近年、GAFAなど巨大IT企業の登場もあり、プラットフォームを展開することで大成功を勝ち取った企業が多くなっています。プラットフォーム戦略では、ネットワーク経済性を活かすことが重要な要素の一つと考えられています。
シェアリングエコノミーに代表されるような「明確な社会的意義」や「厳格なルールと規制による運営」し、デファクトスタンダードになることが必要不可欠とされています。
そこで、今回は、ネットワーク経済性の意味と、デファクトスタンダードを目指す必要性について解説します。
「世界は向上する余地のない、がんじがらめの場所に見えるかもしれない。だが、そうではない。ちょっと正しい場所を押してやれば、それは傾くのだ。」
<マルコム グラッドウェル>
■ネットワーク経済性とは?
ネットワーク経済性とは、製品やサービスの利用者数や利用率が増えるに従い、その製品やサービスの質やメリット、利便性が利用者そのものに還元される性質や現象です。
「デファクトスタンダード」と呼ばれる製品やサービスの多くでは、ネットワーク外部性の効果が影響しています。ネットワーク外部性がもたらす産業的な帰結として重要なのが、規模が大きいサービス事業者スケールメリットにより圧倒的なパワーをもたらすことになります。
現代社会においては、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)のような巨大なプラットフォーム事業者を生み出したという意味で、ネットワーク外部性の産業的な意味は非常に大きいと言えます。
「デファクトスタンダード」と呼ばれる製品やサービスの多くでは、ネットワーク外部性の効果が影響しています。ネットワーク外部性やネットワーク効果とも呼ばれています。
■デファクトスタンダードとは?
デファクトスタンダードとは、(De facto standard)とは「事実上の標準」意味します。公的な標準化機関から認証を受けるのではなく、市場競争によって業界標準と認められた規格を指します。
例えば、ある商品が大人気になり誰もが当たり前に使うようになると、その後に発売される商品は人気商品を参考にします。
あらゆる企業にとってデファクトスタンダードになることは、市場競争に勝利したことを意味します。
そのため、市場競争の中で競合に勝利しなくてはならず、他の商品よりも支持されなくてはなりません。激しい競争に勝ち抜いた商品や規格だけが、デファクトスタンダードとして認められるのです。
必ずしも技術的優位の規格がデファクトスタンダードになる訳ではありません。いかに消費者やメーカーに受け入れられように、どのようにして市場シェアを握るかが勝負のポイントとなります。
■ネットワーク経済性のメリット
ネットワークの経済性が働き、デファクトスタンダードを獲得することはサービスの拡大という意味で大きなメリットがあります。正のフィードバックと呼ばれる効果が働きます。正のフィードバックとは、利用者が増すと利便性が高まります。
1、収穫加速の法則が働く
収穫加速の法則(The Law of Accelerating Returns)とは、テクノロジーは指数関数的に発展するという法則になります。 アメリカの発明家であり未来学者であるレイ・カーツワイル氏によって提唱されました。
収穫加速の法則は新しい発見や、既存の定義の証明が進む事で革新的な方法が次々と立証される事で、さらに次の革新的な方法の発見までの時間が短縮されていくという概念です。
つまり、一つの重要な発見したり、特定のマーケットでポジションを獲得すると、次の発見の足掛かりとなる事で次第に発展速度が早くなります。そのため、技術が発展する際には直線的な右肩上がりのグラフではなく、指数関数的な向上になると考えられています。
私たちの技術力は数世紀で大幅な急成長を遂げました。このことから、技術的特異点(シンギュラリティ)も近いと考えられています。
2、クリティカル・マスの原理が働く
クリティカルマスとは、商品やサービスの普及率が市場の中で一気に跳ね上がる分岐点を指します。クリティカルマスは英語の「critical mass」が語源のマーケティング用語です。
もともとは物理化学用語で「臨界質量」を表す言葉として使われていましたが、マーケティングにおいては「広告で求める結果を得るために必要な数量」という意味で使われています。
通常、商品やサービスが市場に登場した場合、消費者層のうち、イノベーターという層に受け入れられ、 アーリーアダプターという層を経由して徐々に保守的な消費者層に広がって行きます。
クリティカルマスに達した時に、普及率は一気に跳ね上がると言われています。その理由としては、クリティカル・マスという臨界点を超えると、潜在的なユーザーにもその効果が波及し、好循環を生み出すからです。
3、市場の変化に左右されなくなる
デファクトスタンダードの大きなメリットの1つは、市場の変化に左右されないことです。デファクトスタンダードを確立した製品には安定した顧客がつき、その商品に基づいた商品がさらに開発されていきます。
デファクトスタンダードとして広く知られているプロダクトには、Windows、Microsoft Office、DVDやブルーレイ、USB端子などがあります。サービス面でいえば、Amazon、facebook、Google、LINE、Zoomなどがデファクトスタンダードになると言えるでしょう。
デファクトスタンダードに企画や製品が成長すると、消費者に広く認知されることになります。消費者に広く認知されると、自社製品や規格を広めるためのマーケティングコストが軽減できます。
■ネットワーク経済性を獲得するための3つのポイント
IT時代に威力を発揮する「ネットワークの経済性は、スケール・メリットの一種であるネットワーク効果とリソース・メリットの一種である連携の経済性の2つの特徴から成り立っています。そのため、マーケットの攻略には幾つかのポイントがあります。
1、先行者優位のメリットを活かす
ネットワーク経済性は、ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ(先行者優位)が働きやすいと言えます。そのため、市場にいち早く参入し、優れたサービスを提供することで多くのユーザーを獲得することが重要になります。
ユーザー数の増加がネットワークの利便性をさらに高め、そのサービスは市場のデファクト・スタンダード(事実上の標準)となり、競争優位へと繋がります。
2、アーリーアダプターを早期に獲得する
アーリーアダプターとは、イノベーター理論における5つのグループの1つになります。
流行に敏感で、自ら情報収集を行い判断する層です。新しい商品やサービスなどを早期に受け入れ、消費者に大きな影響を与える人々を指します。
オピニオンリーダーとも呼ばれ、市場全体の13.5%を構成しています。アーリーアダプター層は、他の潜在的なユーザー(アーリーマジョリティやレイトマジョリティ層)に大きな影響を与えるオピニオンリーダーとしての役割も果たしています。
この層に当てはまる人は、常識的な価値観を持ちながら新しい価値観を受け入れることができます。アーリーアダプターに受け入れられるか否かによって、商品やサービスが普及するかしないかが決定するとも言われています。
3、複数の企業で連携してする
市場競争で勝ち抜くために必要なのは、必ずしも技術力とは限りません。昨今ではニーズが多様化しており、さまざまな企業が協力して1つの商品や企画を成長させていく傾向があります。
他の企業との連携により技術力が向上したり、新たなノウハウを手に入れられたりします。多くのシェアを獲得し、消費者に支持されることが求められます。そのため、複数の企業で連携を取る方法が考えられます。
複数の企業で連携を取ればライバルが少なくなりますし、お互いのノウハウによって質の高い製品を生み出すことが可能です。
■ティッピングポイントまで努力する必要性
ティッピングポイント(tipping point)とは、物事がある一定の閾値を超えると一気に全体に広まっていく際の閾値やその時期、時点のことを意味します。
なかなか売れなかったものがある時点から急に売れ出すというように、それまで小さく変化していた物事が急に爆発的に流行、普及して社会に広まる際の「きっかけ、時点」を指すことが多いです。
2000年にマルコム・グラッドウェルが書籍『ティッピング・ポイント』で提唱しました。マルコムは書籍の中で、ティッピングポイントを「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」としています。
ある点を超えると急激な変化を起こすという意味で、融点や沸点などと同じ意味合いです。その点に力を注げば、全体が動き出すという意味では、ネットワーク経済性を生み出す要素にも関連性があると言えます。
“力を注ぐべき、ある一点に力を集中することによって、変化は急激に起こる”というフォーカスの考え方は、他のさまざまな分野で応用できると思います。
■まとめ
『ネットワーク経済性』はユーザー数が増加すればするほど、利便性が向上するという経済性です。ネットワーク型のサービスにおいて、参加者が増えれば増えるほど個々の参加者の利便性が増す現象です。
最近のインターネットビジネスではネットワーク経済性が必ずと言っていいほど考慮されています。SNSはもちろん、サブスクリプションサービスもビジネスモデルにネットワーク経済性の一部が適用されています。
新規事業立上げにおいては、まず、16%の最初の顧客層を獲得できれば、急速に商品・サービスは広まります。中でもアーリーアダプターは、商品やサービスの普及に深く関わります。
商品やサービスの導入期から成長期の間、顧客層で言うとアーリーアダプターとアーリーマジョリティとの間には、「大きな溝=キャズム」があります。
アーリーアダプターを獲得しキャズムを超え、新しいサービスや商品が普及させるためには、まずイノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)を合わせた、市場全体の16%に受け入れられるかが重要になるのです。
■最後に
新しい商品やサービスを世の中に普及させるためには、アーリーアダプターの存在が非常に重要となります。アーリーアダプターにサービスを導入して貰うためには、革新的というだけでなく、実用性があるかがカギとなります。
その際、アーリーアダプターを上手く獲得できれば、アーリーマジョリティ取り込みへのステップになります。しかし、両者の間には「大きな溝=キャズム」があるのも現実です。
キャズムを乗り越えるためには、インフルエンサーやアンバサダーを活用して、キャズムの架け橋を作るのが大切となるでしょう。
法人企業の販路開拓においても大手企業のコネクションや人脈ネットワークを豊富に保有する顧問をアンバサダー的に活用し、「トップダウン営業」により、大手企業の導入実績を早期に獲得できたことでその後の飛躍的な成長に繋がったベンチャー企業が沢山あります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、スタートアップのキャズムを乗り越える支援を行うべく、営業顧問の「成果報酬型」で「トップダウン営業」を「人数無制限」で複数の顧問に依頼できる営業支援サービスを提供しています。
【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、どのような顧問がいるか選定をしてみてください。
【人数無制限】複数の顧問が成果報酬型でトップダウン営業を支援
https://kenjins.jp/lp/saleslep/