営業職の場合、問題を一人で抱え込んでしまうことも多いため、営業マネージャーは、チームメンバーのコンディションの確認を怠らないようにし、日報等の報告内容も日々チェックすることが欠かせません。
成績不振者のメンバーがいるようであれば、「1on1ミーティング」を行なってモチベーションが下がっている原因を特定し、問題の解決ができるようにアドバイスや実行支援を行い、時には「コーチング」することも必要になります。
現在多くの企業で実施されている営業に対してのマネジメントですが、単に組織をまとめ上げるだけでなく、どのようにすれば目標達成や売上アップを見込めるのでしょうか?
そこで今回は、営業管理とは何か?営業のマネジメントにより売上が上がる理由について解説します。
「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。人とは費用であり、脅威である。
しかし、人はこれらのことゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。」
<ピーター・ドラッカー>
■営業管理とは?
営業管理とは営業戦略上の目標を達成するために、具体的な実行計画を立てた上で、目標に対する進捗や営業メンバーの行動などを管理することです。
営業管理では、自社の戦略と売り上げ目標に基づいて組織としての営業プロセスを設計し、それぞれのプロセスを計測しながらマネジメントすることが必要になります。つまり、営業マネジメントは、個々の営業マンの能力を最大限に発揮させて売上を確保し、自社の利益を最大化するための環境を整備する役割を持っていることになります。
営業部門は設定された目標と現状を比較し、その差を埋めるような施策を行い、営業部門全体の動きを管理します。そのうえで、一人ひとりの行動を最適化を図るのが営業管理です。
なぜなら、営業管理が必要とされるのは、一人ひとりの営業担当者だけではなく、営業部門全体の活動を効率化して、営業目標を達成するのにもっとも確実な方法だからです。
営業管理の目的は、純粋に営業戦略上の目標を達成することです。営業管理を的確に実施しなければ、営業部門のメンバーが何を目指して、どのように行動すればいいのかがわからなくなり、結果属人的な営業活動に行き着いてしまいます。
そういったリスクを防ぎ、効率の良い営業活動を展開するためには、営業管理に取り組む必要があると言えるでしょう。
■営業管理に取り組むメリット
営業部門の責任者が実施することが多いですが、部門内にあるチームのリーダーなどが対応する場合もあるでしょう。次に営業管理に取り組むメリットについて確認しておきましょう。
1、目標の明確化
いくら成果を高めようと思っても、目標がなければどこを目指せばよいのかわかりません。メンバーそれぞれが達成すべき目標を設定し綿密に管理することが一人ひとりの成長につながります。
営業管理を行う目的の一番大きなものは、「業績や売り上げの目標を達成するため」です。一つ目のメリットとして挙げられるのは「目標の明確化」です。
営業管理に取り組むことで、部門全体で目指すべき売り上げや成約数といった目標を明確化することができます。目標が明確になることで、自ずと取るべき行動も見えてくるので、営業メンバーにとっても営業管理による「目標の明確化」は欠かせないと言えるでしょう。
2、部門全体の営業力を底上げできる
営業マンが成果を出しやすい環境を整え、一人ひとりの成果を高めることで、組織全体の成果の向上が図れます。成果の向上は企業の利益に直結するものであり、持続的な経営のために欠かすことはできません。
営業部門全体の営業力を底上げできる点も見逃せません。営業管理を的確に行えば、各営業メンバーが属人的に営業活動をする割合が減り、パフォーマンスの標準化に繋げることができます。
なんとなくの「管理」だけではダメです。営業管理によって営業スタッフの仕事への意欲を高めたり、組織全体の営業力の底上げのために営業管理を行うことで、結果的に成果の向上を図ることができるのです。
3、営業活動の分析が可能
営業管理を的確に実施すれば、営業活動の分析もできます。適切な営業管理を行わないと、以下の様な問題が発生してしまいます。
・過去の情報が蓄積されていないので緻密な目標設定ができない。
・案件情報がブラックボックス化して、ミスやトラブル時の対応がうまくいかない。
・場当たり的で短期的な成果ばかりに目を向けてしまい、長期的な成果を出すことができない。
・営業ナレッジが蓄積されないので、人材育成がうまくいかない。
・個人の能力やスキルに依存した営業活動が主体になり、業績も個人のコンディションやモチベーションに依存してしまう。
・情報共有されていないと、同じ潜在顧客に複数の営業スタッフがアプローチをするなど、非効率な動きが増えてしまう。
営業マネジメントによって管理者と営業マンの双方が調整にかかる工数を削減することで、一人ひとりが自分の仕事に集中できるようになります。それぞれが最大の能力を発揮できるようになり、空いた時間でスキルアップを目指すことがきるようになります。
4、軌道修正などの対策が取りやすい
営業活動においてどのような行動を取っているのかを記録し、その行動を一定周期で振り返って分析します。営業管理では案件状況や営業メンバーの活動などを、具体的な数値やデータで見ていくことになります。
そのため目標に対する進捗や、目標達成を妨げている要因は何か、といったことを分析することができるのです。順調に目標を達成できているのであれば成功の要因はどこにあるのか、目標に到達できていないのであれば何が達成を妨げているのかを分析し、そのうえで改善のヒントを提案すれば、メンバーは成長のきっかけを掴むことができます。
営業活動の分析ができるということは、それだけ軌道修正などの対策が取りやすいとも言えます。漠然と営業活動を展開していては、もし売り上げが達成できそうにないと分かっても、何をどこから改善すればいいかが分かりません。
営業管理でしっかりと状況分析に取り組むことで、どこに問題がありそうかの仮説を立てることができるため、軌道修正なども早く対応することができるのです。
■営業管理の4つの基本項目
営業管理では以下4つの管理項目が存在すると言われています。
・ギャップ管理(目標管理)
・案件管理(顧客管理)
・行動管理
・モチベーション管理
1、目標・実績
まずは営業戦略に基づき、営業部門全体で達成すべき売り上げや利益、新規契約数といった目標を定めた上で管理することになります。全体目標をさらに細かな小目標に分けて管理し、それぞれを各営業メンバーに振り分けていくことも営業管理の重要なポイントです。
売上目標だけでなく、粗利率やシェア率といった企業としての数値や、案件数やアポイント数・契約数といった各スタッフごとの数値も目標管理を行うことで、企業や各営業スタッフ個人のボトルネックが明確になります。
次にその目標に対して今どれくらい達成できているのかという実績も管理しましょう。実績を的確に管理することで、決められた期間内で目標が達成できそうかという予想も立てることができ、それを基に部門全体の営業活動を修正することもできます。
【具体的な管理指標例】
・売上高
・粗利益
・新規契約数
・市場シェア率
数値目標の設定ができたら、進捗状況や達成度合いを定期的に確認し、現状の数値と目標数値とのギャップを明確にして、目標達成のための戦略を立てていきます。
2、顧客・案件情報
案件とは営業活動において取引先との間で発生した商談を指します。営業活動を行う上で、案件(および顧客)の管理をしていくことは大切です。
見込み顧客の規模や業種、担当者の役職や連絡先といった基本的な情報は勿論のこと、その見込み顧客との間でどのような案件が発生しているのか、といった点も管理することになるでしょう。なぜなら、案件(商談)は最終的な受注まで進めなければ売り上げにならないからです。
基本的な顧客情報の管理・案件の進捗管理はもちろんですが、今営業プロセスはどこまで進んでいるのか(停滞していないか)、受注の確度はどれくらいか、競合会社の存在の有無なども可視化しておくことで、目標達成のための具体的な対策や施策を取ることが可能になります。
案件内容とともに、その案件が成約した際の売り上げ見込みや成約確度なども併せて管理しておけば、より精度の高い実績予想やそれに基づく軌道修正の対応もできます。
【具体的な管理指標例】
・担当顧客件数
・進行中案件数
・提案件数
・受注件数
・商談成約率
・受注期間(リードタイム)
・新規獲得案件数
3、プロセス
営業管理においては各営業の活動プロセスも見ていくことになります。どの営業メンバーが、どの見込み顧客に対して、どれくらいアプローチや商談を実施しているのか、といった点を管理していくことになるでしょう。
実際の行動内容や行動量を把握して、次回からどのような改善をすれば良いか検討します。行動管理を行うことで、受注にいたるまでのプロセスがより明確になり、営業のマネージメント担当者は、スタッフへ的確な指導やアドバイスができるようになります。各営業メンバーが目標に対して適切な行動ができているかを把握できれば、フォローが必要かどうかといった判断も可能です。
【具体的な管理指標例】
・顧客訪問数
・提案件数
・商談設定件数
・テレアポ数
一定数の行動実績データが蓄積されることで、「受注確度を高めるセールスプロセス」を標準化することも可能です。いわゆる「成功パターン」が蓄積されていけば、新人や中途採用のスタッフもまずは標準化されたプロセスに沿って育成することができるので、早期の戦力化も可能になります。
4、モチベーション
営業メンバーのモチベーションも営業管理上の重要な対象項目となります。モチベーションと営業成績には相関関係があるので、スタッフのモチベーションが下がっているようであればその原因を取り除き、モチベーションアップのための施策を取らなくてはいけません。
優れた営業戦略を立てたところで、それを現場で実行していく営業メンバーのモチベーションが低ければ、目標達成は難しいと言えます。そのため営業メンバーのモチベーションを管理するために、定期的なコミュニケーションやフォローなどを実施していく必要があるのです。
モチベーションを下げる理由は以下のように様々です。
・行動量は多いのに、なかなか売上が上がらない
・些細なミスにより顧客からクレームを受けてしまった
・業務量が多すぎて、長時間労働が続いている
・プライベートに悩みがある(親が病気で倒れた等)
モチベーションは他の項目と異なり、数値やデータなどによる管理ができない分、営業メンバーとしっかりと向き合っていくことが重要になるでしょう。
■営業管理で押さえておくべきポイント
営業プロセスの可視化ができれば、成果に結びつきやすいアクションを再現できたり、経験の浅いメンバーの育成に活用できたりと、多くのメリットを得ることができます。
営業プロセスを定義した上で、可視化させるという点です。営業管理をより効率的に実施するには、必要な営業プロセスを明確に定義した上で、それを可視化させる取り組みもすべきでしょう。
営業にはさまざまな案件がありますが、すべての案件が成約に結びつくとは限りません。中には受注の可能性が低いものもあるため、あらかじめ案件を精査して注力するものを見定めるのも重要な業務の一つです。
各案件がどの程度進捗しているのかを定期的に確かめたり、受注に至るまでのプロセスを管理したりするのもマネジメントの役割です。営業組織がどのような状態にあるのかを把握・分析し自社にとっての課題を明確にするスキルは、営業マネジメントにとって必要不可欠です。
また、視野を広く持って全体を見渡し細かい部分にまで目を向けるチームメンバーの観察力も必要とされるスキルの一つです。営業管理において、営業メンバーとコミュニケーションを図り、モチベーションを維持・向上させることは重要です。
そのため、営業メンバーとの個別面談を定期的に実施し、「1on1」ミーティングに取り組むことで業務上での悩みや困っていることなどはないかと個人的に聞く機会を設けましょう。
■営業の1on1ミーティングが大事な理由
1on1ミーティングとは、部下が主役となり、定期的に上司と部下が1対1で話し合うことを言います。米国シリコンバレーでも“1on1 meeting”は文化として根付いており、人材育成の手法として世界的に注目を集めています。
その大きな特徴としては、部下の成長のために時間を使い、上司は部下の話を真摯に聴き「フィードバック」を行う点になります。営業の1on1ミーティングは、部下がどのようなキャリアを目指しているのか、どういう悩みを持っているのかを把握して部下との信頼関係を構築し、部下の自主的な行動を促すためのコミュニケーション取ることを目的としています。
部下が主役、部下目線のミーティングです。そのため一方的なコミュニケーションではなく、対話型の質の高いコミュニケーションができます。日本ではヤフーが取り入れたことで話題になり、現在は多くの企業で導入が進んでいます。
営業の1on1ミーティングはあくまで営業メンバーの気持ちを聞き出し、適切な方向に導くことが目的になります。そのため、決して「なぜ売れないないのか?」など、高圧的に部下を問い詰めないことがポイントになります。
質の高いコミュニケーションが生む成功の循環によって、最終的に部下が自主的に行動できるようになることが、一般的な個別面談と1対1ミーティングの大きな違いになると言えるでしょう。
■まとめ
営業管理とは、その名のとおり、営業活動におけるさまざまな要素を適切に管理し、問題を改善していくことを指します。例えば、上司が部下の営業日報をチェックしたり、売上目標を達成できているかどうかをチェックしたり、面談をしたりするのも、営業管理に含まれるでしょう。
組織の目標を達成するために部門全体でどのような行動を取らなければならないのかを理解できる人、またそれを具体的な行動に落とし込めるスキルを持っている人は、営業マネジメントとしての素養を持っています。
現在、多くの企業が営業管理への取り組みを始めていますが、目的が曖昧な状態で施策に取り組んでも、却って営業パーソンの工数を増やすのみに留まってしまいます。日々の営業活動をなんとなく行っているだけでは、適切な営業管理とはいえません。
営業管理を業績アップに繋がていくためには、「売上目標前年比120%達成」など、具体的な目標を設定した上で部下の行動を管理することが大切です。売上目標を効率よく達成するためには、論理的思考をもとに客観的な視点で全体を見通すスキルが必要となります。
効率的な営業管理のためにも、導入した設備を活用してどのような結果へ繋げるか、事前に明確にしておくことが必要です。そのために、現状の営業部門にはどのような課題があるかマネジメント層と現場が話し合い、互いの認識をすり合わせる機会を設けると良いでしょう。
会社の最終目標は売上を確保して利益を上げることであり、その目標は各営業部門に振り分けられます。売上アップを実現するためには、組織の目標をしっかりと理解した上で、部門の目標を設定し営業のマネジメントすることが重要だと言えるのです。
■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、「営業プロセスマネジメント」に取り込むことが得策だと考えています。そのため、「営業プロセス」の改善のアドバイスや実行支援を行っております。
BtoB企業の営業フェイズは、「リード獲得⇒アポ取り⇒商談実施⇒クロージング⇒成約」という流れで商談が進みますので、各フェーズ間の移行率に問題点を見つけた場合、実際の行動内容や数字データから「どの営業行動が課題なのか」を検証する癖をつけ、仮説を立てて対策していくことが営業マネージャーには求められます。
その中で特に重要なのが、営業管理を行う上では「新規リード」を獲得することになります。営業プロセスにおけるリードとは、営業対象となる「見込客」を指します。「リード」は元々は、「手がかり」や「きっかけ」という意味を持つ単語になります。
営業プロセスにおいては、見込客や有効な顧客リストを指して用いられています。営業におけるリードとは、「日々の営業活動によって生み出された見込客」を指します。電話営業や飛び込み訪問、既存顧客からの紹介、見込客からの直接問い合わせなど、様々な営業活動によって「リード」を獲得し、沢山の商談を繰り返し受注へと繋げていきます。
「営業プロセスマネジメント」を行う目的は、もちろん営業目標の達成です。そのためには、営業マンがいかにして「リード」を継続的に獲得し、売上アップという成果を出せるように中長期的な視点で、顧客を育成していくことが何よりも重要です。
法人営業が本当に欲しいリードは、「質の高い」リードを獲得することであり、具体的には「受注に繋がる見込み度合いの高い」リードを獲得を実現することになります。営業活動では特に「アポイントの取りやすい」ことにテレアポしたり、訪問しがちですが新規開拓で大手企業を攻略できれば、売上アップに大きく寄与します。
ですが、中小企業やベンチャー企業には、大手企業を対象にした「リード」獲得は、非常にハードルが高いと言えます。
また、若手の社員を営業として採用したとしても、BtoB企業の営業部門は常に以下のような課題を抱えていています。
・優秀な営業マンとほかの営業マンの能力差が激しい。
・トップセールスの営業ノウハウが共有されない。
・若手の優秀な営業マンの採用が困難で離職が多い。
・中途入社の営業マンが即戦力になることが少ない。
・営業マンに求められる能力が高度化している。
マーケティングに資金と投下しリードを営業に引き継ぐ上では、見込客のリストを渡す前にリードへのアクション、リードの獲得基準や対象顧客のセグメンテーションについて精度を上げるなど、「質の高い」リードを発掘してホットな見込客との商談に繋がるアポイントを獲得する施策がどうしても必要になります。
このような課題を解決しミーティングアレンジメントに導くために、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、「営業顧問」の人脈ネットワークを駆使した「トップダウン営業」を武器に、「質の高いリード」を創出するための「営業支援プログラム」を提供しています。
「リード獲得」を効率化することに成功すれば、営業部門は売上に繋がる顧客に対して営業活動が実現できるため、成果を出しやすくなります。その際、リード獲得は、「いつまでに」「どのような顧客に」「何件アプローチするのか」といった期限やターゲット、具体的な数値を決めて実践することが大切です。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」は、人脈コネクターとなる「営業顧問」のコネクションを活かし、「営業顧問」が創出したリード=見込客とのアポイント獲得をベースに支援をしています。その際、同行営業まで行うことを基本にすることで有効商談に繋げています。
また、クライアントからの要望により「成果報酬型」で案件化を高め、受注するまでをサポートすることも可能です。
リード獲得数アップに向けて活用時の報酬体系の制度設計はもちろん、「営業顧問」を活用する前段階での面談からキックオフミーティングの設定、顧問契約までを一気通貫で推進します。
また、「営業顧問」を活用した「営業プロセスマネジメント」に取り組みたい場合には、営業戦略のコンサルティングや営業戦術の実行支援、営業人材の育成まで手厚くサポートさせて頂きます。初めて「営業顧問」を活用される企業様もオンライン会議で事前にご要望のヒアリングとサービス説明をさせて頂きますので、安心してご相談ください。
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