あらゆる企業にとってにとって、「人」は「人材」あるいは「人財」とも言われ、そこで働く「人」の重要性は今も昔も変わりません。なぜなら、企業を動かしているのは、付加価値を生み出す「人」になるからです。そのため、企業では優秀な人材を確保しようと躍起になります。
ですが、 「面接では評価が良かったのに、実際に働いてみると、なんだかチームに馴染まない。」「せっかく採用したのに3ヶ月で退職してしまった。」という事態がかなりの会社で発生しています。
こうした採用におけるミスマッチの弊害を解消するために、「カルチャーフィット」を重視した採用活動が注目されています。そこで今回は、企業の採用担当者が知っているべきカルチャーフィットについての概要とカルチャーフィットを採用活動に活用する方法について解説します。
「偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。
まず初めに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。」
<ジムコリンズ>ビジョナリーカンパニー
■カルチャーフィットとは?
採用活動におけるカルチャーフィットとは、企業のカルチャー(価値観、ビジョン、雰囲気)と候補者の価値観のマッチ(一致)度のことです。カルチャーフィットとは英単語の「culture」と「fit」をつなげた言葉で、ビジネスの場においては企業文化に対する適応性を指しています。
企業のカルチャーは、その組織の事業フェーズによって様々です。ベンチャー企業のような創業間もない企業の場合、一人ひとりが主体性を持ち、力技で課題を解決するようなカルチャーが求められます。
反対に一定の規模感がある企業の場合は、規模感のある組織の中で円滑かつ効率的に業務を進めて行くことに協力的なカルチャーが求められます。
カルチャーフィットに則した人材を採用することで、企業理念の実現がしやすくなったり、離職率を抑えることができたりとさまざまなメリットがあります。
企業活動において社員が企業のカルチャーに共感していると、業務がスムーズに進行し高い生産性が期待できたり、ミスマッチによる早期離職が少なくなるため、無駄な採用コストの削減に繋がります。
価値観はスキルとは違い入社後に教育する事が難しいため、最近では入社前に自社のカルチャーと候補者の価値観に乖離が無いことを確認することを目的に、このカルチャーフィットを採用基準に組み込む企業が増えているのです。
■スキルフィットとは?
スキルフィットとは、カルチャーフィットの対義語になります。これは採用後に配属を予定しているポジションにおいて、その人の経験や能力が適切に活かされるかどうかを判断する指標のことを指します。
具体例を挙げれば「法人営業3年以上」といった文言や、「日商簿記検定2級取得」といった事実が該当するでしょう。
仕事の「スキル」「技術」は教えることはできても、実は一緒にバス=企業に乗り、働き続けるための人物の価値観を変えたり、教えることは相当な困難を極めます。
そして、実はこの人物が持つ固有の価値観こそが、同じバスに乗り続けるための最重要な要素になります。
ただし、人間性が良くても向上心が低くスキルが全くないと仕事が進みませんので、カルチャーフィットとスキルフィット、どちらか片方で良いというわけではなく、それぞれを組み合わせて必要な人材像を決めることが必要だと言えます。
■カルチャーフィットを重視し、新卒採用をする企業が多い理由
中途採用の場合、前職での考え方や自分のやり方に固執してしまい、カルチャーが合わないことが理由で退職してしまうケースはよくあります。
しかし、新卒採用の場合、1社目ということから会社に対する愛着が湧きやすく、企業が大切にしているバリューやミッションなどを含むカルチャーが浸透しやすい傾向があります。このようなことから、大手企業では優秀な大学を卒業した新卒社員中心としたを採用している会社も多いです。
中途採用の場合には、スキルフィットを重視する傾向が強く、カルチャーフィットはそれまで重要視されてきませんでした。そうした中で、次のような問題が多く生じたことが中途採用でもカルチャーフィットが求められる背景にあると考えられます。
では、採用でカルチャーフィットを重要視している企業が増えている理由があります。それはカルチャーフィットしていないと、以下のような企業に及ぼすマイナス要因が多々あるからです。
基本的に企業とのカルチャーフィットが合わないと、周囲との性格特性や価値観が異なります。
そうすると前提となる行動原理が理解することができないため、既存社員や新入社員の双方にとって大きなストレスになり、以下のような状況に陥る会社が多いです。
・仕事の進め方や考え方が周囲と合わず、業務が非効率になることで成果が出しにくくなる。
・成果が出しにくい環境の中で環境に適応する前に低評価がくだされ、早期に退職しやすくなる。
・退職者が増えることで事業の進捗に悪影響が出てしまい、会社やチームの雰囲気が悪化する。
せっかく採用した人材が、企業のカルチャーとなじまない場合、コミュニケーション上の非効率が増大し、企業の業務活動全体のパフォーマンス低下が予測されます。
特に、早期離職による企業の損失は非常に大きいため、その防止策に力を入れている企業は多いのです。
■カルチャーフィットで採用判断することは難しい理由
大手企業では、採用のミスマッチを防止し、カルチャーフィットを重視した採用するために中途採用よりも新卒採用が好まれます。
ですが、新卒でカルチャーフィットが合うかどうかを判断することは簡単ではありません。その理由としては、新卒採用の場合、中途採用と違って特定の就労経験がないからです。
そのため働くこと自体のイメージが曖昧で、仕事内容や職場環境に対する理解が浅く、結果としてミスマッチが生じやすい傾向があります。
また、自社の採用活動の判断基準にカルチャーフィットを導入しようと考えた場合、会社が理想とする人材の特性について、具体的な内容について経営者や人事部、採用担当者、面接官がきちんと理解していなければ話になりません。
例えば、Googleなどの求職者から人気が高い企業の場合には、候補者のスキルや経験が募集要件を満たしていても、候補者の価値観が自社のカルチャーにフィットしていないという理由で不合格にすることが頻繁にあります。
しかし、カルチャーに明確な基準や定義を定めていないと、面接官が自社のカルチャーについて十分な理解が足りていない状況になります。
そうなると、採用担当者の個人的なイマージや人物予想をベースに「この人は自社とマッチしている」「この人は自社の雰囲気とは違う気がする」といった、曖昧な感覚でカルチャーにフィット判断してしまいことが起こるのです。
そのため、結果的に入社後にその感覚が見当違いであり、自社の文化に合うと思って採用したが、カルチャーのミスマッチが生じてしまい早期離職に繋がってしまうことが少なくありません。
■自社のカルチャーを明確に定義する
カルチャーフィットを採用の判断基準にする場合、経営者が自社の企業文化を明確にし、自社のカルチャーを人事部や採用担当者に伝え、面接官にも正しく理解しているということが重要な要素になります。
なぜなら、自社のカルチャーが明確に定義されていれば、面接で候補者の価値観を確認した際に、自社のカルチャーと候補者の価値観がマッチしていることを判断しやすくなるからです。
反対に自社のカルチャーのこの部分と候補者の価値観のこの部分が乖離しており、自社の企業文化にフィットしていないから採用を見送ると、根拠に基づき自信を持って判断することができます。
カルチャーフィットを判断する要素としては、既に現在働いている社員が持つ価値観や行動特性の傾向を分析することです。
そのカルチャーを「行動指針」として言語化し、社員一人ひとりに伝えることによって、社員が共通言語で自社のカルチャーを認識することができるようになります。このような施策を講じることより一層カルチャーが浸透しやすくなり、「インナーブランディング」や社員同士の一体感の形成に繋がるのです。
■カルチャーを定義する方法
自社のカルチャーを定義するポイントは、社内で最も信頼される創業者が会社のビジョンやミッションを明確化し、「理想とする人材」に必要な行動指針を作り上げ、社内に表明することです。
なぜなら、社内で信頼される人物が作り出した言葉は、スローガンとして皆が目指す姿になるため、自ずと多くの社員が理想像に近づくことになるからです。
例えば、長い時間稼働して成果を上げる事を良しとされている企業もあれば、逆に長時間の労働は悪とされ、短時間でさっさと業務を終えることを評価する企業もあり、社内で信頼される行動指針というのは、企業ごとに大きく異なります。
このように企業や組織が持つカルチャーは、善い悪いの判断が真逆になることもあるほど、企業によって差が生じやすいものになります。そのため、候補者にとっても企業にとっても、方向性や考え方が合う合わないの見極めを怠った場合、お互いが幸せになることはありません。
社内で活躍し信頼されている社員の共通項を明らかにし、その行動特性傾向を自社のカルチャーとして定性的、定量的に明示する必要があります。
会社が理想とする人材に求める要素が明文化され、しっかりと完成していれば、選考において候補者の特性や考え方がそれと近い傾向があるかを見極めることにより、カルチャーフィットしているかを確かめることができます。
■カルチャーフィットを含めた採用ペルソナを作成する
自社のカルチャーフィットに対する定義づけができたところで、そのカルチャーフィットを含めた採用ペルソナの作成に移ります。
採用ペルソナを作成するにあたって最も重要となるのが、社内で活躍し信頼されている社員の分析です。営業であれば、営業成績が高いだけでなく、周囲から尊敬されている「トップセールス」になります。それらの社員が普段どのような言動を発し、どう行動しているのか注意深く観察することから始めましょう。
観察から得られたデータが一定量に達した後、優れた社員に共通してみられる特性を洗い出し、採用ペルソナに当てはめていきます。
この作業が面倒だからと手を抜いてしまうと、入社後に思っていた人材と違う、現場に馴染めず浮いてしまったなどという事態になりかねませんので注意してください。
■まとめ
多くの会社では、自社の魅力を言語化し、カルチャーに共感した人材を集めることが課題を持っています。社風やカルチャーを伝えることこそが採用成功につながると信じ、企業文化を作り発信することが大切になります。
カルチャーフィットしている人材が多いと、会社のミッションや方向性に共感しやすい人材の割合が多くなります。その結果、組織として一体感が生まれ、大きな成果を生み出すことができるようになります。
自社のカルチャーを醸成し、定着させていきたい企業は新卒採用が向いています。その理由としては、新卒採用は中途採用よりも企業カルチャーが浸透しやすい傾向があり、若いうちからカルチャーを受け継いだ人材が増えれば、自然と組織の一体感が生まれるからです。
一方で即戦力が必要な場合は、中途採用の方が向いています。新卒社員は一人前となるまで数ヶ月から1年ほどかかってしまうため、欠員補充や急な増員には対応できません。
それに対して中途採用は、基本的なビジネスマナーはもちろん、専門知識や過去にプロジェクトを成功させたノウハウなども兼ね備えているため、入社後すぐに活躍してくれるでしょう。
ですが、カルチャーがフィットした中途人材を採用することも、そう簡単ではないと言えるのです。
■最後に
新卒採用と中途採用は、どちらか一方が優れているのではなく、採用目的に合わせて使い分けることが重要です。ただし、先行投資の負担を吸収できる体力がない企業や資金的に余裕がない企業は、新卒採用や中途採用のいずれも難しいです。
なぜなら、中途採用の採用単価が一人あたり約84.8万円で、新卒採用の場合は約72.6万円掛かるからです。
特に人材紹介サービスを利用する場合は、理論年収の30%~35%を成果報酬として支払う必要があります。例えば、年収が1000万円であれば、300万から350万円を人材紹介会社に支払う計算になります。
新卒でも中途採用でも人材を採用すること自体が、企業にとって大きな「先行投資」になります。社員が利益に貢献できるようになるまでの間は、必然的に給料や教育コストは純粋に赤字となります。
その上、カルチャーフィットだけでなく、他者からのヘッドハンティングに合うなど、せっかく採用できた人材に辞められてしまうリスクが常にあります。
スタートアップ企業の場合、最初に誰をバスに乗せ、誰をバスから降ろすかを考えることが大事です。ですが、売上が少なく、正社員採用によるコスト的負担を吸収できる体力がない場合は、人手不足と売上アップのジレンマがあります。
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また、スタートアップにとって売上を上げることが、あらゆる経営課題の解決に繋がることは紛れもない事実です。
売上アップこそが最大の処方箋になりますので、営業顧問やフリーランス営業、副業セールスを採用することで、売上を上げるための基盤を整えてから、新卒採用を含めた正社員の人材を行うことがベストな方法になります。
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フリーランス人材の場合には、スキルフィットのみを重視されがちですが、KENJINSではカルチャーフィットも鑑み、クライアント企業ごとの最強の営業チームを構築します。
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