売れる商品の商品開発や人気が出たサービスの事業開発の成功例の共通点としては、ターゲットとなる顧客の需要に応えられていることが挙げられます。
反対に売れない商品やサービスは、売り手だけが商品に満足していることがあります。
これは売り手の価値基準に沿って良い商品を作ろうした結果、世に出した時点で買い手にとって欲しくない商品が、商品開発のプロセスで完成してしまっている場合です。
商品開発でどれだけ自分たちが良い商品ができたと思っていても、果たしてそれは本当に買い手にとって、良い商品なのでしょうか?
そこで今回は、商品開発とは、ヒット商品に商品開発のストーリーが必要な訳ついて解説します。
「イノベーションに関わる仕事、特に事業、製品、サービスの開発を目的とする仕事は、既存事業の現場のマネジメントではなく、イノベーション担当の役員の元に置かなければならない。」
<ピーター・ドラッカー>
■商品開発とは?
商品開発とは、その名のとおり、商品や製品を開発する業務のことです。製品開発と呼ばれることもあります。
イメージやアイデアの段階では、商品は未だ形を持っていません。
商品開発は、商品企画で決められた商品のイメージやアイデアを、実際に商品として形にする仕事です。企業が生み出す商品は、商品開発がきちんと形にして初めて完成します。
通常、作業手順としては、「商品企画→商品開発」となっています。
新たな商品開発に携わるメンバーとしては、プロダクトの内容にとって異なりますが、マーケティング担当者や研究開発者、エンジニア、商品開発のマネージャー、経営陣、営業責任者などがチームで売れる商品を作り上げる形になります。
商品開発のマネージャーの仕事の範囲としては、市場のトレンドや顧客の声や反映し、新たなプロダクトを考え出し、顧客ニーズに立脚した売れる商品を開発するためのプロセス全般に関わることが多くなります。
商品開発のプロセスとしては、アイデアをベースに、商品企画で考えられたイメージをデザインに落とし込みます。
その後、試作や改善を重ねながら、顧客に受け入れられるモノに作り上げ、製造部門や生産工場への指示を行い、生産ラインに乗せるまでが商品開発のフローになります。
■商品開発と商品企画との違い
商品企画とは、新商品を市場に投入しようとする際に、その商品のイメージを具体化することを指します。
商品企画は、商品のアイディアをゼロから生み出す仕事で、漠然と浮かぶ商品のイメージを明確化し、商品の輪郭を固めて行くプロセスを指します。
商品開発も含めた、商品がリリースされるまでの一連のプロセスを「商品企画」とすることが多いです。
「商品企画」:アイデアを具体的なイメージにする思考プロセス
「商品開発」:商品を実際に開発して生産するまでの製造プロセス
商品企画の段階では実用化に向けた具体性までは大きく考慮されていないことも珍しくありません。
商品化にあたっては、必要なターゲットやコンセプト、仕様などを固め、予算や製造、販売スケジュールなどの調整に入ります。
商品開発のゴールは、商品企画が詰めた商品の輪郭に実用性を持たせた形で、商品化まで持ち込むのが仕事となります。
■商品開発の種類
商品開発は、新商品開発既存商品・サービスのブラッシュアップ・改良の2つに大きく分けることができます。
1、新商品開発
新商品開発とは、文字通り、会社にとって新しい商品やサービスを開発すること。そこで大切なのが、売り上げにつながる商品・サービスを作ることです。
新商品を開発するには、お金も時間も、そして、労力もかかります。新商品開発の際には、世間のトレンドを把握したり、市場の潜在ニーズを掴んだりするようにしましょう。
新たな商品開発を行う際の重要なポイントとしては、「アイデアの量」「スケジュール」「女性の登用」「コスト」があげられます。
「アイデアの量」とは、新商品のアイデアを数多く出すことです。1つの商品を開発する際には、最低100個以上のアイデアを出し、絞り込んでいくのが良いでしょう。
そのためにも、経営者、商品開発担当者はもちろん、外部の専門家を巻き込んで沢山のアイデア出しをする体制を作ることが望ましいと言えます。
2、既存商品・サービスのブラッシュアップ・改良
商品開発というと、「新商品や新サービスの開発」がイメージされやすいものですが、既存商品・サービスの改良も商品開発に含まれます。
商品開発では、「顧客に対して、どのような価値の提供ができるか」というぶれてはいけない軸を持つ必要があります。
なぜなら、ビジネスは顧客が持っている問題や不満、課題を解決するものだからです。
商品開発のプロセスでは、既存商品や提供中のサービスの改善を通して、顧客が顕在的か潜在的に持っている問題や不満、課題を解決できるものを顧客に合わせた形で提供すると効果的です。
開発リスクを抑える方法の一つが、「現状の顧客が興味関心を示すもの」の把握であり、顧客分析はそれを知るうえでの有効な手段です。
現状の顧客が興味を持ちそうな分野の商品開発を行えば、初期段階での新規顧客開拓コストを下げつつ、リスクを抑えながら商品開発を実現することが可能です。
■商品開発の流れ
商品開発を推進する上で最も効率的なやり方は、自社の従来の商品に着目して、その商品が取引される理由を考える方法です。
具体的な作業としては、他社商品と比較して選ばれた理由、機能が優れていたのか、使い勝手が良い、デザイン、色柄サイズ、価格などを検討します。
その上で、この整理した情報をもとに「強み」を自分たちなりの言葉で商品企画に落とし込んで行きます。
売れる商品開発を実現するためには、以下6ステップを意識する必要があります。
1.自社の強みの洗い出し(現状分析)
2.強みを活かす商品群を決める(地元資産活用)
3.サンプルを作って独自性を明確にする
4.商品コンセプトと物語をつくる(ブランドをつくる)
5.販路開拓の開拓(メディア、主要小売店、展示会出展など)
6.自社メディアの改善(HPの改善、SNSの活用など)
具体的な顧客を細かく設定して、どのようなシーンで使用するとベストか、使用することで何に価値を感じるか、イメージしていきます。
また、自社の歴史の振り返り、地元地域との繋がりや自社の「こだわり」「夢」を、開発者自身の言葉で表現することも大切になります。
商品開発のストーリーを描き、表現し続けることで、「自社ブランド」と開発秘話に繋がる、オリジナルの物語が作られていきます。
■商品開発における6つのステップ
商品開発の仕事の流れは主に5段階に分かれており、商品開発の度に以下の工程を繰り返すことになります。
1、情報分析
商品開発をするためには、市場や自社の顧客に関する情報の分析が必要になります。
なぜなら、市場に流通している膨大な商品の中から選ばれるためには、顧客がどのようなものに興味を持っていて、何を求めているのかを探る情報収集と分析が欠かせないからです。
その際、商品企画の担当者から上がってきた情報に目を通すだけでなく、幅広い情報に目を向けることが大切です。
例えば、「商品・サービスは市場のニーズを満たしているのか」「競合他社のマーケティングはどのように行われているのか」などの情報を収集した上で、徹底的に分析をすることが求められます。
・商品・サービスをどのように利用しているか。(利用場面・利用行動)
・商品・サービスの使用における不満・不便・不快・不安
・商品・サービスの使用についての意見・期待
2、商品企画
商品開発において、発想力はとても大切なものの1つです。
なぜなら、商品企画グループから上がってきたアイデアを自社のターゲットに賢く販売する方法や適したパッケージングを考える際、既存のノウハウでは難しいケースがあるからです。
商品開発の過程では、競合他社の動向を考慮しているか、権利問題をクリアしているかなど、客観的観点も求められます。
商品開発の際には、集客や収益化も考えた場合、商品はひとつだけ計画するのではなく、予め複数の商品化計画を立て置く必要があります。
複数の商品それぞれに以下のような役割を与えます。
・集客用商品
(利益を上げるよりも顧客を獲得し顧客を増やす事を目的とした商品)
・収益化商品
(利益性の高い商品でこの商品を販売して収益をあげる)
・収益安定化商品
(継続課金や年間契約の商品のように継続的に売上を確保して収益を安定化させるための商品)
発想力があれば、既存のノウハウや新しい情報・やり方を上手く組み合わせて、商品やサービスを開発することができるでしょう。
3、商品企画のプレゼンテーション
商品の仕様が固まったら、経営層や製造部門などの関係者に商品の仕様をプレゼンテーションで伝えます。関係者はそれぞれの立場から、その商品開発が現実的に実行可能か、どの程度の勝算があるかなどを判断します。
商品開発グループでの計画を社内を含む関係各所に伝える際、プレゼンテーションが必要になります。いくら良い商品・サービスでも、プレゼンテーションがうまくいかなければ関係者からNGを出されることもあります。
従って商品開発をうまく進めるためには、相手に物事を正確かつ魅力的に伝えられるプレゼンテーション能力が必要です。
商品企画グループの想いが関係各所にしっかり伝わるように、資料を準備したり、事前に練習をするといいでしょう。
4、試作品開発
技術系のスタッフとマーケティンググループが、製品コンセプトを具現化するために、製品の性質の観点から細かく素材、仕様を決めて、「物理的」「心理的」の2つの側面から比較検討され試作品が完成します。
そして、完成した試作品は、実用面の実験や想定される顧客の反応を見るために様々なリサーチし、担当役員の承認を得てようやく製品化になります。
新製品をリリースするには、まずはじめに検証とテストを行う必要があります。これにより、製品の開発からマーケティングまでのすべての部分がきちんと機能していることが確認され、リリースに至ります。
また、製品化が確定すると、後発メーカーの参入をできるだけ阻止するために、開発に関する特許申請を行う必要があります。
5、製造・販売スケジュールの作成
商品化の決定後は、試作品の製造を経て、実際の製造・販売スケジュールの調整に入ります。製造ラインの設備や人員に不足がないか、コスト面との折り合いなども考慮しながら、細かく調整を加えていきます。
また、場合によっては販売をスタートする前にテストマーケティングを行うべきケースもあります。
テストマーケティングを実行するメリットは、実際の市場ニーズを見極められる点や、話題性を高めSNSなどインターネット上での注目を集められる点などが挙げられます。
6、商品化・商品販売
自社ブランドの商品を生産することで、商品に対する愛着が増したり、また、消費者のダイレクトな感想が聞けるようになります。
そのため、商品を工夫改善しやすくなり、商品力の向上、更に自社の得意とする「強み」に磨きをかけることができます。
また、市場動向に対しても敏感に反応できることから、中小企業として大切なスピード感を活かした、より良い商品開発につなげられる可能性が生まれます。
本生産が始まったからといって終わりではありません。「製品が市場に出た後も市場の動き」「消費者の反応」などを調査、分析して次の製品開発に役立てるのがマーケターの役割です。
■商品開発におけるポイント
商品開発を行う上では、自社ならではの差別化優位性を作り上げることが欠かせません。
なぜなら、商品開発では「誰が・何を買ったか?」ではなく、「なぜ買ったのか?」というお客様の心情にフォーカスすることが重要だからです。
自社が提供できる価値や特徴で、特に「ライバルがあまり打ち出していないコンセプト」や「ライバルよりも強いポイント、実績」を洗いだして、一番特徴やウリを出せる部分を明確にします。
特に既に見込客がいるような商品開発を行う場合、既にある程度のマーケットニーズの把握ができているので、特徴がしっかりと伝われば、直ぐに売れる可能性があるため、確実に売上アップに繋がります。
多くの商品は、試行錯誤と回線を繰り返した上で市場に登場します。
重要なのは、商品企画の全体像とその延長線を想定しながら顧客ニーズを埋める商品開発を進めることになります。
予想よりも売上が伸びなかった場合には、さまざまな角度から検証をする必要があります。
「商品そのものが顧客のニーズにフィットしていない」
「商品の概要がわかりにくいデザインだった」
「プロモーションがうまく機能しなかった」
など、多様なケースが想定されるため、アンケートや口コミ、プロモーションツールからの流入数などを参考に、効果検証を行うことも不可欠になります。
■まとめ
商品開発とは、商品企画が通った段階で、商品開発に進み、試作品を作り生産するまでのプロセスを指します。
商品企画の段階ではアイデアの実現可能性についてはあまり問題にされることがなく、商品開発の段階でアイデア変更の必要性が指摘されることがあります。
顧客が買いたいのは、商品そのものではなく、商品から生まれる体験になります。商品開発のストーリーを上手に語ることができれば、ヒット商品に繋がる確率が格段に上がります。
一番売れるストーリーは、商品を買う人自身にまつわるストーリーです。
その商品やサービスを使うと、その人にどんなストーリーが生まれるか、を語るのです。
リソースが限れている中小企業にとって、大手との競合は極力避けたいところです。そこで独自の技術活用を最大限に生かし、大手が真似をできない商品開発を行うことが大切です。
そして、その商品を使用することで得られる結果とは何か?を明示してあげることで、買い手は商品を手に取りやすくなります。
買い手は商品を使うことで得られる結果を求めて買い物をします。
買い手にとって自分が求めている結果を得られるものが良い商品となり得るので、ターゲットが望む結果を得るためのサポートする要素を商品に組み込むことが、ヒット商品を生み出す鍵になると言えるのです。
■最後に
商品を買う際に買い手が見ているのは、その商品・サービスを使って得られる結果です。
商品開発のプロセスでは、特定の商品やサービスに意識が顕在化したニーズとは異なる消費者の内面と消費行動の因果関係の理解(仮説立て)が重視されています。
・お客様はどんな『不』(不具合・不快・不満など)を抱えているのか?
・どのように解決したいと思っているのか?
・行動を起こせない障害は何か?
・何を重視しているか?
・何をしたくて、何をしたくないか?
自分が買い手に回ったとき、どのような心理状況で、その商品やサービスを求めているかを想像すると分かりやすいと思います。
あなたはその商品が欲しいのか、商品を使うことで得られる結果が欲しいのか、どちらでしょうか。
商品を使って得られる結果を想定せずに商品開発をしまうと、その商品やサービスが誰に向けて作られているものなのかが具体的になりません。
この誰に向けて作った商品・サービスかが具体的にならないと、市場で商品を売り出す場合に販売方法「マーケティング」が難しく、結果として売れなくなってしまいます。
ターゲット層はもちろん、ペルソナ設計やアーリーアダプターの獲得を行うことが非常に重要です。
まずは、誰に向けて作る商品なのかを明確にすることが大切です。商品開発をする際には、まず誰をターゲットにするのかを明確化しましょう。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」は、様々な業界の顧問やプロ人材が培った知見を活かし、商品開発に取り組むことで結果にこだわり、売れるストーリーを一緒に作り上げます。
モノ作りの過程では、商品開発に精通した外部人材からの技術提案によって商品イメージが変更されることもありますし、テクノロジーを活かした差別化優位性という観点で、商品開発から商品企画へイメージやアイデアの提案がされることもあります。
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