破壊的イノベーションとは?MOTが産業構造を劇的に変える理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

日本企業はこれまでに、世界で数々のイノベーションを起こしてきました。しかし、時代の変化が激しい今、これまでとは違うタイプのMOTによる「破壊的イノベーション」が求められています。

なぜなら、国際競争が激しさを増す中、さまざまな業界で従来の付加価値付与のビジネスモデルでは、立ち行かなくなった日本企業が増えているからです。

マーケットが飽和した業界や分野では、どの業界においても新たな顧客を増やすには、破壊的イノベーションを起こし、既存市場を再構築する革新的なビジネスモデルを創造することができるかが鍵となります。

そこで、今回は、破壊的イノベーションとは何か、MOTが産業構造を劇的に変える理由ついて解説します。

■破壊的イノベーションとは?
破壊的イノベーションとは、『既存の顧客とは異なる顧客や市場に向けて、革新性のあるビジネスモデルや技術を武器に、適正価格で優れた製品やサービスを提供するイノベーション』指します。

破壊的イノベーションは、英語で「Disruptive innovation」と表記されます。日本語では、低価格にも関わらず、市場で通用するだけの高性能な革新的な要素がある事業を意味します。

破壊的イノベーションの製品やサービスは、最初は性能が低く、既存製品の顧客は見向きもしない場合が多いのですが、それで充分と感じる新たな顧客に使われているうちに改良され、性能は向上していきます。

つまり、破壊的なイノベーションとして世に出たものが成長を続けていけば、「持続的イノベーション」に移行して行きます。

「持続的なイノベーションとは、今ある製品やサービスを改良することで『既存顧客の満足向上を狙うイノベーション』です。

破壊的イノベーションは、20世紀前半に活躍したオーストリア生まれの理論経済学者のヨーゼフ・A・シュンペーターが打ち出した概念です。

破壊的イノベーションの中には、生産技術の革新のほかに、新商品の導入や新市場・新資源の開拓、新しいMOT経営を実現する組織の実施など、幅広い内容が含まれています。

近年の経済学では、『新しいアイデア』と、『商業的な成功』という2つの要素を備えた変化のことをイノベーションと呼ぶようになっています。

そのイノベーションモデルの一つとして注目されている破壊的イノベーションは、日本企業が得意としてきた持続的イノベーションとは異なる対極的なモデルとなります。

■破壊的イノベーションの歴史
破壊的イノベーションとは、米ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・M・クリステンセン教授が提唱したイノベーションモデルの一つです。既存事業の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させるイノベーションを指します。

この破壊的イノベーションは新たな技術革新によって、既存製品よりも低機能、低価格、小型化、ユーザビリティ(使い勝手)の高さを実現させます。

性能を向上させる持続的イノベーションとは対極的なイノベーションモデルであり、大企業や優良企業が見過ごしやすい傾向にあると定義しています。

この破壊的イノベーションは同業界内で起こるだけでなく、今まで関わりが少なかった業界から突然発生し、既存市場の秩序を混乱させ、既存顧客を奪い取る特徴もあります。

また、破壊的イノベーションには「ローエンド型破壊的イノベーション」と「新市場型破壊的イノベーション」の2種類があり、それぞれ性質や特徴が異なります。

提唱者であるクレイトン・M・クリステンセン教授は、改革が難しいとされていた教育の分野でも、破壊的イノベーションの有効性を紹介しています。様々な問題を抱える現在の教育システムに、IT技術をはじめとしたテクノロジーを応用した破壊的イノベーションが紹介されています。

■破壊的イノベーションの種類と特徴とは?
破壊的イノベーションには、「ローエンド型破壊的イノベーション」と「新市場型破壊的イノベーション」の2種類があります。

1、ローエンド型破壊的イノベーション
ローエンド型破壊的イノベーションとは、低価格・簡便性を実現できる革新的技術を投入し、既存市場のローエンド層を獲得した上で、徐々にミドルレンジ・ハイエンド層のシェアを奪っていくイノベーションモデルを指します。

圧倒的にシェアが大きいローエンド層を獲得する間に、ミドルレンジ・ハイエンド層のニーズを満たすレベルに到達し、優良企業のシェアを奪うイノベーションです。

2、新市場型破壊的イノベーション
新市場型破壊的イノベーションとは、圧倒的な技術革新により生み出した製品やサービスが全く新しい市場に参入、または創出するイノベーションモデルを指します。

全く新しい価値観を基に生み出されることが多く、今まで消費がなかった分野に進出する特徴があります。また、既存市場にも多大な影響を与え、市場ライフサイクルを加速させる特徴を持ちます。

その例としてはデジタルカメラの台頭が挙げられます。フィルム型カメラが主流だったときに、撮影した写真をその場で確認できる、何百枚と撮影が可能といった利便性を追求した製品であり、一部の顧客に受け入れられていました。

しかし、機能や性能が向上するにつれて、主要顧客の獲得にも成功し、カメラ市場のシェアを塗り替えることに成功しました。

■破壊的イノベーション持続的イノベーションとの違い
イノベーションには大きく分けて2種類あります。それが今回ご紹介している「破壊的イノベーション」と、対極となる「持続的イノベーション」です。

この持続的イノベーションとは、既存市場で求められている価値を向上するイノベーションを指します。大企業や優良企業が得意とするイノベーションであり、高い付加価値をつけることで他社製品・サービスと差別化を可能とします。日本の製造業やメーカーが得意とする分野で、戦後の日本の高度経済成長を支えたイノベーションでもあります。

しかし、持続的イノベーションは顧客が望む性能を超えるオーバーシューティング(過剰解決)を引き起こしてしまい、ハイエンド層の顧客を中心とした高価格の製品に偏りがちになります。

一方で破壊的イノベーションによって生み出された製品・サービスは持続的イノベーションのものと比べて、性能は劣るも低価格で利便性に優れた傾向があります。

また、ターゲットとする顧客も既存市場のローエンド層(後の技術革新によりハイエンド層を取り込む)や既存市場以外の顧客が対象となります。

持続的イノベーションは、既にある消費に対してイノベーションを興すのに対し、破壊的イノベーションは無消費に対して イノベーションという点で明確に違いがあります。

■破壊的イノベーションが注目される背景
「イノベーション」という言葉は近年のビジネスシーンでよく使われていますが、なんとなく「技術が新しくなること(技術革新)」と捉えている人も多いのではないでしょうか?

破壊的イノベーションによって、コストを削減しながらも効果的な利益を出せる製品やサービスを生み出せます。イノベーションの必要性が高まるにしたがって、破壊的イノベーションによって商材を開発する企業は増えました。

破壊的イノベーションが注目される理由として、「VUCA世界の到来」と「ライトフットプリント戦略の重要性」の2点が挙げられます。

1、VUCA世界の到来
経済のグローバル化や技術革新により、企業を取り巻く外部環境は劇的に変化しており、企業が持続的に成長することが難しくなっています。

これらの外部環境の変化を、Volatility(不安定)、Uncertainty(不確定)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つに定義し、その頭文字を取って、VUCA世界と呼ばれています。

元々、軍事用語の一つで、ビジネスの世界においても徐々に認知度が上がっている用語です。

日本国内だけでなく、世界中で政治や経済、市場のあり方、規制緩和による異業界からの参入、消費者ニーズの変容など複雑な要因が絡み合うことで、経済環境は著しく変化しています。

このように、変化し続ける経済界において、企業が生き抜くためには産業構造を一遍させる(もしくは身を守る)ためにも破壊的イノベーションへの関心が強まっている傾向にあります。

2、ライトフットプリント戦略の重要性
VUCAの世界では、企業・個人に関わらず、一つの事業や職務に集中することはリスクが高い傾向にあります。日本企業は国内需要の減少に対抗するため、国内だけでなく、海外の新たな消費者市場を開拓する必要があります。

その結果、重要戦略拠点が複数存在するようになり、一つの地域に集中する経営戦略の見直しが急務となりました。

その一環として、スピードを重視したライトフットプリント戦略を重視する企業が増えています。

これはプロトタイプを投入することで、スピード感のあるマーケティング活動を実施し、新たな消費者の開拓する経営戦略の一つです。

新製品の開発や海外進出において、迅速に新たな価値を探し出すライトフットプリント戦略には、低価格・利便性の特徴を持つ破壊的イノベーションが欠かせないと考えている企業が増えていると考えられます。

■破壊的イノベーションがもたらす5つの脅威
MOTによる破壊的イノベーションは、自社に爆発的な利益を生み出しますが、既存市場にシェアを持つ企業にとっては脅威となります。

1、大企業になるに従って革新的な動きができなくなる。
商材が成長し会社の規模が伸びるに従って、ベンチャーやスタートアップのように革新的には動けなくなります。

組織が複雑化し、株主をはじめとしたステークホルダーに対する責任も生まれるでしょう。その結果、自由に動きづらくなるのです。新たな商材を作るのではなく既存の商品をいかに伸ばすかに注力してしまいがちになります。

2、持続的イノベーションを重視しすぎる。
また既存の商材に関して、分かりやすい指標やインタビューにより表面的な顧客の要望が集まっててきます。製品が多くのシェアを持っている限り多くのデータが集まるので、つい既存事業に縛られてしまうのです。

無駄な機能までも搭載するとともに商品の単価も高めてしまい、いわゆる「オーバーシューティング(供給過剰)」になります。持続的イノベーションを繰り返すからこそ「使いにくい商材」ができてしまう”皮肉な状況”に陥るのです。

比較的、大企業が陥りやすい罠ですので、現在既存の商材を次々にアップデートしている方は注意しておきましょう。

3、主力事業からの撤退増える。
日本の電機メーカーが国内外で競争力を失っていることに代表されるように、破壊的イノベーションは企業の主力事業のシェアを奪う可能性があります。

2008年の国内携帯市場では、約10社の日本メーカーが参入していました。

しかし、米アップル社のiphoneや中国企業の格安スマートフォンの登場により、2017年8月時点では参入している既存企業はわずか3社まで減っています。2017年8月に富士通が携帯電話市場から撤退を表明。

日本の携帯電話市場は世界のそれと全く異なり、日本メーカーの携帯電話はガラケー(ガラパゴス携帯)と呼ばれ、日本の携帯市場において、圧倒的なシェアを持っていました。

しかし、新たな価値を創出するスマートフォンの登場により、一気にシェアが逆転したことは周知の通りです。

このように破壊的イノベーションは、既存市場のシェアや産業構造を一気に変えてしまう恐れがあり、既存企業にとっては脅威となります。

4、正社員の雇用が減少する。
新たな価値を持った製品やサービスは、主力事業からの撤退や産業構造を劇的に変化させる要因となります。それに伴い、従来の技術や従業員の能力が必要となくなり、雇用の喪失につながる可能性があります。

2017年6月に三井住友フィナンシャルグループが4000人の再配置を発表しました。これは人口知能(AI)を使った業務の効率化を目指した配置転換であり、消費者のニーズに対応したサービスを追及するためのものと説明しています。

この人口知能(AI)も破壊的イノベーションとされており、今まで人が担ってきた業務が機械に置き換えられる現象が発生する可能性があります。

企業は破壊的イノベーションを活用すると同時に、従業員の雇用を維持できる体制を構築しなければならず、個人にも一層の努力が求められます。従来のように、企業が一生従業員の面倒を見る時代は既に終焉を迎えています。

そのため、人口知能(AI)やロボットに代替されない能力や技術の向上が必須とされます。

5、業界構造の変革が起きる。
破壊的イノベーションは既存の業界構造にも大きな変化をもたらします。近年、業界の常識を変えた破壊的イノベーションの事例として、ファッション業界があります。

従来のファッション業界では高価格・高品質のブランドが人気となっていました。しかし、最近ではファーストリテイリングが運営するユニクロやH&M、ZARAなどの海外企業がもたらしたファストファッションが主流となっています。

ファストファッションとは、最新の流行を取り入れた低価格の衣服を、短いサイクルで提供する業態を指します。

デフレ不況が続く日本市場と消費者の節約志向にマッチし、今ではファッション業界の主力産業としてシェアを拡大しています。また、既存のブランドメーカーとの組み合わせを重視した新商品の投入など、消費者に新たな価値を創出し続けています。

このように、新たな価値の創出により、業界構造を変化させるのも破壊的イノベーションの特徴です。

■破壊的イノベーションを起こす4つの取り組み
破壊的イノベーションを興すことができれば、自社に莫大な恩恵を与えることになります。そのため、スタートアップ企業だけでなく、大企業や優良企業も注目しているイノベーションモデルです。

この破壊的イノベーションを興すためには、MOT「技術経営」に取り組みテクノロジーを駆使した思考の変革や意識改革、新たな組織の立ち上げが必要となります。

1、ノンコンサンプションという考え方の導入
新市場型破壊的イノベーションは、ノンコンサンプション(無消費)の考え方を取り入れる必要があります。この無消費とは、何らかの制約(主に時間、資力、能力、アクセスなど)により、消費が行なわれていない状況を指します。

この無消費を解決することで、新たな消費が生まれ、新たな市場の開拓が可能となりますが、すぐに売上や利益につながらないため、大企業や優良企業では見過ごされやすい傾向にあります。

破壊的イノベーションを興すためには、このノンコンサンプション(無消費)の考え方を導入する必要があります。

2、過剰満足の顧客の発見
ノンコンサンプションの発見は世の中に爆発的な影響を与えるほど強力です。しかし、ノンコンサンプションを見出すのも困難な作業でもあります。そこで有効な手段が、ローエンド型破壊的イノベーションです。

付加価値付与による顧客の満足度に限界が生じた場合、そこには過剰満足度の顧客が存在しています。

つまり、その製品やサービスにはローエンド層の顧客が多数おり、これらの顧客を低価格・低機能を実現した製品・サービスを投入することで、将来的に大きなシェアを獲得する可能性が生まれます。

3、新たな組織の立ち上げ
効率化・最適化された組織の中で、破壊的イノベーションを興すことは難しいとされています。これは、企業が経営資源(ヒト、モノ、カネ)の分配の判断基準を、組織が定めた価値基準やプロセスが重視していることに起因します。

そのため、組織活動が順調に機能している場合、破壊的イノベーションを阻害する要因になってしまいます。

破壊的イノベーションを興すためには、これまでの価値基準やプロセスが一切関与しない新たな組織を立ち上げることが必要です。既存の価値基準やプロセス、相互依存の影響をなくすことが、破壊的イノベーションへの近道となります。

4、経営者のMOTの意識改革
破壊的イノベーションを興すには、経営者を含む経営陣の意識改革が必要不可欠です。経営陣は、従業員に対して、MOTを推進するための変革のビジョンを発信し、断行しなければなりません。

さらに社員が破壊的イノベーションを実現するために試行錯誤できる環境の構築が欠かせません。

しかし、経営者は企業の存続を同時に考えなければならず、既存事業の効率性とイノベーションを興す創造性の2つをバランスよく実現する必要があります。

また、企業という垣根を越えた協働を促進し、新たなバリューネットワーク(サプライヤーから顧客まで同じ製品でつなぐネットワーク)の構築も破壊的イノベーションを興すための大切な要素となります。

破壊的イノベーションを興す目的で新規事業を立ち上げる場合は、経営者をはじめ、ビジネスリーダーが率先して、意識改革を行なうことが大切です。

■持続的イノベーションから破壊的イノベーションへ
破壊的イノベーションは、新たな価値の創出と既存市場の破壊という強力な影響をもたらしますが、持続的イノベーションも活用の仕方によっては、イノベーションを興すことも可能です。

それが「メンタルモデル・イノベーション」の活用です。この「メンタルモデル・イノベーション」は、時代の流れや環境の変化によって顧客の意識が変わり、従来の製品を利用した際の価値が向上する現象を指します。

この「メンタルモデル・イノベーション」を活用することで、従来の製品やサービスを変更することなく、価値を向上させることができます。

ここで生み出される価値は、持続的イノベーションが得意とする高性能・高価格のイノベーションと相性が良いとされています。破壊的イノベーションの効果は魅力的ですが、顧客の心理に訴えかけることで、自社の強みを活かせることも覚えておきましょう。

■破壊的イノベーションに繋がる3つのジョブを見極める
破壊的イノベーションを生み出すためには、機能・感情・社会の3つのジョブを見極めることが欠かせない要件になります。

「顧客が本当に欲している機能」を見抜く必要があります。そこで役立つのが「ジョブ理論」です。

ジョブ理論とは、顧客が解消したい不満や達成したい願望を「ジョブ(仕事)」、そのためにプロダクトやサービスを用いることを「ハイア(雇う)」として顧客のインサイトを見極める理論を指します。

クリステンセン教授は『顧客のジョブには「機能的」と「感情的」「社会的」の3つがある』と言います。

1.機能的=そのジョブをどのように成し遂げるか?
2.感情的=どのような感情を味わいたいのか?
3.社会的=周囲からどのように見られたいのか?

というジョブの種類があることを把握しておきましょう。3種類のバランスを考えて新たなローエンド型の製品を作り出すことで、破壊的イノベーションは成功に近づきます。

■ジョブを理解するために4つの要素
顧客のジョブを理解するためには「顧客のジョブそのもの」はもちろん「目的」と「障害」「現状の代替策」を把握しておかなくてはいけません。

「目的=ハイアを決定づける目的」、「障害=ジョブを片付けにくくしている事象」、「現状の代替策イコール現場の解決策として使っている製品やサービス」を指します。

特徴としては状況によって、障害と代替策は変化しやすいことです。ジョブと目的は顧客が自身の問題を解決しない限り変わりませんが、障害や代替策は新しいサービスやプロダクトがローンチされたり、市場のトレンドが変わると、変化します。

■日本企業が抱える破壊的イノベーションの課題
破壊的イノベーションは、日本市場にも大きな影響を与えており、それによる市場破壊や新たな価値が生まれています。

しかし、日本企業が破壊的イノベーションを興し、再び日本の国際競争力を生み出すためには、克服すべき課題がいくつもあります。

イノベーションはビジネスにおいて、既存のモデルから飛躍し、新規モデルへと移行することを意味し、日本では技術革新の意味で用いられることが多いです。

しかし、本来は技術革新だけに留まらない広義なものであり、従来のモノ、しくみ、組織などを改革して社会的に意義のある新たな価値を創造し、社会に大きな変化をもたらす活動全般をさす概念です。

ですので、イノベーションは新たな価値を創造することが必要になるのです。

■大企業・優良企業ほど失敗しやすい
破壊的イノベーションは効率化・最適化された大企業や優良企業では興きにくい傾向があります。そこには日本企業が抱える「イノベーションのジレンマ」が存在します。

破壊的イノベーションは、無消費や過剰満足の顧客が対象となります。これらの市場は利益率が低く、大企業や優良企業が成長、もしくは経済活動を維持するためには相応しい市場ではありません。

自社の利益を最大化するためには、最も効果的な分野に経営資源を投下する合理的判断がなされるため、破壊的イノベーションを見過ごす可能性が高まります。

このように、自社の競争力と収益力を高める努力をすればするほど、イノベーションから遠ざかってしまう現象を「イノベーションのジレンマ」と呼んでいます。

また、企業には主要顧客の満足度向上や、株主への利益配分の最大化にも責任を負っているため、破壊的イノベーションを興す社内風土が育ちにくいと考えられます。

■破壊的イノベーションへの理解不足
破壊的イノベーションは既存事業の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させる画期的なイノベーションのことをいいます。

日本の大手企業が、破壊的イノベーションを起こすことが難しい理由としては、経営陣のイノベーションに対する理解不足があります。

特に新市場型破壊的イノベーションは無消費(市場がなく、売上が立ちにくい)が基本となります。

そのため、健全な企業経営の責任を負う経営陣はどうしても市場規模や売上を気にしてしまう傾向があります。

これは管理職やマネージャーなど現場を管轄する従業員にも同じことが言えます。破壊的イノベーション自体が不確実性の高いものという認識を持って始めて、イノベーション創出の活動が行なえることを再認識しましょう。

■日本人の感覚からの脱却
なかなか破壊的イノベーションを興せない日本企業の特徴として、日本人の感覚を捨て切れていないことが考えられます。

業界に関わらず、日本国内で成功した製品やサービスを海外展開するという発想は、以前では有効な手段とされていました。

しかし、日本の標準は世界標準ではないため、このような戦略は意味がないと指摘されています。つまり、破壊的イノベーションを興すには、日本国内から成功を目指すのではなく、最初から世界を目標に挑戦することが大切です。

また、日本が誇る高いセキュリティーも破壊的イノベーションを阻害している要因と指摘されています。ビジネスにおいて、高いセキュリティーを維持することは至極当然です。

しかし、同時に厳しい制約をかけることとなり、斬新なアイディアやユーザービリティの向上の可能性を潰してしまいます。

日本のスタートアップ企業から登場する革新的なサービスにも必ずと言っていいほど、セキュリティーの観点から懸念や指摘が入ります。

個人情報や犯罪防止の観点からも最低限のセキュリティーは担保されるべきですが、過度なセキュリティーの徹底は破壊的イノベーションを興す可能性さえも潰してしまいます。

■まとめ
ある日突然、競合企業が現れることが、世界で起きています。旧来の戦略では勝ち残れない新たなイノベーション、破壊的イノベーションです。旧来の戦略では勝ち残れない新たなイノベーションです。

企業や個人にとって、諸刃の剣となりえる「破壊的イノベーション」は、今後も必要性が増していくと予想されます。

従来の持続的イノベーションだけでは通用しなくなった世界経済で生き残るためにも、経営者は破壊的イノベーションを興せるだけの意識改革や環境の構築が求められています。

2040年には日本の人口は1億人を切ります。日本は課題先進国として、「デジタルイノベーション」と「企業活動・雇用・国家発展」による新しい共生の姿を他国に先駆けて世界に提示できるかどうかが問われています。

『ワーク・シフト』の著者リンダ・グラットンは、そうしたイノベーティブな生き方を実践するために自身をとりまく二つのコミュニティが重要と指摘しています。

1、ポッセ(頼りになる同志)
普段は一緒でなくても、大きなプロジェクトに立ち向かうとき、声を掛ければ力を合わせてくれる仲間。

2、ビッグ・アイデア・クラウド(大きなアイデアの源)
自分の人脈の外部にいる人間で構成され、たまに会うことで様々なインフォメーションやアイデアを貰え、多様な視点を組み合わせることができるようなネットワーク。

■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、破壊的イノベーティブな取組みにチャレンジし、VUCA時代を共に乗り越える「ポッセ」として活動しています。

破壊的イノベーションを起こす破壊的イノベーションに対して、5000人を超えるフリーランスの顧問や副業のプロフェッションナル人材の英知を結集し、クライアント企業が勝ち残る戦略を策定、新たなMOTによる事業創成の支援をしております。

現在の企業経営では、業界や企業規模を問わず、MOT「Management of Technology」による技術力をを活かした、いかにしてMOTに取り組みマネージメントするかが生き残りのカギを握っています。

そのためには、自社のエンジニアや従来の技術者の発想だけでは不十分です。

オープンイノベーションにより新たな市場を創造するために、外部から価値をもたらすような顧問と顧問契約し、プロダクトを開発していく姿勢が欠かせません。

技術やMOTなど豊富な知見を持つハイスキルな技術顧問が集結している日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」だからこそ、創造的破壊を起こすことが可能だと言えます。

MOTの取り組みやテクノロジーの提案、技術経営を実現するためのテクニカルな課題を顧問料の相場で解決することが可能です。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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