組織内で発生する多くの課題を解決する手段として、「業務プロセスの見える化」を推進することは、これからの時代に必須の管理モデルとなっています。
業務の流れを分かり易くし俗人化を防ぐために活用されているのが、「ワークフロー」による仕組み化なります。
ワークフローを構築することでやるべきことが整理されるため、業務プロセスを明確化できます。効率的に複数の人を動かす仕組みを構築できれば、仕事のフローがタスクフォース化され、よりスマートになり無駄なくプロジェクトを進めることが可能になります。
そこで今回は、ワークフローとは何か、業務効率化にワークフローの最適化が鍵になる理由について解説します。
「個人の能力には限界がある。企業が組織として成果をあげるには、マネージャーによる組織づくりが欠かせない。チームになれば、目指せる成果は大きくなる。」
<ピーター・ドラッカー>
■ワークフローとは?
ワークフローとは、Work(仕事)とFlow(流れ)を組み合わせた言葉で、「仕事(業務)の流れ、もしくは流れを図式化したもの」を意味します。
ワークフローは、社長をはじめ、特定の誰かでないとできない仕事、できないことがあるという状況をなくすために、誰であってもできる状態にしていくことや、新しく何かの仕事をする人の時間がゴールに対して短縮される「仕組み」になります。
あらゆる業務は複数の関係者による、複数の過程を経て最終的な結果を生み出します。
つまり、あらゆる事業活動は、「業務プロセス」によって営まれていると言えます。
業務プロセスは、複数の業務フローとワークフローが連なって構成される「事業(ビジネス)の進め方」と考えれば良いでしょう。
ワークフローが適切に機能していなければ、意思決定のスピード感を損ない、誤った経営判断を下してしまう可能性が高まります。また、不要な業務が発生しやすいため、個々の仕事のパフォーマンスや生産性が低下してしまう可能があります。
反対にワークフローを構築した上で、定期的に見直し改善することで、意思決定の迅速化・精度向上に繋がり、無駄の削減による生産性向上も期待できます。
■ワークフローを構築する5つのメリット
ビジネスにおけるワークフローとは社内業務のために作られた流れ(手順)のことです。日々行われる仕事には、あらかじめ一連の流れや決まった手順を推進するメリットがあります。
1、ワークフローにより属人化を防げる
ワークフローを構築することで、各プロセスで実施されているQCDの定義、作業内容やゴールを明確化することで属人化を解消できます。
属人化とは、特定の担当者以外が業務の内容を把握していない状態や担当者不在の場合に他のメンバーが業務代替できないような状態を指します。
属人化は主に業務プロセスが明確化しておらず、各タスクで実施するべき作業内容やゴールが曖昧になっていることに起因するケースが多いです。
2、業務プロセスの習得するスピードが上がる
ワークフロー管理を行わないと、仕事の進め方が属人的になり、品質や成果に差が出てしまいます。
業務手続きを定義・図式化したワークフローを作成すると、必要な情報だけをシンプルにわかりやすく伝えることができるようになります。
ワークフロー作成によって業務が「見える化」されれば、内部統制が容易になったり、新人や異動した社員に手早く業務プロセスを習得させたりすることが可能です。
3、進捗管理しやすくなる
ワークフローを作成することで業務を整理・必要な手順を明確に示すことができ、従業員に徹底させることが可能になります。その際、ワークフロー管理を行っていないと、業務進捗を正しく把握しづらくなります。
ワークフローを構築しプロセス管理に取り組み、各工程に投下できる期間や工数、期限を明確化できるようなることで、業務全体の進捗状況を把握しやすくなります。
進捗遅れや実施漏れを迅速に検知し、リカバリがしやすくなるため、リスク管理の観点ではトラブルの早期発見、課題の特定という点でも効果があります。
4、業務プロセスを共有しやすくなる
定型化されたワークフローには、社員の間で業務プロセスを共有しマニュアル化やすくするという効果もあります。
マニュアルとは、従業員全員が同じレベルで業務を遂行し、一定の結果を出す為に業務手順やルールなどをまとめたドキュメントです。
それによって、問題点や改良の余地に気づくといった、業務内容に関する議論の深堀にも期待できます。仕事で使う業務マニュアルには全体の業務フローと目指すべきゴール、具体的な手順、前提条件、注意事項、必要な知識などの内容が書かれています。
マニュアルに書いてある内容通りに手順を進めることで、従業員全体の作業品質やスピードの一定化を図ることができます。
ワークフローを作ることで様々な業務プロセスの効率化のアイデアを引き出すことは、業務改善におけるマニュアルにも繋がる重要な第一歩です。
5、ボトルネックが明確になり、結果・成果の改善につながる
業務はプロセスの組み合わせであり、1箇所の非効率に全体が影響を受けます。
改善したい結果(成果)がある場合に、それを生み出すプロセスを整理して、各ステップを分析することで全体のどこに問題があるのかを明らかにできます。
ワークフローを構築する過程で各プロセスの問題を整理することで、業務プロセス全体のうち最も進行の遅れや停滞をもたらす「ボトルネック」が見えてきます。そのボトルネックの改善が生産性や効率の向上に繋がります。
業務プロセスとは、各組織におけるさまざまなタスクの進め方や流れを指します。
業務プロセスの改善することは、「現状の問題点を洗い出して解決を目指す」ために欠かせない要件になります。
■ワークフローを見直し業務プロセスを改善する大切さ
ワークフローを見直し改善することは生産性向上、意思決定の迅速化に繋がります。ある業務の改善を考えるとき、まずはその業務についてこうした流れのパターンを洗い出し、ワークフローを定義してみましょう。
そうすることで、手続きや作業といった業務タスクの内容と役割分担、人の間を流通する情報(文書、データ等)を明確化できます。
どの企業にも共通する課題や問題点が存在し、考慮すべきポイントが存在します。そのような際にワークフローを客観的に評価することで、問題点や改善策が見えてくるのです。
仕事には必ず複数の人がかかわっており、人と人との仕事の連携の間には表面上には現れない多くの問題点が必ず潜んでいます。
そのため、いくら精度の高いワークフローを立てたとしても、当初の想定通りに業務プロセスが進むことは、稀です。
ワークフローの構築には、必ずギャップが発生し、実行した経験によって新しく学んだことを随時、計画に反映していくことこそが大切だと考えましょう。
継続した業務プロセスの改善こそが、自社のビジネスモデルにあったワークフローの最適化を実現するための鍵となります。
■まとめ
ワークフローとは、業務についての一連のやりとりの流れのことを指します。組織の中で行われる大抵の業務には「誰がどのようにスタートし、判断や処理をし、完了させるのか」という流れが存在します。
ワークフローを構築し、様々なプロセス管理に取り組むことで、各プロセスの改善・最適化がおこなわれ、標準化がおこないやすくなります。
それにより属人化も解消され、業務全体が安定するようになります。
また、各プロセスの最適化を通して、ボトルネックを見つけ出し、集中的に改善を施すことで、最小の工数で最大の改善を得られるようにもなります。
プロセス管理では業務全体を「抜け漏れなく」「適切な粒度」のプロセスに分解します。それによって業務全体のマネジメント・モニタリングが効果的に進めやすくなります。
ただし、いくら精度の高いワークフローを立てたとしても、当初の想定通りに業務プロセスが進むことは、稀です。
会社の仕組み化というのは、一部分の業務だけを仕組みにして終わりということではありません。ゴールというのは、会社内の全業務を仕組み化することだと思って、計画立てしていきましょう。
ビジネスの仕組み作りの対象範囲はとても広く、会社の様々な活動全般に及んでいます。
業務に関する仕組み化は思いついたり、対応している会社もありますが、マーケティング面、セールス面、マネジメント面、プロダクト面など会社の業務は多岐に渡りますので、これらに対しても属人化しない状況を作って行きましょう。
■最後に
営業活動では、「見込客発見・創造→面談(接触)→見積もり→内示→契約→売上」という連続的なプロセスが発生します。
例えば、営業活動というタスクを分解すると、リード(見込み顧客)の獲得や初回のコンタクト、案件化後の商談設定、成約後の手続きなど、さらに細かなタスクに分解されます。
これらタスク同士をスムーズにつなぐことがビジネス推進の原動力となる、という考え方もあります。
営業業務は、各行プロセスの集約によって成り立っており、プロセス管理は業務における成果「アウトプット」を最大限に高めるために、それを生み出す「過程=プロセス」を管理する手段です。
ここでの成果「アウトプット」とは、売上やコストなどが対象となり、プロセス管理を活用することは改善活動にも繋がります。
営業活動のプロセスは、俯瞰的に見た場合、各企業で同一のプロセスとも言えます。しかし販売する製品や取引先に応じて対応方法や必要な手続きについて着眼した場合には、企業ごと個別のプロセスという扱いになります。
営業プロセスを最適化するためには、常に客観的に、第三者的に会社内の業務を点検する機会を意識的に持つことで、属人化している業務がないか、仕組みになっていない業務がないかを確認することが可能になります。
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