現在、法人営業のシーンでは、組織としての営業力を高めて行くこと目的に施策の成果を数値で評価し、PDCAを回して継続的に改善に取り組んでいくという「セールスイネーブルメント」が大事だと言われいます。
日本でも耳にするようになった「セールスイネーブルメント」という言葉ですが、まだまだ馴染みなく、その意味を理解していない方は多いでしょう。
そこで、今回は、セールス・イネーブルメントの説明と営業組織の強化が必要な理由について解説します。
■セールスイネーブルメントとは
セールスイネーブルメントとは、営業組織を強化・改善するための取り組みです。営業研修や営業ツールの開発・導入、営業プロセスの管理・分析といったあらゆる改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況および各施策の成果への貢献度などを数値化します。
「セールス・イネーブルメント」に取り組むことにより営業ツールの拡充や教育、営業プロセスの整備といった取り組みを通じて個人の能力に依存しがちな営業活動の属人性を取り除くことで、組織としての営業力を強化することができます。
その理由とちては、営業プロセスの数値を分析することで、営業活動の最適化・効率化を目指すとことが可能になるからです。米国ではすでに営業活動で欠かせないものとなっており、日本でも少しずつ広まりはじめています。
■どのような効果が見込めるか
セールスイネーブルメントは、営業活動に関する多くの情報を数値化して検証することで営業活動の最適化・効率化が見込めます。
例えば、教育研修がどれだけ営業成果に繋がっているのか、あるいは、トップセールスがどのような営業活動を行っているのかを明確にすることが可能になります。
この情報を日々の営業活動や教育に活かせば、営業力・組織力の強化に向けた1つの施策となっていくでしょう。継続して効果の高い営業施策を講じ、効率的に売上拡大や企業成長を目指せるのです。
■セールスイネーブルメントが注目されている背景
営業部門では、営業に纏わる様々な施策が行われているものの、独自の方法で効果検証が行われていたり、貢献度が不明確なものと明確なものが混在していたりと、営業活動全体としての効果が見え難くなっているのが現状です。
例えば、営業活動は個人に任される部分が多い為、営業プロセスが属人化しがちです。
これでは、営業組織として再現性のある取り組みを継続することは困難です。こうした背景から、セールスイネーブルメントのような、あらゆる改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況および各施策の成果への貢献度などを数値化することが注目されています。
加えて、インターネットの普及に伴い、営業とマーケティングとの連携は欠かせないものとなっています。MA(マーケティングオートメーション)に代表されるようなツールも登場し、顧客獲得や見込み客の育成などは、その多くがマーケティング部門において行われているのです。
しかし、マーケティングによって獲得した顧客を売上に繋げられるかどうかは、営業に掛かっています。 しかし、残念ながらこの過程において、せっかく獲得した顧客を営業が取りこぼしてしまう状況が少なくありません。
マーケティング部門が効率的に獲得および育成した見込み客を、営業部門がしっかり売上へと繋げられているのか。その実態把握と共に、適切な教育も必要です。
また、セールスイネーブルメントを行う上で、データを蓄積・管理することが重要なため、営業活動や顧客情報の管理などを目的として、CRM/SFAなどを導入する企業も増えてきました。こうしたツールを上手く活用し、売上拡大などを達成している企業も少なくないでしょう。
■今後さらに重要になるセールスイネーブルメント
大手企業を中心に、新規開拓に注力したい場合、MA導入を始めマーケティング部門の強化に着手するケースが増えています。それに伴って、これまで以上に多くの見込み客が獲得され、同様に多くの顧客が営業対象として浮上することでしょう。
この動きは、徐々に大手以外の企業にも広まりつつあります。そして、この強化によって得られた見込み顧客をいかに売上に繋げられるかは、営業にかかっているのです。
また、CRM/SFAなどの営業支援ツールに関しても、導入企業が増えています。効率的に営業活動を進めつつ勝ち残り、売上拡大を果たしていくうえで、これは自然な流れと言えるでしょう。
その効果を最大限に享受するには、その投資に見合う成果を生み出すことが必要です。営業プロセスの改善や教育・研修による営業力強化など、今後さらにセールスイネーブルメントによる全体的な改善が求められます。
■セールスイネーブルメントを実現するための5つのポイント
それではセールスイネーブルメントを実現するには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。ここでは、具体的に4つのポイントを取り上げて解説していきます。
1、CRM/SFAツールを用いてデータを蓄積する
セールスイネーブルメントでは、売上額や受注率、案件数などのほか、顧客情報や商談の履歴内容、あるいは営業スタッフに対する教育実施の履歴など、さまざまな情報をデータとして蓄積していく必要があります。
その際には、CRM/SFAツールを用いることで、データを効率的に蓄積することが可能です。
2、営業施策毎の成果に対する貢献度を把握する
教育研修や営業プロセスの改善、ツールの開発・導入などの営業施策について、それぞれ成果にどれだけ貢献しているのか、その度合いを把握しましょう。
また、最終的に見据えた目標に対する進捗状況も適宜チェックし、場合によって施策の見直しを行う必要もあるでしょう。
3、営業ノウハウを共有して属人化を防ぐ
営業活動は各個人に任されることが多く、そのため、営業プロセスは属人化する傾向があります。
しかし、成果に繋がるノウハウを個人のみで保有していることは、組織として非常にもったいないことでしょう。よって、営業ノウハウを組織全体で共有し、誰もがそれを再現できる体制を整えることが大切です。
4、専門部署や担当者を配置する
セールスイネーブルメントを実現させるのであれば、それを専門とする部署や担当者を設けた方が良いでしょう。
セールスイネーブルメントは営業のみならず、人材育成という観点から人事、あるいはツール開発などでは開発などの様々な部門にも関わります。各部門で連携を取ることもできますが、部門を切り分けず管理・設計できる部門を設けた方が効果的です。
5、営業マンの行動や能力を定義・評価する
人材育成の観点からも、セールスイネーブルメントは有用です。営業ノウハウを共有することの重要性は前述の通りですが、もう一歩踏み込んで営業プロセスを標準化することで、営業力の均質化やマネジメントの効率化につなげることができます。
こうした営業力を定量的に把握することはセールスアセスメントと呼ばれます。売上につながる「行動」や「スキル」を定義し、それを測定して改善に活かしていくことで、組織的に営業力を高めることができます。
■まとめ
セールスイネーブルメントはアメリカの法人営業で数多く取り組まれ、日本にもブームを巻き起こそうとしています。特にインターネットやIT技術の向上によって営業を取り巻く環境が変化し、今後、日本においてもその重要性は高まっていくことが予想されます。
セールスイネーブルメントを実現させるには、関連する情報のデータ蓄積とその活用が欠かせません。そして可能であれば、セールスイネーブルメントを専門とする部署を設けることが望ましいでしょう。
セールスイネーブルメントは、人事採用や新人研修、顧客流入経路、コーチングなど各部門で行われる施策が売上に対してどれぐらい影響を与えているかという視点で施策を管理していく考え方です。
そのためには、それぞれの施策が売上に対してあげる成果を測定可能な(数値化できる)状態にし、その数値を基に売上に対する成果を上げていくことが大切になってきます。
■最後に
セールスイネーブルメントに取り組むには、まずそれ専任のチームが必要ですが、自社にマーケティング戦略に詳しい人材がいない場合には、外部の人材からセールスイネーブルメント導入のアドバイスや実行支援を仰ぐことが欠かせません。
ただし、戦略系のコンサル会社にマーケティング戦略を相談すると非常に高額な報酬を請求されます。正社員で優秀な人材を採用するという方法もありますが、中小企業の場合には、求人サイトで募集しても応募数が少なく、良い候補者を集めること自体が難しいです。
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