ビジョンセリングとは?インサイト営業にステージを上げる必要性

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

インターネットでの情報収集が簡単にできるようになったことで、企業の購買担当者は営業マンと会う前に検索キーワードで、自社の課題を認識した上で、解決方法が何かをある程度、考えることができる時代になりました。

その結果、営業手法が高度化するとともに営業マンも、ライバルとの価格競争に巻き込まれる前段階で、これまで以上に早い段階で顧客の「経営ビジョン」を踏まえつつ、顧客の潜在的な課題を予測し、「インサイト」を的確に捉える重要性が増しています。

そこで今回は、ビジョンセリングとは何か、インサイト営業にステージを上げる必要性について解説します。

「人は理念と価値観によって動かされ 信じがたい成果を上げる。」

<ピーター・ドラッカー>

■ビジョンセリングとは?
ビジョンセリングとは、顧客の持つ理想を実現するためにサポートや提案をする営業スタイルです。

顧客の課題解決にフォーカスするのではなく、顧客の理想とする姿やビジョンを一緒に描いていき、それを実現するためのサポートや提案をするという営業スタイルです。

理想を実現するために、いま解決する必要のある課題を明確にすることで、自社の商品・サービスを採用してもらいます。

プロダクトセリング、ソリューションセリングに続く営業スタイルとして注目されている用語です。

ビジョンセリングは、単なる営業マンという立ち位置とは大きく異なり、コンサルタントに求められるような高いスキルと知識が必要になります。

今現在は特に課題がないと認識している企業は、潜在顧客になります。

そのような際に将来的な「ビジョン」を達成すための、提案営業を行うことでリード顧客化し、信頼関係を醸成することができれば、中長期的に大きな売上を上げることが期待できます。

■ビジョンとは?
企業経営においてビジョンが重要と語られますが、その意味については漠然としか理解されていません。

ビジョンとは、「実現したい未来」であり、「あり方」と「世の中との接点」を経営者が意識して世の中向けに明文化し発信したたものです。

企業活動においてのビジョンは、「実現したい未来」と定義することができます。

組織運営におけるビジョンも「将来のなりたい姿」を示しており、今、行なっている企業活動を日々積み重ねていった先に、どのような未来を実現したいか、ということになります。

ビジョンを掲げることは即ち、「目標を達成することでどんな姿になっていたいか」と言い換えることもできます。

日々の営業マンとしての仕事においても顧客のビジョンを達成をサポートする気概を持って働くことで、行動の精度が上がり、受注確度も高まり、顧客との関係性が深まることが期待できるでしょう。

■営業力を表す4つのステージ

ステージ1:プロダクトセリング
プロダクトセリングとは、提案営業とも呼ばれる営業手法です。自社商品についてしっかり理解し、その魅力をプレゼンテーションを行い顧客に売り込みます。

ライバル他社の製品にはない、自社商品ならではの独自性や競争優位性があるプロダクトを提供している会社であれば、訴求ポイントを魅力をしっかり伝えることで、新規顧客獲得に繋げることが可能です。

ただし、「他社製品と機能面の差がない」場合には、顧客状況把握をよりも以下のようなセールストークに意識が集中しています。

「○○が可能です!」
「○○円のコスト削減が見込めます!」
「○○の機能が充実しています!」

セールストーク中心の提案活動ばかりをしてしまうと押し売りに近くなるため、「顧客が現在そのような商品を必要としてない」という場合、売り上げ拡大を実現しづらいというデメリットがあります。

ステージ2:ソリューションセリング
プロダクトセリングから派生した営業手法のソリューションセリングは、顧客が抱えている課題を把握し、その解決策を提案する営業スタイルになります。

ソリューションセリングでは、商品やサービスは「課題解決のために用いる道具」という位置付けになります。

商品やサービスを売り込むのではなく、あくまで解決策を提案するというのが大きな特徴になります。

ステージ3:ビジョンセリング
ソリューションセリングは、課題の解決方法が分からないという顧客に対しては、有効な営業手法であると言えます。

ビジョンセリングとは、顧客の課題ではなく、顧客のありたい姿に対して提案する手法です。

この手法にはメリットが2点あります。

1点目は、長期的な契約が見込める点です。
2点目は、販売可能対象企業が増加することです。

課題の確認だけでは課題はないと感じている顧客には製品を販売することができません。

「現在よりも更に伸ばそうと思ったらなにが足りないか?」
「いまと同じ成果でコストを1/2にできるとしたら?」

インターネットが普及していない時代であれば、顧客が抱えた課題に対する解決策がすぐに見つかることはありませんでした。

このような際に「ビジョンセリング」に取り組むことで、思考の出発点を今よりも上位に置き、より良い姿に置いた提案を行うことで課題と解決法を作りだすことが可能になります。

ステージ4:インサイトセリング
インサイトセリングとは、顧客がまだ把握していなかった課題を指摘しすることで、強い信頼関係を築く営業手法になります。

複数の選択肢の中から、自社の商品やサービスを選んでもらうためには、顧客の本音や顧客の行動を理解し、自社の商品やサービスが受け入れられる必要があります。そのうえで、顧客インサイトへの理解が欠かせません。

インサイトセリングでは、顧客の隠れた課題を的確に洗い出すことができる営業マンほど「代替不可能な存在」として顧客から重宝されるため、価格競争が起こりづらい傾向にあります。

潜在的な課題を炙り出した直後に解決策を提案するため、顧客が課題解決に向けて独自に情報収集することがありません。

インサイトセリングは、単なる営業マンというよりも「戦略コンサルタント」に近い立ち位置になります。コンサルタントは、ニーズに対してアドバイスするだけでは価値は生み出せません。

インサイトセリングでは、顧客の信頼を獲得するために、ヒアリングではなくコーチング的な対話によって理想像を作り上げていくという作業が必要不可欠です。

多くのビジネスパーソンがB2B製品を購入する際にはビジネスコーチ、もしくは戦略コンサルを必要としていると言われています。つまり、その存在に成りかわることが成約への近道なのです。

■ビジョンセリングとインサイトセリングの違い
ビジョンセリングもインサイトセリングも、競合と圧倒的な差別化を図るために有効な提案です。

ビジョンセリングは、顧客と将来の目指すべき姿を描き、ビジョンを作り出すことで自社の商品・サービスを採用してもらう営業スタイルです。5年後、10年後にどのような顧客と関わり、ビジネスに変革していくか提案していきます。

インサイトとは、直訳すると「洞察」や「見通し」を意味する言葉です。マーケターを始め、マーケティング業界で使われる専門用語の一つです。一般的に、潜在ニーズと同義語のように扱われるケースもあります。

しかし、潜在ニーズと顧客インサイトは、それぞれに明確な違いが存在します。

営業マンやマーケティング担当者は、効果的な提案やマーケティング施策を立案するためにも、二つの言葉の意味を正しく理解しておくことが大切です。

顧客インサイトとは、顧客が商品やサービスを購入するに至った、本質的な購買欲求のことを意味します。商品やサービスなどを提供する企業やマーケターにとって、顧客インサイトは顧客の購買欲求を深く理解するために欠かせません。

インサイトセリングでは、顧客と対話しながら理想の姿を作り上げていきます。

ビジョンセリングのように高いスキルと知識に加え、顧客以上に顧客を理解し、理解を得るために顧客とのコミュニケーションを取り、潜在的な課題と解決法を導き出し続けることが重要になります。

その際、「顧客理解」が不足している状態で中途半端な提案をしてしまうと、無茶な提案だと思われ、信頼を落とすリスクがあります。

また、そもそも、革新的な提案を理解できる企業や先進的な取り組みを推進する企業などに限定される可能性もあります。

ただし、インサイトセリングにより顕在化した課題をもとに新たな製品・サービスを開発すれば、これまでに存在していなかった「ブルーオーシャン市場」を開拓できる可能性があります。

■ビジョンセリング、インサイトセリングの実践方法

1、商品・サービスを売り込まない
営業職が扱う商材は、大きく「無形商材」と「有形商材」の2つに分かれます。

無形商材とは、物質的ではない商材のことです。サービスや情報、金融商品の他、人材派遣や人材教育なども無形商材に分類されます。有形商材とは、日用品や家電、衣類、不動産など、形のある商材を指します。

営業として仕事をしていく上で必要なスキルは多岐にわたりますが、特に「無形商材」の営業は、個人のスキルが重要となる難しい仕事だと言われています。

顧客の経営理念やビジョンを実現していくためには、無形商材の営業と同様に商品やサービスを売るという意識を捨てなければいけません。顧客の理念に導くための提案、そのために認識されていない課題に対する提案、将来のチャンスやリスクを見越した提案をしていくことが重要です。

2、顧客のNo.2になる
優れたトップでも、すべてを兼ね備えた人はいません。不足しているパズルのピースがあれば、それが何か把握して埋めに行き、トップが構想として描いているものを言語化し、より明確なビジョンになるような微調整を行う存在が必要です。

顧客の経営理念やビジョンを理解し、その理想を実現するための提案していくためには、社長の次のポジションに位置するくらい顧客以上に顧客を理解する必要があります。

間違えの指摘や、意見は言うは易しです。それを補填するためには、トップのやりたいビジョンに対して本気で向き合う気概と知見、見識、胆力を持ち合わせていることが不可欠になります。

そして、顧客の理念やビジョンをいかに実現するのか、アイデアを一緒に作り上げていくなかで、そのニーズにあった提案を行っていくことが可能になります。

3、洞察力や共感力を高める
これからの営業マンは、顧客が潜在的に抱えている課題を発見する洞察力が必要になります。洞察力とは、「物事の本質を見抜く力」のことです。

よく「観察力」と似た意味で捉えられることがありますが、観察はあくまで「表面的な部分を注意深く見る」行為です。洞察力は、「表面的な部分」を含め、さらにそこから「見えていない部分」まで見抜いていく力です。

「こういう状況だから、こういう課題が生じるはずだ」というように、顧客が抱えているであろう課題を指摘できる論理的思考力や、顧客の立場になり、顧客以上に顧客企業のことを理解する共感力も必要になるでしょう。

また、AIなどのITを使いこなす力や、これから時代がどのように変化していき、その結果どのような課題が発生するか予見する先見性も必要です。

■まとめ
インターネットでの情報収集が気軽にできるようになったことで、企業の担当者はセールスと会う前に、自社の課題を認識し解決方法を理解できるようになりました。

その結果、インサイトセリングやビジョンセリングのような営業手法の高度化するとともに、マーケティングにおいても、これまで以上に顧客のインサイトを的確に捉える重要性が増しています。

企業の動向を的確に読み解き、まだ認識されていない潜在ニーズを見極めることで、顧客自身が認識できなかったインサイトを理解し、それらを施策に反映させていきます。

インサイトセリングは、顧客が自覚できていない課題を発見し、その解決策を提示することが求められるため、営業側には課題を探り当てる能力が求められます。

当事者である顧客自身も気付いていないニーズを見つけるためには、優れたヒアリング力やコーチング的な傾聴力はもちろん、聞き取りを進める中で出てくる数多くの情報を仕分け、問題の本質部分を探り当てる、洞察力ともいえる予測能力が不可欠になります。

■最後に
営業活動を推進するにあたり、新規開拓では、決定権者であるキーマンと面談することが重要です。

しかし、相手が大手企業になる営業マンによる決定権者へのアプローチの難易度が一気に上がります。それは、決定権者とのアポイントを獲得できる人脈を持っていないからです。

決定権者が求めている価値ある情報が何かを営業マンが理解せず、一方的に商品を売り込もうとしていることもアポイントが獲得できない理由の一つになります。

忙しい決定権者は、無駄な話しを聞くのは面倒ですし、見も知らない相手と時間を割いて会ってくれることもしません。

決定権を持つキーマンと面談しようとすると、ある程度の段取りと接点が必要となってきます。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、このような課題を解決するために、ハンズオン型で人脈を豊富に持つ「営業顧問」のコネクションを活かし、決裁権限のあるキーマンを対象にした「トップダウン営業」の実行支援を行っています。

大手企業の役員クラスや決裁権限のあるキーマンとのアポイントの獲得なら、営業代行会社への依頼するよりも特定の人脈豊富な営業顧問の活用する方が、ダントツに費用対効果が高いです。

その理由としては、初回商談時の同行営業を必須で行っており、商談時のトスアップも可能なため、対象企業との関係性が全くないテレホンアポインターが代表電話に荷電してアポイントを獲得するだけの営業代行会社とは、ポジショニングが異なるからです。

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※エージェントから有力な顧問を紹介させて頂くことも可能です。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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