現在、人材育成において、「動機付け」が改めて重要視されています。
なぜなら、この動機付けによりモチベーションのアップを高め、人材育成を促進させることが可能になるからです。
動機付けとは、「モチベーション」と訳され、特定のスキルを身に付ける際や目標達成の原動力になります。
動機付けという言葉の起源は、「人が目的や目標に向かって行動を起こし、達成までそれを持続させる、心理的過程を表す」という心理学用語です。
なかでも長期的なスパンで高い目標を掲げ、ゴールに到達するためには、「内発的動機づけ」が非常に重要だと言われています。
そこで今回は、内発的動機づけとは何か、目標の達成に内発的動機づけが大事な理由について解説します。
「信頼されることは人間にとって究極の動機づけである。それは人の最善の姿を引き出してくれるものである。しかし、それは時間と忍耐が必要だ。そして、その信頼に応えられるレベルまで能力を引き上げるための訓練が必要になることもある。」
<スティーブン・R・コヴィー>
■内発的動機づけとは?
内発的動機づけとは、自分自身の内側から生まれる強い興味や関心、探求心、意欲による動機づけを指す言葉です。
内発的動機づけは、自分の内面にある心理的な欲求にかられて行動する意欲を持つ意味合いがあります。
何事も「興味があるから」「楽しいから」「好きだから」などの自発的な理由で、行動そのものに喜びや満足を感じて取り組もうとすると、難易度の高い事柄でも没頭することが可能になるため、大きな成果に結びつきます。
英訳すると「intrinsic motivation」と表記します。
内側から生まれる動機とは例えば、強い興味や関心であったり「もっと知りたい」といった探求心であったり、「もっとやりたい、挑戦したい」という意欲、仕事自体のやりがい・面白さなどです。
内発的動機づけは、外から直接的に作用できないためマネジメントで活用する難易度は高いですが、自分自身の内側から湧き出る動機であるため限りがなく、かつ報酬なども必要ありません。
■外発的動機づけとは?
外発的動機づけとは、報酬や名誉、評価など、外部から与えられるもので動機づけする手法です。金銭的な報酬以外にも、表彰や昇格、また感謝などの精神的な報酬を与えることも外発的動機づけの一つです。
外発的動機づけは、言葉の通り、外部から与えることができ即効性も高いため、マネジメントには非常に有効な手段になります。一方で、社員にとっては受動的な動機づけとなりますので、報酬への慣れや耐性が生じるなどの課題も存在します。
外発的動機づけは、外部からの評価・報酬・賞罰などに影響されるもの。例えば、「お金を稼ぐために働く」「叱られないために勉強する」など、行動の目的が外から与えられる要因に影響されます。
なお、内発的動機づけと外発的動機づけは対立するものではありません。自己決定の度合いが高くなるほど内発的動機づけになっていくものです。
■社員の動機付けが低いとどうなるか?
社員のモチベーションが下がった状態が続くと、どうなるのでしょうか?
以下のような影響を受けることが考えられます。
・社員の仕事に対する意識・意欲が低下する。
・生産性や品質が低下する。
・ネガティブな発言が増え、社内の人間関係や雰囲気が悪化する。
・組織全体の士気が低下する。
・離職率が上がり、採用コストが増加。
モチベーションが下がると、仕事は単なる「作業」になってしまいます。やりがいを求めて退職する人が増えれば、人手不足に陥り、採用コストがかかります。
社内の人間関係や雰囲気が悪化し、社員が職場環境にストレスを感じると、生産性や品質も低下に繋がります。
顧客や取引先からの信頼を失うリスクも発生します。社員のモチベーションが低いと感じた場合は、早急に対策を講じることをおすすめします。
■内発的動機づけが注目されている背景
内発的動機づけがなぜ今、注目を集めているのでしょうか。大きく3つの背景について解説します。
1、終身雇用が崩れつつあるから
従来は終身雇用によって、定年まで安定した雇用が約束されていました。ただ、今は不安定な経済状況から、終身雇用を維持できなくなる企業も増えています。
それに伴い、仕事の目的やキャリア形成のあり方も大きく変動している状況です。
今まではピラミッド型の組織でいかに昇格・昇給していくか(出世できるか)が、社員にとってのキャリア形成でした。ただ、終身雇用が崩れた以上、社内の役職や報酬といった外発的動機づけに依存できなくなっているのです。
だからこそ、仕事自体に楽しさを見出す内発的動機づけが必要になりつつあります。
2、生産性の向上が必要だから
日本は少子高齢化を迎え、将来まで労働人口の減少が見込まれています。それに伴い、1人当たりの業務負担はますます大きくなるでしょう。
企業としては、いかに一人ひとりの社員に生産性高く働いてもらうかが課題です。
その点、社員に内発的動機づけに基づいて働いてもらえるようになれば、長期的なモチベーションの維持が可能になります。結果として組織全体の生産性を上げられ、限られた人数でも成果を挙げることにつながるのです。
3、人材の流動化が進んでいるから
終身雇用の崩壊に伴い、転職・再就職が当たり前になっています。企業としてはいかに優秀な人材を社内にとどめるかが課題と言えるでしょう。
ただし、給与や福利厚生の良さだけで動機づけを行うと、「ほかの会社の方が好待遇だから」という理由で離職される可能性もあります。
一方、「仕事にやりがいを感じる」「仕事を通じて成長を実感できる」という内発的動機づけであれば、社員が仕事そのものにモチベーションを見出している状態です。
そのため、社員に社内での活躍を促しやすく、リテンション(引き留め施策)としても効果が期待できます。
■内発的動機づけの要素
モチベーションは日本では「動機づけ」と訳されます。経営学や心理学では、何かを達成する意志とそれに基づく行動によって何らかの欲求を満たそうとする、という意味です。
ちなみに欲求とは、物理的、精神的に満たされていない状態を意味します。
何らかの欲求が満たされていないからこそ、人はその欲求を満たそうと考え行動するのです。
内発的動機付けの要素は過去の心理学者の研究により、「感性動機」「好奇動機」「活動性動機・操作動機」「認知動機」の4つが挙げられています。
1、感性動機
ある一定の刺激を求める。
2、好奇動機
既知のことや全く未知のことではなく、適度に新しい事を知ることを求める。
3、活動性動機・操作動機
筋肉器官を使用してその能力を高めることを求める。
4、認知動機
入ってくる情報をきれいに整理することを求める。
内発的動機付けが高まると目標を達成したとしても、自ら次の目標を掲げることができる、元々期待していた以上の成果が出るといったことが起こります。
外発的動機付けされた物事よりも、本人の成長やアウトプットのクオリティが高まるといったことが利点となります。
■内発的動機づけを行うメリット
内発的動機づけの場合、目的・自己決定感・自己効力感の3要素が保たれている限り、外部から報酬を与えなくても、長期的にモチベーションが維持できます。
1、行動スピードが速まる
動機は行動に繋がるものですので、動機づけができれば行動のスピードアップが期待できます。特に内発的動機づけは、メンバー自らが「やりたいから仕事に取り組む」状態です。
従って、モチベーションが維持されやすく、行動スピードが速い状態が継続します。
2、行動量が増える
行動スピードが速まることに相まって、行動量も増えることが期待できます。特に内発的動機づけでは、仕事自体に興味・関心が働いていますので、自然と社員の行動量が増えていきます。
3、集中力が高まる
仕事への興味ややりがいを強く持っていれば、仕事に取り組む際の集中力も高まります。子どもの頃遊びに熱中していたように、仕事に集中して一生懸命取り組むことができます。
4、仕事の質が高まる
仕事への集中力が高まることによって、自然と仕事の質も高まっていきます。
高いモチベーションで取り組めるので、もしミスがあっても再発防止のためのアイデアを自ら導き出すことができるようになるでしょう。そうすれば、仕事の質はどんどん向上していきます。
5、チャレンジ精神が生まれる
仕事への探求心や興味が深まることによって、チャレンジ精神が生まれます。そうすると、新たなプロジェクトに対しても意欲的に挑戦できたり、業務に関連するスキル取得に取り組んだりなど、仕事に対して能動的に行動できるようになります。
■内発的動機づけを行うデメリット
内発的動機づけになるかどうかは、本人の興味・関心に左右されるというのが最大のデメリットです。
1、外部からコントロールが難しい
内発的動機は外部からコントロールすることが難しいです。外発的動機づけの場合、報酬や賞与、昇格など分かりやすく、字のごとく「外から」与えることができます。
一方、内発的動機づけに必要な要素、「仕事の目的(意味)」「自己決定感」「自己効力感」は、マネジメントや研修を通じて影響を与えることはできますが、直接的に操作はできないものです。
2、即効性がない
内発的動機づけの要素を見て分かる通り、内発的動機づけは、長期的に育まれることがほとんどです。そのため、即効性がありません。
外発的動機づけの場合、典型的な例として「キャンペーン」といった形で短期的に生み出すことが可能ですが、内発的動機づけでは即効性を持たせることは難しくなります。
3、標準化が難しい
最後に、内発的動機づけは標準化が難しいという点があります。内発的動機は、社員本人の内側から湧き出るものであり、個々人の価値観や特性に大きく左右されます。
外発的動機のように制度や仕組みによる標準化が非常に難しいという特徴があります。ミッションビジョンの浸透や考え方研修、1on1ミーティングなどを通じて中長期的に働きかけをしていくことが不可欠です。
■動機づけが大事な理由
「動機づけ」とは、仕事の意味や目的を伝え、情熱を持って働きかけ、組織やチームの活性化を促すことを指します。
社員のモチベーションを上げることによって、企業には以下のようなメリットがあります。
・社員が意欲的に仕事に取り組むため、成果が上がる。
・業務への関心が高まり、品質・精度が上がる。
・組織全体の士気が高まり、業績が向上する。
・社内の雰囲気・人間関係が良好になる。
・エンゲージメント(愛社精神)が高まり、離職率が低下する。
動機づけは、人間が行動を起こすときに必要な原動力となります。
仕事に対する熱意や関心はモチベーションの高さに比例するため、そのまま個々の行動につながり、成果や生産性向上に結びつくことが期待できます。
■ハーズバーグの2要因理論
アメリカの臨床心理学者のハーズバーグは、人が仕事で満足感や不満足感を感じるのはどのようなときなのかを研究し、2要因理論にまとめました。
この研究で明らかになったことは、満足感を高める要因(動機付け要因)と不満足感を高める要因(衛生要因)は別のものであるということです。
つまり、モチベーションを考えるうえでは、この2つの要因を分けて考える必要があります。
もしあなたがマネージャーであるなら、部下の仕事への満足感を高める要因だけに気を配るのではなく、不満足感を高める要因にも注意しなければなりません。
満足感を高める要因としては、昇進の機会、個人の成長の機会、表彰、達成感が挙げられています。一方で、不満足感を高めるのは、管理者の質、給与、会社の方針、職場の物理的な環境、人間関係とされています。
■まとめ
内発的動機付けは、好奇心や関心など、自分自身の内なる欲求に起因するものを指します。仕事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感などが内発的動機付けに当てはまります。
内発的動機付けのメリットとしては、行動自体が目的となるため、高い集中力が発揮されやすいことにあります。
行動することによって欲求が満たされるため、進んで行動し、学び、最適化しようとします。結果として、質の高い行動を自ら進んで長く続けられることができます。
内発的動機付けが高まると目標を達成したとしても、自ら次の目標を掲げることができる、元々期待していた以上の成果が出るといったことが起こります。
外発的動機付けされた物事よりも、本人の成長やアウトプットのクオリティが高まるといったことがメリットとなります。
社員一人ひとりが高い意欲を持って業務に取り組めるよう動機づけをし、そのサポートをするモチベーションマネジメントは、企業の業績を伸ばすための大きなカギとなっています。
■フリーランスになるという選択肢もある
仕事に取り組むためのモチベーションはとても重要であり、モチベーションが維持できている人ほど、活き活きと仕事をしているものです。
現在、時代の変化に伴い、「内発的動機づけ」が最大化する「起業」や「独立」に関心を持つビジネスマンが増えています。
経済産業省が実施した「日本の起業環境及び潜在的起業家に関する調査」では、「起業」に対してビジネスパーソンたちは、以下のように考えているという結果が出ています。
・起業を将来的な選択肢の一つとしては考えている:35.0%
・起業したいと考えているが、具体的な準備はしていない:25.3%
・起業については、現在、関心がない:4.2%。
・過去に起業することを考えたが、具体的な準備をすることなく断念した:47.1%
将来的にフリーランスになったり起業したいと考えている人の中には、不安を抱えている方も多いです。その理由としては、収入が大幅に減少したり、事業が安定しない間は働きづめとなってしまう可能性があるからです。
将来的に独立を考えている方は、「内発的動機づけ」が最大限にへ発揮されるフリーランスの顧問やプロ人材としてパラレルワーカーとして働くか、もしくは、副業を含めてまずは小さく稼ぎながら、軌道に乗った段階で独立することをオススメします。
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