ペネトレーションプライシングとは?低価格戦略の良し悪し

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

新規事業の立ち上げる際にマーケットへの参入における価格付けは、大きく二つの方針があります。

それは、「高価格に設定し利益を獲得する」かもしくは、「低価格に設定し数を普及させるか」の二択です。

この二つの価格設定は、スキミングプライシング(高価格に設定)と、ペネレーションプライシング(低価格に設定)になります。

そこで今回は、ペネトレーションプライシングの意味合いと低価格戦略の良し悪しについて解説します。

■ペネトレーションプライシングとは?
ペネトレーションプライシングとは、市場シェアを獲得するために、導入期から一気に市場への早期普及を図り、成長カーブに乗せることを目的とする価格設定のことです。

ペネトレーションの英語で「penetration」で、日本語では「浸透すること」を意味します。

ペネトレーションプライシング「penetration price」は、新製品を市場に投入した初期に低価格を設定し、早期に市場シェアの獲得を目指す価格戦略のことを指します。

新製品や新サービスの導入期における価格戦略の1つになりますが、ペネトレーションプライシングでは、相対的に安価な価格設定を行います。価格弾力性が大きく需要が価格に左右しやすい製品で用いられます。

販売量を増加することで規模の経済性に伴ってコストを低下させるのが狙いであり、大手企業が取りやすい戦略となります。

スタートアップの場合、第三者割当増資によって得た資金を活用し短期的な収支が赤字でもシェア拡大を狙うケースもあります。

このような戦略は「市場浸透価格戦略」とも呼ばれ、価格設定をコスト以下、あるいはコストとほぼ同等に抑えることで、競合他社の追随を断念させることを目的にしています。

■ペネトレーションプライシングが成立する理論的背景
この手法は、販売量が上がるにつれて単位コストが顕著に下がるという「規模の経済」に基づいています。

まず、プロダクトの開発やサービス運用の経験を積むことによって、生産プロセスはより効率的になり、そこで働くメンバーは熟練してきます。

メーカーの場合、生産の現場では原材料や部品の大量購入が行われるようになることから、変動費が低減します。これはオペレーションの経験効果と言われるものです。

同時に生産量増大に伴って、固定費が分散されるようになることから、単位当たりの固定費も低減し、規模の経済が働きます。

大量生産によるコスト削減や、ほかの分野での技術を転用することにより、圧倒的な価格で商品を開発できる場合に有効であるとされます。

高度成長に日本のメーカーが海外に進出したときには、こうした原価低減を見越した、ペネトレーション・プライシングが採用されました。

この戦略の成功のカギは、将来の需要を正確に見積ること、そして競合他社が追随する機会を取り除くことにあります。中小企業が超低価格戦略で適切な利益を持続的に生み出せるかは依然として不透明です。

■ペネトレーションプライシングの特徴
既存市場に後発参入する場合は、低価格が集客の役に立ち、事業規模拡大を後押しすることはありますが、低価格だけを売りにしたまま、継続的なビジネスの成長発展を遂げる中小企業は滅多にありません。

その理由としては、低価格戦略を採用するにあたり大きな設備投資をし、更に沢山の人材を雇用してしまうと、適正な利益水準をキープすることが難しくなり、成長投資に向ける原資の確保が十分にできないからです。

豊富な資金力のある大手企業であっても低価格オンリーでライバルとの競争に勝ち抜くのは相当に困難です。

実際に低価格路線に走った結果、経営が破たんした上場企業や赤字経営に苦しんでいる企業は沢山あります。

ですが、ペネトレーションプライシングを展開する上では、起業家の明確なビジョンと、競争優位性を築き上げるための経営戦略、そして、ライバルの模倣=猿真似とは異なる、崇高なミッションがあれば問題ないと言えます。

ペネトレーションプライシングでは、始めから広いマーケットを狙い、販売数量を優先します。

1、前提条件
・競合と機能、品質の大きな差がない
・広い潜在市場が存在する
・価格弾力性が大きい
・価格変動による需要への影響が大きい
・経験効果により投資の回収ができる

2、期待効果
・早い時期に高い市場シェアを獲得できる
・低マージンのため競合他社の参入意欲を減退させる
・商品やサービスを広く顧客に認知させることができる

3、リスク
・期待通りに原価が下がるとは限らない
・ターゲットに周知さるための広告費が掛かる
・設備投資や資金繰りにおいてリスクが大きい

■スキミングプライシングとは?
スキミングプライシングとは、「初期段階の製品を高価格に設定し、早期に投資資金を回収する価格戦略」です。スキミングプライシングは、活用次第では製品をマーケットに浸透させることができます。

スキミングプライシングは、早期の資金回収を目的に、製品ライフサイクルの初期段階で価格を高く設定するもので、「上澄吸収価格設定」とも言います。早期段階で顧客を獲得することで、顧客に企業側の希望する価格を提示することが可能です。

そのため、早期の段階から高い収益をあげられ、研究費や宣伝費を早期に回収できます。さらに資金の早期回収をすることで、開発した製品の改善のための費用も確保できます。

高価格でも購入する製品は、分野において革新的な特性を持つことがあげられます。ステータスを求める顧客に対して、最先端の製品を高価格で提供することで、製品のブランディングに役立ちます。

ただし、スキミングプライスが価格戦略として成功するには、高価格でも購入してくれるイノベータの存在が欠かせません。

例えば、巨額の投資が必要な半導体製造などでこの手法が用いられており、製品開発を最も早く行った先行企業が、2番手以下の企業に対し、収益面で優位に立つことに成功した事例もあります。

スキミングプライシングの応用をし大成功しているのが、アップル社のiPhoneです。アップル社は、iPhoneを売り出す際に高価格な料金を設定することでブランドイメージを確立しました。

■スキミングプライシングの特徴
スキミングプライシングでは、始めは高価格でも購入してくれるイノベーター層を狙い、徐々にターゲット拡大します。

1、前提条件
・競合他社と比べて高機能、高品質である
・製品の差異化の大きさから市場での競争の心配が少ない
・価格弾力性が小さく、需要が価格の高低に左右されない

2、期待効果
・プレステージ性の高いブランドイメージを確立できる
・市場の良質な顧客層を獲得でき、高い利潤が得られる
・価格弾力性の小さい市場を開拓できる

3、リスク
・競合他社の新規参入を許してしまう
・予算が少ない顧客には販売できない
・高いイメージが付くと売れなくなる

■ペネトレーションプライシングのメリット
マーケットに参入する際に打ち出し方を工夫することで特定の市場におけるプライスリーダーになれる可能性があるのが大きなポイントになります。

ターゲットとなる顧客層に対して大きなシェアを獲得することができれば、今後、改良品や後続品など新商品を販売する際にも注目を受けやすくなります。

自社がまだ代表的なブランドを持っておらず、商品やサービスを販売できていない状況においては、上手くポジショニングを獲得することができれば、知名度の上昇にも繋がります。

そのため、ペネトレーション・プライシング成功した暁には、企業におけるメリットは計りしれません。

価格を安価にするため、ターゲット層は富裕層だけではなく低所得者層や中間層など幅広い顧客が対象となります。多くの顧客に広められるのはもちろんですが、購入者層の情報も集められます。

スキミング・プライシングを採用する企業では、獲得することが難しかった潜在顧客層にアクセスできれば、新たな商品やサービス開発にも繋がります。

■ペネトレーションプライシングのデメリット
ペネトレーションプライシングは、ある程度のクライアントとなる顧客を獲得することが必須要件になるため、ビジネスで利益が出るまで何年もの期間を要する可能性が高くなります。

ですので、中小企業にとっては、大きな消耗戦になりやすい点に注意が必要です。

また、沢山の顧客に利用して貰い市場シェアを大きく取ることが出来なければ、利益が出る価格設定に戻すことは難しくなります。ライバルと価格競争に打ち勝ちシェアの上位にポジショニングできれば、メリットがあります。

しかし、低価格企業という印象が強くなると、品質やサービスに力を入れていても低品質と思われてしまう可能性があります。

既に市場の中で低価格帯で勝負をかけているライバル企業の存在があるならば、お互いに体力を削り合う形になることが予想できます。

そうなると大きなシェアを獲得することが出来ても値上げすることが厳しくなるため、投下資金を取り戻すのが難しい状況になるケースも考えられます。

■まとめ
透価格戦略は成功すれば市場にて大きなシェアを獲得でき、収益が安定しつつブランディングも同時にできる戦略です。

しかしながら、低価格なら簡単に市場におけるシェアをとりやすいとも思えますが、必ずしも低価格戦略により成功することが約束された訳ではありません。

ペネトレーションプライシングの戦略を考える際は、ターゲットとする市場がまだ開拓状態にあるタイミングで行なうのが一般的です。

また、人件費や開発費などの原価コストが発生する初期段階では、当面の間、大きな赤字が何年も続くため、企業に体力がないと難しい方法でもあります。

ペネトレーションプライシング戦略を選択するのが向いている事例としては下記が挙げられます。

・今後成熟する未開拓のマーケットへの参入である
・大量生産でコストダウンが見込めるか変動費率が低い
・当面利益が出なくても耐えられる企業体制である

成熟している市場は既にユーザーが多く、既に別企業における固定ファンが多い中で後発企業として低価格を打ち出したとしても、大きいシェアを横取りして獲得するのは簡単ではないと言えます。

価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、法人や個人を問わず、顧客にとっては価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となる購入する際の意思決定の決め手となるものです。

顧客は、何かを購入する際は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってその都度決めています。

従って顧客がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は売れませんし、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることになります。

しかしながら、商品やサービスを沢山売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設定や広告展開を行うと、会社経営に深刻なダメージを与える可能性が往々にしてあります。

つまり、利益を最大化するためには、「適切」な価格設定とマーケティングの方法を取る必要があります。

このようなことから、新製品の価格を幾らにすべきか決めることは、会社の方向性や将来にも影響するため、スタートアップの起業家にとっては極めて難しい判断になるのです。

「価格において、最良の戦略は最低価格を付けるのではなく、高価格でもそれに相応しい価値があるように市場提供物を差別化することである。」

<フィリップ・コトラー>

■最後に
既に存在する市場に新規参入する場合には顧客にある程度の「価格イメージ」が出来ています。特に価格の相場が出来上がっているケースだとマーケットの価格帯を大きく変化させることは難しいと言えます。

ですので、新規の商品やサービスを後発で投入する場合、非常に難しい意思決定を迫られます。

あらゆるプロダクトには、一般的に導入期・成長期・成熟期・衰退期という4つのライフサイクルがあります。価格政策はこの各段階の特徴に応じた適切な戦略をとる必要が不可欠だと言えます。

なぜなら、各段階によって競争形態が異なり、顧客の購入態度も変化していくからです。

法人企業の新規開拓に営業顧問を活用する場合には、低価格路線の商品やサービスよりも高単価なスキミングプライシング戦略で高単価なプロダクトを提供する会社の方が適しています。

その理由としては、顧問の活用にあっては、単価が高めのソリューションを大手企業を対象に販売していることが多いからです。

また、大手企業のキーマンとアポイントを獲得すためには、それなりの月額顧問料やアポイント報酬が掛かることと、ライフタイムバリューの観点から費用対効果的に合わないことも多々あるからです。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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