退職証明書とは?離職票との違いと退職証明書の作成が必要な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

現在、日本型雇用システムとして定着していた終身雇用制度が崩壊し、人材の流動化が加速しています。

企業にとって従業員が離職することは決して喜ばしいことではありませんが、「心機一転」新たな職場で新たなチャレンジをした方がお互いに良いケースもあります。

最近の傾向としては、フリーランスや起業家になることを目的としたポジティブな退職の理由が増えているため、会社としても良好な関係のまま送り出し、ステップアップを応援して上げることが重要です。

会社で一定期間頑張ってくれた人材を送り出す企業側も、様々な理由で退職する従業員側としても、「退職証明書」や「離職票」の意味や目的について、従業員の退職時の対応に関する知識やノウハウを蓄えることは必須になると言えます。

そこで今回は、退職証明書とは何か、離職票との違いと退職証明書の作成が必要な訳について解説します。

■退職証明書とは?
退職証明書は、会社を退職していることを証明するための書類です。利用目的は、離職票がまだ手元にない場合に、その代わりとして失業給付や国民健康保険の手続きに使用されることが多い傾向にあります。

原則、従業員からの請求によって発行されますが、会社によっては退職するときに必ず発行する場合もあります。

基本的に退職証明書は、「会社都合」であるか「本人都合」かを問わず、退職者からの請求により発行する書類で、会社が発行することが義務付けられている訳ではありません。

ですが、退職証明書の発行は労働基準法22条1項で定められており、会社は従業員から請求された場合は、拒否できません。

請求を拒否した場合には、労働基準法違反となり会社側に罰則が科される可能性があります。ただし、ハローワークなどへ提出する離職票とは異なり、公文書としての扱いにはなりません。

■離職票と退職証明書の違い
離職票とは、「雇用保険被保険者離職票」を指しますが、離職票は、退職者が失業給付金を申請する際に必要な書類になります。

失業手当の申請を退職者が希望した場合に、会社側がハローワークに「離職票」の交付手続きを行う必要があります。

ただし、離職以前の2年間で雇用保険の加入期間が1年以上あるなどの要件があるため、退職者によっては対象にならないケースがあります。

「離職証明書」は、企業側が準備する必要があります。この離職証明書は、ハローワークから離職票の交付を受けるために必要な書類で、ハローワークへの提出用・企業側の控え・退職者に渡す離職票の3枚複写式となっています。

■転職先が決まっているかで会社の手続きが異なる
離職票と同様に、退職証明書も退職者が希望する場合にのみ企業側が発行する書類です。そのため、全ての退職者に対して発行する義務はありません。

しかし、退職者から求められた際は即座に発行しなければならず、理由なく拒否するなどの対応をしてしまうと労働基準法違反として罰せられるため注意が必要です。

退職手続きに関しては、従業員が次に入社する転職先が決まっている場合と決まっていない場合で異なります。

1、転職先が決まっているケース
転職先が決まっている場合は、「社会保険の資格喪失届」「雇用保険の資格喪失届」「住民税の変更手続き」などの手続きが生じます。

2、転職先が決まっていないケース
転職先が決まっていない場合は、退職者の希望に応じて国民年金・健康保険の加入手続きで必要な「退職証明書」の発行が必要になります。

加えて失業手当受給に必要な「離職票」(正式には雇用保険被保険者離職票)の発行手続きなどを会社側が実施します。

■退職証明書が必要となるタイミング
退職証明書が必要となるのは、退職後の各種手続き時や転職時です。提出を求められる主なシーンを紹介します。

1、国民健康保険と国民年金の手続きを行う時
会社を退職すると、退職者は国民健康保険と国民年金の加入手続きをする必要があります。

離職票でも証明書として手続きはできますが、発行までに1週間~2週間かかることがあるため、早めに手続きをしたい退職者から退職証明書を求められることがあります。

国民健康保険と国民年金の加入手続きは、公文書である離職票があれば対応可能ですが、ハローワークを経由する離職票の発行に時間がかかる場合に、退職証明書を提示するというケースが多いです。

2、ハローワークでの失業保険手続きを行う時
会社都合で退職した場合は、退職後すぐに失業保険をもらうことが可能です。求職者がハローワークで離職票を提出して求職を申し込み、7日間の待機期間を経た後に失業保険の支給期間が開始されます。

しかし、離職票が手元にない状況なら、待機期間を開始する手続きすら行えません。このようなケースでは離職票の代わりに退職証明書を使うことで、待機期間を開始する手続きを進められる仕組みになっています。

離職票の発行手続きは退職後に行われるため、手元に届くまでに一定期間を要します。会社側ができるだけ早めに失業保険を貰えるようにする場合には、離職票が届く前に退職証明書を発行して上げるとよいでしょう。

3、転職先から求職者が求められた時
転職先が決まった際に、転職先の会社から退職証明書を求められることがあります。

これは、退職の事実確認と履歴書に嘘偽りがなく確実に入社できる状況であるかどうかの確認や履歴書に書かれた退職理由の整合性を確認するためです。

その場合も、退職者から書類作成を求められたタイミングで速やかに発行しましょう。ただし、退職から2年以上経過すると退職者から発行を要求されても、企業側が発行する義務はなくなります。

■退職証明書の書き方
基本的に退職証明書の書き方は企業によって自由に設定できます。労働基準法第22条1項には、退職者から求められたときに記載すべき項目が明記されています。

法律で定められている項目は、以下の5つです。

1.使用期間:在籍していた期間
2.業務の種類:仕事の内容
3.その事業における地位:最終的な役職
4.離職以前の賃金:月給や年収(額面)
5.退職の事由:退職理由(自己都合・契約期間満了・解雇など)
※解雇の場合はその理由も含む

退職証明書は、企業と退職者との間で合意のもとに作成される書類であるため、最低限必要な記載事項を押さえておくと安心です。

■企業が退職証明書を発行する際の注意点
退職証明書に一般的に記載されている項目としては、「退職年月日」「勤務期間」「業務の種類」「役職・地位」「賃金(収入)」「退職理由」などが挙げられます。

ただし、これらの項目をすべて網羅すれば良いというわけではなく、従業員が請求した内容のみ記載するというルールがあります。

解雇を理由に退職した人の中には、『退職の事由』を書いて貰いたくない人もいるでしょう。

退職の事由が解雇の場合は解雇理由も記載されるため、理由によっては転職時に不利になりかねません。

労働基準法第22条の中には、退職者から求められた項目以外は記載してはならない条項があるため、会社側も作成する前に、退職者から必要項目をヒアリングして置くことが重要です。

■まとめ
退職証明書とは、『過去に在籍していた会社を辞めた』という事実を証明する書類です。会社側に発行の法的な義務はなく、原則として退職者の求めに応じて会社が発行します。

退職証明書が必要となる代表的なケースは、転職先から提出を求められた場合です。国民健康保険、国民年金に加入する時や失業給付の手続き時にも、提出しなければならないケースがあります。

退職証明書や離職票の発行にあたって企業側がスピーディーに対応することは、退職者が次に進むための大切な一歩を支えることにもなり、ゆくゆくは企業側の評価にも繋がります。

それは、中長期的にみれば企業側にとってもメリットになることなので、ぜひこの機会に退職証明書を含めて、従業員が退職した際の各種手続きについて知識を高め、いざという時のための体制を整えておきましょう。

「人生でもっとも輝かしい時は、いわゆる栄光の時なのでなく、落胆や絶望の中で人生への挑戦と未来に成し遂げる展望が、沸き上がるのを感じた時です。」

<ギュスターヴ・フローベール>

■最後に
コロナ以前の2018年と比較して日本のフリーランス人口は500万人以上増加しており、労働人口の35%が広義のフリーランスであるアメリカのレベルに近づいてきたとも言われています。

経済規模も2020年より約10兆円増加し28兆円と過去最大となりました。

フリーランスにはっきりした定義は存在しませんが、主に「特定の組織に所属せず、個人でスキルを提供する働き方」を指すことが多いでしょう。

中小企業庁が発行した「2015年版小規模企業白書」では、「ソフトウェアの設計・開発(SE)、Webデザイン、ライティング、翻訳・通訳など、自らの持つ技術や技能、スキルを拠り所に、組織に属さず個人で活動する」働き方を「フリーランス」と定義しています。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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