法人営業で良い成績を上げることを目指している営業マンは、圧倒的な成果を上げているトップセールスを「モデリング」することです。
人の行動を真似することは悪い行為だと思われがちですが、「モデリング」と「パクリ」は大きく異なります。
「パクリ」はいわゆる盗作、盗用のことで、他人のアイデアやビジネスモデルを真似をして世に出してしまうことですので、法的にも決して許される行為ではありません。
しかし、「モデリング」は、あくまでも仕事の仕方や考え方、行動パターンを真似することになります。
そこで今回は、モデリングとは?トップセールスを真似るとトップ営業になれる訳について解説します。
■モデリングとは?
モデリングとは、自分にとって理想となる人(モデル)の仕草や行動を真似し、自分自身を理想の状態へ導く手法になります。
何かしらの対象物を見本(モデル)の動作や行動を見て、同じような動作や行動をするのがモデリングです。
オックスフォード大学の研究(1999年)によると、新入社員には、ある程度の基礎セミナーが終わったら、約3ケ月は見せる教育を続けることが特にスムーズな成績の向上に役立つと推奨されています。
心理学ではこれを「モデリング学習(観察学習)」といって重視しています。
目標とする人=「モデリングすべき成功者」のことを「ロールモデル」と言います。
ロールモデルとは、自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物のことです。ロールは日本語で「役割」、モデルは「お手本」を意味する言葉です。
ロールモデルの着想が分かることにより、年単位で学習の出来ることが実現します。
目指すものによりますが、ビジネスにおいても理想の人や目標とする人の以下のような世界観を取り入れられるようになります。
・ビジネスや発想においてプラスとなる結果が得られる。
・やる気、情熱、行動力、達成力などのスキルを得られる。
・困難な時でも柔軟性を持った対応が可能になる。
・指導力やリーダーシップを発揮することができる。
・聞く力や共感する能力が上がる。
・円滑なコミュニケーションが取れる。
・信頼を得られる。
・相手を魅了する力が得られる。
■モデリングをするメリット
自分の理想とする立場を確立している人や、真似したいと思うような立ち居振る舞いをする人がロールモデルになります。特に、身近にいる人をロールモデルにするといいと言われています。
1、初めの一歩を踏み出せる
モデリングは一から何かを独学で学ぶよりも、早く上達することができます。
社内に成績優秀な営業マンがいたとしたら、その人に同行営業をさせて貰ったり、プレゼンが上手な人がいれば、その人を見学してもらったりするなど、見て盗む機会を作ります。
今までやったことのない仕事を始めるとき、何から手をつけてよいのか分からないものです。できることと言えば「前任者の営業担当担当者やっていたようにやってみよう」と真似ることくらいになります。
その仕事の前後が分からなくても取り敢えずモデリングすることでまずは仕事を始められます。
真似をしているうちにだんだん周囲の状況が見えてきて、仕事がわかっていくのでです。ハイスキルな人の仕事の真似ができれば、まず一歩前に進められます。
2、効率よく仕事を覚えられる
成功者が通ってきた道のりは、決して楽なものではありません。
数えきれないほどの失敗を重ね、改善に改善を重ねてようやく成功へとたどり着きます。仕事をより効率よくこなすためにも「モデリング」は役立ちます。
なぜなら、仕事ができる人は同じ仕事でも速く正確にこなしているからです。
モデリングは、成功者が長い時間をかけて作り上げた思考や行動をそのままマネすることで、短時間で成果を出すことができるのです。自分も同じように速く済ませられるようになりたいと思うなら、仕事ができる人の真似をすることです。
理想とする「ロールモデル」が見つけた効率の良いやり方を、見つける手間なく取得することができます。
ただし、できる人の真似をする事は決して簡単な事ではありませんが、真似ようと努力することでいつの間にか自分自身もスキルアップしているはずです。
3、仕事が分かっている証拠になる
「モデリング」のは初めの一歩ですが、これを正しく真似することはそう簡単ではありません。見よう見まねの真似だけではやがてうまくいかなくなります。
なぜなら、「ロールモデル」の真似をしていても仕事の相手や環境は絶えず変化しているので、様々な状況の変化に対応する必要が出てくるからです。
周囲の状況などその仕事の背景を正確に理解してこそ、正しく真似ることができるようになります。つまり、仕事のできる「ロールモデル」を徹底的にモデリングすることができるようになったという言うことは、仕事をしっかり理解できている証拠なのです。
■優秀なトップセールスの真似をするメリット
トップセールスとは、営業組織の中で一番成績を上げる営業マンのことです。売上という具体的な数値で継続的に結果を残している人であり、営業部門における花形的な存在です。
顧客からは、「信頼できる人」「いざというときに頼りになる人」と言えるでしょう。
優れた営業センスを手に入れる最短の方法は、周りの優秀な人から学ぶことです。
そのため、トップセールスをモデリングすることは営業スキル向上の近道だと言えます。しかし、いきなり特殊な営業スキルをまねしてもいい結果には繋がりません。
結果ではなくプロセスをよく観察するのです。
そして、些細な事から真似して下さい。それだけでも呼び水となり営業活動がうまく行く事もあります。特に成功している優秀な営業マンのトークやテクニックには学ぶべきことが多いので、ここは素直に受け入れるべきだと思います。
会社のトップセールスとして活躍している人も、最初は新入社員として失敗をし続けてきました。その過程の中で成功体験を重ねていき、自分なりの勝ちパターンを構築してきたのです。
自分なりの勝ちパターンや対話術を身につけると、一気に成約率が上がって、自分の営業活動に自信を持つことができます。
トップセールスには、次のような共通点があります。
・圧倒的な努力
・話すより聞く
・「売れる」という自信
・商品が好き
・買いたい人にだけ売る
・好奇心旺盛
・「なぜ」を問い続ける
・数字を徹底的に意識する
・相手に分かりやすい言葉で話す
・誰からでも学ぶ
このような日々の努力が、結果的にお金を稼げるトップセールスへの近道になるのです。
■トップセールスをモデリングするポイント
モデリングには、
「モデルを探す」
「モデルの行動を見て学ぶ」
「モデルの行動を頭の中に思い浮かべる」
「モデルと自分を入れ替えて、自分が行動しているところを思い浮かべる」
「自分に足りないところを補完する」
という5つのステップが大切です。
まずは、物事を習得する、マスターするには、お手本となるものを見つけ、それを真似するところから始めるのが一番の近道です。一流と呼ばれている営業マンは、お客様との商談に対して徹底的に準備をします。
具体的には以下のような下準備をして、綿密なイメージトレーニングを行うのです。
・今回の商談のゴール設定
・会話のきっかけとなる雑談や世間話
・提案に必要な資料やデータ
・想定される質問(FAQ)
・抵抗に対する反論トーク
・値切り交渉に対する料金提示
・クロージングできなかった時のネクストアクション
営業ではまず、活動料を増やし「大量行動」を起こすことが何よりも重要だと言えます。営業の活動量といえば、多くのビジネスでは、訪問件数や商談件数となってきます。
案件型の営業では手持ちの案件数かもしれません。営業活動では、さまざまな活動指標が考えられますが、その活動量を目標にして、結果を振り返る、あるいは活動量の変化を知ることから、営業のPDCAを回してみることをオススメします。
■トップセールスは向上心が高い
営業組織を底上げするためにはトップセールスの存在、そしてトップセールスが常勝してきたフレームワークの存在が欠かせません。
ここでいうフレームワークとは単なるビジネスフレームワークではなく、個々の営業パーソンが自分のなかで持っている独自セオリーのことです。
どんなに優れたビジネスパーソンでも、最初は誰かの真似から入っています。真似をする中で「デキル人はこう考えて動く」という思考と行動を身をもって体感できるため、自然と仕事力がアップしていきます。
誰の真似もせず、ゼロから試行錯誤していくと、10個の方法のうち1個くらいしか成功論を導き出せないことがあります。
しかし、仕事がデキル人のモデリングをすれば、すでに成功確率が高い方法で仕事ができるため、最短ルートでの成功に近づきます。
勝てる営業組織を創り出すためには、まずはトップセールスを徹底的に俯瞰してモデリングし、実際に何に優れているのかを炙り出すプロセスが必要です。
例えば、トップセールスはその他大勢の営業マンとは比較にならない程、向上心が高いのが特徴です。また、どんな状況であったとしても、成約しなかったことに対して言い訳をしない点です。
トップ営業マンは決して言い訳せず、うまくいかなかった場合には冷静に原因分析をします。
「顧客に寄り添えていなかっただろうか」
「どの発言がよくなかったのだろうか」
「あの振る舞いは気遣いが足りなかったな」
そして、「自分に改善できる点はあるか」を徹底的に考えるのです。常に技術を磨く姿勢で取り組むことで、周囲の営業マンと大きな差がつきます。
■行動の背景を想像する
トップセールスをモデリングをした後、その行動の背景を想像することも大切です。話の意図をくみ取れる人は、人の話を聴くとき「結論」だけではなく「理由」まで聴いています。
なぜなら、理由にこそ話し手が伝えたい意図(話の目的)が顕れるからです。
・なぜ、あのトップセールスはあのような言い方をしてるんだ?
・なぜ、先にあの部分を説明しないんだ?意図は何だ?
みたいなことを考え続け、自分に合った部分だけを取り入れ、自分に合った言葉使いに改良し、自分流にうまくできるかが鍵となります。
人の話を聴くときは結論だけではなく、そこに至った理由や背景まで考えようとすることがコツです。理由にこそ、話し手がこめたイメージや、話の目的が顕れているからです。
このように、理想とする人物をモデリングする際は、結論だけではなく、そこに至った理由や背景まで考えようとすることがコツです。仕事のやり方を真似している最中は想像している余裕はないかもしれません。
同行営業や仕事帰りに今日1日のモデリングした先輩の行動を振り返りながら想像してみましょう。
・どうしてそのような行動をとるのか?
・どういう視点から物事を見ているのか?
・その行動からどういう結果が期待できるのか?
このようなにモデリングした背景が想像できれば、もっと正確に真似ができるはずです。仕事ができる人の視点や思考も分かるようになり、他のところで活かせるようにもなるでしょう。
■まとめ
モデリングとは、他者の行動やその結果をモデル(手本)として観察することにより、観察者の行動に変化が生ずる現象のこと。実際の人間以外に、マンガ、アニメ、テレビなどの登場人物もモデルとなり得ます。
仕事ができる人はみんな、重要な場面において、それまで成功してきたパターンと同じパターンを使っています。
これは「アンカリング」と呼ばれるもので、過去に上手くいった時に行っていたことと同じことをすることで、今回も上手くいくというイメージを高め、再び成功させることができる、というものです。
例えば、大事なプレゼンテーションの場でも、再現性のある自身の成功体験を作ることが大事になります。ですが、最初の段階では、プレゼンやセミナーが非常に上手い「ロールモデル」を見つることです。
次に聴衆としてプレゼンの場に参加することで、その話し方やジェスチャー、ストーリー展開を徹底的に研究し、同じように振る舞うことで必勝パターンを作り上げることも可能になります。
人が学習する過程において、直接経験をしなくてもモデルとする他者の行動を観察することによって学習が成立するという理論で観察学習とも言われます。
また、この場合モデルの行動が強化されると、それを観察していた観察者の行動も同時に強化される言われています、これを代理強化といいます。
モデリングでは単に真似するだけでは意味がありません。なぜなら、成功者の思考や行動パターンや自分のものにしていく必要があるからです。その際、表面的な行動だけを真似するのではなく、考え方や仕事で大切にしていることなど、その人の価値観から真似することが大事です。
そのためには日々実行し、試行錯誤を繰り返すことが必要です。そしてなぜこのやり方、行動なのか、これがなぜ成功に結び付くのかを考えることが必要だと言えるのです。
「真似をするときには、その形ではなく、その心を真似するのがよい。」
<渋沢栄一>
■最後に
営業もマーケティングも、体系的な基礎知識を得ればすぐに成果に繋がる仕事ではありません。状況に合わせて、柔軟かつ適切に判断を繰り返していく必要があります。
そんなときこそ、先輩たちがこれまで積み重ねてきた「経験知」を集約し、それらをモデリングすることからはじめてみませんか?
大手企業を新規開拓したい際には、ターゲットとする企業の役員クラスや決裁者となるキーマンとの太いパイプを持ち、「トップダウン営業」が可能な営業顧問を活用することです。
なぜなら、中小企業がセロから大手企業にアプローチをしてもアポイントの取得すること自体が難しく、リード顧客との関係性を構築するためには、大変な労力が掛かり深い関係性を構築するためには、多くの時間が掛かるからです。
フリーランスとして活躍する顧問や副業のプロ人材の多くは、これまでに自身が関与した会社での新規事業立上げ、新規顧客を開拓するために必要な知見やノウハウ、そして人脈があります。
営業コンサルティングが可能なだけでなく、過去の取引で既に人間関係が構築できているキーマンとの商談機会を作り上げ、プレゼンテーションの場の設定したり、販売チャネルを利用したアライアンスをバックアップすることも可能です。
大手企業を対象とした法人営業において大事なことは、「リード顧客=見込客」の意思決定者「プロジェクトの決裁に最も影響力のある人物」とのアポイントを獲得し商談機会を得るこです。
意思決定者は複数存在する場合もありますが、いかにして新規顧客における組織の意思決定プロセスを掴むか、いかにキーパーソンに接触し効果的な提案を行うかがポイントになるでしょう。
大手企業を対象にした商品やサービスを扱う会社が、キーパーソン以外にやみくもにプッシュしても時間が経過するだけで、効果的とは言えません。
それよりも、既にリード顧客と関係性が構築できている営業顧問の人脈を借りた「トップダウン営業」に目を向け、様々な障害をショートカットする営業戦略を取るべきです。
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