現在、働き方改革とコロナ渦の影響により、副業で新たにセールスレップに挑戦する現役の営業マンやトップセールスの経験を活かしフリーランスとして活躍する法人営業のプロや、これまでに培った人脈を活用した営業支援に従事する営業顧問が爆発的に増えています。
1社専属で勤務する正社員の営業マンの場合、固定給が貰える会社が殆どですが、海外のセールスレップや営業顧問の多くは、顧問契約をベースに「完全歩合制」もしくは「歩合制」で、自社の商品やサービスの販路拡大をしてくれる大変貴重な存在になります。
「完全歩合制」の営業とは、どのような仕組みになっているのか?どの程度の成功報酬が支払われるか?など、完全歩合制で働くことのメリットとデメリットが分からない営業マンや中小企業の社長が多いです。
そこで今回、完全歩合制とは何か、歩合制の意味・成功報酬が、営業の成果を高める訳について解説します。
■歩合制とは?
歩合制とは、企業で働く営業マンが基本給に加えて、成績や売り上げに応じて成功報酬が支給される報酬形態のことです。
歩合制になると、個人の営業成果に応じて成果報酬型のインセンティブが加味される報酬決定システムになるため、売上獲得などの業績に歩合率を掛けて、金額が算出され支給されます。
歩合制は、英語で「Commission system」コミッションシステムと表記されます。日本語では、営業活動を通じて生み出された成果や売り上げに応じて、成功報酬の対価が支払われる報酬制度という意味があります。
例えば、歩合制の営業マンとして1カ月に1000万円を売り上げたとします。その際のインテイブは、企業の商品やサービス利益率によって異なりますが、売り上げの3%が歩合給として還元される仕組みなら、30万円の報酬を得ることができます。
固定給のみの報酬体系の場合には、頑張って新規開拓したり劇的な売上を上げたとしても販売実績は、全く関係がありません。
1カ月の売り上げが1000万円でも500万円でも会社から支払われる報酬が変動することなく、給料が上がることはありません。
■歩合制の場合でも固定報酬が貰える理由
歩合制には大きく分けると「固定給+歩合制」と「完全歩合制」の2種類があります。
両者の違いとしては「固定で支払われる給料があるか否か」という点になります。
・「月給制」:1カ月を単位として固定給が支払われる給与形式
・「歩合給制」:出来高・成績などに応じて賃金が支払われる給与形式
ですので、就職活動を行う際に求人情報の項目に「月給20万円+歩合給」などと書かれている場合には、「固定給+歩合制」が支払われます。
商品やサービスが売れる売れないに関わらず、毎月、就業規則で決められた時間を働けば、月額20万円は必ず給料として支払われ、その上で営業成績や獲得した売り上げに応じた金額がプラスされる仕組みになります。
サラリーマンとしてではなく、業務委託で営業支援に取り組む際に、報酬体系がアポイント成果報酬型の場合には、売上や成約に応じての報酬ではなく、アポイントの取得や商談設定の件数に応じて、対価が支払われるスキームになります。
例えば、アポイント報酬の単価が5万円で5件のアポイントを獲得することが出来た際には、25万円が報酬として支払われる形になります。
「月給制+歩合給制」仕事に応募される際は、固定給と歩合給の割合を確認して、自分に合ったものを選ぶようにすると良いでしょう。
■完全歩合制とは?
完全歩合制とは、毎月、固定で支払われる報酬の設定が無く、支払われる金額が全て、売上の成果に応じて決まる形態のことを指します。
完全歩合制は、「Complete commission system」と表記されます。日本語で、完全歩合制は、フルコミッション制と言われることもあり、成果を上げれば沢山の成功報酬が得られる実力主義の働き方になります。
営業マンとして固定の報酬の場合、1日10時間働いたとしても、売り上げなどの成果がなければ、基本給以外の収入は得られません。
ただし、完全歩合制は、基本的に正社員といわれるサラリーマンに適用されることはありません。
営業マンの場合には、基本給をベースに仕事の成果に応じて、会社が給与を支払う制度になります。
そのため、完全歩合制は、業務委託で仕事を行うフリーランスに適用される報酬体系になると言えます。
基本的に完全歩合制は、成果を上げなければ収入が得られない働き方になりますので、不動産、保険、自動車など、客単価が高く、高額な商材を扱うBtoCの会社に多く導入されています。
また、歩合制を取り入れることが多い職種としては、保険営業、不動産営業、自動車ディーラー、タクシードライバー、理美容師、エステやネイルサロンのスタッフも該当します。
業務委託で仕事依頼を受けるフリーランスのエンジニアやWEBデザイナーなどのクリエイターや記事を書くライターなども成果物が求めれる成果報酬型の仕事として挙げられます。
これらに歩合制がよく採用されるのは、個人の能力や働きが仕事の業績に大きく影響する場合が多い職種だからです。
逆に、個人の裁量だけでは完結することが難しい事務職では、ほとんど見られない仕組みになります。
■完全歩合制は、正社員の場合には違法になる理由
完全歩合制は、正社員として雇用契約を結んだ人に対しては、適用することが出来ません。
なぜなら、労働基準法に「出来高払制の保障給」という規定があるからです。
出来高払制、その他の請負制で使用する労働者については、「使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」という法的な規定があります。
成果に関わらず保障給は支払うという労働法の規定があるため、最低保障制度のない「完全歩合制」は違法となってしまうのです。
労働基準法では、時給換算した時間に見合った給料を保証しないといけないことが決まっています。
その理由としては、完全歩合制は、営業ノルマや成績が悪いことによって、1日8時間以上働いても給料が一切貰えないないことが起こり得るからです。
完全歩合制で働けるのは、業務委託契約でパートナーシップを組んで働くフリーランスの個人事業主だけになります。
ですので、社員を雇用したい場合、最低時給以上の給与が保障されていないと違法になってしまうため、求人サイトの情報に完全歩合制と書かれている場合は、正社員、契約社員、アルバイト、パートなどの人材募集ではありません。
労働基準法27条では、「労働時間に応じた最低賃金を保障しなければならない」と規定されています。
あくまで雇用契約している労働者に適用される法律で、完全歩合の業務委託契約では、現状では最低賃金は保障されないということを理解して置きましょう。
■完全歩合制で働くメリット
完全歩合制は、サラリーマンとは異なりますので、決してラクな働き方ではありません。ですが、ハードな仕事内容と言えますが、成果を上げれば様々なメリットが得られるのです。
1、会社員よりも高い年収を稼ぐことができる。
完全歩合制は、年齢や性別に関係なく、成果に応じて収入が決まる働き方になります。
フリーランスの営業顧問や副業のプロ人材が歩合制で仕事をする最も大きなメリットは、収入に上限が無く青天井になることです。
つまり、営業で成果を上げることに自信があり、実績を豊富に持ち再現性のあるスキルを持つトップセールスであれば、成績を上げれば上げるほど、成功報酬というインセンティブが付きますので、莫大な収入を上げることも可能だと言えます。
依頼主の会社に利益をもたらせばもたらすほど多額の報酬を受け取ることができます。
そのため、完全歩合制の営業の仕組みは、一般的な会社員より高い年収を稼ぐのも不可能ではありません。
扱う商材により歩合給の比率は違いますが、例えば高額な不動産の場合、30%~50%ほどの手数料が売上から貰える可能性があるため、1件契約するだけで何百万円という金額を稼げるようになります。
2、フリーランスなら大きな成功報酬が貰える
例えば、フリーランスの営業顧問がシステム会社の営業支援を引き受ける際に、その人の紹介により受注した案件に対して売り上げの10%が歩合給として加算されるケースを説明します。
3,000万円のプロジェクトを1つ受注を獲得することで、300万円の紹介報酬を得られることになります。
10件の契約を獲得することができれば、3000万円が売上に応じた成果報酬型として支払われるスキームになります。
これに対して正社員として固定給のみで働く場合、給料所得を増やすためには、年に数回の昇給を待つか、労働時間を増やして残業代を貰うことしか方法がありません。
ですので、このような働き方では億万長者になれることは相当に厳しいと言えます。
3、時間の使い方が自由裁量。
完全歩合制で働く際のメリットには、「時間の使い方が自由」ということも挙げられます。いつどこで誰といても良いし、いつ働いてもいつ休んでも良いのです。
成果さえ出していれば誰も文句はいえません。
完全歩合制の場合は事業主として働くため、時間的な拘束を受けることなく、実力次第でいくらでも収入を上げられる点は、完全歩合制の大きなメリットになります。
副業で空いた時間や休日を利用して営業活動をすることも可能です。
ですので、短期間で収入を大幅にアップさせたい人や本業と掛け持ちしながら、副業のセールスに取り組みたい人には、ピッタリです。
4、年齢制限が全くない。
特に、60歳を超えるシニア世代で人脈が広く、年齢に関係なく成果に応じた収入を得たいフリーランスの個人主の方には、完全歩合制の営業支援は、非常に適しています。
日本の企業は、いまだ年功序列で、年齢に応じて給与が上がることが多いです。
30~40代になると、昇進などで大きな給与アップが見込めることもありますが、20代の若い世代では、なかなか大幅な給与アップを望むことはできません。
しかし、フリーランスや副業の完全歩合制であれば、高い成果を上げれば、若くても平均的なサラリーマンよりも収入が大幅にアップできる可能性があります。
5、モチベーションを高く保てる
完全歩合制は、働く人のモチベーションを高く維持できる魅力的な制度でもあります。歩合給のことを「インセンティブ」と呼んでいる企業もたくさんあります。
インセンティブの意味合いとしては、「目標を達成するための動機や刺激となるもの」というニュアンスで多くの企業で使われています。
この意味の通り、仕事に対するモチベーションが上がりにくいシーンでも、「インセンティブが付くからもうひと頑張りしよう」と、自分の気持ちを鼓舞することができるのです。
6、営業の経費を使うことが可能
完全歩合制でフリーランスの個人事業主の場合や副業でセールスに取り組む際には、営業活動にかかった様々な費用を「経費にできる」のもメリットのひとつです。
具体的には、交通費や携帯電話代など、接待交際費、宿泊費など、営業活動した際に発生した費用は確定申告で「経費」として落とせるので、節税効果が高まります。
ただし、税務申告が必要であることと、全て項目が経費として計上できるという訳ではありません。
■完全歩合制のデメリット
完全歩合制のデメリットは、成績や売り上げに応じて給与が変動するため、収入を安定させることが難しいという点です。
業務委託による完全歩合制の働き方は、固定給がないため収入が少なくなったり、ライフプランが立てにくかったりといったリスクがあります。
ですので、完全歩合制の営業支援で平均客単価が1000万円の場合、売り上げの10%が歩合給の設定だと、1件でも案件が成約した月は100万円の収入になります。
1件も成約しなかった月の収入が0円というケースさえ考えられるのです。
また、扱う商材やサービスにもよりますが、歩合制、完全歩合制の仕事で大きな収入を望もうと思うならば、その商材の勉強や準備に相応の時間をかける必要があるでしょう。
そのため、歩合制でも、昼夜問わずに働き続けているという人もいるようです。
■起業家や代理店ならば、完全歩合制が一般的
世の中には、海外から商品を輸入する商社や販売代理店を本業にしている会社も多数あります。
ビジネスモデル的には完全歩合制で営業することとはほぼ同じ考え方になりますので、完全歩合制の取り組み自体が極端に厳しいとは言い切れません。
このことは、サラリーマンを辞めて独立している起業家ならば、お分かり頂けると思いますが、自社商品であっても他の商品を扱う場合でもそれなりの在庫を抱える必要があります。
在庫を保有しない完全歩合制の方がリスクが少ないケースもあります。
また、販売チャネルが小売店であったり商品を販売するケースやインターネットで商品を販売するECサイトでも、商品の仕入れが発生するのが一般的で、「完全歩合制」でビジネスを展開することは当たり前になります。
ですので、ゼロから新規事業を立ち上げイノベーションを起こすスタートアップの起業家にとって完全歩合制は、むしろ無謀なチャレンジという要素が少なく、比較的簡単なビジネスであるとも言えるのです。
■完全歩合制で働くセールスレップとは?
現在、アメリカには、200万人近くのセールスレップが存在しており、社会的なステータスも高く大きな市民権を得ています。
年収で言うと2000万円~5000万円以上稼ぐセールスレップも沢山おり、年収が1億円を超え社長よりも稼ぐ強者もいます。
例えば、マクドナルドコーポレーションの創業者である「レイ・クロック」は、マクドナルドをフランチャイズ展開して世界的な成功を収めたことで有名です。
ですが、元々は紙コップの営業マンであり、マックの創業のきっかけは、ミルクセーキ作る「マルチミキサー」の営業活動を行うセールスレップが始まりで、そこからビジネスのノウハウを学んで経営者としての飛躍を成し遂げたのです。
現在、フリーランス大国のアメリカでは、労働人口の50%がフリーランスの個人事業主として生計を立てています。
その中で特定の会社や業界で「トップセールス」と呼ばれる売上を叩き出した実績がある人や卓越した営業ノウハウを持つ人材は、最終的にセールスレップを目指が非常に多いです。
その理由は、フリーランス営業として活躍することは、起業家になることと同様に人々から尊敬され、稼ぎも多いことから花形ビジネスになっているからです。
■セールスレップのビジネスモデルと役割
セールスレップとしてのは、基本的にメーカーからの依頼を受け、商品の優位性や技術を理解し、営業活動を代行します。
重要なポイントとして、セールスレップは、販売代理店とは立ち位置が異なりますので、商品の仕入れや在庫は保有しません。
あくまで依頼主であるメーカーが開発した商品やサービスを顧客に「紹介」するまでが役割になります。
そのため、メーカーとレップが紹介した新規顧客の間で商取引が行われ、新規顧客からメーカーに代金が支払われた際に紹介手数料を受け取るスキームになります。
■セールスレップの報酬
紹介手数料は、販売する難易度、販売ロット数、業界慣習などにより上下します。
インセンティブとしては、完全歩合制で商品の売上高の2%から20%程度の報酬体系で設定されるのが一般的です。
また、優秀なセールスレップに稼働して欲しい場合には、破格の条件を提示するケースや月額の固定フィーが支払われるケースも普通にあります。
ただし、通常、セールスレップは、複数のメーカーのプロダクトを扱います。
ですので、1社専属で雇用されるサラリーマンとは異なり、1社から高額な固定給料を貰う必要がありません。固定コストを複数社のクライアントでシェアリングすることが可能なためリーズナブルに活用することができます。
日本でも不動産会社で働くサラリーマンで基本給がわずか月額5万円で、成果報酬3%程度の給料体系でありながら、1社専属で雇用契約を結んで働く人も稀にいます。
ですが、フリーランス副業としてリスク分散と報酬アップを実現するためには、複数の会社と業務委託で営業の仕事をすることをお勧めします。
その理由としては、複数のメーカーの商品やサービスの優位性を鑑み、顧客のニーズに合った比較提案が行えるため、営業提案を受ける新規顧客からも喜ばれることが分るからです。
アメリカで始まったセールスレップとして億万長者となった人の成功パターンを分析して見ると、完全歩合制で働くフリーランスの個人事業主として独立した方が良い人が多いです。
なぜなら、毎日に定時に満員電車に乗って通勤する必要も無く、時間や経費も自由に使えるため明らかに効率良く稼ぐことが可能だと言えるからです。
■まとめ
労働基準法では、最低時給以上の給与が保証されない完全歩合制は、違法となります。
ですが、業務委託の場合には、完全歩合制は一般的になります。
完全歩合制の業務委託で営業支援に取り組む際に、報酬体系は契約や受注が出来た際に支払われる売上成果のみだと思われがちです。
しかしながら、アメリカのセールスレップとの大きな違いとして日本の場合には、アポイント成果報酬や売上成果の組み合わせで対価を支払ってくれる会社が沢山あります。
アポイント成果報酬型の場合には、売上に応じての報酬ではなく、あくまで見込客とのアポイントの取得や商談設定の件数に応じてアポイント獲得手数料が、「完全歩合制」で支払われるスキームになります。
例えば、上場企業の役員クラスやオーナー経営者とのアポイント報酬の単価が10万円であれば、3件のアポイントを獲得することが出来た際には、30万円が報酬として支払われる形になります。
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