カスタマーサクセスとは?営業やカスタマーサポートと役割の違い

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

企業が持続的な成長を実現するためには、顧客ニーズの高い売れる「製品を作ること」と、営業活動をしっかと行い「製品を売ること」が大事な取り組みになります。

現在、ビジネスを成長させる「第三の核」になる要素として、「カスタマーサクセス」を考えていく必要があると言われています。

カスタマーサクセスを実現するためには、「売り切り御免」の姿勢を捨てることです。

なぜなら、顧客へ販売する商品やサービスの「価値」が何であるかを定義し、事業全体をカスタマーサクセスの概念に基づいた仕組みに構成し直すことが「成長ドライバー」として、欠かせない要件になるからです。

そこで今回、カスタマーサクセスとは何か、営業やカスタマーサポートのと役割の違いについて解説します。

■カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、英語で「Customer Success」と表記されます。日本語では、「顧客の成功」を意味します。

カスタマーサクセスでは、商品やサービスを既に購入している顧客に対し積極的に働きかけることで、顧客を「能動的」に成功へと導くことが最大のゴールになります。

つまり、アクションの起点は、顧客ではなくサービスを提供する側になります。

自社商材・サービスを売って終わりではなく、その商材・サービスを顧客が手にした後に、それを用いて顧客の成果が最大化できるようなサポートを行い、能動的なアプローチをすることを指します。

■カスタマーサクセスとカスタマーサポートの大きな違い
カスタマーサクセスが、顧客に対してサポートに動くのは、カスタマーサポートのように顧客から何らかのクレームが入った時点ではありません。

「カスタマーサクセス」は、語彙が非常に似ているカスタマーサポートとは、全く違うものと定義できます。

両者の最大の違いは、以下になります。

・カスターマーサクセス:能動的
・カスタマーサポート:受動的

常に受け身で顧客からのアクションを待つのではなく、顧客の成果を実現するため企業からアプローチをすることも含まれます。

コールセンターでは、カスタマーサポートの場合は問い合わせ・クレームが起きた時点ではじめてアクションを開始します。そのため、コールセンターの姿勢としては完全に「受動的」となります。

これに対して「カスタマーサクセス」は、商品やサービスを契約した際にシステムの使い方を指導するなど、購入した理由に対する成果を上げべく、支援が必要なことを想定し、アクティブに「受動的」なサポートを実施します。

「能動的」か「受動的」かは、顧客にとって、大きな違いになると言えるのです。

■カスタマーサクセスが担う3つの役割

1、営業マンが契約した後のサポート業務
以前は、営業マンが全ての顧客のサポートを継続的に行うことが理想だとされて来ました。

しかし、営業プロセスが分業化された今、営業職の仕事は複数の担当で分業した方が生産性が上がると認知される時代へと変化して来ました。

カスタマーサクセスは、社外にいることが多い営業マンが顧客との交渉などに注力できるように、社内での事務業務をサポートする業務を担います。会社によっては「営業サポート」や「営業アシスタント」と呼ばれることもあります。

ただし、請求書などの書類作成、受発注データの入力などを行う営業事務とはミッションが大きく異なり、普段から顧客の動向を定点観測し、ビジネスで成果を上げるために能動的に関わることが求められます。

2、営業マンや技術者と連携して支援を行う
カスタマーサクセスの多くは、インサイドセールスの担当者やフィールドセールスの部署といった営業マンとの連携を取ることが必須になります。

また、システム的なプロダクトの場合、導入した後のサポートが欠かせないため、自身でも様々な知識を身に付けることも欠かせない要件になります。

自身では解決できない場合には、高度な技術的なノウハウを持つセールスエンジニアなど、様々な部署との連携を行う必要があります。

全ての商品やサービスに精通し、複数のクライアントを1人で顧客をゴールに導くことは、実質的に困難になるため、時には各担当者からの適切なフォローを受けることも必要になります。

3、顧客が成果を上げるべく実行支援を行う
法人営業の場合だと、営業マンの多くは、新規顧客の開拓や自社プロダクトを販売することがゴールになるケースが多くあります。

しかし、カスターマーサクセスのゴールは、営業マンとは異なります。

カスタマーサクセスの役割は、顧客が今、どのような課題を抱えており、今度のビジネスがどこへ向かっているのか最終的なゴールを把握します。

その上で現在の課題状況の「ステータス」を確認し、サービスの効果を発揮させる使い方をアドバイスすることが、一番の役割になると言えます。

そのため、カスタマーサクセスでは、日頃から綿密に営業マンと情報共有をし合い、顧客を成功に導くという目線を揃え、顧客を中心としたゴールを認識して置くことが非常に大切です。

■顧客に合ったカスターマーサクセスが大事な訳
カスタマーサクセスを行う際は、自社が製品やサービスを提供する対象に顧客を絞るべきです。

なぜなら、自社サービスとは異なる顧客を対象にしてしまうと解約率が上がったり、対価に見合わない高度なサポートを要求されたり、必要以上のリソースを奪われる可能性が高くなる可能性もあるからです。

世の中にモノは溢れた今、顧客が持つ価値観が多様化がしているため、顧客は、自分のニーズに合うものを、数多くの候補の中から比べて選んで買っています。

マーケティングの役割のひとつは、限られた経営資源を効率的に使って、投資対効果を最大化することです。そのためには、市場全体ではなく、自社プロダクトに価値を見出し購入して貰える「顧客層」を明確にする必要があります。

これをターゲット設定の「セグメンテーション」と呼びます。

ビジネスの成功のポイントは、万人受けを狙うことを辞めて「顧客層」をフォーカスすることにあります。

ターゲットを絞ることによって、「私のための商品だ」「こんな商品が欲しかった」といったプロダクトの存在や価値についての情報を、想定顧客層に効果的に伝え、購入を促進することができます。

これにより、顧客を適切に絞り込んだ上で、その顧客の状態ごとに「カスタマーサクセス」による適切な対応をすることが可能になると言えるのです。

■カスタマーサクセスの3つのタッチモデル
カスタマーサクセスのタッチモデルとは、LTV「Life Time Value」による顧客生涯価値でセグメントし、顧客対応の接点やリソース、手法などの分配をモデル化したものです。

カスタマーサクセスのタッチモデルには、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチの3つがあります。それぞれ、価格帯となる商品やサービスの価格相場が異なり、グレードに応じた価格差があります。

1、ハイタッチ
大口顧客など見込めるLTVが高い顧客に加え、知名度の高い顧客など、自社にとって付き合うメリットの高い顧客に対しては、ある程度、高いコストをかけて対応することが可能です。

このセグメントをハイタッチと呼びます。BtoBビジネスでは、数としてはもっとも少ない大手企業を指します。

例えば、大手のシステム会社は、資源や人材が豊富あり、多くの業務システムに精通していますが、その分、価格帯が非常に高額になります。その理由としては、元々人件費が高い上に、営業などの間接費用が掛かるため、トータルの開発費用が高くなる傾向にあるためです。

仕様書の作成や対面などによる個別対応が中心となり、機能などのフルスクラッチによる開発や定期的な進捗確認など、コンサルティングを提供することが必要になります。

2、ロータッチ
「ハイタッチ」と「テックタッチ」との中間に当たるセグメントが「ロータッチ」です。

例えば、システム開発では、パッケージ製品もロータッチにあたります。一からの開発でない分、比較的費用を抑えてシステムを導入する事が可能になります。

サービス導入後に、マニュアルやウェビナー提供するなど、ある程度、まとまった顧客層に対して同一の対応を行います。

このセグメントの顧客への対応には、ハイタッチの要素となる個別対応とテックタッチの要素のメールやWebコンテンツによる活用支援も含まれてきます。

3、テックタッチ
LTVで見た際に最も低い位置に当たるセグメントが「テックタッチ」です。一般的に、低価格なサービスになるため、顧客数としては一番多いと考えられます。

インターネット型の低価格なサービスの場合、顧客1件ずつにコストを掛けられないため、テクノロジーを活用した「SaaS」の対応が中心となります。SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、従来のソフトウェアのようにパッケージとして販売するのではなく、ソフトウェアの機能をインターネットを通じたサービスとして提供する販売形態です。

例えば、Webサイト上にチュートリアルや学習ガイドといったコンテンツを用意し、メールで案内して自習して貰ったり、メルマガなどで情報提供を行う手法があります。

要望の多い改善を機能実装で解決するといった手法もテックタッチに含まれます。

■まとめ
カスタマーサクセスとは、「顧客の成功を達成する」ことで「自社の利益を得る」という考え方や組織、戦略、活動を指します。

カスタマーサクセスを成功させる上で、「どのような状態であれば、顧客は成功していると言えるのか」を定めることはとても重要です。

顧客の課題を認識しゴールを定めることもなく、サービス提供を行っているだけでは、顧客が今成功しているのか、上手くいっていないのか、それさえも分かりません。

顧客を放置してしまうことは、「売上至上主義」の組織に起こりがちな失敗例でもあります。

売上至上主義とは、売上を上げる事が絶対とする考えや方針で、企業や経営などで利益追求を最優先にすることを指します。顧客対応や社会貢献よりも、売上を上げる方の優先順位が高くなる企業の方針になります。

売上や利益を追求するのは資本主義の企業として正しい姿ですが、あまりにも度が過ぎると顧客離れが起こります。

選択肢が無数にあり、同類のサービスの中から好きなものをチョイスできる環境下において、顧客が「成し遂げたいことが達成できない」と判断された瞬間に、サービスは簡単に解約されてしまいます。

カスタマーサクセス実現のためには、顧客のビジネスのゴールを理解し、支援を惜しまない「貢献マインド」が重要になります。

サービス提供者は、顧客の状況や状態に合わせた継続的な価値を生み出し、その価値に気づいてもらえる仕掛けを考え、「アフターケア」に注力することが、企業の持続的な成長に欠かせないと言えるのです。

「ディズニーランドやディズニーシーでは、対面のコミュニケーションを大事にしています。自販機は極力設置せず、飲み物やポップコーンなどを、手渡しする形で販売します。

清掃をする人は道案内をし、ゲスト(顧客)のために写真を撮影します。様々な場面で、ゲストが嬉しかったり、快適に感じたりする体験を提供することが、顧客満足度に結びつきます。」

<砂山起一>オリエンタルランド代表取締役副社長 執行役員

■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超えるフリーランスの顧問や副業のプロ人材を集結させており、カスタマーサクセスの前段階にあたる新規開拓や販路拡大に繋がる「営業支援プロジェクト」を強みにしています。

営業支援を推進する上では、顧客の課題のヒアリングとビジネスモデルの理解により得られた情報を元に、クライアント毎の売上向上の戦略を練り上げ、ブレイクスルーの実現に必要となる顧問やプロ人材のプロジェクトチームを組成しています。

単なる人材の紹介に終わることなく、顧問契約をベースにした帆走型のサポート活動を通じて、顧客に対しての価値を提供し、クライアント企業のビジネスを成功に導くことで、LTV最大化を目指しています。

大手企業をターゲットにした新規開拓では、役員クラスや購買の決裁者となるキーマンとアポイントを獲得することが課題になります。

ですが、中小企業の場合には、大手企業の役員クラスとのアポイントの獲得はハードルが高く、そう簡単ではありません。

そのような課題を持つ企業に対して、新規開拓に必要な営業活動の支援を行うことを目的に、販路拡大のタスクフォースを担う営業顧問チームを作り上げ、日本の大手企業や海外のグローバル企業との新規取引に必要な営業活動の実行サポートを行っています。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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