企業が持続的に発展していくためには、当然、利益を上げることが必要です。
一方で近年、企業における長時間労働やストレスの増大など、働き方の持続可能性に照らして懸念される状況が見られる中で、CSRに取り組み社会や環境への配慮することが必要になっています。
海外では、ビジネスで利益を出して雇用を創出するだけでは、社会的責任を果たしているとは言えなくなっており、ステークホルダーに配慮し、コンプライアンスを重視しながら、CSRを推進することが大きな潮流となっています。
そこで今回は、CSRとは何か、企業経営に社会的責任・CSRが求められる訳について解説します。
■CSRとは?
CSRとは、企業が組織活動を行うにあたって、従業員や消費者、取引先、投資家、環境問題を鑑み、法令遵守しながら、事業活動を通じて社会に対して貢献する取り組みを担い、「社会的責任」を果たす活動を指します。
CSRは、英語で「Corporate Social Responsibility」と表記されます。日本語では、企業経営を推進する上で、法令順守を徹底するだけでなく、社会的な観点から企業倫理を重視し、事業に関わる人や社会に対して適切な意思決定と行動を行う責任のことを意味します。
企業を取り巻く人々とコミニュケーションを取りながら、ステークホルダーが暮らしやすく快適になって行けるように、CSRを意識し世の中のために活動に積極的に取り組むことが企業の社会的責任を果たすことに繋がります。
【CSRの取り組み例】 ・法律はもちろん、社会のルールを守ること。
・働いている人が安心して、安全に働けるようにすること。
・安全で安心な製品やサービスを提供すること。
・企業のある地域の人々に迷惑をかけないこと。
・地域の生活環境が良くなるように努めること。
・自然環境にダメージを与えないように努めること。
あらゆる企業には、経済・環境・社会など幅広い分野の変化をとらえ、それらを価値創造・市場創造に結び付けることによって、企業の競争力強化、持続的発展、経済全体の活性化、さらにはより良い社会作りを目指すCSRを推進することが求められています。
■CSRが広まった背景
CSRが重視されるようになった背景には、食品の偽装表示など企業の不祥事が相次ぎ、しかも繰り返し発生していることが国内、国外問わず大きな問題となっているからです。
CSRは、もともと欧米を中心に90年代から注目を集めるようになりました。
企業の不祥事や環境破壊などから、企業に向けられる目が厳しくなり、「企業活動をしながら社会の一員としてルールを守り、社会の発展のために貢献しよう」という考えが重視されるように世の中が変遷しました。
企業の活動は、基本的に「利潤の追求」を目的としています。
ですが、その一方で21世紀に入ってからは、以下に配慮しながらビジネスを展開することも企業価値を高め、企業を評価する上での基準となりました。
・社員の心身の健康
・労働環境の整備
・社会的弱者の救済
・自然環境への配慮
・資源やエネルギーの保護
・コンプライアンスの順守
近年では、国内での取引にとどまらず、国外取引も当たり前という時代に突入しました。
CSRは、かつては「本業の片手間で行なう」といったイメージがありましたが、今や「企業にとってCSRに取り組むことは当たり前」となりました。
海外では日本以上に、企業の生産活動でコンプライアンスを徹底しながら、環境破壊への取り組みが厳しい目が向けられているのです。
■CSRに取り組む5つのメリット
近年では、CSR活動を経営戦略の重要な要素として捉えたり、広報活動や企業ブランディングの向上にに活用したりする企業も増えています。
1、企業イメージ向上
CSRに取り組んでいることを内外にパブリックリレーションズとしてPRすることで、イメージの向上に役立つとされています。
東京商工会議所が行ったアンケートによると、79.7%の中小企業、98.3%の大企業がCSRに取り組む主な目的として企業イメージの向上と答えています。
ステークホルダーと信頼関係を構築し、それを継続していくためには、広聴(経済環境や社会情勢の発信) と広報(メッセージの発信)の双方向コミュニケーションが不可欠になります。
企業のイメージの向上は、商品やサービス自体のアピールのほか、安心や安全といったイメージにもつながります。結果、企業としての信頼やブランドが向上し、それが商品の購入につながり、利益向上にも繋がると考えらています。
2、販売先・納入先との関係強化
企業を取り巻くステークホルダーには、消費者、株主・投資家、従業員のほか、行政機関や金融機関、地域住民や取引先などがあります。
CSRを継続して行っている企業は企業イメージが良くなるばかりではなく、その結果として顧客からの信頼が厚くなり、株主・投資家からも支持されるといわれています。
同じく東京商工会議所のアンケートによると、56.7%の中小企業、44.1%の大企業がCSRに取り組む目的として「販売先・納入先との関係強化」と答えています。
CSRに取り組むことで、これらステークホルダーとの関係を密にし、企業活動の円滑化や利益につなげることができるでしょう。
3、株主・投資家からの支持を得ることができる
企業が持続的に成長する上で、企業と投資家が対話を通じて共通認識を醸成し、共に価値を創造していくことの重要性が高まっています。
CSR活動に取り組んで企業イメージがアップすれば、株主の満足度も上がります。最近は投資家の間で、財務情報以外の視点でも企業を評価しようとする動きが広がっています。
投資方法の中には『社会的責任投資(SRI)』という、CSR活動に熱心に取り組んでいるかどうかを重視する方法もあります。
CSR活動が将来的な会社の成長につながると考えられているのです。資金調達をスムーズにし、事業を円滑に行なうためにも、CSR活動は重要な要素な施策だと言えるのです。
4、従業員満足度の向上
企業のステークホルダーは顧客や投資家だけではなく、従業員もその一部です。
東京商工会議所のアンケートでは、52.9%の中小企業、72.9%の大企業がCSRに取り組むことで「従業員満足度の向上」を目指していると回答しています。
従業員は、自分の仕事が社会貢献に繋がっていると自覚し自信を持って働くことで、モチベーションが高まり生産性が上がります。
そのような従業員が多数在籍することで会社そのものも正常化し、明るい職場、社会貢献といったアピール要素にも繋がります。
5、人材採用にも効果的
CSRの活動が身近になり、学生が企業のCSR活動をチェックするのも当たり前になりました。
自社らしい独自の発信により、「この企業で働きたい」という、自社のファンとなるような人材との接点を増やすことができます。
企業規模を問わず実践できる有効な取り組みです。CSR活動を積極的に実施・アピールすることで、人材の採用もしやすくなるでしょう。
学生などの求職者に好印象を与え、優秀な人材の採用につながります。
CSRによる採用ブランディングは、自社の強みや魅力を発信することで認知度を上げ、自社に対するイメージを向上し、求職者からの共感、信頼を引き出すための戦略です。
CSRの取り組みを通じて自社の採用活動を活性化することは、効率的な採用戦略だと言えます。
■CSRとCSVの違いとは?
最近では、CSRを超えた新たな経営戦略として「CSV」を取り入れる企業も増えつつあります。
その背景としては、企業経営の中心的論理は「株主唯一主義」から「多様な利害関係者への価値創出」へと転換することが求められて来ているからです。
CSRは、元々「事業プロセスや製品サービスによって、社会や環境にマイナスの価値をもたらさないことが、企業の社会に対する責任である」という考え方でした。
それらが2019年に全米主要企業200社が参加するロビー団体である「ビジネスラウンドテーブル」によって「あらゆる利害関係者のため」へと企業目的が書き換えられたのが、「CSV」です。
CSVとは、(Creating Shared Value)の略で「共通価値の創造」としてマイケル・E・ポーターによって提唱された競争戦略の新しいパラダイムになります。
「社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に、経済的価値が創造されるというアプローチである」と定義されています。
つまり、社会にとっての利益や価値と、企業の利益や価値を両立しながら、事業活動を通じて「Win-Winの関係」を築きつつ、社会的課題を解決するという経営戦略になります。
日本の企業経営の哲学は、昔からCSVの概念と親和性が高いと言われています。「三方よし」という言葉は現代でもよく使われますが、もともとは近江商人の経営哲学になります。
売り手よし、買い手よし、世間よしの概念は、古くから日本に根付いています。
CSRもCSVも社会的課題に向き合う点では似ていますが、CSRは「守り」、CSVは「攻め」の活動です。
事業とは別ものとして行われる善行はCSR、ビジネスとして社会的課題に取り組むことがCSVになるのです。
■CSRとCSV活動を社内外にPRする重要性
せっかくCSR活動に取り組んでも、活動して終わりだったら非常にもったいないことです。
ですので、CSR活動の内容は積極的に社内外に広報しましょう。
CSR報告書を定期的に発行したり、CSRを評価し仕入先を選定する「CSR調達」を取り入れるなど、日本の企業のCSR活動も活発化しています。
一般的にはホームページに掲載したり『CSR報告書』としてまとめます。大手企業の中には、質の高いCSR報告書を作成して取引先や採用活動などで配布しているところも多くあります。
つまり、CSR活動を企業ブランディングに積極的に活用しているのです。
社外に向けたCSR報告書をつくるのが難しい場合でも、社内に向けて報告書をまとめ、社員全員で共有することをオススメします。次年度の活動の参考になりますし、社員のやりがいにもなるでしょう。
これを機に、自社の認知を上げ、信頼と共感を引き出す戦略であるCSRを検討してみてはいかがでしょうか。
■まとめ
CSRとは、企業が社会的責任を果たしながら、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動を指します。
CSRは、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
企業の経営資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われおり、その中の「情報」の部分に関する経営戦略を担うのが広報・PRとなります。
従ってCSRの戦略からパブリシティまで、一連の活動には中長期的な戦略計画と持続的な一貫性が求められています。
CSRの取り組みは、経営者やマーケティング部だけでなく全社員で実践されるべきことです。
内容を社内で共有して、全社で認識と行動を一致させる必要があります。発信内容と現場にギャップがあることで機能しない場合もあります。
効果や結果の出るCSRの体制を確立するためには、少なくとも2~3年を要します。
何度かのPDCAサイクルを通し、ブラッシュアップを繰り返していく必要があるからです。長期的な運用を見据えた計画を立てておきましょう。
CSRは、長期的なスパンで取り組む必要がありますが、多くの企業のPR活動に役立っています。時間も手間もかかりますが、長い目で見れば理想的で効率的な広報フローになります。
企業で働く従業員の帰属意識を高め、モチベーションという成果にも繋がり、人材採用という長期的な課題に対しても有効な施策の一つになります。
CSRはこれからの豊かな社会づくりにとって大変重要なテーマです。
社会に貢献し、社員の働き甲斐を創造するCSRや社会と企業の価値を両立しながら、事業活動を通じて社会的課題を解決していくCSVは、企業の持続的成長にとってこれからますます重要になっていくでしょう。
「組織のリーダー選ぶには何を見なければならないか。真摯さである。重要なことは、わが子をその人の下で働かせたいを思うかである。その人が成功すれば若い人が見習う。だから、私はわが子がその人の様になって欲しいかを考える。」
<P.F.ドラッカー
■最後に
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CSRを駆使した広報・PRやブランディングの施策であれば、CSRへの取り組みをPRのプロ人材がの巧拙が企業の持続的な成長度合いを左右するといっても過言ではありません。
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