オワハラとは?学生に自社への入社を強要するオワハラが多い訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

現在、企業が新卒採用において、内々定を出した学生に、以降の就職活動を終えるよう働きかける行為や、内定を出す条件として長期的に学生を拘束する行為が社会問題となっています。

優秀な人材を獲得したいのは、どの企業も同じです。その思いが強いあまり、内定を出すことを条件に他社の内定辞退の強要や、就活を終わらせるように迫る行為は、オワハラに該当します。

文部科学省による調査においては、2019年時点で1100件あまりの学校を対象に調査したところ、32.9%の学校が就職活動生からオワハラの相談を受けたと回答しています。

そこで今回、オワハラとは、自社への入社を強要するオワハラを行う会社が多い訳について解説します。

■オワハラとは?
オワハラとは、「就活終われハラスメント」企業が内定を出した就職活動生に対し、他社の選考辞退を促し、自社への入社を強要するといった圧力をかける行為のことです。就活生に選ばれる企業という立場を使い、就職活動生に義務のないことを要求する行為は、ハラスメントの一種と考えられます。

中小企業は優秀な人材を大手企業に取られたくない、学生は大手企業が不採用だった場合は後がない、そのような心理的状況から、オワハラという行為が生まれました。

どうしても自社に欲しい優秀な人材に出会ったとき、内定を出す代わりに他社の選考辞退を求めるのは、「就活終了の強要」に当たります。

オワハラの具体例としては、就職活動中の学生に以下のように発言することや、他社の内定辞退を示唆するような言動を企業側が行い、就活生に圧力をかけることを指します。

・他社を断ったら内定を決める!
・ここで就活を終わる意思を示せ!
・もう他社の面接は受けるな!

企業が人材を採用する際に注意したいのが、「内定承諾書」には法的拘束力がないことです。内定承諾書に記入したことを理由に自社への就業を迫ることはできませんし、就活終了を強要することもできません。

また、面接の引き延ばしもオワハラに該当する点です。面接の間隔をわざと長く伸ばし、回数を多くする他企業を受けにくくなりますので、これもオワハラの一種と認定されています。

■オワハラが32%の確率で起こりうる背景
本来、企業が就活生に就職活動での指示や強要をすることは出来ませんが、オワハラには起こる理由があります。

1、2015年に経団連加盟企業が採用・選考時期を8月にしたこと
中堅企業やベンチャー企業、外資系企業は採用力の強い大企業と同じスタートラインでは勝てないので、早期に内定を出しています。

そんな中、ベンチャー企業が内定を出している学生が、経団連に加盟している大手企業に合格し、辞退をされることを防ぐために、オワハラ行為が多発したといわれています。

経団連に加入していない、中小企業は年明けから選考を開始し、大手企業に人材が流れてしまわないようにオワハラが行なわれたということも考えられます。

好景気も相まって、大企業が選考を始めると大量に辞退されてしまう可能性があるので、人事も内定者を確保しようと必死になりオワハラが横行しているのです。

そもそもこれは、加熱する就職活動に学生が付いていけなくなり、学業に専念する事ができない状況を懸念して政府が経団連に要請したことになります。ですが、現在、法的拘束量が無いために実際の開始時期は企業に委ねられている状況です。

2、就職活動を早い時期から行う学生が増えた
就職の意識が高い学生は、早くから行動をして企業に接触していきます。多くの企業から内々定をもらい、最終的に入社する企業を決めることになります。

優秀な人材を確保したい企業としては、せっかく採用を決めた学生に辞退されると、またイチから採用をやり直さなければいけないなどの採用コストもかかります。

新卒生1人獲得するために100万円を超える費用を費やす企業も普通にあります。

「優秀な新卒生はなんとしてもウチで雇え」そのような背景が、このオワハラを増やし、問題として浮き上がり、一気に認知されたのではないでしょうか。

なによりも、優秀な人材が確保できたと思っていた企業側は大ダメージを受けることになり、優秀な学生を引き留めようとする企業側の苦しい施策があります。

3、大手企業でも内定者の囲い込みをしたいから
優秀な学生は早くから就職活動を始め、複数の企業から内定をもらいます。そのこと自体は問題ないのですが、その場合は入社を決めた1社以外の企業には、できるだけ早く辞退の申し入れをしなくてはなりません。

しかし、一部の学生において内定を複数キープし、入社間際の2月や3月の段階で、本命以外の企業に辞退を申し出るといった行為が散見されました。

こうした事態を回避したい企業が、学生に対し強い姿勢に出てオワハラに発展したケースが考えられます。

大手企業も採用力が強いとはいえ、採用人数が大量なこともあり、人材確保が楽にできるというわけではありません。大手企業も事前に囲い込みを行い、8月の選考時期には既に内定者が決まっているということも少なくないようです。

■オワハラを起こさないために採用担当者が気をつけること
採用担当者は熱意をもって真摯に就職活動生と向き合うことが求められますが、その熱意が度を越してオワハラにならないよう注意が必要です。

1、社内の申し合わせを徹底する
内定承諾書に記入したことを理由に自社への就業を迫ることはできませんし、就活終了を強要することもできません。

採用活動の各過程で就職活動生と関わるすべての人に対し、注意点について申し合わせをしておく必要があります。強い口調で他社の内定を辞退するように求めた場合、「脅迫罪」に当たるケースがあります。

就活生に心理的負担をかける内定辞退の阻止は、法律に抵触してしまうこともあるので、人事担当者は強要や脅迫に当たらないよう、言動にはくれぐれも気を付けるように心がけましょう。

面接における不適切な質問の事例や、学生に接する際の態度について申し合わせをします。これに加え、オワハラについても該当する行為を説明し、認識を共有しておくことが重要です。

2、自社の魅力で勝負する
就職活動生に自社の魅力を感じてもらい、入社意欲を高めてもらうことが採用活動の本来の姿です。

自社の強みや魅力、入社したら得られるメリットなどを洗い出し、効果的に伝える方法を考えます。自社の魅力を伝えるには、採用担当者自身が自社に誇りをもつことが重要です。その気持ちは学生に敏感に伝わるものです。

優秀な人材の囲い込みは、精神的な圧力で行うのではなく、ポジティブな方法を取りましょう。

内々定を承諾していなくても気軽に参加できる内定者懇談会の開催を行ったり、社内の良い雰囲気を知ってもらう機会を設けたり、自社の魅力をアピールすることで、優秀な人材に選択してもらえるような取り組みを行いましょう。

3、去るものは追わない
「去るものは追わない」という姿勢も必要です。採用活動において「どうしても入社してほしい」と思わせる、縁を感じるような学生に出会うこともあります。

相手も自社に対しそのように感じてくれると良いのですが、うまくいくケースばかりではありません。

辞退されたとしても、爽やかに将来を応援する言葉をかけて辞退を受け入れることです。

採用担当者は採用活動で関わる学生に対し、人間的成長を促すような接し方をしていくことが理想といえます。そのことが将来における優秀な人材の確保と、企業イメージの向上に繋がります。

そうすれば、その学生の心の中に「入社はしなかったけど良い会社だった」というイメージとして残り続けるのではないでしょうか。

■まとめ
「就活終われハラスメント」いわゆる「オワハラ」は、自分の会社に来てほしいため、面接者に対し、甘い言葉をかけたりプレッシャーをかけたりして、自分のところに決めるように企業が誘導していくことです。

オワハラ自体を罰する法律はありません。しかし、強制的かつ高圧的な行為を行った場合、脅迫罪や強要罪などに問われる可能性がないとはいえません。

また、妨害行為に耐えかねて就活生が精神的苦痛を訴えた場合、損害賠償の対象になることもあります。

オワハラを起こさないためには、企業側、学生側、双方のモラルが重要です。企業はオワハラが企業イメージにもたらすリスクについて正しく認識し、就職活動生に不当にプレッシャーをかける行為を慎むべきです。

人事担当者は、就活生の「職業選択の自由」や「自由な意思決定」を妨げるような無理強いをしていないかどうか、常に意識する必要があるでしょう。

学生の側も就職活動において企業の担当者に誠実に接し、見識を深めていくことも必要です。採用担当者は採用活動で関わる学生に対し、人間的成長を促すような接し方をしていくことが理想だと言えます。

そのことが将来における優秀な人材の確保と、企業イメージの向上につながるのではないでしょうか。

「才能で負けるのはまだ言い訳が立つ、しかし、誠実さや勉強、熱心、精神力で負けるのは人間として恥のように思う。他では負けても、せめて誠実さと、精神力では負けたくないと思う。」

<武者小路実篤>

■学生の方へ
就職活動は、企業とのお見合いみたいなもので、就職活動生と企業のある程度の合意と信頼関係が必要です。全て完璧を求めようとしても、そのような企業はありません。

オワハラは、企業が特に入社してほしいと考える就活生に対して、就職活動の終了を迫る行為全般を指します。

ですが、スタートアップの経営者にとっては、悪気がないケースもあるため、過剰に「オワハラだ」と反応することはいかがなものかと考えます。

大切なことは、会社で、自分が何をしたくて、結果的にそれがどのように会社の役に立つかです。

一方で学生側にとっては、人生を左右するかもしれない就職活動になります。企業研究のやり方をマスターすることで企業側の都合に流されず、さまざまな企業・業界をしっかり見ることができる貴重な機会となります。

新卒での就職活動は1度切りです。オワハラに負けてしまい、今後の人生を簡単に考えないように気を付けましょう。

オワハラによるトラブルを防ぐためには、しっかりと企業研究を行い本当に自分が働きたいという会社を突き詰めていく必要があります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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