 クーポンサイトの運営時にバーコードを電子化し、クーポンやチケットとして携帯電話の画面上に表示するアイデアを考案し、20件以上の特許を申請し事業化を推進。2002年に業界で初めて、「携帯チケット」のソリューションを開発。KDDIと共同で歌手の矢井田瞳のコンサートでモバイルチケット入場を実用化させ、電子チケット事業のパイオニアとして一躍注目を浴びる。 2014年プライドワークス株式会社を設立。日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」のプラットフォームを武器に、顧問紹介業界で横行している極端な顧問料のピンハネを撲滅を推進し、「顧問料の中間マージンをゼロ」をコンセプトに業界で唯一、適正価格で顧問紹介サービスを提供している。

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