顧問の持つ人脈ネットワークを活用した紹介営業を実践するに当たり、きちんと管理指標を設定し、組織的にルールを設定して取り組んでいる企業は非常に少ないものです。
しかし、顧問による紹介をフックにした営業活動で成果を出し続けるためには、組織的に運用するためのKPIの設定が欠かせません。
そこで今回は、顧問のリファラル紹介営業のメリットや顧問からのリファラル紹介営業の成果創出パターンを作り出すためのポイントを解説します。
■リファラル紹介営業とは?
リファラル紹介営業とは、法人企業の新規開拓を推進する際に、ターゲット企業の役員クラスや購買の決裁権限を持つキーマンとの繋がりのある営業顧問やフリーランス営業、副業セールスなどから、新たな見込み顧客を紹介して貰う営業手法です。
紹介営業を実現するには、紹介者である顧問との間で信頼関係を醸成する必要があります。
そのため、オンライン会議による面談、事業説明、キックオフミーティングを経て顧問契約を締結することで、ビジネスに共感して貰い、両者の信頼関係を構築することができれば、効率よく見込み顧客を獲得できるため、営業現場でも改めてその重要性が認識され始めています。
■リファラル紹介営業の3つのメリット
1、話を聴く土台ができている
紹介で会う顧客は、紹介者である顧問と紹介先のキーマンとの信頼関係がすでにできているため、初めての商談相手への警戒心が薄いです。
また、紹介者が顧問先の会社のことや商品やサービスのことを良く理解した上で、紹介相手に事前に話してくれている
ケースでは、信頼関係を構築する手間や商品説明の手間が省けるだけでなく、初回の面談から買う気まんまんだったりします。
このように紹介者の影響力が効いているだけで、初回の提案であっても余裕をもって商談をラクに進めることができます。
2、成約になる確率が高い
顧問からの紹介で見込み顧客と会う場合、すでに紹介者から概要を聴いているケースが多いです。
紹介先のキーマンも信頼できる人から、きちんとした会社を紹介して貰えているという安心感もあり、営業代行会社によるテレアポなどと比較すると、成約に結び付く確率が格段に高いです。
また、無理に強烈な売り込みをかける必要がなくなり、提案する側の企業にとっても将来の顧客にとっても気持ちよく成約まで進むことになります。
3、人脈を活かせる
顧問のリファラル紹介営業は企業にどれだけ優良な見込み客を紹介できるかがポイントになるので、もともと人脈が広い人はそれほど苦労せずに多くの人を紹介することができます。
クライアント企業の商品やサービスと顧問が営業職やマネジメント職で経験してきた商材が似通っていれば、自ずと顧客層もマッチするので、その人脈を活かして紹介することで受注率も高くなり報酬も多く得ることができるでしょう。
■リファラル紹介営業のシステム化に必要な管理指標
紹介営業で成果を挙げ、さらにそれを継続していくためには、システムの構築が必要になります。
ここでいうシステムとは、「成果創出パターンを広範囲で実現・継続するために組織で運用する制度(ルール)」のことを指します。
数多くの顧問を活用し効果的なクライアント紹介を実現するためには組織的に運用できる制度、システムが欠かせません。このシステムの構築に当たり、「管理指標」「経営層の役割」という観点が重要になってきます。
一般的に紹介営業の指標といえば、定額で紹介報酬を支払い場合には、紹介件数のコミットをして貰うことは可能です。それ以外に、「決裁担当者」「役員クラス」「業界」「売上高」「地域」ななどがあります。
その上でリファラル紹介を継続するために必要になるのは、成果を出すまでの中間指標となる「プロセス指標」です。
■リファラル紹介営業の5つのKPIとは?
プロセス指標において、紹介営業のKPI(重要指標)となりやすいのは、プロセスの順番に、「ターゲット企業のペルソナ」「紹介件数」「紹介からの商談数」「紹介からのクロージング件数」になります。
これらはいずれも最終指標である「紹介からの成約獲得」や「契約件数」、「紹介経由による売上アップ」に相関の強いものです。
1、ターゲット件数
営業顧問がどのくらいリファラル紹介可能なターゲットを抱えているのかということです。顧客ランクで分類した場合、SランクからBランクくらいまでをターゲットに据える企業が多いです。
2、リファラル紹介営業の件数
リファラル紹介営業の件数とは、具体的にアポイントを設定にまで至った顧客の数のことです。ここには、非常に短期間でなんとなく紹介依頼をしたようなケースは含めず、ポイントを押さえた紹介依頼を対象とします。
3、リファラル紹介からの商談数
特に商談やプレゼンテーションを経て契約が決まることの多いソリューションビジネスの場合、この商談数の指標は重要になります。
しかし、商談から本契約に至るまで時間がかかる、確定でないという場合、「紹介からの本提案件数」という指標も設定して管理していくことが重要です。
4、人脈ネットワーク把握資料
リファラル紹介営業に取り組むにあたっては、事前に顧問の持つ人脈ネットワークやアプローチ先リストを共有して貰えることもあります。
この人脈リストには、紹介者との関係性の深さやお付き合いの年数、会社の元同僚、大学時代の友人など、紹介先のキーマンとの関係性について記載された資料になります。
5、紹介者向け要件資料
実際に紹介営業の商談などに臨む際には、この「紹介者向け要件資料」を作成すると良いでしょう。これにより一定品質を保った紹介アプローチが可能になります。
紹介者向け要件資料には、「リファラル営業の重要性」や「紹介元、紹介先、自社の3者がWin-Win-Winの関係であること」を記載する必要があります。
■リファラル営業で顧問を動かすために必要なこと
経営層が顧問を活用したリーファラル紹介営業の戦略を構築していく際には、会社への根回しと顧問との面談時にも大きく3つのことが重要になります。
1、「リファラル営業に対する本気度」を顧問に示す
沢山の顧問先を抱えている忙しい顧問顧問にとっては、優先順位として後回しになりがちなリファラル紹介営業を、マーケティング戦略として浸透させるために、顧問にもしっかりと会社のビジョンやプロダクトやサービスの競争優位性を語る必要があります。
大きな成果を出すためには、経営層にしかできない「なぜプロダクトが必要なのか」「人脈による紹介がいかに受注角度が高いのか」という熱いパッションを担当する顧問にも伝えることも欠かせません。
2、「リファラル営業は良い活動であるという信念」を示す
担当者が顧問を活用したい際は、ボトムアップで経営層から稟議の承認を獲得するためには、顧問によるリファラル紹介がいかに良い取り組みであるかという確信を、社内でのキーマンにどれだけ信念を持って語れるかが重要です。
マネージャークラスでも経営会議で顧問からのリファラル紹介営業で新規顧客を開拓し、ビジネスを広げることは費用対効果が高く、非常に良い取り組みであると言うマインドを社内で当たり前にする根回しをすることが欠かせません。
3、面談時に事業説明をしっかりする
顧問との面談時には、顧問からも自社を目利きをされていることも理解する必要があります。「この会社がいいと思った理由は○○」「だから自分はこの会社に惹かれた」と思ってもらう“場”とする必要があるのです。
そのために必要なのは、他社と差別化できる自社のポイントを絞って伝えることです。
顧問が「選ぶための理由」とは、例えば「社長の魅力」「社員が熱い思いを持って働いている」「組織のカラー」「商品・技術力」といったものです。「ここがすごい」「他社にはない」と言えるようなネタを面談時にもストーリーで語る必要があります。
■リファラル営業戦略の継続させるポイント
リファラル営業の最初のステップは「紹介者との関係性を構築」することです。関係構築の段階で、「大手企業の役員クラスを紹介してほしい」といった、こちら側の都合を押し付けてしまうと逆効果です。
まずは「紹介者からの共感を得られる様に顧客にとって役立つ情報」を提供し続けていく必要があると言えます。関係性の構築においては何よりも「相手の望むもの」を提供していくことが肝となります。
営業顧問の具体的なミッションとしては、「橋渡しの役割を担うこと」「具体的にどんな企業や人を紹介して欲しいのか?」「紹介のメリット」など、プロジェクトへの参画を促すセールスレターのような形式で言語化することが欠かせません。
顧問の活動のモチベーションも鑑み、リファラル紹介営業を戦略的にを継続させていく仕組みを作り上げると、紹介経由による販売実績が上がるという結果につながります。
そのうち自社の営業担当者によるゼロベースの新規営業よりも顧問の人脈ネットワークを活用したリファラル紹介営業の方が、圧倒的に成約率が高いことが分かり、効率的だという認識が社内に広がっていきます。
つまり、リファラル営業によるアポイントや販売実績が上がるにつれて、紹介戦略の継続メリットがより感じられるようになってきます。また、紹介経由で契約してくれた顧客は、次の紹介客を連れて来てくれる傾向が強いことが分かってきます。
■まとめ
顧問の人脈ネットワークを活用したリファラル営業の成果を出し続けるための管理指標、経営層の役割から社内への浸透方法などについて解説してきました。
しっかりとリファラル営業の活用方法をルール化し、半年から1年の基礎固めの時期を乗り越えることで、成果が出てきてメリットも感じられる好循環になり、継続が容易になります。
それらの取り組みを経て、信頼のおける良きパートナーとなる顧問によるリファラル紹介営業の戦略が社内で当たり前となるDNAとなっていくでしょう。
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