新規事業のフレームワークとは?新規事業のSWOT分析の必要性

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

新規事業を立ち上げる上では、競争優位性の高いビジネスモデルを構築することが鍵になります。

事業開発では、フレームワークを活用することで、事業創造などの大きな事柄を検討する際や、ビジネスモデルを見直す際など、様々な場面で使用できます。

そこで今回、新規事業のフレームワークとは何か、新規事業のSWOT分析の必要性ついて解説します。

■新規事業のフレームワークとは?
新規事業のフレームワークとは、様々なビジネスで共通して用いることが出来る考え方、意思決定、分析、問題解決、戦略立案などの枠組みや思考のテンプレートのことを指します。

フレームワークには様々なパターンがあり、それぞれ役割が違います。

新規事業のビジネスを展開するためには、事業計画を作ることが欠かせません。以下の事柄をフレームワークに落とし込んで行く過程で、非常に良いアイデアに繋がることもあります。

「どこがビジネスの強みになるの?」
「どんなビジネスモデルになっているのか?」
「競合他社との違いや差別化優位性は何か?」

スタートアップの起業家でもアイデアはあるが、投資家向けの事業計画書やプレゼン資料に、どう表現して良いかか分からない!ということも少なくありません。

そういった考えるべきポイントをパターンとして落とし込み、誰でもできるようにしたものがフレームワーク(framework)です。

■新規事業ではフレームワークはどんな時に使うのか?
フレームワークは、誰でも一定の判断基準が持てるように作られたものです。

そのため、初めてビジネププランの作成する際に最適なフレームワークを用いることで、競合他社との違いや競争優位性などのポイントを押さえて作成することが可能になります。

また、投資家への事業説明など大事な場面で、分かりやすく人に伝えるという重要な局面においてもフレームワークを用いると、ビジネスプランの説明もしやすく相手に事業イメージを伝え易くなります。

新規事業のアイデアを説明する時にもフレームワークを目的によって使い分け、スタートアップとして取り組む新たなビジネスに当てはめて考えることで、何が必要で何が課題となっているのかを起業家自身が把握することも可能になります。

また、ステークホルダーに今後の展開や現状の市場でもポジションや強みなどを論理的に説明することができるようになります。

■新規事業のSWOT分析とは?
SWOT分析とは、経営やマーケティングの戦略立案、意思決定などに活用できる、基本的なフレームワークの一つになります。

新規事業の立上げでもSWOT分析のよって自社の内部環境と外部環境を分析することで、自社にとっての市場機会や事業課題、ビジネス戦略目標を発見することが可能になります。

■新規事業のSWOT分析の重要性
SWOT分析では「内部環境」と「外部環境」の良し悪しを明確にしていきます。内部環境とは「自社の独自資源」、外部環境とは「政治・経済、技術革新、社会動向、顧客ニーズなど市場の競争環境から導き出されるもの」で、自社ではコントロールできない領域にあります。

新規事業の立上げに必要となるSWOT分析は、情報収集→課題発見→アイデア着想→アイデアの実行→アイデアの修正やブラッシュアップというマーケティングの4段階のうち、「アイデア着想」のフェーズで役立ちます。

■新規事業のSWOT分析の4つの要素
SWOTとは「S=Strength(強み)」、「W=Weakness(弱み)」、「O=Opportunity(機会)」、「T=Threat(脅威)」の頭文字を取ったもので、SWOT分析はこの4つの要素を用いて分析を行います。

この4つの要素の定義を確認しておきましょう。

1、Strength(強み)
内部要因。自社が持つ強みのこと。目標達成に貢献する、組織が持つ特質。

2、Weakness(弱み)
内部要因。自社の弱みや苦手とすること。目標達成の障害となる、組織が持つ特質。

3、Opportunity(機会)
外部要因。自社にビジネスの好機となるような環境変化、競合他社の動きなど。目標達成に貢献する、外部環境の特質。

4、Threat(脅威)
外部要因。自社を脅かす危険性のある環境変化、競合他社の動きなど。目標達成の障害となる、外部環境の特質。

■新規事業の内部要因と外部要因について
新規事業の立上げにおけるSWOTの4要素は、大きく内部要因と外部要因の2つに分けられます。

1、内部要因のStrength(強み)とWeakness(弱み)
自社の努力によってコントロールできる要因です。例えば技術力やサービス、ブランド力や認知度、インフラ、価格や品質、資源、立地などがあります。

2、外部要因のOpportunity(機会)とThreat(脅威)は
市場規模やトレンド、成長性、競合他社、景気や社会動向、ユーザーのニーズの変化、経済、政治、法律といった自社の努力だけで変えられないものを指します。

■新規事業のSWOT分析のの目的と使うタイミング
新規事業のアイデア段階でのSWOT分析では、自社の事業の現状分析からビジネス機会を明らかにするため、事業戦略やマーケティング計画を決定する際に用いられます。

SWOT分析で現状と自社のビジネス機会を明らかにし、ビジネス機会をできるだけ多く獲得するための戦略や計画に落としこみます。SWOT分析におけるビジネス機会とは、SWOT分析を通じて明らかにされた成功要因(KSF)です。

新規事業のプロジェクトの構想段階でSWOT分析を実施することによって、このKSFを満たす事業戦略やマーケティング戦略や事業計画の策定につながります。SWOT分析は、内部環境と外部環境の両方に目を向けることで、客観的に自社を取り巻く状況を捉えることができます。

一方で、SWOT分析は「強み」と「弱み」、「機会」と「脅威」といったように、両極端な結果に偏りがちなところがデメリットとされることもあります。

例えば「強み」と「弱み」は表裏一体であるため、どちらとも取ることができる事柄もあるでしょう。そのような場合でも、SWOT分析ではどちらか一方に分類しなければなりません。こうした特徴を理解し、うまくとらえて、実際の分析に活用していくのがいいでしょう。

■新規事業のSWOT分析の方法
スタートアップの起業家が投資家向けに行うビジネスプランのSWOT分析では、基本的に自社のSWOTの4要素を洗い出し、組み合わせることで行います。実際の戦略策定の際には、SWOT分析だけではなく、他のフレームワークと組み合わせて分析するのが一般的です。

SWOT分析は、大きく外部環境分析と内部環境分析、クロス分析の3つに分けられます。

1、外部環境分析
外部環境分析とは、Opportunity(機会)とThreat(脅威)の外部環境をメインに分析することです。主な分析フレームワークであるファイブフォース分析とPEST分析をもとに、どのような分析なのかをみていきましょう。

ファイブフォースとは、自社を取り巻く業界環境の構造を把握するためのフレームワークです。下記の5つの競争要因に対して、それぞれの力関係や関係性を分析します。

1.新規参入の脅威
2.売り手(供給業者)の交渉力
3.代替品の脅威
4.買い手(顧客)の交渉力
5.業界内競合との敵対関係

「PEST分析」は、「Politics(政治)」、「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字を取ったフレームワークで、マクロ環境、つまり外部環境分析を行います。

政治、経済、社会、技術の4方面から、自社を取り巻く外部環境が、今後、自社にどのような影響を与えるのかを調査・分析、把握します。

PEST分析ではSWOT分析の脅威を深堀する際に役立ちます。

3C分析は競合や顧客・市場の3要素を整理できますし、5フォース分析は具体的な市場プレイヤーの力関係を明らかにし、バリューチェーンは事業プロセスごとの問題点を発見することに効果を発揮する考えです。このようにSWOT分析の弱点を補うことが大切です。

2、内部環境分析
内部環境分析では、Strength(強み)とWeakness(弱み)の内部環境を分析します。

内部環境には技術力やサービス、ブランド力や認知度、インフラ、価格や品質、資源、立地などがあります。これらを客観的に、競合他社と比較するなどして洗い出し、自社の強みと弱みを把握、分析します。

SWOT分析は一回やったら終わりではなく、その時の環境に応じて繰り返し行うことをお勧めします。時間がたてば、内部環境も外部環境もどこかが必ず変化します。

同じ組織や同じポジションにあったとしても、分析から導き出される結論には違いが現れ、より現実的な計画の立案が可能になるはずです。

真剣にSWOT分析に取り組むとここれだけでもかなりの時間と労力が掛かりますが、競合他社とのポジショニングを確立させるなど明確な目標をもって分析することで効果的な戦略を練ることができるでしょう。

3、クロス分析
クロス分析では、4つの要素の2つをそれぞれ掛け合わせて、どのような戦略が立てられるかを検討します。

・Strength(強み)×Opportunity(機会)
自社の優位性を高めるための積極化戦略を考案することが可能になります。強みを活かし、機会を攻略する戦略です。

・Strength(強み)×Threat(脅威)
競合他社などの脅威に対抗するために、自社の強みを活かした差別化戦略を考案することが可能になります。

・Weakness(弱み)×Opportunity(機会)
弱みを補強して克服し、機会を掴むためにできる戦略を考えることが可能になります。

・Weakness(弱み)×Threat(脅威)
弱みを克服し、もしくは最小限にし、脅威に対抗できるようにする戦略を考えることが可能になります。

■まとめ
スタートアップの起業家にとって、新規事業のプロジェクトや会社としての事業戦略の方向性を決定するのは「外部環境の変化をどれほどビジネスチャンスとして捉えられるか」ということです。そのためにも、SWOT分析を行うことは必須と言えます。

まず、外部要因を検討して、何がどのように変化しているのかを把握するところから始めて、内部要因とすり合わせて戦略を考えていくようにしましょう。

SWOT分析が上手くできたら、具体的なアクションプランを立案して実行に移します。

今後とるべき戦略や戦術、具体的な計画に落とし込んでいきましょう。また、戦略のレビューをおこない課題点などが出てきた場合は、再度戦略の見直しをしましょう。

SWOT分析は基礎的なフレームワークの1つなので、内外の現状を分析するのには向いていますが、細分化や因果関係を分析するのには向いていません。そのため、新規事業立ち上げでは、関連する複数のフレームワークを組み合わせながら補完的に活用することが求められます。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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