IT分野では、システムやサーバー運用などを外部委託する際、サービスの提供者と委託者との間で、サービス内容や責任範囲について、双方の見解がぶつかることがしばしば起こっています。
そのようなリスクを回避し、各種ITサービスをアウトソーシングする場合に大切なのがSLAです。
SLAに規定された内容に応じて、サービスの提供や万一の際の補償がなされますから、契約締結にあたっては慎重な策定と検討が必要になります。
そこで今回、SLAとは?SLAを明確に定義すると顧客への提案力が向上する訳について解説します。
「何が重要か、まずはそれを決めよう。それから自分にとって重要と決めた仕事を、より能率よく、効果的にこなす方法を見つける。」
<ケリー・グリーソン>
■SLAとは?
SLAとは、英語の「Service Level Agreement」の略称で、日本語では「サービス品質保証」や「サービス水準合意」を意味します。
主にIT業界において使用されるもので、サービス提供側がサービスを利用する側に対して、「このレベル・この範囲・この内容でサービスを提供します」と示す「品質保証」の基準です。
このSLAを下回った場合、サービス提供者は何らかの保証をする旨を取り決め、契約を交わします。
SLAは主に通信サービスやクラウドサービス、レンタルサーバーなどでよく用いられます。サービスの定義や通信速度、利用停止時間の上限などの保証項目を定め、そのサービス品質がSLAの保証値を下回った場合には利用料金の減額などが行われます。
多くの場合、この減額は利用料金を上限としていることが多く、サービスが適切に利用できなかったことに対する逸失利益などは含まれません
。規定されている項目は、原則として定量的に計測可能なもので、上限や下限、平均などを数値で表し、測定方法なども同時に定めます。
■サービス提供者側のSLAを策定する3つのメリット
サービスを提供する側からすれば、利用者は顧客です。そのため、少々の無理に目をつむっても、要求に応じようという心理が働きやすいものでしょう。
しかし、SLAを作成しておけば、そうした曖昧さを排除することができます。さらに、それ以外の面でも、SLAは提供者側にメリットをもたらしてくれます。
1、責任範囲が明確になる
提供するサービスの内容と責任範囲を明確に線引きしておくことで、利用者側の思い込みや実際以上の期待を排除できます。
また、自社の責任範囲を明確にしておけば、その中で十分なサービスを顧客に約束することができ、信頼感の構築に役立ちます。
2、説明責任の根拠となる
トラブルが発生したときの対応についてSLAに明記しておけば、それに沿って利用者に説明責任を果たすことができます。
また、障害によって約束したサービスを提供できない場合の補償内容を定めておくことで、利用者に安心感を与えることができます。
3、競合他社との差別化を図れる
SLAは、自社のサービスの品質や保証内容を詳しく記した文書です。
そのため、自社サービスの優位性をアピールし、競合他社との差別化を図るためのツールとして活用することもできます。
■SLAの3つの構成要素とは?
SLAはサービスの品質を明文化したものですが、それに「合意」するためには、具体的にどのような点について気を付けるべきでしょうか。
次に挙げる「サービスの定義」「サービスレベル」「サービスレベルに対するコスト」の3つが大きなポイントとなります。
1、サービスの定義
大前提となるのが「サービスの定義」です。なぜならば、まずはどのようなサービスがSLAの対象になるのか、その範囲を明確にしないことには契約が成立しないからです。
しかし、単にSLAの対象となる範囲を明確にしただけでは不十分です。その範囲において、「サービスレベル」が測定可能であることが必要です。
2、サービスレベル
サービスの品質を明確にするためには、そのサービスに対して測定可能な指標がなければいけません。指標は基準を満たしていることを客観的に判断できるよう、定量的に計測可能な数値である必要があります。
例として「稼働率」「遅延時間」「障害から復旧までの時間」などが利用されます。この中でも特に「稼働率」は、クラウドのサービスレベルを測る指標としてよく利用されています。
3、サービスレベルに対するコスト
サービスレベルを実現するためのコストについても考慮しておく必要があります。クラウド事業者によっては、SLAに記載された稼働率を実現するために追加のコストが発生することもあります。
一般的に高い稼働率を求めれば求めるほど、かかるコストは上昇します。システムにどこまでの信頼性を求めるのか、そして、それはかかるコストに見合うのか、きちんと吟味しておくことが重要です。
■SLAを作成・締結する際の注意点
SLAを作成し、締結・運用する上では、いくつかのポイントがあります。いずれもSLAの効力を保つために必要なものですから、十分注意してください。
SLAで規定すべき項目には、特に決まったものはありません。サービスの内容や提供形態などに応じて違ってきますが、代表的なものとしては、次のようなものが挙げられます。
【SLAにおける代表的な設定項目】
・前提条件
・サービス提供者と利用者、双方の役割と責任範囲
・提供するサービスの範囲、内容と品質
・計測すべき数値など、運用のルール
・提供未達時の双方の対応、補償の内容
・報告や会議の方法など
このほか、必要に応じて、SLAの改定に関する規定や、これらのルールを守れなかった場合の罰則規定などが盛り込まれることもあります。
SLAには、どのような事態が想定され、そのときにどう対応するかということを明記しておくことが大切です。
ただし、あまりに多くの項目を設定してしまうと、運用の手間とコストが膨らんでしまいますから注意が必要です。
■まとめ
各種ITサービスは実体を持たない代わりに、その性能を数値で測定することができます。ですから、サービスレベルを測定する指標をいくつか設定しておいて、運用開始後は常に監視しておく必要があります。
指標が規定の数値を下回ったら、それは合意したサービスレベルに達していないということになりますから、SLAに準拠した措置をとらねばなりません。
一般的にこの問題がなかなか解決しない一番の原因は、経営陣が整合の問題を戦略的に考えている場合でも、実際に整合を持続させるために必要な施策や構造的変更がほとんど行われていないことにあります。
SLA作成プロセスは、すべての関係部門のトップが顔を合わせ、役割、責務、プロセス、目標、アカウンタビリティについて話し合うところから始まります。
■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、これまで自社のSLAやクライアントのために数多くのSLAを作成してきました。その経験から断言できることは、SLAの作成は十分な検討と細かい調整が必要なため確かに骨が折れるものの、その効果は絶大である、ということです。
SLAの作成は労力を要するタスクですが、それだけの価値があるものになりますので、自社のセールスチームとマーケティングチームのメンバーだけで、明確に定義し共有することが難しい場合には、営業支援を得意とするKENJINSの顧問やプロ人材に一度、ご相談ください。
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