ブレインストーミングとは?新規事業にブレストが有効な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

良いアイデアが浮かばない際に、一人では思いつかないようなアイデアや解決法のヒントが思い浮かぶ「ブレインストーミング」と言う会議手法を活用することです。

なぜなら、ブレインストーミングにより、参加者が次々に意見を出していくことで発想が刺激され、革新的なイノベーションが起こることがあるからです。

実際に新規事業の立ち上げ時に中小企業の社長が、顧問やプロ人材との壁打ちで、画期的な商品やサービス、社内制度や取り組みなどが生まれた事例が沢山あります。

そこで、今回、ブレインストーミングとは何か、新規事業にブレストが有効な理由について解説します。

■ブレインストーミングとは?
ブレインストーミングとは、英語の「brainstorming」から生まれた会議方式の一つになります。日本語で「集団思考」、「集団発想法」、「課題抽出」と呼ばれています。

「アレックス・F・オズボーン」によって考案された会議方式のひとつになります。

日本語では、「ブレスト」と略されることが多く、新規事業の立ち上げや商品開発などで、ビジネスシーンで利用されています。

ブレインストーミングは、一種のアイデアを生み出す「集団発想法」手法として位置付けられています。様々な人が培った知見を活用して、初期のアイデアや特定のテーマに関する発想の整理することをメインとして活用されています。

複数人で会議や打ち合わせ、意見交換を行い、参加メンバーがそれぞれ、アイデアを出し合って、意見交換することがブレストの基本的な手法になります。

ブレインストーミングを活用することによって、クリエイティブな発想はもちろん、個人だけでは考えて浮かばないアイデアの発見や提案、会議参加者全員のアイデアを簡単にまとめる効果があり、チーム全体のまとまりが良くなります。

■ブレインストーミングの概要
「アイデアとは、無から有を生み出すこと」ですが、これはアイデアを発想する上で、大きな障害となる可能性があります。

というのも、この考えを前提にすると、アイデア発想は極めて困難な作業、誰か特殊な人にしかできない活動のように思えるからです。

このような際に活用できのが、「ブレインストーミング」になります。集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法になります。

人数に制限はなく、5名から7名で行われますが、昇華させたい内容によっては、10名程度が好ましいというやり方もあります。

「HAZOP」のように3人ごとの班構成にして、事前に課題を与えてそれぞれの班での成果を持ち寄ると効果的です。

議題については、予め周知しておく方法と、先入観を与えないようにその場で資料を配布する方法があります。

ブレインストーミングは対象によって様々な進め方が可能です。例えば、「HAZOP」のような誘導語付き「ブレインストーミング」「Guided brainstorming」は、誘導語に基づいて効率的に作業ができる、国際規格になっています。

■HAZOPとは?
HAZOPとは、ハザード操作性解析「Hazard and Operability Study」のことを指し、リスク評価を目的に開発された手法になります。

HAZOPの手法は、1960年代、英国ICI社が、自社開発の新規化学プロセスを対象として、潜在危険性をもれなく洗い出し、それらの影響・結果を評価し、必要な安全対策を講ずることを目的として開発されたプロセス危険性の特定手法です。

HAZOPは、潜在危険性の特定に抜け、漏れがないように7つの「HAZOP」のガイドワード(案内語)とプロセス運転条件を組み合わせ、通常状態との「ずれ」に着目します。

HAZOPは当初、化学プロセスを対象としたものでしたが、現在では他の分野においてもその有効性が認められました。

現在、電子・電気、機械、輸送システムなどに対する適用ガイドラインがIEC標準として発行されているほか、医療分野でも利用されています。

HAZOPの考え方を様々なビジネスシーンや行動を起こす段階で効果的に取り込めば、ブレインストーミングと同様に様々なアイデアをブラッシュアップさせることも可能だと考えられています。

FMEAとも似ており、構成要素と失敗モードに着目している点が異なります。

■FMEAとは?
FMEAとは「Failure Mode and Effects Analysis」の略で、日本語に訳すと「故障モード影響解析」となります。

製品や製造プロセスがもつリスクを設計段階で評価し、取り除く手法のことです。

事前に問題点を浮き彫りにし、対策を施せば未然に被害を防止できる手法になります。

FMEAは、さまざまな業務分野に適用することが可能です。設計段階では設計FMEA、作業段階では作業FMEAと呼ばれることもあります。工程FMEAもその一つで、FMEAの考え方を製造工程管理に適用したものです。

製造工程に潜在する不具合を洗い出し、トラブルを予防することに役立ちます。

■成功につながるブレインストーミング4つのルール
ブレインストーミングには、基本的に決まっているルールは存在しません。

なぜなら、ブレストはあくまでも自由な発言を重視しして行う発想法であるからです。固定されたアイデアでブレストを行ってしまうと、ブレインストーミングは失敗してしまうので、しっかりとこのポイントを覚えておきましょう。

1、アイデアの否定や判断、結論はNG
ブレーンストーミングを実施する際に重視しておきたいルールが、アイデアの否定です。ブレインストーミングは自由なアイデアを発言する方法になります。

ですので、アイデアに対する否定や結論、判断は必ず避けておきましょう。自由なアイデア抽出を制限するような、批判を含む判断・結論は慎みつつ、判断・結論は、ブレインストーミングの次の段階に譲ります。

ただし、可能性を広く抽出するための質問や意見ならば、その場で自由にぶつけ合うことも必要です。

例えば、「予算が足りない」と否定するのはこの段階では正しくないが、「予算が足りないがどう対応するのか」と可能性を広げる発言は歓迎されます。

2、アイデアを結合し発展させ結合改善する
一般に、アイデアの発想というと、「偶然のなせる技」と考えるビジネスマンが多いのではないでしょうか?

しかし、革新的なアイデア発想する際でも、発想のための体系や基本スタンスがあると考えるべきです。

事業開発のブレインストーミングでは、既存の成功した商品やサービスを研究し、別々のアイデアを加味したり、一部を変化させたりすることで、新たなアイデアを生み出して行くことも可能です。

ブレインストーミングでは、他人の意見に便乗することが推奨されています。

アメリカの実業家であるジェームス・ウェブ・ヤングは、1940年刊の著書『アイデアのつくり方』において、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と論じています。

3、質より量を重視する
ブレインストーミングで大切なポイントとしては、普段思いつく一般的なアイデアを重視するよりも、ユニークで新しいアイデアをメインで行なって行くことが欠かせません。

現在においても、斬新な商品・サービスを生み出す組み合わせは依然として未発見の状態で存在しています。

様々な角度から、多くのアイデアを出すことが効果的です。一般的な考え方、アイデアはもちろん、一般的でなく新規性のある考え方、アイデアまであらゆる提案を歓迎します。

限られた時間内で行うブレインストーミングでは、アイデアの質にこだわっている時間は無いので、なるべく量に重視しKJ法を併用し大量のアイデアをアウトプットすると良いでしょう。

4、アイデアをまとめる
誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視します。

新規性のある発明は、最初の段階では、笑いものにされることが多いです。ですが、そういった提案こそを重視すると良い結果に結び付きます。

ある程度ブレインストーミングにアイデアが追加された後は、KJ法を活用しアイデアを整理しましょう。その後、結論をまとめ、決断されたアイデアをビジネス会議でまとめていきましょう。

ブレーンストーミングは、普段のミーティングとは違い、様々なアイデアを受け入れる集団発想法の場になります。

そのため、4つのつのルールを中心にブレインストーミングを進めて行くことがお勧めです。

■新規事業のブレインストーミングの流れ
「新規事業」は、英語で「スタートアップ」といい、革新的な商品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい市場の開拓などによって事業を展開することを指します。

新規事業を立ち上げる際には、成功が見込めるアイデアを考えることが大切です。

1、テーマや問題を定義し、目的をハッキリさせる
まずは、議論のための新規事業のテーマや問題を定義します。世の中には不便、不満、不安、不公平など、あらゆる「不」が存在します。

これらの「不」を解消する方法を見つけると、顧客のニーズに合った事業を立ち上げやすくなります。まずは世の中にある課題を探し、設定してからアイデアを考えはじめましょう。

なぜなら、解決法から考え始めてしまうと、実際にはそれを求める顧客がいなかったという事態に陥る可能性があるからです。

画期的なアイデアを出して、それを実現することに注力せずに、まずは顧客のニーズがどこにあるのかを考えることが大切です。

その後、ブレインストーミングの目的(ゴール)をハッキリさせます。ブレインストーミングの目的が不明瞭だと、失敗につながるため注意が必要です。

2、新規事業立ち上げのプロセスを理解する
新規事業を立ち上げる際は、以下のようなプロセスで進めると効果的です。

1.課題を設定して新規事業の計画を考える。
2.市場調査を行い、事業を展開する領域を決定する。
3.経営や事業に関する理念やビジョンを明確にする。
4.市場の成長性、将来性など「市場性」を見極める。
5.ターゲット層に求められている商品・サービスの要件など「事業性」を見極める。
6.ノウハウや資金、人材など、新規事業を成功させるために必要なものをリストアップし、事業プランを明確にする。
7.新規事業の立ち上げに向けて具体的な行動計画を立て、できる限り早めに実行する。

3、ブレスト会議の参加者を選定する
新規事業のブレインストーミングを行う際には、社長やCPOがファシリテーターになるケースが多くなります。商品やサービスなどいの特性に合わせて、ブレインストーミングの参加メンバーを決めます。

ブレインストーミングは、5人以下のグループあるいは個人で実施するのが原則ですが、重要なポイントは「参加メンバーに、同じ属性・考えを持つ人をなるべく2人以上参加させない」ことです。

具体例を挙げると、経営幹部など一定の役職を持つ人のみで実施するのではなく、年齢、部署、性別、経験、ポジションなどに多様性を持たせて参加メンバーを選ぶことが望ましいです。

なぜなら、同質の考えを持つ人を集めてしまうと、類似するアイデアばかりが集まり、シナジー効果の獲得が難しくなってしまうからです、そのため、参加メンバーには異なる背景を持つ人を集めましょう。

4、期間を設けてアイデアを沢山出す
ビジネスの現場で何かアイデアを発想しなければならない時、常にデッドラインが存在します。それにも関わらず、アイデアを寝て待っているのでは、あまりにもリスクが大き過ぎます。

何らかの体系的な手法を身に付けて置き、それを実践することでアイデア発想することが重要になることは言うまでもありません。

そのため、期限を設けた上でブレインストーミングを実施し、沢山のアイデアを出して行きます。ブレインストーミングでは、設定した制限時間を厳格に守って進めていくことが大切です。

通常、ブレスト会議では、1時間程度を制限時間とするのが適切だと考えられています。このうち、アイデアを発想・量産する作業には、30分程度の時間をかけることが望ましいです。

ブレインストーミングに不慣れな場合、制限時間を意識せずに取り組んでしまいやすいですが、多くの時間をかけると参加メンバーの集中力が切れてしまう恐れがあります。もしも制限時間を延ばすならば、途中で休憩を行うことが大切です。

十分な効果を期待するためには、、ブレインストーミングは、期限を区切り適切な制限時間のもとで行うことを心がけましょう。

5、アイデアをまとめる
新規事業立ち上げの担当者には、以下のようなスキルが必要です。

・関係者やビジネスパートナーへ事業プランの目的を考えるスキル。
・ビジョンをきちんと言語化して、ステークホルダーに伝えれるスキル。
・新規事業の立ち上げに必要な情報、他が掴んでいない正確な情報を収集するスキル。
・他部署や外部パートナーも含むチームをまとめるリーダーシップスキル。
・良い条件でパートナーとなる提携相手と契約するための交渉スキル。

それぞれの参加メンバーが出したアイデアに新たな視点を付け加えて、創造的な発想につなげられれば、ブレインストーミングが上手くできたと言えます。

最終的には、「出されたアイデア同士をどれほどまとめられるか」が、ブレインストーミングの成功の法則といっても過言ではありません。

■まとめ
ブレインストーミングとは、従来の固定観念に捉われず、柔軟な発想が生まれやすいアイデア出しの手法です。

ブレインストーミングの目的は、参加者が自由に意見を出し合うことで、これまで思いつかなかったアイデアや斬新な発想が生まれる点にあります。

たくさんの意見が出ることで、その意見がアイデアの種となって新たな発想を生み、相乗効果によって連鎖的により質の高いアイデアが生まれるという手法です。

そのため、結果的に問題解決につながったり、これまで気がつかなかったことに気がつけたりなど、多くの成果を得られる可能性が高いのがメリットです。

一見すると独創的な商品・サービスに感じられても、元を辿ると既存の要素の組み合わせによって生まれていたというケースは数多くあります。

ブレインストーミングの効果を十分に発揮するためには、闇雲に意見を言い合うのではなく、参加者全員が同じ目的・ゴールを意識した上で、意見を出し合うことが大切です。

「強い思い・情熱とは、寝ても覚めても24時間そのことを考えている状態。自分自身の成功への情熱と呼べるほどの強い思いが、成功への鍵。」

<稲盛和夫>

■最後に
業界に強烈なインパクトを与える新しいイノベーションや革新的な事業アイデアというのは、ゼロベースから草案されるケースは少なく、既に世の中に存在している何かと何かの組み合わせから生まれるものだと言われています。

私の経験でも新規事業の立ち上げに必要な資金調達のために、顧問とビジネスプランを議論をしている最中、会話を続けているうちにアイデアの点と線が繋がり、未来のイメージが鮮明に見えたことがあります。

米国科学アカデミー紀要に掲載された、ハーバード大学のミッチェル博士らの論文によると、ただ話をするだけでなく「自分のアイデアやビジネスプランを他人に話し、ブレインストーミングすることで、快楽をもたらす脳内物質のドーパミンが増えることが解明されています。

ただし、ブレインストーミングは、友たちとの楽しい会話とは異なり、ビジネスにおいて結果を出すことが求められます。

そのため、社長としての戦略と行動の結果を振り返り、ビジネスプランの改善点を見出し、新規事業の立ち上げ、新商品開発など、次の施策やチャレンジに生かすことが重要なテーマとなります。

基本スタンスにアイデア発想を実践するには、少なくとも次の2点への配慮が不可欠です。

・組み合わせのための元のアイデアを豊富にする。
・要素間の関連性を見つけ出す能力を磨くこと。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせに過ぎない」と考えたならば、そもそもその基本となる「既存の要素」が、手元に在庫として蓄積されている必要があります。

つまりこの既存の要素が、「知見」とも言い換えられるでしょう。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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