リファラル採用とは?人材の獲得にリファラル紹介が効果的な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

アメリカではすでに一般的な採用方法で、日本でも2015年頃から注目が高まってきているリファラル採用。具体的にはどのような採用方法で、いわゆるコネ採用とはどう違うのでしょうか?

売り手市場が続く昨今、母集団を確保するには、さまざまな採用チャネルを組み合わせた採用活動が不可欠であり、求人広告や企業説明会など相手からのアクションを待つ採用手法だけでなく、採用する側から働きかける採用手法の重要性が高まっています。

今回は、採用する側から働きかける採用手法の一つとして注目を集める「リファラル採用」について、メリット・デメリットや準備すべきポイント、人材の獲得に社員からのリファラル紹介が効果的な理由について解説します。

■リファラル採用とは?
「リファラル採用」とは、自社の従業員に採用候補者を紹介してもらう採用方法のことをいいます。縁故採用やリクルーター役の従業員が外部から候補者を呼んでくる採用方法と似ていますが、リファラル採用では知人や友人など、すべての人が採用候補者になり得ます。

近年、企業の人手不足感が続いており、新しい採用方法として注目されていますが、安易な運用は法律に触れてしまうこともあります。ここでは、どのような点に気を付けるべきかを解説します。

日本でも古くから「コネ採用」や「縁故採用」と呼ばれる幹部社員や取引先の紹介による採用はありますが、これらの場合は主に血縁者が中心であり、話が出た時点で採用が決まっていることがほとんどです。

一方、リファラル採用は社員であれば誰でも自由に紹介をすることが可能で、紹介をしたからといって採用が即決まるわけではありません。通常の採用過程と同様に、面接や採用試験は公平に行われますので、紹介者の推薦が書類選考や一次面接に相当すると考えてよいでしょう。

■リファラル採用のメリット・デメリット
リファラル採用では募集広告などを出す必要がないため、通常の採用方法よりコストが抑えられるというメリットは容易に想像がつくと思います。では、その他のメリットやデメリットにはどういったものがあるのでしょうか。

■リファラル採用のメリット

1、マッチング率の向上→定着率の向上
リファラル採用の場合、社内環境をよく知る人間がその場所に合いそうな人材を紹介するため、通常の採用に比べ職場とのマッチング率は非常に高いといえます。入社後に何か問題が起こっても、紹介者に相談することもできるため、結果的に職場での定着率も向上します。

業務や社風をよく理解した社員が適性を見込んで紹介する人材は、「採用に至ったものの適性が不足していた」などのミスマッチが少なく、活躍の可能性が高い点もメリットの一つです。

また、紹介者を介して自社の様子を詳しく伝えられるため、候補者が入社後にギャップを感じることが少なく、入社時点で知人がいるためサポートを得やすいなど、早期離職のリスクを減らすことができ、人材の定着が期待できます。

2、専門性の高い人材の確保
専門性の高い職種の場合、一般的な求人方法では適当な人材が集まりにくいことも少なくありませんが、リファラル採用の場合は同窓生など似たような分野で活躍している人材を集めやすくなります。

リファラル採用で紹介される候補者は、自社をよく知る社員によるフィルターを通過しています。自社の求める人材要件に合致する見込みの高い候補者に、すぐに個別アプローチが可能なため、書類選考などは不要な場合もあり、効率的な採用活動につながります。

3、転職潜在層と接点が持てる
リファラル採用でターゲットとなるのは、転職したいと考え、行動に移している人材だけではありません。

「自分の会社でこんな人材を探しているけれど興味はないか?」と、とりあえず声をかけられるのは、社員の知人を対象とするリファラル採用ならではです。その時点では転職活動をしていない層にもアプローチができ、転職市場に出てこない優秀な人材と接点が持てるメリットがあります。

4、採用コストの削減と社員への報奨金
採用活動にかかるコストを削減できる点は、リファラル採用の大きなメリットです。社員からの紹介によるリファラル採用では、求人広告や人材紹介会社の利用料、企業説明会を開催するための費用など、間接的採用コストの大半を削減できます。

自社の社員によるチェックを経ている候補者は、一般的な採用活動で行われる書類選考や一次面接が免除されるケースも多く、選考に必要な人件費や会場費などの直接的採用コストも削減が見込めます。

また、入社後に活躍・定着する可能性が高く、採用後にかかる育成コストの軽減や、早期離職となった場合に生じる新たな採用コストの発生を抑える効果も期待できます。

リファラル採用の場合は求人媒体やエージェントへの依頼をする必要がありませんので、基本的に採用活動における費用がかかりません。紹介者にボーナスといった形の報奨金制度を取り入れている企業もありますが、その場合も違法性のない範囲での金額ですと30万円〜100万円程度となりますので、通常の採用活動にかかる高額な費用を考えると、かなりのコスト削減になるでしょう。

■リファラル採用の3つデメリット

1、不採用やトラブル時における人間関係の悪化
リファラル採用のデメリットとして最も起こりうる可能性が高いのは、紹介をした知人や友人が結果的に不採用になってしまった場合の双方の関係悪化です。

紹介をした側は大変気まずい思いをしますし、紹介された側も、知人・友人の紹介にも関わらず不採用となれば当然ショックも大きいはずです。リファラル採用では、双方があらかじめ不採用の可能性もあるということを十分に理解しておく必要があるでしょう。

2、似た人材が集まりやすい
「類は友を呼ぶ」といった言葉もあるように、リファラル採用の場合はプライベートを中心とした知人や友人が紹介されることが多いため、結果的に似たような人材が集まりやすく、場合によっては会社にとって不利益な派閥が形成されてしまう可能性もあります。

一般的に、人は自身と同じタイプや、近い思考を持つタイプに好意を感じる傾向があるといわれ、自分の職場に誘いたいと思う相手が紹介者に似た人材である可能性は高くなります。

リファラル採用によって入社した人材が、自身と似たタイプの知人を紹介するといった繰り返しにより、社内の人材の同質化が進み、思考の硬直化や偏りを生む可能性があります。これもデメリットの一つで、人材の多様性を意識した採用で補うべきポイントとなります。

3、紹介者が退職した場合のモチベーション低下
リファラル採用は、紹介する側と紹介される側の双方に信頼関係があるからこそ成り立つものです。紹介者と被紹介者の人間関係が存在するため、その関係性の変化が業務に影響する場合があります。

そのため、もし何らかの理由により紹介者が退職することになってしまった場合、紹介された側の社員のモチベーションが低下する可能性があり、最悪の場合は芋づる式にどちらも退職してしまうことも考えられます。

■リファラル採用を導入する際の6つのポイント
リファラル採用は、単純に知人を紹介してもらえばよいわけではありません。リファラル採用の成功には、長期にわたる社員の協力が不可欠です。

立ち上げ期には多くの紹介を得られたものの、持続できずに衰退するということにならないよう、社員への継続的なアプローチのしやすさも重視して、ルールや仕組みを作成しましょう。

単純に「誰かいい人を紹介して」と社員に声をかけるだけでは、リファラル採用が成功する可能性は低いでしょう。ここからは、リファラル採用を導入する際に注意しておきたいポイントをご紹介します。

1、社員の意識改革を図り、リファラル採用の意義を浸透させる
紹介する社員のやる気とフィルター機能の正確さがリファラル採用の成功には欠かせません。「人を紹介してほしい」だけでは、旧来の縁故入社と同じイメージを持つ人が出てきます。

また、「面倒なことをしたくない」と考える人も出てくるでしょう。「優秀な人材の確保につながるリファーラル採用は、自らが自社を発展させるために行うべきことだ」という文化を社内に定着させるため、社員の意識改革の推進が必要です。

2、紹介したくなる環境を整える
紹介する側にとっては、会社からのバックアップや紹介するメリットがなければ、自分の大切な交友関係に亀裂が入るかもしれないリスクを背負ってまで動こうとはしないでしょう。

そのため、会社や業務、待遇についてのわかりやすい資料を用意したり、魅力的な紹介方法のレクチャー、紹介した人が採用された際の報酬制度など、リファラル採用の導入にはまず、社員が紹介したくなるような環境を整えておくことが重要です。

3、社員のモチベーションと公平性を確保するルール作り
リファラル採用に協力する社員が、人材を紹介するためのモチベーションが保てる仕組みを作ることも必要です。

紹介実績に応じてボーナスなどを提供している企業や、紹介状況を公開して評価し、社員の士気向上につなげている企業もあります。

ただし、すべての社員に紹介できる知人がいるわけではないため、紹介者へのボーナスや特別な評価などは、不公平と感じる社員を生み出す場合もあります。効果的に実施するためのルールをよく検討し、事前に定めておく必要があります

4、ミスマッチを生む認識の違いを取り除く、情報共有の仕組みを構築
リファラル採用における候補者の質は、紹介する社員の判断によって担保されます。企業のニーズと紹介者の認識に相違があると、ミスマッチが発生してしまいます。

自社が求める人材に対する基本的な理解の徹底、また各求人の人材採用要件(必要なスキルや経験など)を、分かりやすく、随時入手可能な状態で共有できる仕組みの構築が重要です。

また、候補者に求人情報を伝達する際も、社員と対話をしながら紹介に必要な情報を考えていくことが大事です。「自社の悪い面はあえて触れずにおこう」など、紹介者の判断で伝える情報を限定することなどがないよう、認識の統一を図りましょう。

5、従来の採用方法と組み合わせる
リファラル採用は、推進するのに社内の工数がかかる、候補者への初回アプローチから入社に至るまでのリードタイムが長い、またそれに伴いフォロー期間も長くなる、常に候補者がいるとは限らないなど、何月何日までに必ず何人を集めるといった計画採用には向かない側面があります。

リファラル採用だけに頼ることは現実的ではなく、その他の採用チャネルと組み合わせた運用が必要です。複数のチャネルから集まる情報を一元的に管理できる仕組みを構築しておくと効率的です。

リファラル採用での採用率は一般的な採用方法に比べると圧倒的に高い傾向にありますが、一方で、社員の積極性や人脈に頼るものですので、大量の人材を確保したい時や短期間で人材を確保したい時などにはあまり向いていません。

そのため、採用システムが構築されるまでの間は、従来の採用方法と並行してリファラル採用を行う方法がよいでしょう。

6、社員に負荷をかけない、紹介しやすい仕組みの構築
紹介するのに大変な手間がかかる、敷居が高いイメージが強いなどの理由でリファーラル採用の比率が上がらないという事態を避けるため、求人情報を常に簡単に把握できるようにする、紹介手続きにかかる作業を簡略化するなど、社員が利用しやすい仕組みを構築することも必要です。

継続的な協力を得るため、長期にわたる運用が可能かどうかも考慮しましょう。負担が少なく効率のよい仕組みの構築にはITの導入も有効です。

このような個々の準備に加え、社員が満足できる企業であることもリファーラル採用の成功には欠かせません。自身の大切な知人に紹介したい企業だと思ってもらうため、社員の満足度向上を図ることは、リファーラル採用の基本条件となります。

■まとめ
リファラル採用は、コストが抑えられるだけでなく、長く活躍できる社員を効率よく採用できる非常に有用な採用方法です。社員が紹介したくなる環境を整えることで、リファラル採用だけでなく、従来の採用においても、求職者の目に魅力的に映る会社になるはずです。

リファラル採用を成功させるためには、企業側が十分な情報発信を行っていることが大事だとされています。インターネットなど、すぐに見られる形で自社の情報が開示されていない場合、従業員も候補者に自社を勧めにくく、候補者も応募しにくいようです。

そのため、リファラル採用を成功させるには、まず自社の情報開示がしっかりと行われているか、Webサイトなどで自社の魅力を正しく伝えられているかを確認する必要があります。

最近では、リファラル採用をサポートする企業や、専用のツールも出ています。採用のコストをどれだけにするのか、その中でいかに効率よく人材を確保するのかについて、戦略的に考えることがリファラル採用を成功させる上で大変重要になります。

■最後に
新しい商品やサービスを世の中に普及させるためには、アーリーアダプターとなる大手企業の存在が非常に重要となります。大手企業にサービスを導入して貰うためには、リファラルで商談機会を作れるかどうかがカギとなります。

その際、アーリーアダプターを上手く獲得できれば、アーリーマジョリティ取り込みへのステップになります。しかし、両者の間には「大きな溝=キャズム」があるのも現実です。

キャズムを乗り越えるためには、人脈コネクターとなる営業顧問を活用して、アポイントを獲得し、商談の架け橋を作るのが大切となるでしょう。

法人企業の販路開拓においても大手企業のコネクションや人脈ネットワークを豊富に保有する顧問をアンバサダー的に活用し、「リファラル営業」により、大手企業の導入実績を早期に獲得できたことでその後の飛躍的な成長に繋がったベンチャー企業が沢山あります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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